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リコー Caplio GX100【第5回】
変焦的中国

Reported by ケニー・オブライエン


※今週からGX100長期レポートは、金曜日掲載となります。

 GX100を持って、中国の重慶(Chongqing)に行ってきた。GR DIGITALは、今回は留守番だ。中国は今年2回めで、2月に行った大連以来だ。最近は中国に興味を持っていて、毎年訪れている。

 アメリカには残念ながら、日本と中国を部分的に混同している人がときどきいる。私から見れば、人の顔が似ていること以外では、漢字を使うこと、箸を使うこと、飯茶碗を持ち上げて食べることぐらいしか共通点がない。だから中国がどんどんおもしろく思えてきた。

 重慶を選んだのは、「ションヤンの酒家(原題:生活秀)」という中国の映画がきっかけだった。重慶出身のヒロインの美しさもいいが、舞台になっている重慶の風景が印象的だったのだ。重慶の別称は「霧都」で、映画のなかでは雨や霧、曇りばかりで晴れのシーンを思い出せない。私が訪れるときにも映画の印象を再現してほしかったのだが、着いた日はさえない晴れだった。湿気と汚れた空気のせいだろう。

 今回はいろいろな画角を使ってみるのが目的だった。ワイドコンバージョンレンズも持ってきた。ファームウェアは最新のVer.1.14だ。重慶の中心部は、長江と嘉陵江にはさまれた狭い地域で、両方の川に向かって谷になっていく。対岸も切り立っていて、坂だらけの街だ。高層ビルが意外に多く、遠くまで見とおせるような場所は少ない。重慶のもうひとつの別称は、「山城」なのだ。私は横浜に住んでいて、近所は坂だらけだ。なので坂の風景には親しみがある。

 GX100は光学3倍ズーム搭載機であり、もの足りない印象を受ける人が多いかもしれない。リコーには光学7.1倍ズームを搭載したRシリーズもあるので、とにかく何でも撮りたい人は、こちらを選べばいいだろう。24mmからの3倍ズームでは望遠側は72mmなので、中望遠領域に入ったか、程度である。だが私には望遠レンズを使おうという発想があまりないので、望遠側よりも広角側の焦点距離や開放F値のほうを気にする。そしてズームも多用しない。GX100では広角端の24mmと、28mmで、ほとんどを撮っている。こういう使いかただとステップズーム機能はとても便利だ。


広角端でワイドコンバージョンレンズを装着すると、左側に「19」と表示される
 7群11枚の構成からなるレンズの描写は、かなり気に入っている。この原稿を書くために重慶での写真を見ているが、現地の空気感、とくにからみつくような湿気による重い感じ、長い間滞在するとカビが生えてきそうな感じが私の皮膚によみがえってきている。不快な例で申しわけないが、すっきり晴れて気持ちよかったというより強い印象となって残っているのだ。

 GX100のズームレンズは広角端の開放F値がF2.5と、とても明るくできている。ズーム比を3倍に抑えたこと、レンズバリアを廃してキャップにしてまで口径を広げたこと、これらにリコーの見識を感じる。ホールドしやすいボディ形状と相まって、構えてよし、撮ってよしのカメラになっている。

 撮影に入り込んでいるときは、いい。しかし、撮っていないときは「?」がたくさん出てくる。やはりレンズバリアはほしい。私は靴に土が付くのは気にしないが、レンズに汚れが付くのはいやなのだ。サングラスやカメラのレンズにホコリや指紋が付くのは、とても気分が悪い。レンズについてだけは潔癖性に近いのだ。

 ワイドコンバージョンレンズを使うときは、オプションの専用アダプターをカメラ本体のバヨネットマウントに取り付けるのだが、そのときはレンズまわりの「リングキャップ」をはずさなければならない。

 24mmとワイドコンバージョンレンズによる19mmをひんぱんに使い分けるときは、ワイドコンバージョンレンズをアダプターにねじ込んだまま持ち歩き、使うときにすぐに取り付けられるようにしていた。そのためにはリングキャップははずしたままにしておくのがいいのだが、そうするとレンズキャップが使えなくなるのだ。

