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【New Kiss Digital活用講座】
花火撮影編〜バルブ撮影から露光間ズームまで



 日本の夏といえば、やはり花火だ。しかし打ち上げ花火は、数ある被写体の中でも難しい部類に入る。高さは? 大きさは? ISO感度設定は? 絞りは? シャッター速度は? と、経験がないと不明な点だらけだろう。さらに失敗の確率が高く、良い1コマを得るために何10コマも無駄にすることが多い。今回はEOS Kiss Digital Nを使い、都内の花火大会を撮影してみた。(写真と文:小山伸也)


キヤノンEOS Kiss Digital N。レンズはタムロンAF 28-300mm F3.5-6.3 XR Di
 多くの花火大会は夏に開催される。日本の夏は気温が高いだけでなく、湿度も高い。通常の撮影のように数10m程度の撮影距離ならば湿度を気にする必要はないのだが、数百mあるいは1kmを越す撮影距離の場合、湿度が高いと曇りガラスを通して撮影しているようになり、キレイに写し込むことができない。

 最初から難点を強調してしまったが、それだけにフィルムカメラを使うよりも、デジタルカメラを使ったほうが経済的な被写体といえる。まずは撮影してみよう。ただし、むやみに動いてもしょうがない。このシーズンになるとガイドブックやインターネットで各地の花火大会が紹介されているので参考にしたい。

 今回撮影したのは、7月27日に開催された第39回葛飾納涼花火大会(会場:葛飾柴又野球場)と、7月30日に開催された立川まつり国営昭和記念公園花火大会(会場:昭和記念公園)だ。レンズは筆者所有のタムロンAF 28-300mm F3.5-6.3 XR Di(Model A061)を中心に使用し、さらにレリーズケーブルのRS-60E3を用意した。





花火撮影の特徴

 通常の撮影は太陽や室内灯、ストロボなどの光源からの明かりを被写体が反射したものが対象となる。しかし花火は、火薬が出している閃光そのものを撮影するので、どちらかというと夜景の撮影に近い。

 したがって、使う絞りはF8またはF11が定番。開放F値やF4、F5.6を使うと花火の閃光部分の回りが白っぽくなってしまい、しまりの無い画像になることが多い。またF16とか22のように絞り込んで使うと回折現象がおきてしまい、全体的に白っぽい画像になってしまうので、これもお奨めできない。

 シャッター速度は、たいていbulb(バルブ)設定を使い、決まった秒時は使わない。ここが夜景と大きく異なる。夜景のように、何らかの照明装置が常点灯しているのであれば秒時を決めて撮影すればいいが、花火はいつ開くかわからないばかりでなく、どのくらい光っているかもわからないからだ。花火そのものが閃光であり、光りながら移動(落下あるいは炸裂により四方八方に飛散)している。この光跡を撮像素子に書き込む感覚なのでbulbを使うわけだ。ISO感度も100でOK。400とか800といった高感度を使う必要はないだろう。

 ISO感度を100に、絞りをF8あるいはF11にセットして、シャッターをレリーズするわけだが、シャッターを開ける時間は、花火が打ち上げられ、燃え尽きるまで開く必要がある。短いものであれば、1秒そこそこで、長いものは30秒程度開くこともある。

※作例のリンク先は撮影画像をコピー後、リネームしたものです。
※キャプション内は、記録解像度 / 露出時間 / 絞り値(F) / 露出補正値 / ISO感度 / ホワイトバランス / 焦点距離です。


3,456×2,304 / 2(秒) / F11 / ±0 / 100 / オート / 28-300mmで154mm位置
●花火は天候に左右され、雨や強風時には中止されてしまう。例えば葛飾納涼花火大会は台風で27日に順延された。

台風の後は比較的天気もよく、夜になると湿度も下がって撮影に向く。打ち上げ地点と撮影地点が離れていると見上げる角度が小さくなり、撮影も楽な姿勢で楽しめる。湿度が低ければ望遠レンズで遠くからの撮影も可能だ(葛飾納涼花火大会)。





いよいよ撮影

 露出の次は、ピントだ。花火は打ち上げられても、どのように開花するかわからない。しかも暗黒の中に上がっているので、位置を捉えようにも比較対象物がないので、なんともしがたいことがある。打ち上げられる前の心づもりとして、打ち上げ地点と撮影地点の距離が十分に遠いことと、暗黒の中ではAFは機能しないので、MF(マニュアルフォーカス)に切り替え、ピントリングを∞(無限遠)にしておく。これで準備完了だ。なお、レンズによって∞指標よりも先まで回転するレンズもあるので、ファインダーで確認したい。

