トピック

動画編集の外付けSSDに選ぶべきはどれ?

USB4? Thunderbolt? 規格の違いで考える、人それぞれのストレージ選び

動画制作では、「外付けドライブは遅いから内蔵ドライブで編集するべき」と考える人も少なくない。古くからのパソコンユーザーならなおさらで、「外付け=USB=遅い」というイメージを抱く人も多いだろう。

しかし、それはもう昔の話だ。現在では内蔵SSDに匹敵、あるいはそれを上回る速度を実現する外付けSSDも登場している。

そこで今回は、動画編集をテーマに外付けSSDの選び方を検証してみた。あわせて、動画編集に必要なストレージ速度の考え方や、自分に合ったSSDの選び方についても解説している。

もっとも、「難しい話は苦手」という人は、結論だけ読んでも構わない。今回検証したOWCの製品はいずれも動画編集に十分な性能を備えており、フルHDから高解像度・高ビットレート素材の編集まで、それぞれの用途に応じた実力を備えている。

あなたの編集スタイルはどれ?

動画編集を始めると、多くの人が最初に直面するのが「保存先の問題」。

パソコン内蔵のHDDは容量こそ大きいものの、速度はSSDの数分の一程度。動画編集でタイムラインを再生するたびに遅延が発生したり、スクラブ時にコマ落ちが起きたりと、作業効率を損なう原因となってしまう。

では、内蔵SSDならどうだろう。

速度面の不満は解消されるが、今度は容量不足が問題になってしまう。4Kや8K素材は1本で数十GB、長尺のプロジェクトでは100GBを超えることも珍しくない。

素材で内蔵SSDがいっぱいになると、OSや編集ソフトの動作にも影響が出てしまうため、深刻な問題だ。

そこで、有力な選択肢となるのが外付けのSSDだ。

外付けというと遅いイメージかもしれないが、近年は高速化が進み、内蔵SSDを上回る性能を発揮するモデルも登場している。

ただし、SSDは速度の区分が明確に分かれていて、それに応じてコストも大きく変わってくる。自分のレベルやパソコン環境に合わない製品を選ぶと「宝の持ち腐れ」になりかねないので、コストを含め適材を選ぶことが重要なジャンルといえるだろう。

ポイントは、「自分の編集スタイル」に合うストレージを選ぶこと。

まずは、自身の編集スタイルがどのレベルにあるのかを確認しておこう。

USBの規格名や速度が出てくるが、順に説明するので、今は気にしなくてかまわない。

①フルHD〜4K30P(Vlog / YouTube映像制作)

もっとも多くのユーザーが該当するレベル。ミラーレスカメラやスマートフォンで撮影したH.264やH.265形式の動画が中心で、素材のビットレートも比較的軽量。

このクラスであればUSB 3.2 Gen 2(10Gbps)のSSDでも十分に対応可能。カット編集やテロップ挿入、簡単なエフェクト処理が中心なら、快適に編集できるだろう。

②4K60P〜6K30P(高画質WEB動画 / アクションカメラ映像)

4K60Pや6K30P素材となると、データ量は大きく増加する。それでも一般的な編集作業であれば、USB 3.2 Gen 2対応SSDで十分に対応可能だ。

しかし、プロジェクトの規模が大きくなったり、将来的にRAW動画素材を扱う予定があるなら、USB4対応SSDを選んでおくと長く活用できる。

上位に移行するかどうか、SSD選びの境界となるレベルだ。

③4K RAW〜8K 30P(マルチカメラ撮影 / 映像作品制作) a

ここからは本格的なクリエイター向けのレベルとなる。

Log撮影素材のカラーグレーディングやRAW、ProResといった高ビットレート素材を扱うようになると、ストレージへのアクセス量は大幅に増加するため、USB4(40Gbps)のSSDが真価を発揮する。

④8K RAW /(大規模マルチストリーム編集 / ハイエンド映像制作)

