2006年のPhotokinaで黒いベールをかぶっていたのは、これだったとは。実際に会場で見た記者から「GR DIGITALより少し大きい感じでした」と聞いて、GR DIGITALの後継ではないんじゃないか、ズームレンズ搭載なのでは、などいろいろな想像をした。
そしてデジカメWatchに記事が載り、ヨドバシ・ドット・コムで予約が開始されるまで、買おうかどうしようか悩んだ。だが予約開始を確認したら、すぐに「かごに放り込んでいた」。というわけで、リコーのCaplio GX100は、発売当日に私の手もとに届いた。
私はこのコーナーで、Caplio GX8とGR DIGITALの原稿を書いた。リコーのコンパクトデジタルカメラを3台連続で使うことになる。広角が好きということで、2005年5月にGX8を買い、半年後にGR DIGITALを買った。GX8は家族に譲ったが、GR DIGITALは現在も使っているし、とても気に入っている。GR DIGITAL-S(?)が出るまで、デジタルカメラは買わないと思っていたくらいだ。それでは私はなぜGX100を買ったのか。
GR DIGITALにはほとんど不満はない。買ってから14カ国をともに旅した。28mm単焦点で不都合はなかったのか。正直にいうと、あった。85mmぐらいの中望遠レンズがあれば、と思った場所がいくつかあった。私はかつて、キヤノンNew F-1に、20-35mmと35-70mmのズームレンズを取っかえ引っかえして撮っていた。そのため望遠といってもその程度の発想しかない。
GX100は、72mmという中望遠領域のズームレンズを搭載している。これにひかれたことは確かだ。GX8は、撮影画質にはノイズが多めで不満があったが、レンズはけっこう気に入っていた。リコーによると、GX100はGX8の後継機種ということなので、レンズも画質も改善されているだろうと予想した。そして結局、発売前にリコーのサイトやデジカメWatchに掲載された作例はあまり真剣に見ずに「かごに入れた」。
どうも、これからGX100を買うか、GR DIGITALにするか悩んでいる人がけっこういるようだ。この気持ちはとてもよくわかる。リコーはそれぞれを異なるタイプのナイフにたとえているが、果たしてそうなのだろうか。私は両方とも持って、アメリカのニュー・イングランド地方に出かけた。
GX100には「Caplio」というブランド名がついているが、外観と操作系はGR DIGITALに似ており、私は取り扱い説明書を見ずに設定をすませ、基本的な操作までひととおり確認できた。念のため取り扱い説明書は旅に持参した。
GX100の特長として、EVFの採用があげられる。GR DIGITALには光学式外付けファインダーがあるが、私はこれをあまり使わなかった。その理由は、用途よりも専用ケースに収まらないことにあった。GX100の専用ケースは、EVF装着・非装着のどちらでも収納できるように設計されている。私はデジタルカメラをケースに入れてベルトに装着するので、ケースの使い勝手は重要なのだ。
GX100の専用ケースは、ヨドバシ・ドット・コムで写真をよく見ずにかごに入れた。届いてから知ったが、ベルトループがなく、腰につけることができないのだ。これは困った。そこで上部に付いているD環に小さめのカラビナを通し、それでベルトから吊るようにした。歩くとかなりぶらぶらするが、しかたがないところだ。
ものぐさな私は、GR DIGITALの外付けファインダーの着脱が面倒で、次第に使わなくなった。その点GX100ならEVFを装着したままケースに収納できる。ただし、あまりかっこいいとはいえない。ケースを設計した人の苦労がしのばれるつくりだ。
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苦労がしのばれる専用ケース。かっこいいとはいえないが、便利ではある
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ベルトループがないのは残念。このように工夫した
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「CAPLIO」の部分には、「RICOH」と入れてほしかった気がする
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正面レンズ上のでっぱり、一眼レフでいうペンタ部には「CAPLIO」と入っている。だが、ここにはぜひ「RICOH」と入れてほしかった。やはりこの位置にはメーカー名がふさわしいと思う。
レンズキャップになったのは、とても残念だ。開放F値が明るいズームレンズを搭載したので、口径が大きくなり、レンズバリアが採用できなくなったと思われる。前玉が鏡胴前面ぎりぎり近くまで来ており、手で触れてしまってしばしば前玉を汚してしまう。
今回は慣れすぎているアメリカなのでまったく心配はなかったが、私は治安の悪い国ではハンドストラップを手首にかけ、ボディを手でつかんでいることが多い。レンズバリアでレンズが隠れるカメラならこれでいいが、GX100でレンズキャップをはずした状態でレンズを手のひら側に向けてつかんでしまうと、前玉がかなり汚れてしまいそうだ。
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レンズキャップにほどこした工夫。蓄光ステッカーにしてみた
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レンズキャップは紛失しないように付属のストラップでボディに結びつけた。撮影時に風であおられてぶらぶらするし、24mmの画角のなかに入り込んでくることもある。実際に数枚ほどレンズキャップを写し込んでしまった。レンズキャップの裏表もRICOHロゴの有無を見分けないとわからないので、レンズ側にステッカーを貼って一目瞭然にした。
さて、初回はGX100の性能面に行き着かずに終わってしまったが、かなり個性的な魅力をもったカメラだと、ニュー・イングランド地方を一週間撮影してまわって感じた。さてGX100は、旅カメラとしてどのくらい「使える」のだろうか。
※すべて記録画素数は3、648×2,736ピクセル、露出補正なし、AWB、ISO80で撮影しています。
※サムネール下のデータはシャッター速度/絞り/露出モード/実焦点距離です。
※サムネールをクリックすると、等倍の画像を別ウィンドウで開きます。
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1/111秒 / F4.6 / 絞り優先AE / 5.1mm
アメリカの旅では、各州の入口にある「Welcome Center」に寄るといい。必要な資料や情報はたいてい入手できる。インターネットの検索では到達しにくい、三次元での一覧性が実感できる場所だ
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1/540秒 / F6.5 / 絞り優先AE / 7.3mm
ロード・アイランド州議事堂。GX8よりはかなり軽減されたが、やはり建物のシャドー部にはノイズが入るようだ
Providence, Rhode Island
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1/153秒 / F6.5 / 絞り優先AE / 7.3mm
州議事堂の前庭にはタンポポがびっしり。アメリカでは春の嫌われものだ
Providence, Rhode Island
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1/930秒 / F5.7 / 絞り優先AE / 5.1mm
24mmという画角にまだ慣れていない。なのでこんなに傾いてしまった
Providence, Rhode Island
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1/870秒 / F5.1 / 絞り優先AE / 5.1mm
GR DIGITALを使っていて、28mmの画づくりには慣れたが、24mmを体得するにはまだ時間がかかりそうだ
Taunton, Massachusetts
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■ URL
リコー
http://www.ricoh.co.jp/
製品情報
http://www.ricoh.co.jp/dc/caplio/gx100/
■ 関連記事
・ 【新製品レビュー】リコー Caplio GX100(2007/05/08)
・ 写真で見る リコー「Caplio GX100」(2007/04/12)
( ケニー・オブライエン )
2007/05/17 01:10
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