キヤノン、第3四半期はカメラ事業が増益に転じる
EOS Kiss X3 |
キヤノンは27日、2009年12月期第3四半期の連結業績を発表した。売上高は7,743億2,400万円(前年同期比21.5%減、以下同)、営業利益599億8,900万円(53.6%減)、純利益367億3,400万円(55.8%減)。オフィス機器などの販売数量の落ち込みに加え、大幅な円高の影響を受け減収減益となった。
このうちカメラ事業の売上高は2,290億円(8.3%減)、営業利益は476億円(5.5%増)。普及クラスのデジタル一眼レフカメラ「EOS Kiss X3」やハイアマチュア向けの「EOS 5D Mark II」などの販売が引き続き堅調に推移した。また、IXY DIGITALシリーズ2機種とPowerShotシリーズ4機種の新製品群も市場で良好に受け入れられたとしているが、全体では市況低迷の影響で販売数量は減少し減収となった。一方営業利益は、高付加価値製品の比率上昇や営業費用節減の効果により売上高減にも関わらずプラスに転じた。
デジタルカメラの台数伸び率(対前年同期)は、一眼レフタイプが7%増、コンパクトタイプが6減。通期ではそれぞれ10%増、8%減を見込む。
なお、カメラ事業における製品カテゴリー別の構成比(当四半期までの累計)は、デジタルカメラが77%、交換レンズ他が16%、ビデオカメラが7%となっている。また、デジタルカメラに占める一眼レフタイプの割合は台数ベースで18%、金額ベースで49%。
カメラ事業の研究開発費は101億700万円(9.3%減)で、研究開発費全体に占める割合は13.7%だった。
事務機事業の売上高は4,880億円(24.9%減)、営業利益は730億円(45.5%減)。経済環境の悪化を受け、オフィス機器の需要が低い水準にと留まった。インクジェットプリンターは、市場が停滞する中で米州やアジアでの販売が好調に推移し台数は前年比増となったが、円高の影響などにより減収となった。
光学機器及びその他事業は売上高565億円(33.7%減)、営業損失は196億円(前年同期は34億5,400万円の黒字)。半導体用露光装置がメモリー市況の著しい悪化による低迷に加えて、液晶用露光装置もパネルメーカーの投資抑制が影響した。
通期の業績予想は売上高3兆2,000億円(21.8%減)、営業利益1,900億円(61.7%減)、純利益1,100億円(64.4%減)。コンシューマー製品の年末商戦が不透明なことなどから前回予想を据え置いた。オフィス機器の需要は依然として厳しい状況が続くとの見通しを示したが、デジタル一眼レフカメラは堅調な実需を維持するとした。加えて、半導体用及び液晶用露光装置は来期以降の需要増加を見込んでいる。キヤノンでは、「第4四半期に対前年同期で増益を実現し、反転攻勢のスタートにする」としている。
2009/10/28 16:13