ケルンメッセ、「フォトキナ2010」の最新情報を発表
フォトキナ2010キービジュアル |
ケルンメッセは12日、「フォトキナ2010」の開催に関する最新情報を発表した。
フォトキナは、独ケルン市の見本市会場であるケルンメッセで2年に1度行なわれる世界最大の映像機器見本市。2010年9月21日~26日(現地時間)にかけて開催する。出展企業は約50カ国から約1,300社。約15万人の来場者を見込む。会場は、ケルンメッセの1~7、9号館。
都内で行なわれた記者会見では、ケルンメッセ副社長のオリバー・クアト氏がフォトキナ 2010で実施するプログラムについて説明した。
同氏はまず、出展予定の企業について言及。一例として、エプソン、オリンパス、カシオ、キヤノン、サムスン、ソニー、ニコン、パナソニック、ヒューレット・パッカード、富士フイルムの名前を挙げた。「各企業ともに、2010年のイベントの中でも最も高いプライオリティのイベントだと言ってくださっています」(クアト氏)
画像の撮影、関連装置、周辺機器、画像保存関連はホール2、3、4.2、5、7、9に展示。このうち大企業の多くはホール2~5にブースを構えるとしている。
また、展示ブースとは別に、一部ホールにはそれぞれ重点テーマを設定。ホール4.1は「画像処理」、ホール6と7はエンドユーザーに重点を置いた「イメージのアウトプット」、ホール9ではプロカメラマン向けの製品やサービスに焦点を絞る。
さらに、見本市としての個性をさらに強化することを目的に、プロフェッショナル向けおよびアマチュア向けプログラムの拡充を行なう。
ケルンメッセ副社長のオリバー・クアト氏 | ケルンメッセ各ホールのレイアウト |
具体的には、ホール1において、プロ写真家やイメージング専門家向けの「ミート・ザ・プロフェッショナルズ」を実施。内容の一例としては、コンピューター・ジェネレーテッド・イメージング(CGI)をテーマとしたプログラムを実施するという。
CGIに関しては、ホール4.1にも「フォトキナCGI ソリューション・センター」を設置。ハードウェアメーカー、ソフトウェア開発会社、クリエイティブユーザー、専門販売会社、教育機関などと共同で、高度な内容のプログラムを用意する。内容は、コンピューターグラフィックスによる映像を展示し、関連するノウハウを伝授するもの。「CGIは、イメージングの専門家の仕事に、今後数年間で根本的な影響を与えるテーマのひとつです」(クアト氏)
なおホール4.1は会場のほぼ中心に位置するため、カメラメーカーやプリンターメーカーの展示があるホール2~5や、プロ向けの展示を行なうホール9にも近い。このほか、高品質のファインアート・プリントペーパーを直接比較し視覚的に体験できるといった試みも行なう予定。
アマチュア写真家向けには、ホール5.1において「ミート・ザ・コミュニティーズ」を設置する。FacebookやFlickrといったオンラインコミュニティーやソーシャル・ネットワーク関係者が、それぞれのユーザーや新たに顧客となる可能性のある人々に対して、直接プレゼンテーションを行なう機会となる場。同時に、アマチュア写真家同士の意見交換や情報収集の場としての機能も意図している。クアト氏は「これまでイメージング業界には、このようなプレゼンテーションと出会いの場はありませんでした」と強調した。
さらにホール3.1においては、水中写真をテーマとした「アンダーウォーター・イメージング・ワールド」を実施。知識と情報の提供を旨とし、水中写真家による水中写真の技術、機材、ダイビングスポットの紹介などを行なう。加えて、水中写真用の機材を、大きな潜水タンクの中で来場者が実際に試せるという計画も進行しているという。
従来から実施している写真展「ビジュアルギャラリー」は、「芸術面でのフォトキナのハイライト」との位置付け。15の展覧会をホール1にまとめて実施する。
また、同じくホール1において、写真専攻の学生や卒業生が応募できる写真展「アカデミー・ミーツ・フォトキナ」を実施。最も優秀な3人に合計1万5,000ユーロを授与する。
ユーザーおよびオンラインコミュニティー同士の交流を目的とした「ミート・ザ・コミュニティーズ」 | 水中撮影に特化したプログラムも実施 |
続いて、2010年1月よりドイツ写真工業会の専務理事を務めるクリスチャン・ミュラー・リーカー氏が挨拶した。
リーカー氏はまず、世界の写真・イメージング市場の動向について言及。2009年に全世界で販売されたデジタルカメラは約1億3,000万台で、そのうち70%が北米と欧州で販売されたもの。全体の9%にあたる1,170万台がデジタル一眼レフカメラだったという。また、カメラ付き携帯電話やカムコーダーを含む画像記録装置の使用台数は、全世界で27億台、欧州で約6億9,000万台が使われているとした。
以上の市場規模を踏まえ、入力装置、記録装置、加工装置、出力装置、サービス、画像送信、周辺機器、消耗品といった製品を総合的に展示したフォトキナが、イメージングのワークフロー全体を網羅した見本市であることを改めて強調した。
ドイツ写真工業会専務理事のクリスチャン・ミュラー・リーカー氏 | 2009年のデジタルカメラ販売台数は約1億3,000万台 |
携帯電話やカムコーダーを含めた画像記録装置は、全世界で約27億台が使われている |
ドイツにおける100世帯あたりのカメラ所有率 | デジタルカメラの所有状況は若いほど高い |
また、イメージング機器および写真の個人利用についても俯瞰し、デジタルカメラのセンサーやプロセッサーなどのデバイスの進歩、3Dシステムの登場、被写体認識情報のタギング、デジタルフォトフレーム、画像処理ソフトウェア、オンライン上での画像のコミュニケーションといった事例を挙げるとともに、それにもまして、産業、医療、学術、経済といった分野でイメージングの重要性が増しているとも述べた。
そのうえで同氏は、ドイツ100世帯のうち80世帯がアナログカメラを、73世帯がデジタルカメラを所有していることを挙げ、写真関連の製品を「最も愛されている技術玩具」と表現した。
同氏は続いて、年齢別にみたデジタルカメラの所有分布について説明。25歳以下の世代のデジタルカメラの所有率はアナログカメラの2倍に達し、50歳以上では逆にあまり普及していないと話した。「同様の傾向はデジタルカメラ関連商品、ならびにオンラインフォトサービスの利用においても見られます」(リーカー氏)
同氏は最後に「人間は思い出を残しておきたい、また、共有したいという願望を持っている。それゆえに、写真を撮る行為は人間の基本的な欲求」と述べ、「現在の経済危機の中にあっても、写真・イメージング産業の主要製品群は好調な販売動向を示しており、業界は2010年のフォトキナを明るく展望している」と締めくくった。
2010/4/14 17:25