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[2009/01/26]


2008年

【第2回】画角180度の円周魚眼が宙に浮く!? シグマ4.5mm F2.8を使い倒す


 シグマ 4.5mm F2.8 EX DC Circular Fisheye HSMは、APS-Cサイズ一眼レフ専用としては唯一の円周魚眼レンズとして発売された。実は編集部からは当初、このレンズでの「交換レンズ実写ギャラリー」での記事を依頼されていた。しかしいろいろ撮影するうち“一般的な作例”の枠をはみ出してしまったため、このコーナーで取り上げることにした。そもそもこのレンズはあまりに特殊な写りをするため、一般的な作例を撮ること自体が不可能なのだ。

 今回はレンズやカメラに特別な改造は行なっていない。しかしこのレンズを効果的に使いこなすには、一般的な写真撮影のセオリーに囚われない、いろいろなアイデアの切り貼り(ブリコラージュ)が必要となるのだ。試用期間は1週間程度と短かったが、ともかくその間に開発した「ワザ」を紹介しようと思う。

■注意■

  • この記事を読んで行なった行為によって、生じた損害はデジカメWatch編集部、糸崎公朗および、メーカー、購入店もその責を負いません。
  • デジカメWatch編集部および糸崎公朗は、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません。


レンズ概要

4.5mm F2.8 EX DC Circular Fisheye HSM
 まずはこのレンズの基本情報について。このレンズは「円周魚眼」に分類され、普通のレンズと違いAPS-Cサイズの撮像素子に円形の画面が写し込まれる。この円内の全周にわたって画角180度の風景が写る。

 魚眼レンズといえば、対角線に180度前後の画角を持つ「対角魚眼」が一般的で、APS-Cサイズ用の対角魚眼(ズームを含む)も各メーカーから発売されている。それに対しシグマ 4.5mm F2.8は、はじめに書いたようにAPS-Cサイズデジタル一眼レフ専用として、世界初にして唯一の円周魚眼である。対応マウントはニコン、キヤノン、シグマ用が発売中だ。今回はキヤノン用をお借りし、EOS 40D(これも借り物)に装着して使用した。

 このレンズのスペックでちょっと驚いたのが、開放がF2.8と明るいことだ。その昔、ニコンから35mmフィルム一眼レフ用の円周魚眼レンズとして8mm F2.8が発売されていたが、これは128×123mm(全長×最大径)、重量1,100gのお化けレンズだった。それがシグマ4.5mmのサイズは77.8×76.2mm、470gであり、APS-Cサイズ用であることを差し引いても軽量コンパクトだといえる。 価格はちょっと高めの12万15円だが、一般ユーザーの手に届く範囲内であり、この手の特殊レンズとしてはリーズナブルだろう。

 光学系にはSLDガラス、スーパーマルチレイヤーコート、インナーフォーカスなどを採用し、描写性能に気を使っている。使い勝手についても大口径で軽量コンパクトなのに加え、HSMによる高速で静かなAF駆動、フルタイムマニュアルフォーカス、最短撮影距離13.5cmなどの機能を搭載し、まさに何でも撮影できるようになっている。

 いや実際は、何でも撮影できるというより、この特殊レンズで何を撮影するかの方が問題だ。それでこのレンズについてシグマのサイトを見ると「学術用途に使用可能な等立体角射影方式を採用」と書いてある。つまり円周魚眼にはまず「測定器」として一定のニーズがあるようで、まずはそれに応えた製品としてみることができる。そしてその「測定器」を「写真レンズ」としてどう利用し、何を撮るかはほぼ完全にユーザーの判断に任せられているようだ。これはある意味、シグマからユーザーへの「挑戦状」とも受け取れるのかもしれない(笑)。


ほかのレンズとの描写の比較

 円周魚眼の描写特性を示すために、自分の持っているほかのレンズとの比較撮影を行なってみた。撮影したのは、通りがかりにふと見かけた駐車場のフェンス。これは歪曲と共に遠近感や逆光性能などが同時に確認でき、レンズテストには最適の被写体だ。この思い付きが今回最初の「切り貼り」である(笑)。カメラは三脚で固定し、フェンスから約1.2mの距離にある。使用カメラはレンズによって変更している。