 レンズキャップをはずし、リングキャップをはずし、リングキャップをズボンのポケットに押し込み、ワイドコンバージョンレンズ付きのアダプターを装着し、ワイドコンバージョンレンズのキャップをはずして撮影。ここまで読んで、何と面倒なことをしているのだ、と思った人は多いだろう。そしてカメラをしまうときや24mmで撮るときは、この逆の手順を踏んでいるわけだ。


 今回持参したワイドコンバージョンレンズなどのオプションは私物ではなく、編集部から借りているという事情もあり、大切に扱わなければならない。しかし、それにしても面倒なつくりになっている。レンズバリアの採用が無理でレンズキャップにしなければならないとしても、リングキャップは何とも中途半端な存在だ。せめてリングキャップなしでもレンズキャップを付けられるようにしてほしかった。

 GR DIGITALでは「プレミアムリング」というチャームポイントになり、私も青いラインが入ったリングを愛用している。またGR DIGITALにはレンズバリアがあるので、リングをはずしたままアダプターを取っかえ引っかえしても、レンズキャップを気にする必要がない。GX100は、撮ろうとしているとき、撮っているときはとてもいいカメラだが、それ以外のときは、もうちょっとどうにかできなかったのかと感じる部分がある。まあ、それでもいいか。カメラは撮るときに最高の状態になってくれればいいから。専用ケースを持っていることだし、思いきってレンズキャップなしで持ち歩こうか。

 ふだんは「半雨男」の私なので、重慶でも雨が降ってくれると期待していた。前述の映画の中で、雨に濡れた路地などがいい雰囲気だったからだ。しかし、結局ほんの少ししか降らず、路面が濡れることもなかった。そんな中、GX100は、重慶の空気を誇張することも損なうこともなく写してくれた。

※すべて記録画素数は3,648×2,736ピクセル、AWB、ISO80、絞り優先AEで撮影しています。
※サムネール下のデータはシャッター速度/絞り/露出補正値/実焦点距離です。
※サムネールをクリックすると、等倍の画像を別ウィンドウで開きます。


1/217秒 / F4.1 / 0EV / 4mm
重慶の中心部にてワイドコンバージョンレンズを使ってみる
1/125秒 / F4.4 / 0EV / 10.5mm
嘉陵江を臨む。川に沿ってモノレールが走る。起伏が多い重慶ではモノレールのほうが有利だということだ。めずらしく望遠側で撮ってみた

1/153秒 / F4.1 / 0EV / 5.1mm
評価が分かれる毛沢東とは違い、周恩来はみんなに好かれているらしい。子どもたちからも好かれているのだろうか
1/60秒 / F4.6 / 0EV / 5.1mm
日中戦争中に周恩来が使っていた建物の二階から。周囲もあえて入れてみた

1/143秒 / F5.1 / 0EV / 4mm
ワイドコンバージョンレンズを使ったら、門の内側に建物がうまく入った
1/48秒 / F4.6 / 0EV / 5.1mm
長江を臨んで。嘉陵江とは水の色が違っていておもしろい

1/45秒 / F4.6 / 0EV / 7.3mm
長江を渡るロープウェイはいつも満員。映画のロケでも使われたので、乗るのを楽しみにしていた
1/45秒 / F4.1 / 0EV / 5.1mm
中国の駅は、たいてい人民でごった返しているのだが、重慶駅はそれほどでもなかった

1/310秒 / F4.1 / -0.3EV / 5.1mm
重慶江北機場のターミナルビルにて
1/15秒 / F4.1 / 0EV / 5.1mm
中国では生活が屋外にもはみ出している。それを見ながら歩くのが楽しい


URL
  リコー
  http://www.ricoh.co.jp/
  製品情報
  http://www.ricoh.co.jp/dc/caplio/gx100/

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( ケニー・オブライエン )
2007/06/15 00:07
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