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PMAを終えて〜2強に垣間みた今後への自信
[2009/03/13]

景気後退が促す原点回帰
[2009/02/12]


2008年

PMAを終えて〜2強に垣間みた今後への自信


PMA09のニコンブース
 PMA09も終了し、日本のカメラメーカーは3月末のフォトイメージングエキスポ(PIE)2009の準備に忙しい。PMAとPIEは例年、開催日が近いため、新しい製品や戦略を打ち出す情報発信の場として、どちらを重視するかは各メーカーが異なる判断を下してきた。たとえばソニーはワールドワイドに向けて情報発信を行なう意味から、PIEよりもPMAに力を入れる姿勢を示している。

 しかしニコンやキヤノンは、どうやらPIE重視の製品発表を予定しているようだ。CIPA(カメラ映像機器工業会)はカメラメーカーが多く集まる日本から世界に向け、写真関連のニュースを発信し、商談の場としても発展させていきたいという意図があって、PIEの国際化に向けて力を注いでいる。CIPA運営の中心メンバーである両社がPIEを重視する背景には、国際展示会として成長させるための目玉をPMAではなくPIEに集中させようとしているためのようだ。

 特にCIPAの代表理事会長を代表取締役社長の内田恒二氏が務めるキヤノンは、PIEに並々ならぬ力を入れているとの、もっぱらの噂だ。PMA会場でもキヤノンの広報担当者は「PMAに一眼レフカメラの新製品が並ばなかったのは、決して景気動向に左右されて製品計画が変更されたからではなく、今まさに飛び上がろうと準備をしているところだから」と話していた。キヤノンがPIE2009に、何らかの新製品を用意していることは間違いないところだろう。


「D40」の後継機を“開発中”

 PMA取材のまとめも兼ねてニコン、キヤノンの動きを簡単にまとめておこう。

 ニコン映像カンパニー マーケティング本部ジェネラルマネージャの中山正氏は、先日生産完了を発表したD40に関連して「D40は市場に残す価値がある。ああいうカメラがあることで、明らかに市場の裾野は広がっているし、一眼レフ市場は活性化しました。もちろん、後継機に関しても開発しています」と話した。


ニコン映像カンパニー マーケティング本部ジェネラルマネージャの中山正氏 D40

 具体的な一眼レフカメラの開発・発売に関しては「例年並みのペースで新製品を出していきますよ」と煙に巻くが、例年並みということならば年に2〜3機種程度。D40の生産完了というニュースと組み合わせて考えるなら、PIE2009ではエントリークラスに動きがあるということになろうか。

 中山氏との会話は多岐にわたったのだが、今回の記事の趣旨とは少し外れてくるので、以下に簡単にまとめておこう。


・動画機能の拡張は? レンズの対応も含め動画に撮影に対するスタンス

「方向としてはその通り。しかし、スチルカメラとは別にカムコーダが存在するので、カムコーダと同レベルの機能性を持たせようという意思はない。電動ズームや可変速AF、絞りメカの変更といったことはない。一方、センサーサイズの大きさやレンズの多様性を活かした動画撮影という楽しみは提供していく。ビデオ撮影機能ではなく、ムービングピクチャー、動く写真という位置づけで表現の幅を拡げる機能と考えている」

 ・一眼レフ市場はまだまだ伸びる

「コンパクトも一眼レフも、まだ絶対に伸びる。コンパクト機は売り上げが頭を打ったといわれていたが、実際の出荷台数は伸びていた。世界的に見れば新興市場への普及が今後進むと考えられる。特に一眼レフの可能性は大きい」

 ・ミラーレス一眼への興味

「持っていないと言えば嘘になる。パナソニックやサムスンがやり始め、話題にはなっていくだろう。(光学技術の比重が下がるとエレクトロニクスメーカーの方が有利では? との問いに)それでもニーズが本当にあるなら、僕らはそれに応える必要がある。EVFにも長所がある。一方でミラーシステムは完成された技術で、EVFにはない良さがあるから、それは継承しなければならない。お客様の要望次第だが、いつかやらなければならないなとは感じている。ただし、今すぐに必要とは考えていないし、具体的な計画もない。ニコンは技術ドリブンな会社なので、EVFが流行るからやるというのではなく、やるならばニコンの技術を生かせる形でやりたい」

