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【特別企画】EOS Kiss Digital Xとイルミネーションを巡る(前編)

~SHINJUKUサザンライツと六本木けやき坂を撮る

 この時期、都内の有名イルミネーションスポットが様々な趣向のイルミネーションで街を彩る。毎年、この季節になるとカメラを持ちだし「どうやったら、イルミネーションを見たときの感動が伝えられるか」と試行錯誤しながら撮影している。

 数年前までは、イルミネーションの撮影もカラーリバーサルフィルムで行なっていたが、ここ数年デジタル一眼レフを使うようになってから、一気に効率がアップした。

 イルミネーションの撮影では、一番迷うのが露出。一般に1段くらいオーバーで撮った方がきれい、ということが多いのだが、明るく写しすぎると夜の雰囲気が出なくなってしまう。状況によっては「マイナス補正」ということもあるが、判断がなかなか難しい。また、ブラケティングという方法もあるが「プラス側に2段くらい」、となるときもあれば「マイナス側に……」ということもあるので、やはりプラスマイナス1カットずつおさえても、確実ではないのだ。

 その点、デジタル一眼レフの場合、背面の液晶モニターを見れば大体の傾向はつかめる(より厳密にはヒストグラムもチェックした方がいいのだろうが)。傾向をつかんでからさらに補正したカットを撮るので、成功率は上がるのだ。


20D用(左)とKiss Digital X用のそれぞれのリモートコード。接点だけでなく、スイッチ部の大きさも異なる。操作方法自体は同じ
 今回、イルミネーションスポットを巡るのに持ち出したのはキヤノン「EOS Kiss Digital X」。最新の1,000万画素機で、同社で初めて撮像素子のホコリ対策機能を搭載したという画期的なカメラである。

 普段使っているEOS 20Dよりもコンパクトながら、画素数も高く期待が持てる。標準ズームの「18-55mm F3.5-5.6 USM II」をセットすれば、重量も軽いので、人出の多いイルミネーションスポットでも、軽いフットワークで撮って歩けるだろう。ただ、スローシャッターを多用することになるので、三脚とリモートコードだけは、持っていくことにした。

 20Dとは“全く別のカメラ”と思って操作すれば支障はないのだろうが、気になったのが露出補正の方法だ。

 20Dが背面のダイヤルを回せばすぐに露出補正が可能なのに対し(フィルムのEOS-1からずっと継承されている方法だ)、Kiss Digital Xは、ちょうど右手親指のところにくる露出補正ボタンを押しながら、シャッターボタン後ろ側にある「ダイヤル」を回すことになる。

 すぐ下にドライブモードを切り替えるボタンがあり、何度か押し間違えた。ちょっとしたことだが、思ってもいない機能の表示が液晶画面に出てくるとビックリする。でも三脚使用時は、上面の液晶画面よりも背面の大きな液晶モニターで設定が確認できて、快適に操作できるという利点はある。


露出補正はボタンを押しながらダイヤルを回す方式。すぐしたのドライブボタンを間違って押すことが数度。慣れの問題ではあるが、ボタン形状に差をつけるとより親切のように感じた 電源スイッチをOFFするたびにセンサーのクリーニングをしているとアピールしてくる。ホコリで失敗した経験からは何とも頼もしいカメラだ

三脚が立てられない場所なら、手すりにカメラを載せるなどの工夫で、カメラを安定させることにより、スローシャッターのブレを軽減できる 背面の十字キーの「上/ISO」ボタンを押すと、ISO感度の設定ができる。この状態で、上または下のボタンを押すか、ダイヤルで設定が変更可能

夕暮れの新宿でイルミネーションを撮る

 新宿で最も有名なイルミネーションといえば、SHINJUKUサザンライツ。もう毎年撮影にチャレンジしているスポットである。サザンライツは見る人が大変多く、人通りが激しい。そこで、イルミネーションの点灯開始である16時(12月のみ、1月からは17時)に現場へ着いて、早くから撮影することにした。

 サザンライツは、安全対策のためかガードマンがいて、過去に三脚使用を注意されたことがある。甲州街道側の歩道から狙う分には、ガードマンから注意されることはないが、会場内では三脚は使えない。そこで、ISO感度を調整してブレないようになるのがポイントとなる。フィルムカメラならフィルム1本取り終わるまで感度を変えられないが、デジタルは1カットごとに感度の変更ができる利点がある。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の作例データは、露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。全て絞り優先AEで撮影しています。


