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2006年

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【特別企画】EOS Kiss Digital Xとイルミネーションを巡る(後編)

~お台場、丸の内、中之島のクリスマス風景

 デジタルとフィルムの違いの1つに「ホワイトバランス」がある。銀塩カメラで使用するフィルムの多くはデーライトフィルム。晴れた昼間の太陽光の下で撮影するときに、正しいカラーバランスの写真が撮れるよう設計されているものだ。

 他に、業務用のフィルムとして売られているタングステンフィルムがあるが、白熱電灯の照明で撮ると、適切なカラーバランスが得られるように設計されている。タングステンフィルムを太陽光下で青色表現として使う例外もあるが、一般にフィルムカメラの場合は、照明の色調による色のズレと、実際の写り具合を調節するのに色温度変換フィルターや蛍光灯用の補正フィルターを使うことになる。

 人間の目は、ある程度オートホワイトバランス(AWB)と同じ仕組みになっていて、光の色調による色影響がある程度緩和されるので、写真に撮ってみると見た目と印象が違う写真に仕上がることがあるのだ。デジタルの場合は、照明の色調による色のズレを、カメラの機能の一つであるホワイトバランスによって調整することができる。

 また、ホワイトバランスを任意にセットすることで、色調を自在にコントロールすることもできるのだ。一般的な街灯は、蛍光灯や水銀灯の光で、写真に撮ると緑っぽく写ることが多い。それに対し、イルミネーションは電球によるものならオレンジ色っぽく出る。LEDによるものなら、白色に近くなると思われる。

 そこで、イルミネーションを暖色調に狙うなら、ホワイトバランスを「太陽光」、オレンジ色の色調を抑えて、建物などの色味を出したいなら「白熱灯」、ホワイトバランス調整で迷うなら「オートホワイトバランス」と切り替えを行ないながら撮影してみた。


Kiss Digital Xのホワイトバランス調整は、十字キーの下ボタンを押し、ダイヤルを回すことでセットできる。2.5型の背面液晶に表示が出るので大変わかりやすい
私が普段使うEOS 20Dの場合、AF・WBボタンを押しながら、背面ダイヤルを回してホワイトバランスを調整する。上部液晶にアイコンで表示されるが、Kiss Digital Xに比べると小さくてわかりづらく感じる

東京お台場でクリスマスツリーとレインボーブリッジを狙う

 お台場といえば、観光やショッピングに出かける人が多い東京ベイエリアの街である。イルミネーションを撮りに出かける、というよりは家族で出かけたついでにイルミネーションを撮る、といった印象だ。

 お台場周辺にはいくつかのクリスマスツリーがあり、それぞれ趣向を凝らしているが、お台場ならではの風景ともいえる「レインボーブリッジ」とツリーを一緒に撮るなら、デックス東京ビーチの台場メモリアルツリーがベストだ。

 点灯開始時間が夕方5時半で、他のイルミネーションよりも遅いので要注意。ツリーの前には記念撮影の撮影スポットが用意されているが、その撮影スポットよりも右側で撮影すれば、左側にある電柱が入らなくなるのでちょうどよい。このツリーは、12万個の電球で飾られており、曜日ごとに色調が変化するという。撮影日は土曜日だったが、赤く彩られていた。

 背景となるレインボーブリッジや東京の街並みが水銀灯や蛍光灯による照明なので、緑っぽく出ると予想されたため、AWB、蛍光灯モードとホワイトバランスを切り替えながら撮影してみた。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 特に記載のない作例は、全てキヤノン「EF-S 18-55mm F3.5-5.6 USM II」で撮影しています。
  • 作例下の作例データは、露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。特に記載のない作例は、全て優先AEで撮影しています。


ホワイトバランスを蛍光灯にして撮影。レインボーブリッジ基部の水銀灯照明はまだ緑っぽく出るが、全体は補正された印象
4秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:白色蛍光灯 / 43mm
AWBでの撮影。イルミネーション自体の色調はあまり変わらないが、街並みの明かりなど、全体に緑色がかる
4秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 43mm

 お台場は家族連れで行って楽しめる場所だ。そこで、イルミネーションをバックに子供を撮ってみた。今回、私はKiss Digital Xの露出モードを絞り優先AE(Av)でしか使っていなかったが、モード設定ダイヤルにある夜景ポートレートモードでも撮影してみることとした。夜景ポートレートモードにすると、ISO感度設定はオート、ストロボは自動的にポップアップする。