もっとも高い性能を求めるレベル。

8K RAWや高ビットレート素材を複数同時に扱う編集では、ストレージに極めて大きな負荷がかかってしまう。このような環境ではUSB4 V2(80Gbps)やThunderbolt 5(80Gbps)が最適。

高速なSSDは4K RAWや8K RAW素材を数多く扱うワークフローでも余裕を確保しやすく、ストレージがボトルネックになる可能性を大幅に減らすことができる。

このように、編集スタイルを整理すると必要なストレージ性能が自然と見えてくる。

あとは、編集スタイルと制作環境に適した製品を選ぶだけなのだが、問題となるのはUSB規格のややこしさだ。

編集スタイル別・必要ストレージ性能と規格の対応

USB規格は「速度」で判断する

外付けSSDの性能は、パソコンとSSDをつなぐUSBの規格が一致していなければ発揮されない。

一見シンプルな考え方だが、その規格が非常に分かりにくい。

同じ端子の形状でも様々な使われ方をしている上、複数の規格が相乗りし、規格の名前自体も「Version」「Gen」「3x2」のように統一感のない状況だ。しかも、新しい規格が出ると古い規格の名前も変えてしまうなど、とても複雑で難解。

外付けSSD選びでつまずきやすいのは、まさにこの点に尽きる。

そこで、USBの規格は名称ではなく、「40GbpsのUSB」のように速度(Mbps)で覚えると分かりやすい。パソコンと外付けSSDの速度が合っていれば、規格も揃っているという考え方だ。

速度が異なる場合は「遅い方に揃う」と覚えておこう。
ここでは、「動画編集」に適した接続規格の速度と特徴をまとめておくので、SSDを探す参考にしてもらいたい。

USB 3.2 Gen 2(10Gbps / 1,250MB/秒)

パソコン側の端子形状はUSB Type‑AとUSB Type‑C。Type‑Aは低速なUSB 2.0(480Mbps)と外見が同じため注意が必要。

USB 2.0の約20倍、USB 3.2 Gen 1(5Gbps)の約2倍の速さをもつ規格で、旧名称は「USB 3.1 Gen 2」。規格の整理・統合に伴い「USB 3.2 Gen 2」に変更された。USB3は新旧で類似名称が多く、要注意の規格といえる。

USB4(40Gbps / 5,000MB/秒)

端子形状はUSB Type-C。

2019年に登場した次世代のUSB規格で、「USB4 Version1.0」や「USB4(Gen 3x2)」と表記されることもある。

USB4の速度で高速転送する場合、パソコンとSSDだけでなく、対応するケーブルも必要になる点に注意。

USB4 V2(80Gbps / 10GB/秒)

端子形状はUSB Type‑C。

正式名称は「USB4 Version 2.0」。USB4の後継規格で、最大転送速度は従来の2倍となる80Gbps級へ向上。

Thunderbolt 5を搭載していないパソコンでも80Gbps級の高速接続を利用できるため、Windows環境では最上位クラスの接続規格のひとつといえる。

Thunderbolt 5(80Gbps / 10GB/秒)

端子形状はUSB Type-C。

USBの名前は付いていないが、USBと互換性のある規格で、同じ端子形状を使用している。現時点で最高速クラスの接続規格のひとつであり、高解像度・高ビットレート素材を扱う編集環境で真価を発揮する。

ThunderboltはIntelの認証を取得しなければ名乗れない高性能な規格であり、転送速度だけでなく、映像出力や高速ストレージ接続、給電機能などに厳しい要件が設けられている。

そのため、ストレージやドッキングステーション、ディスプレイなどを組み合わせた制作環境でも高い互換性と安定性を確保しやすく、プロフェッショナル用途で採用されることが多い。

接続規格の比較

追加で覚えておきたいのは、USB規格には互換性がある点。

たとえば、Thunderbolt 5対応の外付けSSDはUSBとの互換性をもっている。そのため、接続先がUSB 3.2 Gen 2しか対応していない場合でも使用可能だ。