甲州街道側の歩道から三脚を立てて狙う。スローシャッターになっても安心だが、肝心のイルミネーションが目立たない
2秒 / F11 / 1EV / ISO100 / WB:太陽光 / 34mm
そこで、甲州街道をまたぐ歩道橋の上から撮影。三脚を立てられない場所なので、手すりにカメラをおさえつけるようにしてシャッターを切る。イルミネーションが美しく見えるいいポイントだ
1/20秒 / F3.5 / 0EV / ISO400 / WB:太陽光 / 18mm

広場に降りて、壁にもたれながらのスローシャッター撮影。人通りが多く、どうしても気になってしまう
1/10秒 / F3.5 / 1EV /ISO400 / WB:太陽光 / 18mm

 サザンライツを紹介するとき、最も多く出てくるのが、甲州街道沿いから入ってすぐの「木のイルミネーション」。今年は緑の妖精と名付けられ、緑系の光で彩られている。サザンライツはまだ入り口。この奥にもっと多くのイルミネーションがあるので、撮って歩いた。ただ、三脚は全く使えなくなる。ISO感度を800、場合によってはISO1600を使いつつ、手すりや壁などを使ってのブレ対策をしながら撮る。


イルミネーションで彩られた木々の中から顔を出すドコモビル。イルミネーションの色味からならプラス補正だが、空の色味から判断して、補正なしのカットを選んだ
1/13秒 / F3.5 / 0EV /ISO800 / WB:太陽光 / 18mm
5時を過ぎると一気に暗くなり、イルミネーションが映える。測距点は自動選択にしていたが、奥にピントがきてしまった。ISO800にセットしたところ、1/40秒と案外速いシャッターが切れた
1/40秒 / F4 / 1EV / ISO800 / WB:太陽光 / 25mm

サザンライツの端にある「シャイニングキャッスル」。普段は白い光だが、人が中に入ると緑に輝く。タイミングを見ながら撮りたい
1/40秒 / F3.5 / 1EV / ISO400 / WB:太陽光 / 18mm 

 ここでJRをまたぐ跨線橋を超えて高島屋側へ。高島屋側の広場には、サーカスをイメージしたイルミネーションで演出されている。ここもやはり三脚使用は禁止。人通りも多いので、通行の邪魔にならないよう考えながら、撮影を進めたい。


空中ブランコをイメージしたイルミネーション。ホワイトバランスが太陽光だとオレンジになりすぎ、白熱灯では白くなり過ぎるので、迷ったあげくのオート。見た目に近く再現された
1/25秒 / F5 / 0EV /ISO400 / WB:オート / 37mm
ライオンの火くぐりをイメージしたイルミネーション。背景のビルを入れ込むことで非日常感を演出しようと考え、ワイド側で狙ってみた
1/20秒 / F3.5 / 1EV / ISO400 WB:オート / 24mm

 SHINJUKUサザンライツは2007年2月14日まで。イルミネーションの点灯時間は17時~24時(12月のみ16時30分~23時30分)と会社帰りでも十分撮影できるので、ぜひデジタルカメラを持ってチャレンジしてほしい。


東京タワーと一緒にイルミネーションが狙える「六本木けやき坂」

 新宿から都営地下鉄大江戸線で移動して、次の撮影スポットである六本木を撮ることとした。六本木ヒルズから、テレビ朝日周辺の「六本木けやき坂」には、木々に多数のイルミネーションが仕掛けられているという。

 六本木ヒルズ周辺は思ったよりも人出は少ない。撮影日が平日だったこともあるが、地下鉄の駅から地下街を通って六本木ヒルズへ移動するため、多くの人が地上を歩かないためだろう。けやき坂周辺は普通の歩道上にイルミネーションがあるため、通行人にさえ邪魔にならなければ、気兼ねせずに撮影できる。そこで三脚を使ってじっくり狙ってみた。

 ISO感度は低い方ほど画質がいいので、三脚が使える場合は、ISO100にセットする(露光時間が数秒になってしまうので、早く撮影を切り上げるために感度を上げることもあるかもしれないが)。できるだけ速いシャッター速度を望むと、絞り開放を使うことになるが、三脚使用が使えるときはF8くらいのほうが画質はいいだろう。もちろん、ブレを防ぐためにシャッターを指で押さず、リモートスイッチを使うようにする。