絞り優先AEで露出設定、ストロボをポップアップさせて撮影してみた。ブレが心配になるので、ISO800にセット
1/20秒 / F5.6 / 1EV / ISO800 / WB:オート / 45mm
夜景ポートレートモードで撮影。背景はやや暗く、夜景らしくなった。イルミネーションのボケがきれいに出るのは、一眼レフならではのメリットだ
1/30秒 / F5.6 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 55mm

 デックス東京ビーチの「台場メモリアルツリー」は12月25日まで(時間17時30分~24時30分)だが、新年やバレンタイン、ホワイトデーにも点灯されるという。家族連れで出かけたい。


丸の内仲通りでオフィス街に現れたイルミネーションを撮る

 東京駅の駅前、オフィス街である丸の内は、数年前に丸ビル(丸の内ビルディング)が建て替えられてから、イメージがずいぶん変わったように思う。

 丸の内イルミネーションは、歩道上なので十分撮影ができる。土曜日に撮りに出かけたが、本来オフィス街のためかそれほど人出は多くなく、じっくり撮影できた。

 昨年までは丸の内イルミネーションは「ホワイトイルミネーション」だったらしいが、今年は白熱電球とオレンジ色のLEDを組み合わせた暖色基調。約100万個の電灯による街路樹を使ったイルミネーションだ。


イルミネーションの前に東京駅を撮る。夕方5時、あたりはかなり暗くなってきたが、空はまだ真っ暗ではない。夜景を撮るなら早めの時間、といわれるのは空が暗いと建物の輪郭がわからなくなるからだ
5秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:白熱電球 / 18mm
丸の内仲通りのイルミネーションは、オフィス街の一角。イルミネーションの奥行きを撮ってみた
8秒 / F8 / 0.67EV / ISO100 / WB:太陽光 / 18mm

イルミネーションは、街路樹の低い位置から取り付けられている。下から狙ってみたが、LEDの配線がまるでSF映画のロボットの一部のように見える
3.2秒 / F8 / 2EV / ISO100 / WB:白熱電球 / 18mm
イルミネーションの光を強く見せるために+2.0EV補正をしてみたところ露出時間15秒。風の影響で葉が動いているのがわかる
15秒 / F8 / 2EV / ISO100 / WB:白熱電球 / 18mm

イルミネーションのオレンジ系の色調が気になり、ホワイトバランスを白熱灯にしてみた。イルミネーションに照らされる木の葉の色調は適正に見える
2.5秒 / F8 / 1EV / ISO100 / WB:白熱電球 / 34mm
同じ露出のまま、ホワイトバランスを太陽光にしてみた。イルミネーションの色味はおかしくないが、照らされる木の葉が見た目よりも強くオレンジになってしまった
2.5秒 / F8 / 1EV / ISO100 / WB:太陽光 / 34mm

イルミネーションの撮影は、光源の明るさと距離で写り方が決まる。LEDの明るさはあまり明るくなく、1本の木を離れて狙うと地味になってしまった
2.5秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:白熱電球 / 37mm
ソフトフィルターの「プロソフフトンB」を使ってみた。イルミネーションの光を拡散することで、華やかさが増すことができた
2.5秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:白熱電球 / 37mm

 丸の内イルミネーションは、2007年2月28日まで。イルミネーションの点灯時間は17時~23時だ。アクセスが便利で、撮影しやすいポイントなのでオススメ。オフィスのビルと通りに続くイルミネーションをどのように配置するか、フレーミングに工夫が必要と思えた。


大阪中之島で「OSAKA光のルネサンス」を撮る

戎橋は今、工事中のため、グリコの看板は囲いのガラス越しでないと撮ることができない。ガラスにレンズを近づけて、映りこみがないように撮る
 大がかりなイルミネーションで有名、といえば東京ではミレナリオだが、関西では神戸の「ルミナリエ」だ。元々は阪神淡路大震災の鎮魂というメッセージが込められたものだが光の洪水という表現がオーバーでないくらいの、大がかりなイルミネーションであったことを覚えている。

 大阪のイルミネーション、というとイメージがわかなかったが、WEBで検索した結果、中之島でイルミネーションを行なっていることが判明。関西出身の私としては、是非この目でチェックしたいと思い出かけていった。

 ところで先ほど、大阪のイルミネーションのイメージがわかないと書いた。よくよく思い起こしてみれば大阪のシンボルといってもいいほど有名で強烈なイルミネーションがあるではないか。

 それは戎橋のグリコの看板。イルミネーション、というよりは単なるネオンサインなのかもしれないが、せっかく大阪へ出かけるのであれば是非チェックしておきたい。そこでまず、戎橋のグリコの看板のところへ行くことにした。戎橋は、大阪ミナミの繁華街の中心ともいえる場所。阪神が優勝したとき、道頓堀に飛び込む人が続出したあの場所である。


