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リコー Caplio GX100【第4回】
ファインダーをのぞく愉しみ

Reported by ケニー・オブライエン


 ニュー・イングランド地方を特徴づけているのは、ダンキン・ドーナツだと思う。全米にチェーン店があるが、店舗は東海岸のワシントンD.C.以北に集中している。そしてニュー・イングランドでは、マクドナルドもないような小さな町にもダンキン・ドーナツはある。朝はドライブスルーが渋滞し、駐車場は満車だ。ニュー・イングランド人の朝はドーナツではじまるのかもしれない。

 私も毎朝ダンキン・ドーナツに寄り、右手にジェリードーナツ、左手はコーヒーとロードマップを交互にもち、これからどこを走るか考えた。とくに義務のない旅だし、大まかな計画しか立てていなかったので、朝のダンキン・ドーナツでの30分間は重要だった。ヴァーモント州南部の町で1泊し、さてどこで何を撮るか考えていたら、ヴァーモント州発行のオフィシャル・ロードマップには、カバード・ブリッジの記号が載っている。ではこれを撮ることにしようと決めた。

 カバード・ブリッジは屋根つきの橋で、日本では映画「マディソン郡の橋」で知られるようになったと思う。映画の舞台はアイオワ州Wintersetという町で、私もこの橋を撮りに行ったことがある。アメリカ中西部には点在しているが、どれもが州の歴史記念物で、もはや現役の橋ではない。徒歩で渡ることはできても、車で渡ることはできない。

 ニュー・イングランドにたくさんあることは知っていたが、訪れた橋はどれも現役の橋で、車でも渡ることができた。だがロードマップに記号があっても、けっこう見つけにくい。幹線道路にないから、現役として残っているのだろう。

※すべて記録画素数は3,648×2,736ピクセル、AWB、ISO80、絞り優先AEで撮影しています。
※サムネール下のデータはシャッター速度/絞り/露出補正値/実焦点距離です。
※サムネールをクリックすると、等倍の画像を別ウィンドウで開きます。


1/143秒 / F6.5 / -0.7EV / 5.1mm
ヴァーモント州と隣のニュー・ハンプシャー州はカバード・ブリッジの宝庫だ
Brattleboro, Vermont
1/310秒 / F4.8 / -0.3EV / 6mm
ここは幹線道路際にあって見つけやすかった。屋根が白飛び気味
Brattleboro, Vermont

1/310秒 / F6.5 / -0.3EV / 5.1mm
乗馬を楽しむ女性が突然やってきた
West Windsor, Vermont
1/73秒 / F5.1 / -0.3EV / 5.1mm
橋の内部。木造の床板を雨や雪から守るために屋根がある
West Windsor, Vermont

 当日は気持ちよく晴れて、寒くもなく暑くもなかった。しかし日光はかなり強く、撮影はむずかしかった。多くを24mmで撮ったが、これだけ画角が広いといろいろな要素がフレーム内に入ってくる。GX100は思ったより明るめに撮れるので、マイナス側への露出補正も多用する。

 コンパクトデジタルカメラを使うようになって、ファインダーをのぞくことがほとんどなくなった。光学式ファインダーがあっても背面の液晶モニターだけで撮影しているし、光学式ファインダーがない機種を買っても困ることはなかった。

 コダクロームが日本で発売されなくなると報道されたとき、私は数本買いに走った。そしてCONTAX T2にコダクロームを入れて出かけた。腰に着けたケースからT2を取り出し、電源を入れて腕を前に突き出しかけた。一眼レフならこうはしなかっただろう。だがコンパクト機ではファインダーをのぞくという行為が私の中からすでに消えてしまっていたのだ。そこでGX100では積極的にEVFを使ってやろうと専用ケースを買い、ボディに装着したまま外していない。

 日中は、EVFが重宝した。私のGX100の液晶モニターには保護シートが貼ってあり、さらに指紋などが付着している。日光がそれらにぎらぎらと反射して、かなり見にくくなっている。EVFだってものすごく見やすいわけではないが、晴天下では背面の液晶モニターを使うより撮りやすい。難点は、EVFを使っていると鼻の脂が液晶モニターに付き、それをふき取るのがたいへんなこと。レンズバリアがないのでレンズも汚れてくるし、なんだか汚れやすいカメラだ。

 EVFは上方90度までティルトできるので、アングルファインダーとして使える。だが私はアングルファインダーというものを使ったことがないので、野草の花を撮るときに草むらにあごをこすり付けながら撮っていた。そういえばアングルファインダーにすれば撮りやすくなるのではと思い、真上から見ながらレンズの向きを調整しようとするが、やはりうまくいかない。これは私が慣れていないだけだ。だが、ファインダーをのぞきながら撮るというのは、やはり気持ちが引き締まる。より集中している。「写す」より「撮る」感じだ。

 取り付け強度は心配である。とくにティルト状態だと支えているのがヒンジ部分だけなので、この状態で横から力がかかると折れる可能性があるだろう。私はネックストラップで首から吊っていたら、EVFが勝手にティルトになっていることがある。その状態で何かにぶつけたら危ない。


再生時のハイライト表示
 GX100は、再生時にDISP.ボタンを押すことでハイライト表示を選べるようになっている。私は撮ったらクイックレビューボタンを押し、さらにDISP.ボタンを押して撮りたての写真の白飛びを確認した。撮影時にヒストグラムを表示して気をつかっているつもりでも、雲や屋根などが飛んでしまっていた。

 あと反省点として、フードを着ければよかった。GX100にはワイドコンバージョンレンズやフィルターを装着するためのアダプターがオプションで用意されており、それに花型フードが付属している。しかしフードだけを装着することはできず、本体にアダプターを取り付けたうえでなければならないところが面倒なのだ。しかもアダプターを取り付けるとケースに入らなくなる。

 フードを使わなかったせいか、どことなく白っぽい写真が混ざっている。28mmぐらいだとそんなことはなかったが、24mmでたくさん撮ってみたら、フレアが入ってしまったと思われる写真があるのだ。

 銀塩の一眼レフやレンジファインダーを使うときは、フードはレンズに装着したままで、撮影時には必ず使っている。ところがコンパクト機では、フードを使おうという発想は、取り付けが面倒という気持ちに負けている。気軽さ手軽さが裏目に出たか。

 これは勝手なお願いだが、鏡胴部にバヨネット式かネジ込み式のマウントをつくって、そこにフードを直接取り付けられるようにしてほしかった。それならもっとフードを使うのにという、横着な私のお願いである。

 GX100は、気軽に24mmで撮れるのが魅力だ。だが24mmは、本来は気軽に使えるレンズではないのだ。たくさんの失敗作を見ながら、あらためてそう思った。


1/570秒 / F5.1 / -0.3EV / 5.1mm
天気があやしくなってきた
West Windsor, Vermont
1/143秒 / F6.5 / -0.3EV / 5.1mm
牧歌的な風景のなかにいると、数日前にいたボストンが別の国に思える
Tunbridge, Vermont

1/153秒 / F6.5 / -0.3EV / 5.1mm
時おり鳥の声が聞こえるくらい。静寂とはこのことか
Tunbridge, Vermont
1/250秒 / F5.7 / -0.3EV / 5.1mm
さすがにだんだん飽きてきた
Tunbridge, Vermont


URL
  リコー
  http://www.ricoh.co.jp/
  製品情報
  http://www.ricoh.co.jp/dc/caplio/gx100/

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( ケニー・オブライエン )
2007/06/07 02:18
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