※サムネールをクリックすると、等倍の画像を別ウィンドウで開きます。


4.5mm F2.8 EX DC Circular Fisheye HSMで撮影
対角魚眼の作例。シグマ8mm F4 EX Circular Fisheye ニコン用を、マウントアダプターを介して、オリンパスE-410に装着して撮影している

魚眼とは異なる超広角レンズの作例。ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F4(7mm側)+E-410
RICOH Caolio R7の広角端(28mm相当)でも撮影してみた。R7の広角端の焦点距離は4.6mm

 まず4.5mm F2.8 EX DC Circular Fisheye HSMは、APS-Cサイズの撮像素子にに直径12.3mmの円形画面が写り込むのが普通のレンズとの大きな違いだ。この円内に画角180度の風景が写っている。画面の左右にフェンスのほぼ両端までが写っており、画面下には三脚の脚も写り込んでいる。円の中心から外れる直線は湾曲し、フェンスは中央部が大きく膨らんで写っている。肉眼の感覚を完全に超越した円周魚眼特有の世界だ。


左がF2.8、右がF4の旧タイプ。F4にはデジタル対応された「DG」もあるが、こちらはDGが付かないタイプ。F4でも「DG」には絞り環がないので要注意
 次は対角魚眼での撮影。同じく180度の画角を有する特殊な描写だが、画面が四角いので円周魚眼よりはだいぶ普通に思える。蛇足ながらこの写真、実は35mm判用の円周魚眼シグマ8mm F4 EX Circular Fisheyeニコン用を、マウントアダプター(近代インターナショナルのニコン−フォーサーズマウントアダプター)を介し、オリンパスE-410に装着して撮影している。フォーザーズ規格の撮像素子の面積は35mm判の1/4なので、35mm判用の円周魚眼をフォーサーズのデジタル一眼レフに装着すると、対角線魚眼となるのだ。もちろんフォーサーズ規格専用の対角線魚眼としてオリンパスからZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheyeも発売されている。しかしぼくはこのレンズの発表前に、待ちきれずにシグマ8mm F4を「フォーサーズ用に」買ってしまったのだ。なお現在はシグマから新タイプの8mm F3.5 EX DG Circular Fisheyeが発売されているが、同レンズのニコン用は絞り環がないタイプで、マウントアダプターで遊ぶには旧タイプの8mm F4の方が適している。

 その次、魚眼とは異なる超広角レンズの代表としてフォーザーズ用ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F4の7mm側でも撮影してみた。魚眼レンズとの大きな違いは、全ての直線をほぼまっすぐに写しながら、114度もの画角(対角線)を実現している点だ。こうして比較するとさらに普通に見えるが、魚眼レンズとは違う意味で使いこなしの難しいレンズと言える。

 最後にコンパクトデジカメのリコーCaplio R7の広角端(28mm相当)でも撮影してみた。なぜこのカメラとの比較をしたのかというと、R7の広角端の焦点距離は4.6mmで、シグマの4.5mmとほぼ同じであることに気付いたからだ。もちろんR7のレンズは直線をまっすぐ写す広角ズームだから、APS-Cサイズの円周魚眼をトリミングした画像とは描写が異なる。しかし円周魚眼の画角の広さと、コンパクトデジカメの1/2.5型の撮像素子の小ささが実感できる、面白い比較になった。


絞りによる画質の変化

 先ほどと同じ被写体を、絞りを変えながら撮影した。絞りを1段絞るごとにシャッター速度を1段遅くし、露出レベルを一定に保っている。

※サムネールをクリックすると、等倍の画像を別ウィンドウで開きます。
※すべてマニュアル露出/ISO200/WB:太陽光で撮影しています。


F2.8 / 1/5,000秒
F4 / 1/2,500秒

F5.6 / 1/1,250秒
F8 / 1/640秒

F11 / 1/320秒
F16 / 1/160秒

F22 / 1/80秒

 画面中心は絞り開放からシャープで、ほぼパンフォーカスで写っている。しかし周辺部は開放ではシャープネスがなく、光量も落ちる。この欠点は絞るに従って改善し、画質のレベルはF8かF11あたりでピークに達する。さらに絞り込むと回折現象により画面全体がぼけてくる。

