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オリンパス CAMEDIA SP-550UZ【最終回】
機動性と機能性

Reported by 本誌:田中 真一郎


 第1回で書いたように、実はSP-550UZというカメラにはあまり期待していなかった。18倍というズーム倍率は「スペック表のためのスペック」に思えたし、これまで触ってきた高倍率ズーム機は、往々にして画質やレスポンスに問題を抱えていたことが多かったからだ。SP-550UZへの高い注目度と反比例するように、筆者の関心は薄れていった。こんな具合だから、長期レポートを担当するのも実は気乗りしなかった。

 そんなとき、我が家に飾ってある娘の写真の1枚が目に留まった。わざわざ飾ってあるくらいだからそれなりに自信作なのだが、これはオリンパスのC-700 Ultra Zoomで撮ったものだった。すべり台の上にいる娘を下から捉えたもので、なるほどこれは3倍くらいのズームでは寄りきれない。このときは、便利なデジカメができたもんだと大いに感心したのを思い出したのだ。

 そういえば娘の写真のもう1枚の自信作もC-700 Ultra Zoomで撮ったもので、これは原っぱの真ん中を駆け回る娘を、望遠端近くで撮影した。どこかの草原で撮ったような写真なのだけど、画角がもうすこし広かったり、フレームがもうちょっと上にずれていたら、公園の向こうに広がる新横浜のビル街が写ったはずだし、高倍率でなければ背景の草原と娘が圧縮されて描画されなかっただろう。

※作例のリンク先のファイルは撮影した画像です。クリックすると、等倍の画像を別ウィンドウで開きます。
※作例下の撮影データは、露出時間/絞り/露出モード/感度/露出補正値/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


1/800秒 / F3.5 / プログラムAE / ISO50 / 0EV / オート / 4.68mm
1/800秒 / F4.5 / プログラムAE / ISO50 / 0EV / オート / 84.24mm

1/500秒 / F2.8 / プログラムAE / ISO50 / 0EV / オート / 4.68mm
1/320秒 / F4.6 / プログラムAE / ISO100 / 0EV / 晴天 / 52.08mm

 現代のデジカメの基準でば、C-700 Ultra Zoomは俊敏でも使いやすいカメラでもない。が、それでもこんな写真が撮れたし、これ以外にだってC-700 Ultra Zoomで撮った中で気に入っている写真はたくさんある。

 これがSP-550UZを見直すきっかけになった。コンパクトな高倍率ズームでしか撮れない世界は確実にある。小さな子どもと出かけるときに、大きなデジタル一眼レフと望遠ズームなど持って行きたくないし、レンズを交換している暇もない。

 デジタル一眼レフに慣れてしまった身には、イラっとくる場面が皆無だったわけではない。が、2週間もすれば「こういうものだ」とたいがい慣れてしまった。

 唯一の例外がスリープからレリーズ半押しで復帰するところで、復帰に時間がかかるのは慣れるとしても、復帰しているのかどうかわかりにくいのはどうにかならないものか。グリップから伝わるかずかな振動で、復帰動作が始まったことがやっとわかるのだけど、今でも復帰しているのかどうかが心配になってしまう。復帰にかかる時間が多少伸びてもいいから、まずは液晶に「復帰する」というメッセージを出すか、カードアクセスランプをちょっと光らせるなどの工夫がほしい。


1/320秒 / F3.3 / プログラムAE / ISO50 / 0EV / オート / 7.08mm
1/160秒 / F3.5 / 絞り優先AE / ISO50 / 0EV / オート / 6.42mm

1/250秒 / F4.1 / 絞り優先AE / ISO50 / 0EV / オート / 17.87mm
1/320秒 / F4.6 / プログラムAE / ISO125 / 0EV / 晴天 / 59.64mm

 さらに、レンズをガードする手段があるとさらによい。高倍率かつ広角なズームレンズだから、前玉がそれなりに大きく、間違えて指がふれてしまうことが多い。テレコン用アダプタを着ければフードやフィルタを装着できるが、SP-550UZのコンパクトさと広角域を損なうことになる。うまいことレンズの先端にフードやフィルタをつける方法があるといいなと思う。

 とはいえ、この2つの注文も、記憶を一所懸命穿り返してやっと出てきたものだから、総合的にSP-550UZの満足度は高かったといえる。娘は写真に写るのを嫌がる歳になってしまったが、日常のよしなしごとから旅行先の思い出まで、どんな場面でもSP-550UZは機動性と機能性のバランスがよいカメラであった。


1/80秒 / F3.7 / プログラムAE / ISO64 / 0EV / オート / 12.63mm
1/40秒 / F3.2 / マニュアル露出 / ISO50 / 0EV / オート / 6.74mm

1/160秒 / F3.6 / プログラムAE / ISO50 / 0EV / オート / 11.47mm
1/40秒 / F2.8 / プログラムAE / ISO50 / 0EV / オート / 4.68mm

1/800秒 / F4 / プログラムAE / ISO50 / 0EV / オート / 8.2mm
1/800秒 / F4.5 / プログラムAE / ISO50 / 0EV / オート / 4.68mm
1/20秒 / F4.1 / プログラムAE / ISO125 / 0EV / オート / 18.24mm

1/100秒 / F4.3 / プログラムAE / ISO125 / 0EV / オート / 23.39mm
1/50秒 / F2.8 / プログラムAE / ISO50 / 0EV / オート / 4.68mm


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/jp/
  製品情報
  http://olympus-imaging.jp/digitalcamera/sp550uz/

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( 本誌:田中 真一郎 )
2007/06/08 12:46
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