現在、戎橋周辺は大幅な工事中。道幅が狭くなっており、撮影は少し困難かもしれない。ネオンは点滅があるので、遅めのシャッタースピードで狙ってみた
1/4秒 / F11 / 0.67EV / ISO100 / WB:オート / 39mm

土佐堀川沿いに続くイルミネーション
 グリコの看板の最寄り駅である心斎橋から、地下鉄御堂筋線で2駅の淀屋橋で降りる。大阪市役所から土佐堀川沿いに続くのが「OSAKA光のルネサンス」である。撮影日は12月上旬。12月15日までは点灯のみだが、12月下旬には、音楽と光の様々な演出が行なわれるという。イルミネーションの点灯時間は、17時~23時まで。

 大阪市役所前には、ノルウェーから届けられたツリーに6,000個の電球が取り付けられたという「ザ・ワールドリンギングツリー2006」がある。まだ、空に日が残っている時間に着いたので、空をバックに狙う。御堂筋側から撮ると、ツリーのバックが大阪市役所の庁舎になってしまうので、市役所側に回り込んで、御堂筋側をバックに撮った。


ホワイトバランスを白熱灯モードにして撮る。ツリーの色はよい感じだが、空の赤さはなく、見た目以上に青く出てしまった
3.2秒 / F8 / 1EV / ISO100 / WB:白熱電球 / 18mm
ホワイトバランスを太陽光にセット。西の空にわずかな夕日の色調がある。また、ツリーがオレンジに描写された
3.2秒 / F8 / 1EV / ISO100 / WB:太陽光 / 18mm

AWBで撮影。この場面では、ホワイトバランスを太陽光にセットしたときに近い色調に写し出された。イルミネーションのクロス模様はフィルター効果ではなく、光が絞りを回り込んだことでおきる現象
3.2秒 / F8 / 1EV / ISO100 / WB:オート / 18mm

 大阪市役所脇から、府立中之島図書館まで続く道のイルミネーションが「中之島イルミネーションストリート」だ。このあたりはオフィス街で、普段それほど人通りは多くないが、この日はさすがにイルミネーションを見る人が歩いている。でも、人がいっぱいで動けない状況というほどではなく、三脚をセットして撮影していても、通行に支障をきたさないくらいの状態だ。


雪の結晶模様が印象的なイルミネーション。LEDによるものらしく、白さが違う。ただ、周囲の樹木の電球はオレンジの色調に写ってしまう
5秒 / F8 / 1.67EV / ISO100 / WB:太陽光 / 43mm
雪のイルミネーションの冷たさを色調で表現するため、ホワイトバランスを白熱灯にして撮影。LEDによるイルミネーションは青い色調となる。カメラの操作だけで簡単に色温度が調整できるのはデジタルならではの強みだ
5秒 / F8 / 1.67EV / ISO100 / WB:白熱電球 / 4.3mm

中之島図書館側から大阪市役所方向へ向いて撮る。赤信号が見えているのが御堂筋。12月上旬はまだ部分のみのイルミネーション点灯だ。12月下旬になって、イルミネーションが全部点けば、もっと迫力があるのだろうな、と想像する
2秒 / F8 / 1EV / ISO100 / WB:白熱電球 / 55mm
今のイルミネーションは中之島図書館で終わりだ。16日からは、この図書館もイルミネーションで彩られる。近距離では全体が入りきらないので、このカットのみトキナーのフィッシュアイズーム「AF 10-17mm F3.5-4.5」(AT-X 107 DX Fisheye)で撮影した
20秒 / F8 / EV / ISO100 / WB:白熱電球 / 11mm

 OSAKA光のルネサンスは、まだ人出が多くないためか、三脚を立てて撮影する人を多く見かけた。中之島の通りの入り口には、混雑時の注意として「三脚は使用しないでください」とある。じっくり撮影したいなら、イルミネーション実施のエリアが拡大する12月16日以降に出かけるのがよさそうだ。



URL
  デックス東京ビーチ
  http://www.odaiba-decks.com/special/
  OSAKA光のルネサンス2006
  http://www.hikari-renaissance.com/



木村 英夫
1971年滋賀県出身。父の趣味の影響を受け、カメラの世界へのめりこむ。高校時代の愛機はニコンF2フォトミックS。モータードライブやアクションファインダー他、かなりマニアックなアクセサリーまで揃え、ニコンオリジナルグッズのバッグで登校していた。「住宅と家具、クルマとカー用品の関係のように、カメラの世界も写真用品まで極めれば楽しい」が信条。その研究熱心さのあまり、毎年「用品ショーカタログ」を読破する。

2006/12/14 01:44
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