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【伊達淳一のデジタルでいこう!】オリンパス E-300

〜E-300画質向上作戦
Reported by 伊達 淳一

 オリンパスE-300は、他社のデジイチ(デジタル一眼レフ)とはひと味もふた味も違う、濃厚で官能的な発色が得られるのが魅力だ。とりわけ少し露出アンダー気味に撮影した青空の深さは、レタッチで単に彩度を上げただけではこれほどの深さは得られない。目で見た色とは違う虚飾の発色をするデジイチなので、測色的に忠実な色再現を求める人には不評かもしれないが、ベルビアやフォルティアなど高彩度のリバーサルフィルムを好む人には、まさにうってつけのデジイチだ。


斜線の描写を改善する

 ただ、E-300の描写にも不満がないわけではない。それは、斜線のつながりが悪く、800万画素という画素数の割にジャギーが目立ちやすいことだ。上位機種のE-1に比べ、シャープネスが強めにかかっているのが原因かと思い、E-300のシャープネス設定を下げて撮影してみたものの、残念ながら期待したような効果は得られなかった。


●シャープネス設定による違い


シャープネス -2 シャープネス -1

シャープネス 0

シャープネス +1 シャープネス +2

 そこで、今度はRAWで撮影してみることにしたのだが、本稿執筆時点でE-300のRAWデータを現像する方法は、

 (1)E-300付属の「OLYMPUS Master」
 (2)別売の「OLYMPUS Studio 1.2」
 (3)市川ソフトラボラトリーの「SILKYPIX Developer Studio 1.0」

の3種類だ。そこで、この3つの現像ソフトを使って、どれくらい斜線の描写が改善されるのかを調べてみることにした。


OLYMPUS Master OLYMPUS Studio 1.2 SILKYPIX Developer Studio 1.0

 E-300ユーザーにとって、もっともコストがかからないのは、付属のOLYMPUS MasterでRAW現像することだ。カメラ内で生成されたJPEGに比べると、輪郭強調がわずかに弱く、白い縁取りが控えめにもかかわらず、見た目の解像感はカメラ内JPEGよりも上で、非常にカリッとした仕上がりが得られるのが特徴だ。ただし、斜線のジャギーに関しては、目立った改善は見られず、チャートの線が密集している部分で偽色による色づきも発生している。

 次に、OLYMPUS Studio 1.2を試してみよう。OLYMPUS Studioは、カメラコントロールやバーチャルライトボックスなど多彩な機能を備えた統合ソフトで、E-300付属のOLYMPUS Masterよりも高度なアルゴリズムでRAW現像できるのも特徴だ。オリンパスEシステムのホームページには、30日間限定の体験版が用意されているので、購入前にOLYMPUS Masterとの比較を行なうことも可能だ。

 OLYMPUS Studioの初期設定では、RAW展開エンジンが“高速”になっているが、これを“高機能”に変更すると、“ノイズキャンセル”と“偽色抑制”の2つのパラメータが出現する。ノイズや偽色を除去すると、スッキリとした描写になるのだが、その代償としてディテールが部分的に喪失したり、色が薄くなったりすることもある。OLYMPUS Studioでは、そのノイズや偽色を除去する強度を撮影者の意志で調整できるようになっている。今回は、RAW展開エンジンを“高機能”にし、ノイズキャンセルも偽色抑制も“0”にして現像してみたところ、OLYMPUS Masterよりも輪郭強調の縁取りが細くなり、非常に上品な仕上がりが得られた。

 ただ、猫のひげやインコの羽根の模様などを見ればわかるように、斜線のジャギーが気になる部分があるのは相変わらずだ。カメラ内のJPEGやOLYMPUS Masterに比べると、ノイズリダクションや偽色抑制によるディテール喪失も少ないので、輪郭強調が控えめでも自然な解像感が得られるのが魅力だが、斜線のつながりという点ではそれほど大きな改善は期待できないようだ。


 最後は、市川ソフトラボラトリーが開発したSILKYPIX Developer Studio 1.0 )だ。SILKYPIXは、デジイチだけではなく、ハイエンドタイプのコンパクトデジカメのRAWにも対応している非常に高機能なRAW現像ソフトだ。カメラメーカー純正のRAW現像ソフトに比べ、調整できるパラメータが驚くほど豊富で、輪郭強調やノイズリダクションの強度を微調整できるのはもちろん、“標準色”のほか、“記憶色1”や“美肌色1”での現像もできるので、カメラメーカー純正の絵作りとはひと味違った発色を楽しむこともできるのが特徴だ。SILKYPIXは、オンライン販売されているRAW現像ソフトで、14日間の期間限定で製品モードを体験利用することも可能だ。

