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【特別企画】銚子電鉄を撮る


 昨今の鉄道の話題は、「銚子電鉄」といえば「ぬれ煎餅」、「ぬれ煎餅」といえば「銚子電鉄」だ。今年になって何回かTVが銚子電鉄を採り上げ、どちらも超人気になってしまったようだ。銚子電鉄、正確には「銚子電気鉄道」を、画像とともに紹介しよう。

 なお、今回の取材は事前に申し込んでから撮影させていただいた。各駅のホームで安全な位置で撮影するのはOKだが、ストロボの発光は銚子電鉄に限らずNGである。また、銚子電鉄では、車内で運転士を撮影することは厳禁とされている。

 さらに、デキ3などが置いてある仲ノ町駅の車庫で撮影したい場合には、仲ノ町駅の本社で車庫内立ち入りの申し込みをし、入場券(150円)を購入する必要がある。原則的に申し込みがあれば許可されるが、工事などの事情で許可されない場合もあるので注意されたい。
 
※画像をクリックすると等倍(3,872×2,592ピクセル)の画像を別ウィンドウで開きます。
※特記したもの以外、すべてニコンD200 / 絞り優先AE / ISO400 / オートホワイトバランスで撮影しています。
※「18-200mm F3.5-5.6」は「AF-S DX VR Zoom Nikkor ED 18-200mm F3.5-5.6 G」を、「70-300mm F4.5-5.6」は「AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6」を表します。
※画像下のデータはシャッター速度/絞り/露出補正値/レンズ/実焦点距離です。


銚子へ

1/125秒 / F8 / -0.5EV / 18-200mm F3.5-5.6 / 18mm
バスの停留所の時刻表のような、銚子電鉄の時刻表
 カメラボディ、レンズ、三脚など、合計5kgほどの機材を持って、東京駅7時36分発の「しおさい1号」に乗り、銚子には9時30分着となった。

 銚子駅では、JRの駅に同居する形で銚子電鉄のホームがあり、乗り換えは便利だ。またローカル線といっても20〜30分間隔で運転されており、待ち時間も比較的少なくて済む。今回は、銚子電鉄の方と10時にお会いする約束なので、9時40分発の電車に乗って仲ノ町駅に9時42分着。仲ノ町駅の事務室が本社となっていた。


銚子電鉄ってどんな鉄道会社?

1/400秒 / F3.8 / -0.3EV / 18-200mm F3.5-5.6 / 24mm
モハ501形の車体。元・上田交通のモハ2321で、犬吠駅の前に置かれている。観光シーズンにはいろいろな形で使われているようだが、状態はよいとはいえない
 銚子電鉄は、JRの銚子駅から外川駅まで6.4kmの電気鉄道だ。全線が単線で、車両は電車6両(事業用の301系含む)、動態保存中の電気機関車1両、国鉄(現JR)の貨車を改造した客車1両の陣容である。基本的に電車の単車運転(1両だけでの運転)だが、4月下旬から10月上旬の観光シーズンの日曜日には、電車が客車を牽引する「澪つくし号」が運転される。始発列車は外川発5時13分、最終列車は銚子発21時15分、おおむね20〜30分の運転である。

 歴史的には、1913年に銚子遊覧鉄道として開業したものの、赤字経営が続き、4年後に鉄が高騰したために廃止してレールを売却。1923年に銚子鉄道として再開し、1925年に直流600V(関東近郊のJRや私鉄の多くは直流1,500V)電化されたが、太平洋戦争中の1945年7月に変電所が爆撃され戦後まで運休し、12月に鉄道省(その後の国鉄やJRの前身)からSLを借用して運転を再開。翌1946年6月から電車も再開した。

 1985年4〜10月に銚子を舞台としたNHK朝の連続テレビ小説「澪つくし」が放映され、その中で幾度となく銚子電鉄の車両が登場した。現在の「澪つくし号」は、このときの題名にちなんだものである。

