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【特別企画】梅佳代、Kiss Digital Xを使う



 梅佳代(初めてこの名前を聞いた人はhttp://dc.watch.impress.co.jp/cda/exib/2006/09/12/4586.htmlを参照、以下敬称略)のカメラは、日常生活のなかで起きている一瞬の出来事を捉える。その写真は見る人に微笑、哄笑、爆笑、苦笑、失笑……を起こさせる。そしてそのあとで「人生って悪くない」と思わせるのだ。

 彼女の初の写真集「うめめ」でスナップ写真の新鮮な面白さに驚嘆した人も多いだろう。梅佳代初めてのこの写真集はすでに4刷が決定したほか、2007年1月14日にはTBSテレビ「情熱大陸」で彼女が取り上げられる予定だ。さらに来春には第2写真集も控えている。

 その梅佳代が写真学校で購入して以来、ずっと使っているのはフィルムカメラのキヤノンEOS 5。いまのカメラは中古カメラ店で購入した2代目だ。眠る時以外はほとんど梅佳代の首にかけられ、一瞬の出番を待ち続けている。

 今回はそのEOS 5の代わりに、約1カ月間、EOS Kiss Digital X(以下KissX)を使ってもらった。

※★マークが付いた写真は市井康延が撮影した写真です。これ以外は梅佳代氏が撮影した作品です。サムネールをクリックすると、撮影した画像ファイル(3,888×2,592ピクセル)を開きます。


梅佳代 with KissX
 梅佳代がどの程度カメラの操作方法を理解しているか、筆者にはよくわからない。いつも使う撮影モードは「P」。梅佳代の場合、このPは「プログラムAE」を意味せず、「プロフェッショナル」になる。鋭い動体視力で一瞬を捉えるスナップ撮影に、露出やシャッタースピードを考えている時間はない。

 彼女の場合、これが雑誌から依頼されたポートレート撮影でも一緒なのだ。映画俳優の加瀬亮や役所広司、ミュージシャンの岸田繁(くるり)……梅佳代が撮影した著名人だ。彼らの撮影もプロフェッショナルのPで行ない、ストロボは嫌いだから基本的に使わない。それでも必要なときは内蔵ストロボを使う。一度、「露出補正って知ってます?」と聞いてみたら、一瞬、えっという顔をして「知っとる、知っとる。学校で習った。使わんけど」と返事があった。

 スナップ写真はもちろん、こうしたポートレート撮影でも「梅佳代しか撮れない写真になっている」と編集者からは高く評価されている。


梅佳代 with KissXと歩く浅草

 ということで、KissXを梅佳代に渡した約1週間後の平日、彼女のホームグラウンドである浅草でのスナップ撮影に立ち合わせてもらうことにした。待ち合わせの浅草 雷門に自転車でやってきた彼女の首には、ストラップが2本。メインの位置にはKissXがかかり、肩にEOS 5が下げられていた。

 EOS 5では50mmレンズを使うことが多いが、KissXで選んだのはEF-S 18-55mm F3.5-5.6 II USM。初めてのデジタル一眼レフだが、操作方法はまったく心配ないという。Pモードにセットし、いざ、出発だ。


梅佳代はフランクフルトにマスタードをつけない 何でこんなものを撮るのかと思ったが、写真を見てみるとなるほど面白い

 雷門から仲見世を通り抜け、境内の脇から浅草寺に入り、ぶらりぶらりと進む。梅佳代からは撮影に対するオーラは微塵も感じられない。浅草寺に入ると、おみくじを引き(凶だった)、フランクフルトを買い、おいしそうに頬張る。

 そんな散策の途中、突然、カメラを眼に当ててまた戻す。それはほんの一瞬。どちらかというと、「撮ろうと思ったけど、シャッターチャンスを逃したから、撮らずにやめました」といった雰囲気なのだ。

 しかし撮影後、撮影したカットを見せてもらうと、撮るのをやめたと思っていたシーンすべてが撮られていた。撮影チャンスと思ってカメラを構えるが、一瞬、遅れてしまい、シャッターが押せないことはしばしばある。「シャッターチャンスを逃したと思ったことはないなあ。あるけど、覚えとらんだけかもしれんけど。いちいち、そういうことは気にせんから」。


浅草の喫茶店にいたお客さん。突然、「学生かい?」と話しかけられ、「カメラマンです」と答えると、「本物かい」といわれ名刺交換をすることになったという
浅草寺の姓名判断に「佳代」はなかった。名前に「梅」があったので、とりあえず購入

 馬券売場や呑み屋が集まる六区を歩く。そこでも梅佳代は自然だ。警備員のおじさん、倒れている人、何のために並んでいるのかわからない行列、ヤクルトおばさんと話す太ったおじさん、2階のテラスにあるネットをかぶせたみかんの木……などを撮る。

 街でスナップを撮っていて、文句を言われたことや、怖い思いをしたことは1度もないと彼女はいう。近所の町とはいえ浅草六区をこれだけ自然に歩いて撮れるのを見ると、深く納得できる。すぐに街の雰囲気に馴染めて、なおかつ撮影が素早いからだろう。

 「まあ、こんなもんですかね」との梅佳代さんの言葉で、約2時間ほどのロケ体験は終了。このあと梅さんは浅草寺そばの豆腐料理店で「おからと豆腐ドーナッツ」を購入。これはアルバイト先のパート主婦に「美味しいから」と奨められたそうだ。


「こういう写真が一番いい写真だと思う」と梅佳代は言う。理由は幸せな感じが出ているから。梅佳代世界のキーワードはハプニングではなく、ハピネス なぜ?