 耐逆光性能は優秀で、画面内に太陽が完全に入っているにもかかわらず、フレアやゴーストがほとんど見られない。画角が広い円周魚眼にとってこれは重要な性能のひとつだ。

 画角180度の円周魚眼としては、かなり高画質なレンズだと思う。それだけに「何をどう撮るか」が問題になるのだが……。


撮影のコツ

 円周魚眼は円形画面に180度の風景が全部写り込んでしまうから、普通の写真のように「風景を切り取る」という感覚はまったく通用しない。だからぼくも初めは何をどう撮ろうか途方に暮れてしまったが、だんだんと使い方のコツが分かってきた。しかし元より「正しい使い方」が決まっていないレンズである。だからここで示す「コツ」もあくまで参考程度と思ってもらいたい。

【1】被写体に大接近する
 このレンズを普通の感覚で撮ると、どれも漠然とした写真になってしまう。その原因は、まずすべてのモノが小さく写ってしまい、散漫になることだろう。それに加え画面の「円形」が目立ち、ますます被写体の印象が弱くなくなるようだ。

 だからそのシンプルな解決策として、まず被写体に接近することが考えられる。その場合、普通に接近したくらいではダメで「大接近」するくらいがちょうど良い。被写体の形は大きく歪んでしまうが、このレンズでしか撮れない大迫力の写真になる。

 魚眼レンズで接近撮影して困るのが、知らないうちに自分の足や肘が写りこんでしまうことだ。こんなとき便利なのが、EOS 40Dのライブビュー機能だ。

 ライブビューしながら腕を伸ばしてカメラを構えれば、自分の体の一部が画角180度の画面に写るのを防ぐことができる。一眼レフは重いから、腕を伸ばしながらの撮影は手ブレしやすそうだが、首からかけたストラップをピンと張るようにして構えるとけっこう安定する。ライブビュー時のシャッタータイムラグはほぼゼロで、この点は非常に便利で快適だった。

※ここからの作例はEOS 40D+シグマ 4.5mm F2.8 EX DC Circular Fisheye HSMで撮影しています。
※元の撮影画像は3,888×2,592ピクセルですが、鑑賞の便宜を考慮し、左右の何も写っていない部分をカットし、1,024×1,024ピクセルに縮小した画像を開きます。トリミング、リサイズとアンシャープマスク以外の処理は行なっていません。
※サムネール下のデータは、露出モード/シャッター速度/絞り/露出補正値/感度/ホワイトバランスです。


面白いキャラの中華料理の看板を発見。置かれた状況はよくわかるのだが、どうにも漠然とした印象だ。ちなみに画面左下に、自分のヒザが写ってしまっている
絞り優先AE / 1/100秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート
そこで思い切って接近してみたのがコレ。看板は大きく歪んでしまったが、中央部の印象が強まり写真としてのパンチが効いてきた。しかし個人的にはまだちょっと足りない感じ
絞り優先AE / 1/100秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート

さらに大接近したところで大変インパクトのある、自分としては満足な写真となった。被写体はさらに歪んでいるが、好奇心の惹かれるものに思わず大接近してしまう感覚が、うまく表現されているように思う
絞り優先AE / 1/80秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート
ちなみに同じ被写体をCaplio R7の広角端4.6mm(28mm相当)で撮影するとこんな感じになる

【2】上に向けて撮ってみる

 このレンズで難しかったのが意外にも「狭い路地」の撮影だ。画角180度もあるからそういう被写体に最適のようだが、やはり普通の感覚で撮るとイメージが散漫になり、狭い路地の雰囲気がどうしても表現できない。

 そこでふと、レンズを上に向けてみたらこれが良い感じの写真になった。前方の家並みが画面からはみ出すことなく写り、さらにその上方に自分の後ろに建つ家まで写りこんでいる。おまけに地面と空の割合が不均等になり、画面に「動き」が出てきた。特殊な描写ながら路地の雰囲気は十分に表現されているように思う。


被写体は良い感じの路地なのだが、どうもその雰囲気が出ない。画面内も、両側の建物と空と地面とで、不自然に四分割されてしまった
マニュアル露出 / 1/160秒 / F11 / 0EV / ISO200 / WB:太陽光
そこで同じ場所で、レンズを思い切り上に向けて撮ってみると、印象がガラリと変わった。前方の家はもちろん、自分の後ろに建つ家まで写り込んでいる
マニュアル露出 / 1/160秒 / F11 / 0EV / ISO200 / WB:太陽光