 歴史はあるものの、年間の乗客数は1976年の約156万人をピークに現在はその40%強まで落ち込んでいる。また経営トラブルなども加わって、いつ幕を閉じてもおかしくない状況下にあるが、「ぬれ煎餅」で一躍脚光を浴びている。


銚子電鉄の車両

1/320秒 / F8 / -0.7EV / 18-200mm F3.5-5.6 / 48mm
海岸線を走っているわけではないが、やはり潮風は厳しいものがあるようだ。外板も錆を落としてパテを塗って塗装を施すことになっているとのこと
 現在、電車はデハ1001、デハ1002、デハ801、デハ701、デハ702、デハ301、電気機関車はデキ3、客車はユ101がある。

 この中で最も古いのはデキ3で、1922年ドイツ生まれ。宇部の沖之山炭坑で働いていたものを1941年に譲り受けた。架線から電気を取り入れるのだが、パンタグラフではなくヒューゲルが使われる。それも、ヒモを運転台から引いて架線に圧着させるしろものである。沿線にあるヤマサ醤油の工場へ資材や材料を運んでいたものであるが、1984年の貨物営業廃止により、現在は動態保存状態にある。筆者が訪問した時には、塗装の状態や整備状態もよいように見えたが、正式な検査を受けていないため営業運転は難しいようだ。


1/160秒 / F8 / -1EV / 18-200mm F3.5-5.6 / 26mm
仲ノ町駅の車庫で動態保存されているデキ3。自動連結器が車体に比べて大きく見え、車体の小ささが想像できる。車内外ともにキレイにされており、誰かが愛着を持って整備しているようだ
1/10秒 / F8 / -1EV / 18-200mm F3.5-5.6 / 26mm
デキ3の運転台。大人3が入るのがやっと。マスコンは日本製のものが取り付けられていた。左側に見えるヒモは、ヒューゲルを引っ張るヒモ

1/45秒 / F9 / -0.7EV / 18-200mm F3.5-5.6 / 34mm
今にもパンタグラフをあげて、釣り掛けモーターのうなりが聞こえてきそうなデハ801。残念ながら、今回は乗車のチャンスが無かった
 営業運転によく就いているのは、やはりデハ1001とデハ1002である。デハ1001とデハ1002は、営団地下鉄(現在の東京メトロ)が1960年に新製した銀座線2000形の車体に3000系の機器、富士急行5700形(元小田急2200形)の台車を装着して1994年に銚子電鉄に入線したもの。銚子電鉄では最新鋭ではあるが、製造後45年を越える強者である。

 銚子電鉄の方の話では、最も人気があるのがデハ801とのこと。元は伊予鉄道の1950年製モハ100形で1985年に銚子電鉄に来た。朝間時に運転されることが多いようで、事実上はデハ1001、1002とこのデハ801で運転はまかなえるようだ。


1/500秒 / F5.3 / -0.3EV / 70-300mm F4.5-5.6 / 220mm
仲ノ町駅を出発するデハ1001。デハ1002とともに稼働率の高い車両。営団地下鉄2000形時代の面影をよく残している
1/60秒 / F8 / -0.3EV / 18-200mm F3.5-5.6 / 26mm
犬吠駅を出発するデハ1002。デハ1002の外川向き運転台の方向幕が無いのは、心ない人に「銚子−外川」部分が切り取られたため

 そして、昨今話題となったのがデハ701とデハ702。TVのニュースで「ぬれ煎餅の売り上げで、検査代を捻出」と話題になったのがこのデハ701・702で、取材日にはデハ701の検査が進められていた。このデハ701の検査が終わると続いてデハ702の検査を行なうとのこと。どちらも近江鉄道で活躍していたものを西武所沢工場(すでにこの工場は無い)で整備して、1978年に銚子電鉄入りした。


1/100秒 / F5 / -0.3EV / 18-200mm F3.5-5.6 / 80mm
デハ701から外されて検査中のモーター。後方は、台車を外されてジャッキアップされているデハ701
1/320秒 / F5.6 / -0.3EV / 70-300mm F4.5-5.6 / 300mm
デハ701に続いて検査予定のデハ702。いわゆる休車状態で、運用には就いていないようだ