 使うレンズは、打ち上げ地点と撮影地点の距離が500m〜3kmならば、35mm判換算で42〜450mm(28-300mmの高倍率ズーム)がお奨めだ。高倍率ズームレンズをつけておけば、ほとんどの打ち上げ花火がカバーがきる。

 いよいよ打ち上げ。レンズを広角側にして撮影しよう。最初の花火が打ち上げられたら、すぐにレリーズボタンを押し、花火が炸裂して光跡が消えたらレリーズボタンを戻す。ここでデジタルカメラが便利なのは、モニターで画像の確認ができること。自分の思い通りならOK、そうでなければ、カメラアングルやズームを調整し直す。基本は、画面の下側真ん中から飛び出した光跡が、垂直に上方に伸びて炸裂した花火の全容が写っていることだ。この基本が難しい。

 花火大会の規模にもよるが、打ち上げの多くは百m四方程度の範囲で行なわれる(演出上、数100mに及ぶ大規模なものもある)。また、花火の種類や大きさによって打ち上げの筒(いわば発射台)が決まっていることが多いので、見当をつけておくといい。


3,456×2,304 / 13(秒) / F11 / ±0 / 100 / オート / 28-300mmで28mm位置
●昭和記念公園の花火大会は19時20分から始まった。最初の数発は様子見とでもいおうか。とりあえずは、開花具合と自分の撮影位置からの雰囲気を把握するため、ズームレンズの広角側で撮影。

左右と上方に無駄があり、まだレンズの焦点距離を伸ばせることがわかる。





アクセサリーについて

有線式リモートスイッチのRS-60E3。価格は2,500円。ケーブル長は60cm
 ここで、花火の撮影に使うアクセサリー類を紹介しよう。まずは三脚。長い露光となるのでしっかりしたものがのぞましい。雲台は3ウェイ雲台でも自由雲台でもかまわない。カメラの高さは、撮影者の首の辺りにセットする。カメラは水平ではなく上方を向いているので、ファインダーを覗くときに楽な位置がいい。あまり低かったり高かったりすると、撮影しづらい。

 フィルムカメラを含めて最近のカメラは、ケーブルレリーズの代わりに赤外線リモコンを使う機種もある。一見便利なのだが、大勢がカメラを使う花火大会では、同じカメラを使っている人がいた場合、偶然互いのカメラを動かす可能性もある。Kiss Digital Nには有線式のRS-60E3があるので、これを使用した。

 またカメラは、シャッターを開けている間、シャッターの保持などで電流を多く流しているので、電池の消耗を考えて予備バッテリーも用意しておきたい。

 そのほかには、明るさを調節するNDフィルター、疑似多重露光用の黒い遮光幕(紙)、カメラの操作などに使う懐中電灯が必需品だ。ただし懐中電灯はむやみに点灯したり、あちこちに向けると他の撮影者の迷惑になるので、使うのは最小限とし、なるべく振り回さないことだ。





画面構成

 多くの花火大会は、比較的大きな河川の河原で開催される。せっかくだから、河面に写る花火も入れたいところだ。地上の地形や建物、さらには人物も入れれば、花火の大きさもわかり、雰囲気も伝わってくる。単に暗闇の中に花火が写っているだけでは、面白みは少ない。

 カメラ位置は、横位置だけでなく縦位置も使う。横位置撮影では、打ち上げられる花火ごとにカメラの向きを少しずつ左右に変えて撮影するといい。花火の閃光が弱くなった時や間合いなどに、カメラを回転させるときは、シャッターを開けたままでレンズの前に遮光幕(紙)をかぶせるようにして光を遮断しながら回転させる。このテクニックは、広角側と望遠側の両方を使った模擬多重露光をするときなどにも使う。

 さらに、bulb操作中にズームリングをまわす「露光間ズーミング」も面白い。タイミングはもちろん花火が開花している時で、ズームの方向は望遠側から広角側へでも、反対の広角側から望遠側でもいい。撮影時はファインダーが見えないので勘で操作することになるが、露光感ズーミングをすると、予想も付かなかったような写真になる。結構楽しめるものだ。