 さらに調子に乗って、カメラを地面に置き「真上」に向けて撮影してみた。もちろん地面に直接ではなく、かばんに入っていたノートの上に置いている。EOS 40Dの背面はほぼ平らな構造をしてるので、接眼部の出っ張りをずらせば地面に対してほぼ水平に置くことができる。シャッターはセルフタイマーで切り、その間、自分は建物の影に隠れている。

 結果はご覧の通り、円周の全てに地面が接したような写真となった。こうなるともう写真の「上下」の概念はなくなり、どの方向に位置に回転しても鑑賞可能だろう。


思い切ってカメラを真上に向け、さらに地面に置いて撮ってみた。円周に地面が接したような面白い写真になった
マニュアル露出 / 1/160秒 / F11 / 0EV / ISO200 / WB:太陽光
カメラはバックに入っていたノートの上に乗せている。ファインダーの突起部分をずらすと、地面と平行に置くことができる

【3】カメラごと一脚に装着し「宙」に浮かせる。

 レンズを上に向けたあと、今度は下に向けて撮りたくなった。するとこれまた不思議な写真になったが、必然的に自分の体が大きく写りこむことになり、これがどうにも無粋だ。そこで自分の体を「退避」させるため、カメラごと一脚に付けて撮影してみた。結果は上々で、自分の体を画面の隅に小さく追いやることに成功した。

 写真にはまるでレンスが宙を浮いたような光景が写されている。円周魚眼の強烈な遠近感のため、実際よりはるかに高い位置から撮影されたように見えるのだ。しかも円形画面は「四角い写真」のようにどっしりとした安定感がないから、ますます宙に浮いた雰囲気になるわけだ。

 一脚付きの円周魚眼をさらに地面に接近させると、「超低空飛行」した写真が撮れる。この際自分の姿も画面から消えるから、ますます「どうやって撮ったのかわからない写真」になる。これらの撮影もセルフタイマーでシャッターを切っている。


道路上の「止まれ」の文字を書き直した跡が残っていたのが面白かったので、真上から撮ってみた。しかし自分の体が大きく写り込んでしまうのが、なんとも無粋だ
マニュアル露出 / 1/60秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート
そこでカメラを一脚につけて撮影するとこの通り、自分の姿も端っこに小さく写るのみとなり、レンズが宙に浮いたような不思議な写真になった
マニュアル露出 / 1/60秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート

さらに超低空飛行で「ま」の字に接近。自分の姿は完全に消えているが、手持ち撮影だったら確実に足元が写ってしまうだろう
マニュアル露出 / 1/60秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート
一脚の先に魚眼レンズ付きのカメラを装着して撮影しているところ。円周魚眼の強烈な遠近感によって、実際以上に高い位置から写したような写真になる

誰かの落し物らしいウサギのマスコットがフェンスに止めてあった。レンズ前5cmくらいまで接近したら、主題がレンズの影で暗くなってしまった。 そこでEOS D40の内蔵ストロボを焚いてみたが、当然ながらけられてしまう
マニュアル露出 / 1/250秒 / F11 / 0EV / ISO100 / WB:オート
【4】コピー用紙で作るマクロ用ストロボディフューザー

 このレンズは鏡筒が太いため、あまりに接近するとレンズの影で被写体が暗くなることがある。普通のレンズで普通に撮影する場合、被写体が暗ければカメラの内蔵ストロボを焚けば良いだろう。しかしこのレンズの場合、接写で内蔵ストロボを焚くと、それこそレンズの影で画面が大きくけられてしまう。

 そこで内蔵ストロボの光を拡散するためのディフューザーを作ってみた。素材は誰もが簡単に入手できるであろう、A4サイズのコピー用紙を使ってみた。紙の折り方は円周魚眼の画角に合わせて工夫したつもりなので、写真を見て参考にしてもらえればと思う。かなりの接写でありながら、被写体に光が回るようになった。

 ただし、最短撮影距離ではどんなにディフューザーを工夫しても、被写体が陰になってしまう。これはあまりにもレンズ鏡筒が太いためだが、実はレンズ自体の直径は小さい。円周魚眼として完璧に近い性能を持つレンズだが、「太い鏡筒」だけは何とか改良してもらいたい点だ。