 最後は澪つくし号に使われる客車のユ101。客車といっても、旧国鉄の有蓋貨車ワム80000の側板を取り払ったオープンカー。季節がよければ、房総のおいしい空気をたくさん吸うことができそうだ。


1/750秒 / F9.3 / -0.3EV / 18-200mm F3.5-5.6 / 31mm
ユ101はデキ3に牽引されるのではなく、電車に牽引されるそうだ。是非デキ3に牽引させたいと思う
1/640秒 / F5.6 / -0.3EV / 18-200mm F3.5-5.6 / 200mm
事業用として使われることが多いデハ301。車体の傷みが激しいのがわかる。JR東日本では'90年代に新製した209系をE233系に置き換えるという。車体だけでも譲ってあげてはどうか? ステンレスなので潮風に強いと思うが

鉄(テツ)的撮影地

 銚子電鉄といえば、春から夏にかけて犬吠埼の灯台をバックにしたものが定番。今回の取材は12月の初めの曇り空。定番のポイントまで行ってみたが、空の白さに灯台の白が溶け込んでしまってNG。でも、もっともっとよい撮影ポイントがありました。

 銚子電鉄は車両の古さも魅力だが、生活路線でありまた観光路線でもあるので、この両方を合わせて撮影したい。


1/200秒 / F8 / -0.3EV / 18-200mm F3.5-5.6 / 200mm
外川駅の周りにも民家があり、銚子電鉄の線路は生活道路になっているようだ。線路上あるいはすぐ脇を歩く人は多いが、いずれも地元の人なので慣れているようだ
●外川駅
 銚子電鉄の終点の外川駅。本当のローカル線の終着駅といった感じで、駅を出た500m先に外川港がある。もちろん駅前に飲食のできる店はなく、外川港まで行くことになる。


●犬吠駅
 銚子電鉄の駅の中で一番おしゃれなのがこの犬吠駅だ。犬吠埼灯台近くにあり、観光客も多いのだろう。ポルトガル風の駅は、他の鉄道会社の駅にも無いと思うが、とにかくグッド。ちなみに隣の君ケ浜駅は、凱旋門を模した白いゲート。銚子駅から2つ目の観音駅は、スイスの登山鉄道風に作られている。


1/10秒 / F16 / -0.3EV / 18-200mm F3.5-5.6 / 24mm / ISO100で撮影
多少古びた感じがあり、それが年月を感じさせるのだが、この写真を見ただけでは、ローカル線の駅とは思えない
1/180秒 / F5.3 / -0.3EV / 18-200mm F3.5-5.6 / 90mm
ホームにあがると、ここもポルトガル。このランプに明かりが点るのを待っていたのだが、夕方になっても点灯しないので駅員さんに聞いてみると、壊れてしまっているとのこと。この明かりが電車を照らし出すのを期待したのだが……残念。どこかの電材メーカーが修理費用を出してくれることを望む

1/160秒 / F8 / -0.3EV / 70-300mm F4.5-5.6 / 300mm
犬吠駅の南側に踏み切りがあり、列車が接近するとカンカンと警報機が鳴る。ファインダーを駅舎から線路へと向けると、たちまち次元を越えた風景が目に飛び込んでくる。このアンマッチがおもしろい
1/10秒 / F8 / -0.3EV / 18-200mm F3.5-5.6/ 26mm
ポルトガル風駅舎の中では話題の「ぬれ煎餅」を焼いていた。もちろん、この売店で購入することができる。全体的にゆったりとした時間が流れている銚子電鉄だが、この売店だけはあわただしい時間が流れていた。

1/10秒 / F8 / -0.3EV / 18-200mm F3.5-5.6 / 26mm
昼間の列車はデハ1001と1002が主に使われ、この笠上黒生駅で並びのショットが撮影できる
●笠上黒生駅
 銚子電鉄で唯一の交換駅で、この笠上黒生駅で上り列車と下り列車がすれ違う。また難読駅名の1つで、「かさがみくろはえ」と読む。


