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インタビュー:カシオが作った“本気の女子カメ”「EXILIM EX-JE10」


 カシオが14日に発売した「EXILIM EX-JE10」と「EXILIM EX-N10」は、女性向けを意識したデジタルカメラとして、かつてない強烈な個性を放つ製品だ。その企画意図などを聞いてみた。

※各機種のスペックはこちら


EXILIM EX-JE10(ホワイト)。実勢価格は2万円前後
EXILIM EX-N10(ビビッドピンク)。実勢価格は1万5,000円前後

 話をうかがったのは、デザインセンター プロダクトデザイン部 第一デザイン室長の長山洋介氏、デザインセンターUIデザイン室の村田史奈氏、営業本部 戦略統括部 QV・DI戦略部 戦略企画室の前田麻友子氏の3名。


左から前田麻友子氏、村田史奈氏


自分の欲しいデジカメがない

−−カシオは2008年、「女子カメ」をキャッチフレーズにした「EXILIM EX-Z80」を発売しています。当時は他社に先駆けた取り組みとして話題になりましたし、「女子カメ」の商標もお持ちだとか。今回もそうした流れを受け継ぐ製品なのでしょうか。

長山:EX-Z80以後も、カラーリングなど営業手法として「女性向け」を切り口にする方法は展開していましたが、今回はそれをさらに進め、企画、設計、戦略の流れに女性が携わっています。ここまで徹底しているのは初めてになります。

−−企画のきっかけは?

村田:デザインセンターでできることのひとつに、担当品目を越えてコンセプトモックを提案をする場があります。そこで自分の欲しいカメラを提案したのが始まりです。それが社内で話題を呼び、製品化まで進みました。


村田さんがつくったコンセプトモック。デジカメとしては独創的だが、EX-JE10に活かされた要素が垣間見える

村田:カメラの市場を見ていて、「自分の欲しい物がない」というのがきっかけです。色がピンクになっているだけとか、自分の感覚とは違うなと思っていました。カメラの場合、機能を前面に出したデザインになりますが、そうではなく、アクセサリーや化粧品のように、持っていてかわいいと思えるものが欲しかったのです。「機能感を出さない、カメラ臭がしない」ことを意識しました。

村田:コンセプトモックでは、女性が普段無意識に目にしているものからインスピレーションを受けたり、女性同士だと何となく通じる感覚をデザインしています。これを2011年春にデザインセンター以外の社内に見せたところ、好評を得ました。

前田:女性だから出てきたデザインだと思いましたね。これをかたちにしていきたいということで、地道な活動が始まりました。例えばユーザー調査ですが、日本だけでなく、アジア圏など販社がある地域に持ち込んで聞き取りをやっています。

長山:村田はカメラのプロダクトデザインの担当ではなく、メニュー画面のUIをデザインしています。だからこそ新鮮なデザインが出てきたわけですが……そんな人がリーダーとなって進めたプロジェクトですから、かなり珍しい例だと思います(笑)

村田:何となく横で見ていたから、いろいろアイデアはありました(笑)

長山:製品化するには、モックのコンセプトを活かしながら、いまあるデバイス構成を使ってどうするのか考えなければいけません。例えばモックは単焦点レンズですが、スマートフォンへの対抗上、ズームレンズも欲しいわけです。また、小さすぎると信頼感がなく、安っぽく見えます。ユーザー調査でもコンセプトモックに対して「1万円を切るなら買いたい」という意見がありましたが、それでは事業にならない。そこでコンセプトを活かしたかたちで製品化できるよう、いくつか宿題を出しました。その結果がEX-JE10になっています。


女子による女子のためのカメラ

−−製品化にあたって、こだわった部分を教えてください。

村田:ポイントはボディの縦横比です。メーカー問わず、カメラは同じように横長ですが、そこに疑問がありました。縦横比を正方形に近くして、機能感を出さないようにしています。

村田:ケースもこだわった部分です。ボディカラーに合わせてケースが付属しますが、ケースを含めてカメラのデザインになっています。

−−ホワイト、ブラック、ピンクそれぞれのコンセプトは?

村田:ホワイトボディは「ナチュラル」です。ただの白ではなく、陶器のような色味と質感を再現しました。そこに茶色のケースを組み合わせています。一番人気が出ると考えています。



村田:ブラックボディのイメージは「モード」です。ケースはエナメル調で、大人っぽい雰囲気。パーティでも似合うと思います。



村田:ピンクボディのイメージは「ガーリー」。ケースはクロコ調にしています。ピンクの色味にもこだわりました。あまりカメラにはないタイプのピンクだと思います。



−−お約束の「EXILIM」ロゴが見当たりませんね。

村田:そこもデザイン上のこだわりです。カシオといえばEXILIMなんですが……。一応、レンズの周りに小さく入ってます(笑)。天面の透明パーツも気を配った部分です。


吊りヒモや金具にもこだわったという

村田:操作系ではジョイスティックを採用しました。ボディの横幅が狭いため、4方向ボタンを置くと操作が難しくなるからです。

村田:撮影時の画面も、他のEXILIMよりアイコンの数を減らして、シンプルなデザインにしてます。使うものを表に、細かい設定は奥にという考えです。いまはプレミアムオート(シーン認識によるオート撮影モード)があるので、設定を頻繁に変える必要もないですし。

−−確かに大幅にアイコンが減ってすっきりしています。でもメイックアップモードは目立つ位置にある。

前田:そこは譲れませんでしたね(笑)

長山:もともとEXILIMは機能別というより、ライフスタイル別での提案を重視していました。カードスタイルのEX-S1にはじまり、最近ならフリースタイルのEX-TR100もそうです。EXILIMのストーリーの中にデザイン発想が強くあり、今回はそれをさらに推し進めた企画といえます。


エントリークラスなのに「光りもの」

−−EX-N10も女性向けですが、同時に投入する狙いは?

長山:これはエントリークラスの製品ですが、自分たちを含め、業界ではエントリークラスが企画として雑になりがちだという反省がありました。コスト優先なので仕方がない部分はありますが、日本でエントリーといえども、新興国ではスタンダードクラスです。


キラキラした前面がインパクト大のEX-N10。

長山:そこで、ボディがプラスチックにならざるを得ないなら、プラスチックの良さにこだわってみようと考えました。樹脂の特性を活かして、女性向けのEX-N10と、雑貨っぽいEX-N1を作り分けています。


EXILIM EX-N1。EX-N10の兄弟機で、ボディ外装が異なる。実勢価格は1万3,000円前後

長山:プラスチックに凹凸をつけ、透明パーツを重ねています。デジタルカメラでは今までなかった手法ではないでしょうか。店頭でも目立つと思います。

−−EX-JE10に対して、EX-N10のターゲットとなる女性はどんな人でしょう。

前田:EX-JE10はカフェやナチュラルなものが好きな女性像を意識しています。一般的な写真好きのカメラ女子のイメージです。

前田:EX-N10は、キラキラしたものが好きで、割と派手めの女性でしょうか。EX-N1は雑貨らしさを出し、男性女性問わず使っていただけると思います。




(本誌:折本幸治)

2012/9/14 14:55