 ・不景気の影響

「もちろん、数字的にはかなり落ちたが、在庫レベルはそれほど異常な数字にまではならなかった。加えてここに来て在庫レベルは正常に戻っている。製品計画の変更はない。車業界に比べれば、景気後退の影響は比較的マイルドに現れていると思っている。為替変動の問題は大きかったが、売れる売れないといった量的な問題に関しては、それほど悪い状況にはない。少なくとも過去最悪ではない」


一眼レフカメラの在庫は正常化

「史上最悪のPMAを生きる術(すべ)」でも言及したように、PMA09が始まる前、カメラ関連プレス間には暗い空気が漂っていた。明らかな景況感の悪化に加え、対北米向けの一眼レフ生産出荷台数が-92.7%というニュースがPMA直前に入ってきたこともある。その一方でメーカー側には暗さがあまり無く、メーカーとプレスの市場の将来性に対する不安感という切り口で見ると、非常に対照的だった。

 これは取材を進めてからわかったことだが、2008年秋以降はデジタルカメラ、特に一眼レフカメラの在庫レベルが急に上昇していたが、それもこの1月に出荷を抑えたことで下降し、在庫の回転率はほぼ正常レベルになっていたのだという。つまり、対北米市場向けの出荷数が急減していたのは、生産調整による効果が現れて在庫整理に向けた対策が正常に進んでいたが故の数字だったということだ。

 もちろん、売れる数が減っていることは確かなので、あまり喜ぶべきことではない。在庫レベルが正常化したとはいっても、それは需要急変に対して生産調整を一気に進めることができたからで、今後は景気回復に向けてどう準備していけるかに注目点は変化していく。

 もっとも、ニコン、キヤノンの2強に関していえば、ニコンは「D90」、キヤノンは「EOS 5D Mark II」が北米で(おそらく日本でも)予想以上に好調な売り上げだったことなど、中級機以上では評価の高い製品を出せば、不況下でも底堅い需要があることを感じ取ったことも、明るさの理由なのかもしれない。


D90 EOS 5D Mark II

PMAのキヤノンブース。PIE2009ではどのような製品を見せてくれるのか
 流行に乗って一眼レフカメラを買おうとしていた層や、買うかどうかで迷っていた購買層は、景気後退によって一眼レフカメラを買わなくなる確立が高い。しかし、元々カメラが好きで良いカメラが出たら買い換えたいと思っているカメラ好き、写真好きは、魅力あるスペックや機能を備える優れた製品を出せば、景気動向にかかわらず買う。

 両社とも「長い一眼レフカメラの歴史の中で、不景気の影響を受けるのは今回が初めてではない。きっと対応していける」という自信が垣間見えた。

 しかし、それにしても不気味なのはキヤノンだ。PMA期間中、ほぼ無言を通したキヤノンが、力を入れているというPIE2009で、どのような製品を打ち出すのか。あるいは今年いっぱいのトレンドをセットするのは、今いちばんおとなしいキヤノンなのかもしれない。



URL
  ニコン
  http://www.nikon.co.jp/
  キヤノン
  http://canon.jp/

関連記事
PMA09関連記事リンク集(2009/03/04)
ニコン、「D40」のメーカー在庫を終了(2009/03/10)



本田雅一
PC、IT、AV、カメラ、プリンタに関連した取材記事、コラム、評論をWebニュースサイト、専門誌、新聞、ビジネス誌に執筆中。カメラとのファーストコンタクトは10歳の時に親からお下がりでもらったコニカEE Matic。デジタルカメラとはリコーDC-1を仕事に導入して以来の付き合い。

2009/03/13 15:02
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