Baby & Kidsのマンネリ写真脱出術 標準画角のズームレンズで一瞬を逃すな!

本企画もモデルの子どもたちの年齢が段々と上がってきましたが、今回は5歳の男の子と女の子に登場してもらいましょう。

ゆうとくんは初対面の私にも積極的に話しかけてくれる、人見知りをしない好奇心旺盛な男の子。お友達が落とした靴を拾ってあげるなどの優しい一面も見せてくれました。

あやかちゃんはひとときもじっとしていないとっても元気な女の子。運動神経も良く登るのが難しそうな遊具でもすいすいと登っていました。

今回は、標準画角のズームレンズを使って色々なシチュエーションでの撮り方を解説したいと思います。

2パターンの背景を撮っておく

焦点距離:80mm 1/640秒
焦点距離:80mm 1/500秒

芝生の広場でサッカーをして遊ぶゆうとくん。1枚目は背景に何も写り込まないように、2枚目はどんな公園で遊んでいたかを後から思い返せるように近くのベンチを入れて撮りました。写真としては背景がすっきりしているほうが見ていて気持ちがいいのですが、思い出写真としては背景に公園の特徴などが写っているほうが話のネタになって面白かったりします。そして、実はこっそりゆうとくんのお母さんも写真に写り込んでいます(笑)。

望遠側で王道の笑顔ショット

焦点距離:80mm 1/500秒

望遠側で撮影するメリットは大きなボケを得やすいこともありますが、子ども撮影の場合は被写体である子どもに威圧感を与えないということもあります。撮影の最初は望遠レンズを使って少し遠くから声を掛けて緊張しないようにしてあげましょう。この時の声掛けの禁句は「はい、笑って!」です。被写体はプロのモデルではありません。笑ってと声を掛けた瞬間から笑顔は顔から消え去りますので絶対に言わないようにしましょう。

作例の撮影はネットを上る遊具で行いました。元気に動き回るあやかちゃんもさすがにネットの上では動きがゆっくりになるので、上から「上手だね!」「怖くないの?すごいね!」などと声を掛けてカメラに視線をもらいました。笑顔というよりもドヤ顔……かな?(笑)

広角側のローアングルでがんばる僕を表現

焦点距離:16mm 1/640秒

広角側を使うと画面の四隅が引っ張られるように遠近感が強調されるので、ローアングルで撮影すると迫力のある写真になります。ポイントはなるべく被写体に近付くことと、逆光での撮影になるので露出補正をプラスにすることです。また、ニコンのカメラでしたらアクティブD-ライティングをオンにして撮影しましょう。白とびを軽減してくれます。

また、子どもの顔が正面を向いていると下から撮っているため表情が写りませんので、少し下を向いたタイミングでシャッターを切りましょう。作例ではゆうとくんが足元を見た瞬間を狙いました。

ぶら下がり遊具は撮影の味方!

焦点距離:55mm 1/800秒

元気に走り回る子どもは見ていて本当に微笑ましいしかわいらしいのですが、いざ写真を撮ろうとなると「わわわ、ちょっと一回止まって~!」となってしまいますよね。そんな元気なお子さんはぶら下がり系の遊具で遊んでもらいましょう。

作例は上の写真でゆうとくんが遊んでいる遊具と同じものですが、ロープとロープの距離が結構離れているので簡単にひょいひょいとは渡れないようになっています。また、手を使ってロープを握っていないと立っていられないほど小さな足場なので上半身の動きも止めることができます。怖がるお子さんを無理強いする必要はありませんが、そのような遊具で遊びだしたらシャッターチャンス到来ですよ!

組写真のように撮る

焦点距離:40mm 1/320秒
焦点距離:58mm 1/320秒

ネットの遊具にいるゆうとくん、あやかちゃんは先に降りて違う遊具に走って行ったところでした。それを見て急いで降りようとするのですが予想以上に急な勾配にちょっと及び腰に……そんな流れがかわいらしかったので組写真っぽく撮ってみました。1枚目は少し引いて遊具の形状を見せるとともに余裕の笑顔を、2枚目は少し望遠にして一点を見つめる表情を主役にするために寄って撮影。

作例のネットのようにカラフルな被写体が画面を多く占める場合、画作り設定を「スタンダード」にしておくとコントラストが強すぎてしまうので、柔らかい印象になる「ポートレート」にすることをおススメします。子どもを撮るときの画作り設定は、基本は輪郭を柔らかく描き出して肌色を綺麗に見せてくれる「ポートレート」を使用しています。そしてスポーツをしているシーンなどでは被写体をきっちりシャープに描いてくれる「スタンダード」に、青や緑が綺麗なシーンでは自然な鮮やかさで画面内を演出してくれる「風景」に設定して撮影しています。

お子さんと外で動き回って遊ぶときは撮影位置の限られる単焦点や長いレンズはあまり向いていません。標準画角のズームレンズを使って広角側でパースを利用した迫力のある画や、望遠側で背景をボカしたムードのある画を狙うようにしてみましょう。外で撮影するときも露出補正はプラス0.3~0.7にしてお子さんの顔色が暗くならないようにしてくださいね。そして何より大事なのはフットワーク!走り回るお子さんに負けないように、先回りする勢いで動きまくっていい写真を撮ってください!

撮影機材:ニコンD5500、AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR

(2015/11/25)
(みさき なな)東京都出身。知り合いの写真家の作品撮りにモデルとして関わったことがきっかけで写真に興味が沸き独学で写真の勉強をし、作品を持ち込んだ出版社に編集として入社。2010年独立。現在はカメラ雑誌の編集やWebでのカメラレビュー、写真講座の講師として活動中。「Pentax+」でも記事を連載。 Twitter:@cosaruruブログ:http://misakinana.com