ニコンサロン、大西みつぐ写真展「標準街景」


 ニコンサロンは、大西みつぐ写真展「標準街景」を東京と大阪で開催する。

(c)大西みつぐ

 「東京小夜曲」(1999年銀座ニコンサロン)、「路上の温度計」(2004年新宿ニコンサロン・大阪ニコンサロン)に続くTOKYOスナップショットのシリーズである。

 今回の作品は、再びスナップショットの原点に帰るという意味から単体の標準レンズ1本のみを使って撮影したものである。

 標準レンズのフレームの素朴さは、世界へのささやかな窓を開くための出発点になりうるものがある。ストリートという古典的なフィールドにおいて、物理的な距離感と精神的な距離感とがどのように重なるのか、またはズレていくのかということを作者自身でもう一度確認してみたかったという。

 さらに、昨今はスナップショットという方法そのものが「盗撮」という言葉にすり替わったり、「肖像権」など微妙な問題に触れることもしばしばあり、急速に写真家の都市における表現スタイルから遠ざかりつつある。

 しかしながら、時代とともに変容するまなざし(都市と人間との関係)は、これまでの世界の写真史に照らし合わせるまでもなく、万難を排してもカメラで記されていかなければならないものがあり、新たな時代の新たなスナップショットの標準、あるいは基準線を模索するために、作者はなおもフィールドに出たいと思う。

 写真家個々人が「立ち会うこと」と「見ること」に襟を正し、個人のありようを尊重しつつ、カメラを大上段に振りかざすことなく、慎重にそして誠実に、撮りながら考えていくしか手だてはない。そこで作者は、標準レンズの「等倍」という見方と、現場における率直な関係性の中で自然に立ち現われてくるものを今一度落ち着いて見極めて見たいと思っている。

 一見、華やかで愉しげに見える「街景」だが、都市に生きる人間の澱のようなものが街角の隙間を刻一刻と流れ続ける情報と色濃く重なり、限りない疲労感をもたらすとともに、流行のtwitterではないが、「つぶやき」を吐き捨てることで現在を確認し続けねばならない自分の閉塞感や焦燥感を感じてしまう作者である。カラー約60点。(写真展情報から)

  • 名称:大西みつぐ写真展「標準街景」
  • 会場:銀座ニコンサロン
  • 住所:東京都中央区銀座7-10-1 STRATA GINZA 1・2階
  • 期間:2010年9月1日~2010年9月14日
  • 時間:10時~19時(最終日は16時)
  • 休館日:会期中無休
  • 名称:大西みつぐ写真展「標準街景」
  • 会場:大阪ニコンサロン
  • 住所:大阪市北区梅田2-2-2 ヒルトンプラザ ウエスト・オフィスタワー13階
  • 期間:2010年10月7日~2010年10月20日
  • 時間:11時~19時(最終日は15時)
  • 休館日:会期中無休

【2010年8月18日】写真展のタイトルを「標準風景」としていましたが、正しくは「標準街景」です。お詫びして訂正します。


(本誌:武石修)

2010/8/18 00:00