 前述したようにSILKEYPIXは、非常に多彩なパラメータ調節が可能なデジタル現像ソフトなので、パラメータ設定次第でまるで違った絵作りが得られるが、今回は現像精度を最高の99に設定した以外はデフォルトのパラメータで現像してみた。パッと見た目には、輪郭が甘くにじんだように感じるかもしれないが、E-300で不満だった斜線のつながりの悪さは見事に改善されている。大伸ばししてもデジタル臭くない自然な描写だ。カリカリの描写を好む人には眠い印象を受けるかもしれないが、輪郭強調のパラメータを調節すれば、もう少しカリッとした仕上がりにすることも可能だ。ただ、インコの首の付け根を見ると、明るい黄色の部分が少し白っぽくなっている。彩度の高いハイライト部分は色を抜くことで破綻を回避する絵作りのようで、その分、鮮烈さには欠けるようだ。


●ISO解像力チャート


E-300 SHQ OLYMPUS Master

OLYMPUS Studio SILKYPIX Developer Studio

E-300 RAW(クリックするとRAWファイルをダ
ウンロードします)


●猫


猫のひげの部分をアップで見てほしい。SILKYPIX Developer Studioはなんとなくシャープネスが低く見えるが、ひげのなめらかさでは一番。また、毛並みのハイライトもよく描写できている E-300 SHQ

OLYMPUS Master OLYMPUS Studio

SILKYPIX Developer Studio E-300 RAW(クリックするとRAWファイルをダウンロードします)


●インコ


最大瞬間風速的なキレの良さでは、OLYMPUS MasterやStudioに軍配が挙がる。しかし、インコの羽根のディテール描写を見ると、ジャギーが生じてデジタル臭く感じる E-300 SHQ

OLYMPUS Studio OLYMPUS Master

SILKYPIX Developer Studio E-300 RAW(クリックするとRAWファイルをダウンロードします)


●紅葉


このような細かな絵柄をビシッと解像するには、800万画素の単板CCDでもまだまだ力不足。特にSILKYPIX Developer Studio以外は、枝や葉っぱがガサガサになってしまって、かえって解像力が不足して見える E-300 SHQ

OLYMPUS Master OLYMPUS Studio

SILKYPIX Developer Studio E-300 RAW(クリックするとRAWファイルをダウンロードします)


ノイズを除去する

 斜線のつながりの悪さのほかにE-300の描写で不満なのは、高感度撮影時のノイズだ。APS-CサイズのデジイチはISO400は常用範囲、EOS 20DなどはISO800でも十分実用に耐える画質なのに対し、E-300の最高感度はISO400と低めで、ISO200まではなんとか常用できる画質だが、ISO400になるとそれなりにノイズが浮いてくる。ノイズの粒が揃っているので、フィルムの描写を見慣れたユーザーには特に不快に感じるほどではないものの、他のデジイチと比べるとやはりノイズは多めだ。また、感度拡張設定でISO800と1600に撮影することもできるが、さすがに常用するのはためらわれるくらいノイズが浮いてくる。

 最近は、「Neat Image」「Noise Ninja 2」 といった高度なアルゴリズムでノイズ除去を行なうソフトが登場してきて、後処理でノイズをずいぶん抑えられるようになってきた。ノイズ除去を行なうと、低コントラストな部分のディテールが喪失したり細い線が消えてしまうといった副作用も生じてしまうが、これらのノイズ除去ソフトは、輝度ノイズとカラーノイズのしきい値と適応量を細かく調整できるので、絵柄に応じてパラメータを調整することで、ノイズ除去の副作用を可能な限り回避しつつ、目立ったノイズを抑えることができる。


Neat Image Noise Ninja 2

 今回、Neat ImageとNoise Ninja 2で、E-300のISO400/800/1600のJPEG画像を処理してみた。ISO400程度のノイズであれば、輝度ノイズ除去のしきい値と適用量を最小限に抑えることで、ノイズ除去に伴うディテール喪失を問題ない程度に抑えることが可能だが、ISO800以上になると輝度ノイズがかなり多くなるため、これを目立たないレベルまで除去しようとすると、それなりにディテールが喪失してしまうことを覚悟する必要がある。ノイズ除去ソフトとしてはNeat Imageが有名だが、Noise Ninja 2のほうが自動処理では好結果が得られることが多く、またブラシツールを使って画像の一部分だけノイズ除去を行なったり、反対にノイズ除去の効果をキャンセルできる点が優れている。

 どうしてもE-300の高感度ノイズが気になるが、高感度で撮影せざるを得ないという場合には、こうしたノイズ除去を活用することも考えてみてはいかがだろうか?


●ISO400


E-300 Neat Image Noise Ninja 2

●ISO800


E-300 Neat Image Noise Ninja 2

●ISO1600


E-300 Neat Image Noise Ninja 2


URL
  オリンパス
  http://olympus-imaging.jp/
  製品情報
  http://www.olympus-esystem.jp/products/e300/

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伊達 淳一
1962年生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒業。写真、ビデオカメラ、パソコン誌でカメラマンとして活動する一方、その専門知識を活かし、ライターとしても活躍。黎明期からデジタルカメラを専門にし、カメラマンよりもライター業が多くなる。自らも身銭を切ってデジカメを数多く購入しているヒトバシラーだ。

2005/01/05 00:01
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