1/400秒 / F8 / -0.7EV / 18-200mm F3.5-5.6 / 95mm
ホームそのものが階段状になっているので、初めて乗り降りする人は足下に注意したほうがよい。またホームから車庫の様子を見ることができ、タイミングさえ合えば実際の作業も撮影できる。
●仲ノ町駅
 銚子の次が、この仲ノ町駅。銚子電鉄の本社と車庫がある。周りをヤマサ醤油の工場に囲まれている。銚子駅から数百mの距離にありながら、急にローカルな雰囲気になっている。


●銚子駅
 JRの2番線の南側に専用ホームがある。JR銚子駅には成田線と総武本線の257系500番台や255系などの特急列車用と113系や211系などの普通列車用がやってくる。このうち113系は211系に置き換えが始まり、JR東日本の113系もここで終焉を迎えるようだ。

 銚子電鉄は2番線の南側の専用線から発着する。待合所は比較的新しく作られたようだ。


1/125秒 / F8 / -0.7EV / 18-200mm F3.5-5.6 / 18mm
銚子電鉄とJRとの間にある待合所兼改札。とはいっても、昼間は自由に往来できる。切符は、JR銚子駅の改札を出たところにあるJRの券売機に同居している。JRから切符なしで銚子電鉄に乗る場合は、銚子電鉄の車内で切符を購入すればよい
1/5秒 / F8 / -1EV / VR 18-200mm F3.5-5.6 / 31mm
あたりが暗くなってくるとホームでも寂しくなってくる。尾灯の赤がやけに寂しく見えるのは気のせいか

車内

 銚子電鉄の取材は12月初旬の平日だったが、観光客が多かった。中年女性のグループ、老夫婦、リタイアしたであろうカメラを持った中年男性などさまざま。

 運転台を覗けば、昔懐かしいマスコンや自動ブレーキ弁、速度計、圧力計が並んでいる。銚子電鉄の最高速度は40km/hなので、日帰りでのんびりしたい時に似合う。車内に目を向けると、電球色などといわれる蛍光灯やツギハギされた座席など、何となく温もりを感じてしまう。もちろん中吊り広告もあるが、見慣れた雑誌の殺伐とした記事とは違って、観光案内や銚子電鉄からのお礼が多く、しかも手作りなのでついつい読んでしまう。


1/30秒 / F5.6 / -0.3EV / 18-200mm F3.5-5.6 / 18mm
ツギハギされた座席。この右側には女性グループが「ぬれ煎餅」の袋をいっぱい持って座っていた
1/125秒 / F5.6 / -0.3EV / 18-200mm F3.5-5.6/ 18mm
デハ1000形の車内は、広告こそ違うが銀座線時代の面影を残している

終わりに

 今回の取材で使用した機材は、ニコンのD200、AF-S DX VR Zoom Nikkor ED 18-200mm F3.5-5.6G(IF)、AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF)。初冬の曇りの日は、全てが灰色になり、なおかつシャッター速度が遅くなってしまうので難しい。何とか撮り終えて帰路についたが、やはり晴れた日にもう一度来てみたいと思った。

 東京(都区内)からだと、運賃が2,210円、特急料金(指定席)の合計が1,610円なので、銚子往復で7,640円となる。銚子電鉄車内で、何回でも乗降できる1日乗車券「弧廻手形」620円を購入しても合計8,260円である。



URL
  銚子電鉄
  http://www.choshi-dentetsu.jp/



小山 伸也
中央大学理工学部卒業後、オーディオメーカー、カメラメーカーを経て2002年春にフリーになる。カメラ雑誌で写真やカメラの解説、鉄道や航空雑誌で車両や航空機の解説など幅広く活躍している。カメラメーカー勤務時には日本カメラショーなどの講師を務めていた。1955年生まれ東京都出身。

2006/12/25 00:00
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