先週書いたように、18倍ズームというスペックに懐疑的だった筆者だが、いざSP-550UZを手にしてみたら、超望遠域の面白さにすっかり取り憑かれてしまった。やたらとシャッターを切りまくる人を“シャッター・ハッピー”と言うことがあるけれど、筆者は今まさに“テレ・ハッピー”状態だ。
さて、先週末は所属する写真クラブの撮影会があったので、SP-550UZで参加してみた。お題は「新宿」、街撮りである。新宿というと、“超高速スナップ”の森山大道のように、広角レンズでスピード感を持ってどんどん撮影していく手法がつい思い浮かんでしまう。SP-550UZはこういうやり方は向いていなさそうだが、広角側が28mmもあることだし、また違う世界も味わえるかもしれないということで、あえてストリートスナップに挑んでみた。
※作例のリンク先のファイルは撮影した画像です。クリックすると、等倍の画像を別ウィンドウで開きます。
※すべて画像サイズは3,072×2,304ピクセル、オートホワイトバランスで撮影しています。
※作例下の撮影データは、露出時間/絞り/露出モード/感度/露出補正/測光方式/実焦点距離を表します。
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出発地点の新宿御苑は、都心とは思えないくらい自然がいっぱい
1/100秒 / F3.2 / プログラムAE / ISO50 / -1EV / 分割測光 / 6.42mm
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望遠端でにわかネイチャーフォトグラファーになってみる。三脚使用
1/125秒 / F4.5 / 絞り優先AE / ISO50 / 0EV / 分割測光 / 84.24mm
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1/250秒 / F4.4 / プログラムAE / ISO64 / 0EV / 分割測光 / 38.81mm
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木立の向こうに透ける代々木のドコモタワーが、ここが都心であることを思い出させる
1/125秒 / F3.3 / プログラムAE / ISO50 / 0EV / 分割測光 / 7.44mm
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結果から言えば、SP-550UZを使ったのは大正解だった。行程は、13時に新宿御苑集合、御苑内を撮影してから、新宿三丁目、花園神社、歌舞伎町を経由し、西新宿の高層ビル街を抜け、都庁裏の新宿中央公園がゴール。御苑の自然と開放感、新宿のゴミゴミした街並み、幾何学的でクリーンな高層ビル街と、次々に現れるまったく違う風景に対応していけたのは、やはり28~504mmのレンズに負うところが大きいだろう。
また、3km以上の距離を楽に歩き通せたのは、一眼レフなどにくらべれば小型軽量なボディのおかげだ。ゴールの新宿中央公園で、ほかのメンバーは重い装備に疲れて入口でしばし休息することになったのだが、それをを尻目に公園の奥まで踏み込んで写真工業発祥の地」の碑を撮影してきたり、ボディ以外に三脚を持ち運ぶ余裕があったのも筆者だけだった。
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三島由紀夫をはじめ数多くの文化人に愛された新宿三丁目の老舗居酒屋「どん底」
1/200秒 / F3.2 / プログラムAE / ISO50 / 0EV / 分割測光 / 6.74mm
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1/30秒 / F2.8 / プログラムAE / ISO50 / 0EV / 分割測光 / 4.68mm
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三丁目から花園神社へ靖国通りを渡る。できるだけズームして風景を圧縮してみた
1/200秒 / F4.4 / プログラムAE / ISO50 / 0EV / 分割測光 / 35.02mm
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花園神社の狛犬は檻の中に
1/60秒 / F4.4 / プログラムAE / ISO125 / 0EV / 分割測光 / 36.86mm
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撮影行の途上でSP-550UZについて気になった点を、いくつかあげておく。まずはやはり起動だ。SP-550UZの起動の遅さはストリートスナップではネックになる。だから、電池の消耗は覚悟の上で電源を入れっぱなしで使うことにした。撮影途上で電池が切れても、単3電池だから街中なら簡単に手に入る。
ところがSP-550UZは、今どきのデジカメとしては面白いことに、スリープモードに入るまでの時間の調整も、スリープモードに入らないで電源を入れっぱなしにしておく設定も見あたらない。
電源を入れたまま3分間操作しないと、自動的にスリープモードに入る。何かボタンを押せば復帰するのだけど、スリープ前のズーム位置に戻る作業が入るので、撮影状態になるまでは広角端で5秒ほど、望遠端だと8秒ほどかかる。ついでに、スリープからの復帰は音もなく行なわれ、メカニカルなノイズも振動もほとんどないため、本当に復帰しているのかどうかがわかりにくい。
一方、電源OFFからの起動は3秒ほどで済む。起動時間の短縮と、ズーム位置の記憶のどちらをとるか、ということになる。筆者は結局、電源をたびたびOFFにするほうを選んだ。が、操作としては電源ボタンを押してからシャッターボタンに指をかけるよりも、シャッター半押しで電源が入ってくれるほうが自然に感じるので、復帰時間が短縮されるとうれしいというのが本音だ。もっといいのは、電源入れっぱなしモードを新設してもらうことだが。
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花園神社
1/125秒 / F4.3 / プログラムAE / ISO80 / 0EV / 分割測光 / 28.04mm
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神社の裏