しかし、その場合に利用できる速度はUSB 3.2 Gen 2の範囲に制限されるため、高速なSSD本来の性能を発揮できない。

この点を知らずに製品を購入してしまうと、期待した速度が得られず、「思ったより速くない」という不満につながりやすい。だからこそ、外付けSSDの選択では接続するパソコン側の規格(速度)を把握することが重要だ。

繰り返しになるが、USBの正式名称を覚える必要はなく、「10Gbps」「40Gbps」「80Gbps」という速度を把握し、自分のパソコンがどの速度に対応しているかを確認するだけでも大丈夫。たったこれだけで、SSD選びの難しさや迷い、失敗が大きく減らせるはず。

OWCがクリエイターに選ばれる理由

撮影スタイルと接続規格(必要な速度)を理解したら、次は外付けSSD選びに進もう。

外付けSSDの選択で、多くのプロが名前を挙げるブランドのひとつがOWC。理由は明確で、古くからパソコンのシステム周りの製品を開発しており、多くのクリエイターやプロフェッショナルユーザーに支持されてきた実績があるからだ。

検証を行ったOWC製の外付けSSD。スティック状のモバイルタイプから空冷フィンの付いた据え置き型まで5モデルを用意。

今回、OWCの製品群から5製品をピックアップし、動画編集を想定した検証を行ってみた。

結論から言えば、カメラでの撮影時に「4:2:2 10bit」や「高ビットレート」などを意識して設定している人なら、USB4以上の製品を選んでおくと安心だ。

一方で、それらの設定にあまり馴染みがない人であれば、比較的軽いデータで撮影している可能性が高い。速度や放熱性能はいずれの製品も優秀なので、「モバイル」「据え置き」「デザイン」など好きに選んで構わないだろう。

なお、今回の検証では動画編集を想定した実用性能として、単一の動画を扱う「シングルストリーム想定性能」と、複数の動画を同時に扱う「マルチストリーム想定性能」を測定。その数値をもとに、どの程度の動画編集に対応できるのかを検証している。

実際の動画編集では、映像データが再生速度と同じペースで読み込まれるわけではない。編集ソフトは先読みやキャッシュを活用しながら処理を行うため、瞬間的には動画のビットレートを大きく上回る転送速度が求められる場合がある。

そこで本記事では、測定速度の50%を「最低限の編集が成立する目安」として評価を行った。

各モデルのスペックと測定結果は以下のとおり(詳細は後述参照)。

取り上げる製品および検証結果

例えば、マルチストリーム想定性能が1,000MB/秒の場合、その50%にあたる500MB/秒を実用的な目安としている。つまり、同時に扱う動画の合計ビットレートが500MB/秒(4,000Mbps)程度であれば、最低限の編集が成立する(だろう)ということ。

検証にあたって参考とした動画のビットレートは下記の表のとおり。

普段から動画撮影を行っている人であれば、撮影設定のビットレートと比較することで、必要なストレージ性能の目安が分かるはず。

なお、本記事ではSSDの転送速度と比較しやすいよう、一般的に用いられるMbps表記に加え、MB/秒へ換算した値も併記している。

動画の解像度と参考ビットレート

OWC外付けSSD 推奨モデル5選

ここでは、MSIのノートPC「Titan 18 HX AI A2XW」を使用し、OWCの最新外付けSSD 5製品を検証する。

検証では、シングルストリーム想定性能とマルチストリーム想定性能を測定。その結果から、4K30Pや4K60P、8K、RAW動画といった各種撮影フォーマットに対して、どの程度の編集作業に対応できるのかを求めてみた。

ただし、SSDの速度が十分でも、パソコンのスペックが満たされていないと動画編集は成立しない点に注意してもらいたい。

MSI Titan 18 HX AI A2XW

WindowsノートPCとして最高峰の処理性能を備えたモデル。Intel Core Ultra 9 プロセッサー 285HXとGeForce RTX 5090 Laptop GPU 24GBによる圧倒的な演算能力は、8K編集や高度なカラーグレーディング、AI処理を伴うVFX用途まで幅広く対応。長時間の高負荷に耐える冷却性能にThunderbolt 5搭載と、動画編集のような連続処理でも安定した動作が得られる。