「田中しのさんが可哀そう……」 「誰かの作品。かわいくて、絵が上手だから撮っておいた」というが撮影時間は22時24分

梅佳代邸担当の宅配便のドライバーは甘党だ。現業の人のポートレートは梅佳代世界の定番。「撮るのが当たり前という勢いでいればなんてことはない」。ただし、ここに掲載する許可はちゃんと取っている 職業は伏すが現業の一人

 KissXを使ってみて、操作感はまったくEOS 5と変わらないという。シャッタータイムラグもフィルムカメラそのまま。「その上、ボディが軽い分、使いやすい」とまでいう。

 フィルムカメラとの違いといえば、背面液晶モニターの存在。撮影したあとに、いろいろと見てしまう。それも楽しいことでプラスだ。「液晶で見て、失敗したような写真でも消すことはしない。失敗かどうかはすぐには判断がつかないから。それをしたらダメ」と彼女は言い切る。

 下の1枚は、デジタルカメラだから試みたものだ。液晶モニターがあることでこんな遊び心も生まれる。ひとつは画面奥にに座っているおじさんがコーヒーカップの中に入っているように見えないかと、何枚も試したうちの1枚だ。「いつも遊び的に撮っているけど、デジタルカメラではもっと遊び気分を刺激された」。


コーヒーカップを持っているのは、同居している妹さん おもちゃのフィルターを通して撮影

 写真になってどう見えるか。梅佳代は、それを撮影時にある程度、的確に把握しているようだ。普通の人なら見過ごしてしまう瞬間を見つけ、シャッターを切る。偶然、撮れていたのではなく、見つけて収めているのだ。その判断力がすごい。

 梅佳代曰く「私にとっては写っているものが大事。だからどんどん構図が気にならなくなっているのを感じますね」。

 今回、撮影後に液晶モニターを見せてもらい、その後、プリントアウトを見たのだが、液晶モニターでは気づかなかった面白いカットがいくつもあった。一緒に歩いていても、私が見過ごしている瞬間がたくさんあるということだ。「プリントを伸ばすことで、見えてくる面白さもある。私自身、だいたいわかって撮っているけど、時折、自分でもプリントで発見することがあります」。梅佳代はだから、プリントが大好きなのだ。


浅草ビスタホテル横で深夜11時近くの小事件。このあとパトカーが止まり、警官が降りてきて梅佳代に「失踪人の山田さん?」と職質した。もちろん警官も被写体にされた

「東京は猫が多い。大阪だってそんなにいなかった。日本で一番多いんとちがうかな」 「猫が何かを獲ろうとしていた」

犬や猫をよく撮るが、それは好きだからではなく「怖いから逆に気になるんだと思う」 前良し、右良し、左良し

雑誌の仕事もここのプリントを使う
 KissXを使い始めてから、「情熱大陸」のロケで梅佳代さんが帰郷する機会があった。「デジタル一眼レフを使うことを忘れずに」と送り出したのだが、やはりとっさの時は愛用のEOS 5に手がいってしまったそうで、この旅では収穫はなし。

 というのも日々のスナップが梅佳代の作品であり、それはまだフィルムカメラで撮りたい気持があるからだ。デジタルカメラからのプリントは、「思ったよりきれい」だったが「色とか、感じがフィルムのほうがやっぱり良い」という。「全部がデジカメになったら、それでもフィルムで撮りたいとは思わないけど、フィルムがある以上、きれいにこしたことはないからそちらを選びたい」。梅佳代が出すDPE窓口は、決まっている。何カ所かで出して、選んだ店だ。プロラボも使うが、ここの仕上がりが一番だという。

 梅佳代は、富士フイルムのデジタルミニラボ「フロンティア」の色が好きだという。色のメリハリ感、彩度が好みにあう。そしてこの店はプリントの仕上がりのトーンが安定しているから選んでいるそうだ。それと45分ででき上がる早さ。「そして、お店の人がやさしいから。これが一番かもしれん」と梅佳代は言う。


写真新世紀に応募した作品シリーズ「男子」で被写体になった男子たち 「みんな軽くヤンキーで、みんな可愛かった」

来春発売予定の写真集がこの「男子」で、今回は彼らに出版の許可をもらいに行った。「情熱大陸」ではそんな顛末が放映される予定だ

 来春早々には写真展が東京と大阪で開かれる。生うめめを見て、良い年のスタートを切ろう。

・梅佳代の経歴
1981年3月23日石川県柳田村生まれ
1999年〜2002年日本写真映像専門学校で学ぶ
2000年、2001年「男子」、「女子中学生」でキヤノン写真新世紀展佳作
2002年〜東京在住。ベビーブティック勤務
2003年個展「うめかよ」(東京 site)
2004年グループ展「UME TUM」(パリ ROOM)
2006年「シャッターチャンス祭り」(東京 リトルモアギャラリー)
SHUTTER CHANCE FESTIVAL」(ロンドン Gallery Eclectic)
ほか個展、グループ展多数開催




・2007年に予定されている梅佳代参加の写真展
1月2日〜17日個展 大阪 心斎橋 アセンス5F
1月15日〜28日個展「連続のシャッターチャンス」東京 丸善本店
1月17日〜31日グループ展「コミカル アンド シニカル」大阪 ドーンセンター



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【写真展リアルタイムレポート】
梅佳代「シャッターチャンス祭り」(2006/09/12)




市井 康延
(いちいやすのぶ)1963年東京生まれ。最近、気になる街の風景をデジタルカメラで撮り始めた。突然、街が変わっていることが多く、なくなってしまった光景がもったいないと思うようになったからだ。撮り始めると、これまでと街が少し違う表情に感じられる。写真展めぐりの前には東京フォト散歩( href=http://photosanpo.hp.infoseek.co.jp/ )のチェックを忘れずに。開催情報もお気軽にお寄せください。

2006/12/27 00:55
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