ギャラリー4127、扇田慎平写真展「わがロス・カプリチョス Again」
ギャラリー4127は、扇田慎平写真展「わがロス・カプリチョス Again」を6月15日から開催している。
この写真展は今年3月に、東中野ビタミンTeeアートギャラリーで開催しましたが、残念ながら開催期日が東日本大震災に当たってしまい、ひっそりと閉幕したもの。今回は、場所を六本木の新しいギャラリーに移して、「わがロス・カプリチョスAgain」と題したものです。
ゴヤと川田喜久治、二つの「ロス・カプリチョス」を追って
子供の頃、「カメラ毎日」で連載された奇怪なカラー写真のシリーズ「ロス・カプリチョス」を見たことは、いまだに私の心象にはっきりと刻み込まれている。意味不明な写真と隠喩に満ちたフレーズが並び、不気味な世界の断面を垣間見せる作品群。これを撮ったのは川田喜久治(1933-)という写真家だった。
本来の「ロス・カプリチョス」とは、スペインの画家、フランシスコ・ゴヤ(1746-1828)が残した寓意に満ちたモノクロームの銅版画集である。そこに溢れるのは黒い笑いや特異なキャラクターたちが、哄笑と寓意に満ちた謎のような言葉で、見る者の精神を撹乱する。ゴヤ自身は、スペインの宮廷画家であり、身体的には46歳で聴覚を失い、時代的にはスペイン王政とフランス革命思想の板ばさみとなり、晩年にはボルドーへと亡命、客死した。
こういう無限のイメージを喚起するような作品群に触れていながら、私自身は、カメラで目の前のコトやモノを気まぐれ(カプリチョス)に拾っているだけだ。ニュースカメラマンやファッション・フォトグラファー、広告写真家や映像作家、メディア・クリエイターのように、華麗な現実や激動の歴史が目の前にあるわけがない。
しかし、私は写真を撮っている。コツコツと、性懲りもなく、何の脈絡もなく。それにポツリ、ポツリとつたない言葉をくっ付けている。いまだに「写真よ、さようなら」と言えないままに。
- 名称:扇田慎平写真展「わがロス・カプリチョス Again」
- 会場:ギャラリー4127
- 住所:東京都港区六本木4-1-27三河台ハウス3F
- 会期:2011年6月15日〜2011年6月30日
- 時間:12時〜19時
2011/6/17 18:07