1/800秒 / F3.5 / プログラムAE / ISO50 / 0EV / スポット測光 / 10.26mm
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花園神社裏に広がる新宿ゴールデン街は魅力的な被写体だが、内部の道は私道なので、撮影はできないことになっている。この写真は外側から撮った
1/200秒 / F2.8 / プログラムAE / ISO50 / 0EV / スポット測光 / 4.68mm
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歌舞伎町のようなところでおおっぴらにカメラを持って撮影するのはやめたほうがいいが、SP-550 UZは小型軽量+望遠ズームのおかげ物陰などからひっそりと撮影できる
1/500秒 / F3.7 / プログラムAE / ISO50 / 0EV / スポット測光 / 11.86mm
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1/160秒 / F4.2 / プログラムAE / ISO50 / -1EV / スポット測光 / 20.61mm
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1/125秒 / F4.4 / プログラムAE / ISO125 / 0EV / 分割測光 / 37.82mm
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各種のレスポンスがよいとはいえないSP-550UZなので、まずは露出モードをマニュアルにし、露出をある程度固定しておいてレスポンスをよくしようと考えていた。が、御苑内や街中は日陰と日向を出入りすることが想像以上に多く、たびたび露出を変える必要に迫られた。露出変更などをすべて十字キーで行なう必要があるSP-550UZではさすがにまだるっこしく、すぐにプログラムAEにしてしまった。そのうちプログラムAEではちょっと白トビが目立つように思えたので、ブラケティング機能で露出を変えて3枚ずつ撮るようにした。感度はISO AUTO。撮れるのを優先したが、ISO AUTOは画質を優先するため、おおむねISO50で撮影されている。ブレ対策を優先する高感度AUTOもあるが、今回は使わなかった。
AFは、フルタイムAFを選んでみた。こちらは、シングルAFよりもレスポンスがよいように感じられた。結局のところ、起動やスリープからの復帰以外のレスポンスについては、あまり不満はなかった。
ホワイトバランス、感度、測光方式、ドライブモードなどはFUNCキーから簡単に変更できる。とくに測光方式をESPとスポットで切り替えながら撮れるのは、マニュアル露出の操作のしにくさを補って、非常に便利だった。シャッターボタン脇の手ブレ補正ボタンに違う機能を割り当てることもできて、筆者はAF/MF切り替えにしてみたのだが、フルタイムAFのレスポンスに不満がなかったので、これはあまり使うことはなかった。
なお、今回は電池にエネループを使ったが、だいたい400枚ほど撮ることができた。
というわけで、意外にもさまざまな要素が絡み合った新宿撮影行。懐の深いSP-550UZのおかげで、新宿の新たな顔を発見できた1日だった。
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歌舞伎町から西新宿へ向かうときは逆光。なので振り返りながらの撮影となった
1/640秒 / F4.1 / プログラムAE / ISO50 / 0EV / 分割測光 / 18.24mm
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広角のひろがりと望遠による圧縮。SP-550UZは1粒で2度おいしい
1/1,000秒 / F4.4 / プログラムAE / ISO50 / -1EV / 分割測光 / 40.89mm
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ガードを抜けると広がる西新宿の高層ビル街
1/320秒 / F2.8 / プログラムAE / ISO50 / 0EV / 分割測光 / 4.68mm
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1/160秒 / F3.6 / プログラムAE / ISO50 / 1EV / 分割測光 / 11.07mm
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広角で複数のビルを収めるのも、ズームして一部を切り取るのも楽しい
1/100秒 / F4.1 / プログラムAE / ISO64 / 0EV / 分割測光 / 17.49mm
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1/160秒 / F4.4 / プログラムAE / ISO125 / 0EV / 分割測光 / 34.15mm
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ゴールは新宿中央公園
1/400秒 / F2.8 / プログラムAE / ISO50 / 0EV / 分割測光 / 4.68mm
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写真工業発祥の地の碑。明治35年に小西本店(現コニカミノルタ)がここに感光材料の研究所と工場を建てた
1/25秒 / F4.1 / プログラムAE / ISO125 / 0EV / 分割測光 / 18.24mm
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■ URL
オリンパス
http://www.olympus.co.jp/jp/
製品情報
http://olympus-imaging.jp/digitalcamera/sp550uz/
■ 関連記事
・ 【伊達淳一のデジタルでいこう!】オリンパス CAMEDIA SP-550UZ(2007/04/05)
・ 【新製品レビュー】オリンパス CAMEDIA SP-550UZ(2007/03/29)
( 本誌:田中 真一郎 )
2007/04/20 00:17
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