 今回の作例画像でもわかる通り、地上からの撮影だと見上げる形が多くなるが、高層マンションの屋上などからの撮影も面白いはずだ。そのときは、地上の明かりも取り入れて画面を構成するのがお奨めだ。


3,456×2,304 / 23(秒) / F11 / ±0 / 100 / オート / 28-300mmで39mm位置
●花火はほぼ球状に拡がるが、打ち上げの光跡を含めて開花までの全容を撮影しようとすると、縦位置のほうが都合がよい。また地形を考えて、湖面の反射も入れてみた(昭和記念公園)。


3,456×2,304 / 9(秒) /F11 / ±0 / 100 / オート / 28-300mmで183mm位置
●地上の光を入れて撮影した例。打ち上げ地点と撮影地点の間には、北総線の鉄橋がある。電車の通過と合わせて撮影したかったが、運悪くというかタイミングが合わず鉄橋のシルエットと奥に見える民家の明かりだけになってしまった。日常の風景と非日常(花火)を組み合わせるのも楽しみ方のひとつだ(葛飾柴又野球場)。


3,456×2,304 / 19(秒) / F11 / ±0 / 100 / オート / 28-300mmで28mm位置
●横位置でも縦位置でも、画面内に無駄が多い。画面上にもっと花火を開花させたい。そんなときに使うのが、疑似多重露光。シャッターをbulbにしておき、1発目が開花し終わったら遮光幕(紙)をレンズの前においてカメラを少し水平回転させ、2発目が上がったら遮光幕(紙)を外す。

これを繰り返し、1コマに何発もの花火が上がっているように写し込んでいく。このとき、ミラーが上がっているためファインダーは役に立たない。勘を頼りにするしかない。浮き上がった地上の風景と合わせてミステリアスだ(昭和記念公園)。


3,456×2,304 / 3(秒) / F11 / ±0 / 100 / オート / 28-300mmで77mm位置からズーミング
●露光間ズーミングもテクニックのひとつ。基本的には開花した直後からズーミングする。花火の閃光の動きとズーミングが、肉眼では見ることのできない画像に仕上げてくれる(昭和記念公園)。


3,456×2,304 / 14(秒) /F 11 / ±0 / 100 / オート / 28-300mmで28mm位置からズーミング
●露光間ズーミングだけでなく、花火の開花中にカメラを動かすのもテクニックのひとつ。打ち上げ直後からカメラを動かし、開花したあとにズーミングを加えたもの。打ち上げ時の光跡と開花したものが本物の花のようにも思える(昭和記念公園)。





まとめ

 デジタルカメラのローノイズ化は進んできており、デジタル一眼レフカメラでも十分に花火の撮影ができるようになった。長時間の露光なので各カメラが備えるノイズキャンセル機能を使いたくなるが、Kiss Digital Nの長時間露光ノイズは非常に少なく、使う必要はほとんどない。何よりも、使うと露光時間と同じ時間だけ撮影不能に陥るため、撮影画像が半減するのでお奨めできない。とりわけ、コマ数を稼ぎたい花火撮影ではネックになる。

 また今回はNDフィルターも使用せず、画像処理も加えていない。夏の花火のように湿気が多いときは、NDフィルターを使って全体の露出量をやや抑えて撮影し、後で画像処理で花火を明るくし背景の黒を締めるように操作するのも一法かと思う。RAWでの撮影も利用価値が高いだろう。一眼レフらしい撮影を楽しめるのが打ち上げ花火の撮影。Kiss Digital Nなど、デジタル一眼レフを手に入れた方はこの夏ぜひ試していただきたい。



URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  製品情報(EOS Kiss Digital N)
  http://cweb.canon.jp/camera/eosd/kissdn/
  製品情報(RS-60E3)
  http://cweb.canon.jp/camera/eos/accessary/detail/2469a002.html
  タムロン
  http://www.tamron.co.jp/
  製品情報(AF 28-300mm F3.5-6.3 XR Di)
  http://www.tamron.co.jp/news/release/news0802.htm



小山 伸也
中央大学理工学部卒業後、オーディオメーカー、カメラメーカーを経て2002年春にフリーになる。カメラ雑誌で写真やカメラの解説、鉄道や航空雑誌で車両や航空機の解説など幅広く活躍している。カメラメーカー勤務時には日本カメラショーなどの講師を務めていた。1955年生まれ東京都出身。

2005/08/10 14:08
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