そこで、コピー用紙を折って、簡易ディフューザーを作ってみた
簡易ディフューザーはレンズとストロボにセロテープで止めている

ディフューザーの効果で、小さな被写体に光が回るようになった。ついでに背景の露出を落としてドラマチックにしてみたが、これは昆虫写真の常套手段でもある
マニュアル露出 / 1/250秒 / F11 / 0EV / ISO100 / WB:オート
最短撮影距離のレンズ前約1cmまで接近してみたが、さすがにそこまでは光が回り切らず、さらに工夫が必要だ
マニュアル露出 / 1/250秒 / F11 / 0EV / ISO100 / WB:オート

【5】レンズキャップの注意点

 最後はコツというより注意点だ。このレンズに限らずシグマの魚眼レンズのキャップは、「金属リング」に「レンズキャップ」がはまった構造をしている。だからレンズキャップだけを外し、金属リングをレンズに付けたままにしておくと、写真に金属リングの内側が写りこんでしまう。リングを取り忘れても丸い画面が写って違和感が少ないから、慣れないうちはは間違えるかもしれない。

 それとレンズに装着したレンズキャップを回すと、フォーカスリングまで一緒に回転してしまう点も注意が必要だ。AFでは不都合はないが、深い被写界深度を利用して目測のMFで使う場合、1度合わせた距離目盛りが知らない間にずれてしまったので、初めはちょっとあせってしまった。


レンズキャップは金属リングに72mm径のレンズキャップがはまる二重構造になっている。撮影の際はこの金属リングごとレンズから外す必要がある
金属リングを外し忘れると、一回り小さな円しか写らない
マニュアル露出 / 1/125秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート

金属リングを外すと、本来の180度の円周魚眼の撮影ができる。慣れないうちは間違えてしまうこともあるから、要注意だ
マニュアル露出 / 1/125秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート
フォーカスリングはレンズ先端にあり、レンズにはめたレンズキャップごと回転してしまう。目測のMFで使う場合、指標がズレないか注意が必要だ

まとめ

 私見だが、円周魚眼の描写はその他のレンズとあまりにかけ離れているため、「交換レンズの1バリエーション」として使うのは難しいように思える。むしろこの円周魚眼を持ち出す日は、これを「標準レンズ」と決めてカメラに付けっぱなし、とにかく何でも魚眼で撮るくらいがちょうど良いのではないだろうか。

 初めは戸惑うかもしれないが、だんだん自分の目が「円周魚眼化」され、そのうち「アレをああしてこう撮ったら面白いかも」なんてアイデアが、次々に浮かんでくるようになるかもしれない。円周魚眼が標準レンズになるなんて、信じられない人もいるだろうが、実際に円周魚眼だけで撮影された写真集も過去に何冊か出版されているのだ。

 ともかく、1週間あまりの円周魚眼での撮影は、まことに楽しいものであった。このレンズどんな写真が撮れるのか、実際に撮影するまで予想が付かず、そういう面白さにどんどんのめりこんでしまった。そしてAPS-Cサイズ用に初めて発売された円周魚眼の可能性は、まだまだ未知数であることも実感できたのだった。


作例

アパートの階段の青さに魅かれて撮影。撮影者の影が良いアクセントになった
マニュアル露出 / 1/400秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート
同じアパートを別な角度から撮影したが、まったく別の印象となった
マニュアル露出 / 1/160秒 / F11 / 0EV / ISO200 / WB:オート

解体工事の現場を、フェンスの穴からのぞいてみた
マニュアル露出 / 1/160秒 / F11 / 0EV / ISO200 / WB:オート
街が見下ろせる位置から撮ってみた。自分の足が写らないよう気をつけたつもりだが、画面下にカメラのストラップが写りこんでしまった……
マニュアル露出 / 1/30秒 / F11 / 0EV / ISO200 / WB:オート

心のこもったメッセージ? がお花に囲まれている。興味があるものを接写すると同時に、周囲の状況も表現できるのが、このレンズの特性だ
絞り優先AE / 1/30秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート
日本の首相のポスターのオデコの部分に大接近。写真なのに似顔絵的なデフォルメになった
絞り優先AE / 1/125秒 / F11 / -1EV / ISO200 / WB:オート

駅前の銅像の「鼻デカ写真」。妙にはしゃいでるように見える
マニュアル露出 / 1/50秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート
立体のキャラと、平面のキャラとでデフォルメのされ方が違うのが面白い。というか魚眼レンズは平面のものが「立体的に」変形されるのだ
マニュアル露出 / 1/50秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート

狭い路地のゴチャッとした家の壁。画面全体を壁で満たすよう、思い切り接近している。それでいながら画面周辺に遠くの風景が写りこんでいるのが面白い
絞り優先AE / 1/125秒 / F11 / -1.3EV / ISO200 / WB:オート
地面に貼ってある珍しいタイプの貼り紙。カメラを一脚に取り付け「超低空接写」した
マニュアル露出 / 1/60秒 / F11 / 0EV / ISO200 / WB:オート

自転車の車輪に大接近してみた。全体に強烈なパースが掛かっているが、車輪の円形自体は歪んでいない。また円の中心を通るスポークもほぼ直線に写っており、魚眼レンズの特性が良く現れた写真となった
マニュアル露出 / 1/8秒 / F22 / 0EV / ISO200 / WB:オート
ひび割れたカーブミラーがあったので、一脚に付けたカメラを高く上げて撮影。レンズ周辺部の実景と、ミラーに写る像が奇妙に重なっている
マニュアル露出 / 1/160秒 / F11 / 0EV / ISO400 / WB:オート

ドアの取っ手の「ひく」の字に惹かれてしまった。内側からドアが開いたらそれこそレンズにぶつかるので、慎重かつ迅速に撮影下
絞り優先AE / 1/60秒 / F11 / -0.7EV / ISO400 / WB:オート
解体工事の現場を覆う防護幕? をちょっとめくって中を覗いてみた。画面中心に位置する建物がそれほど歪まないことが、よくわかる
マニュアル露出 / 1/20秒 / F11 / 0EV / ISO200 / WB:オート

パンジーの花びらが集められていたチリトリ。ごく普通のチリトリなのだが、そうは思えないくらいに変形している
マニュアル露出 / 1/20秒 / F11 / 0EV / ISO200 / WB:オート
特にラーメンが食べたいわけではなかったが、こうして撮ると「ものすごくラーメンが食べたい人」の気分が表現されているように思えてしまう
絞り優先AE / 1/30秒 / F11 / -1EV / ISO200 / WB:オート

道路に書かれた子どもの落書き。テーブルに椅子が四脚、真ん中に花瓶が置かれているように見えるが、どうだろう?
マニュアル露出 / 1/80秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート
名づけて「地図の惑星」。このレンズは平面のモノが立体的に歪むのが面白い
マニュアル露出 / 1/80秒 / F11 / 0EV / ISO200 / WB:オート

フェンス向こうの庭にいた白猫。かたわらに「クロネコ」も写っている
マニュアル露出 / 1/50秒 / F9 / 0EV / ISO200 / WB:オート
薬局前の人形が治療してあったので、頭上のバンソウコウに空中から接近
マニュアル露出 / 1/80秒 / F11 / 0EV / ISO400 / WB:オート

ちょっとした思い付きで、自転車に乗ったままスローシャッターを切ってみた。なかなかの疾走感だ
絞り優先AE / 1/6秒 / F22 / -1EV / ISO100 / WB:オート
最後に「学術用途の測定」をイメージして夜空を撮影してみた。カメラをスーパーの駐車場に仰向けにおいて長時間露光した。この写真もかなり美しくて面白い
マニュアル露出 / 30秒 / F4 / 0EV / ISO200 / WB:太陽光


URL
  製品情報
  http://www.sigma-photo.co.jp/lens/digital/45_28.htm

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【第1回】フォーサーズボディにヘキサノンARレンズを装着する(2008/02/28)

※糸崎氏による写真展「金沢をブリコラージュする」が、4月18日〜7月13日(月曜休館、月曜休日の場合は翌日休館)に金沢21世紀美術館デザインギャラリーで開催されます。5月6日、7月5日、7月13日にはワークショップも開催されます。



URL
  金沢21世紀美術館
  http://www.kanazawa21.jp/
  糸崎公朗写真展「金沢をブリコーラジュする。」
  http://www.kanazawa21.jp/designgallery/kimioitozaki.html



糸崎公朗
1965年生まれ。東京造形大学卒業。美術家・写真家。「非人称芸術」というコンセプトのもと、独自の写真技法により作品制作する。主な受賞にキリンアートア ワード1999優秀賞、2000年度コニカ ミノルタフォト・プレミオ大賞、第19回東川賞新人作家賞など。主な著作に「フォトモの街角」「東京昆虫デジワイド」 (共にアートン)など。 ホームページはhttp://www.itozaki.com/

2008/04/10 00:48
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