テレビ朝日脇からけやき坂を歩く。三脚を立ててもいいのだが、歩きながらの撮影のため、ISO感度を800にし、絞りを開けての手持ち撮影。見た目通りのきれいさに写せた
1/20秒 / F5 / 1EV / ISO800 / WB:太陽光 / 18mm
テレビ朝日の裏からけやき坂を登り、歩道橋に上がると東京タワーとけやき坂のイルミネーションを一緒に写せるポイントに出る。前の柵が高いので、160cmくらいの高さが出せる三脚が必要だ
6秒 / F7.1 / 1EV / ISO100 / WB:オート / 42mm

 六本木ヒルズのイルミネーションは12月25日まで。イルミネーションの点灯時間は17時~23時だが、六本木ヒルズの先の「六本木けやき坂通り」のイルミネーションは2007年1月31日まで延長予定という。


地味に写ってしまうイルミネーションをキレイに演出してみる

けやき坂と東京タワー。光の点を大きく演出することで、イルミネーションの印象を強めてみた
5秒 / F8 / 0EV / ISO100 WB:白熱灯 / 44mm~望遠側
 イルミネーションがきれいに写るかどうかは、イルミネーション自体の光量や、イルミネーションとの距離が関係してくる。光量が少なければ、目で見たよりもずっと地味な印象に写ってしまい、イルミネーションの感動は伝わらない。

 光量が弱いイルミネーションを華やかに演出する方法の一つに「ソフトフィルター」を使う方法がある。LEDライトの光を周辺に拡散することで、光の点を大きく見せるのだ。ただ、今回の夜景撮影はなるべくKiss Digital Xと標準ズーム以外を使わず気軽に撮る、ということをポイントにおいたため、フィルターは持参しなかった。

 多重露出ができるカメラなら、ピントがあった画像と、ピントを外した画像を重ねてることで、光の点を大きく見せることができるが、残念ながらKiss Digital Xには多重露出機構はない。

 そこで、長時間露光の間にピントリングを回す方法を試してみた。結果は液晶モニターですぐ確認できるのもデジタルのいいところ。数回撮ってみたら、狙い通りの効果を得られた。

 まずAFでピント合わせを行なったあと、レンズのAFスイッチをMFに切り替える。そして6秒くらいの露光時間なら、シャッターを押して3秒くらい待ってからピントリングを近距離方向に向けて回すのだ。こうして、イルミネーションを演出することで光量が少ないイルミネーションも作品にすることができる。


手持ち撮影時の「感度設定」を考えてみる

 EOS Kiss Digital Xは、ボディーには手ブレ補正機能が入っていない。ISレンズを使えば、もちろん手ブレ補正をかけられるのだが、今回の撮影は手ブレ補正機能がない標準ズームだ。

 そこで、少しでも速いシャッターを切ることがブレ対策、ということになる。ブレは解消されるが、感度を上げれば暗部ノイズが出ることがあり、その折り合いをどこでつけるかが、最大の問題。そこで、感度をISO400、ISO800、ISO1600に切り替えて、同じ場面を手持ちで撮ってみた。


ISO400で撮影。盛大にブレてしまった。1/8秒というシャッタースピードは手持ちではまず無理だろう
1/8秒 / F3.5 / ISO400 / WB:太陽光 / 22mm
ISO800で撮影。100%表示にしてみれば、木の幹などにノイズが見られる。プリントサイズによっては十分使えそう
1/13秒 / F3.5 / ISO800 / WB:太陽光 / 22mm
ISO1600で撮影。木の枝にまでノイズが見られるようになった。よほどスローシャッターを避けたいということでなければ、使わない方がベターだろう
1/25秒 / F3.5 / ISO1600 / WB:太陽光 / 22mm


URL
  新宿サザンテラス
  http://www.southernterrace.jp/
  六本木ヒルズクリスマスイルミネーション
  http://www.roppongihills.com/jp/events/christmas2006.html



木村 英夫
1971年滋賀県出身。父の趣味の影響を受け、カメラの世界へのめりこむ。高校時代の愛機はニコンF2フォトミックS。モータードライブやアクションファインダー他、かなりマニアックなアクセサリーまで揃え、ニコンオリジナルグッズのバッグで登校していた。「住宅と家具、クルマとカー用品の関係のように、カメラの世界も写真用品まで極めれば楽しい」が信条。その研究熱心さのあまり、毎年「用品ショーカタログ」を読破する。

2006/12/13 01:17
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