  • OS:Windows 11 Pro
  • CPU:インテル® Core™ Ultra 9 プロセッサー 285HX 24コア(8P+16E)24スレッド / 最大5.5GHz
  • GPU:NVIDIA® GeForce RTX 5090 Laptop GPU 24GB GDDR7
  • メモリー:96GB(48GB ×2)DDR5
  • SSD:合計6TB(2TB(M.2 NVMe PCI-e Gen5) ×1 + 2TB(M.2 NVMe PCI-e Gen4) ×2)
  • ディスプレイ:18インチ、4K+(3,840×2,400)、ノングレア、120Hz、Mini LED、DisplayHDR 1000、DCI-P3相当
  • 外部接続:Thunderbolt™ 5 Type-C(USB PD*対応)×2、USB 3.2 Gen 2 Type-A ×3、HDMI ×1、オーディオコンボジャック ×1
  • 外形寸法:404×307.5×32.05mm
  • 質量:約3.6kg

Envoy Pro mini

(1TB / 2TB)

剛性感のあるアルミボディで、モバイル用途に最適。

USB 3.2 Gen 2(10Gbps / 1,250MB/秒)対応のUSBメモリー型外付けSSD。Type-AとType-Cの両USB端子を備えており、パソコンはもちろん、スマートフォンやタブレットにも直接接続できる。

キャップを外すとType-C端子が現れ、本体をスライドして反転させることでType-A端子を利用できる仕組みだ。反転した状態でもしっかり固定されるため、本体がぐらつくことはない。

ボディには放熱性に優れたアルミ素材。小型ながら長時間の使用でも安定した速度を維持しやすく、モバイル用途でも安心して利用できる。

スライド式の回転機構により、USB Type-CとType-Aに対応。Type-Aとして使う場合も、スティック状に固定できる。

公称転送速度は最大946MB/秒。実際に測定した結果は以下のとおり。

  • シングルストリーム想定性能(編集目安):984MB/秒(492MB/秒)
  • マルチストリーム想定性能(編集目安):1,050MB/秒(525MB/秒)
  • 動画編集の目安:フルHD~4K60P、6K30P(快適) / 4K RAW(条件付き)

シングルストリーム想定性能は984MB/秒を記録。編集目安の50%換算では492MB/秒となり、単一の動画を扱うシンプルな編集であれば、8Kクラスの高ビットレート素材も扱える性能を備えている。

マルチストリーム想定性能は1,050MB/秒、編集目安は525MB/秒となった。

理論上は4KのRAW素材を4ストリーム程度同時に扱える計算で、4K60Pや6K30Pを中心とした編集用途であれば十分な余裕をもって使用できるだろう。

Envoy Pro miniは、モバイル環境における4K60Pや6K30Pの編集、あるいは撮影現場でのバックアップ用途に最適なモデルといえる。優れた携帯性と十分な実用性能を両立しており、多くのクリエイターにとって扱いやすい1台だ。

Envoy Pro Elektron

(480GB / 1TB / 2TB / 4TB)

一体型のアルミボディが美しい。堅牢で防水性能も備え、撮影現場での使用にも最適。

USB 3.2 Gen 2(10Gbps / 1,250MB/秒)対応の小型SSD。手のひらに収まるコンパクトなサイズながら、アルミ削り出し筐体による高い耐衝撃性と防塵・防水性能を備えている。

触れると手の温度がすぐに本体へ伝わるほど熱伝導率が高く、放熱性を重視した設計であることが実感できる。

つなぎ目の見えないアルミ筐体は堅牢で、接続端子部もアルミを削り出して成形されているため、端子の破損によるトラブルが起きにくい。モバイル環境で安心して持ち運べる点も大きな特徴だ。

このサイズ感で最大4TBまで持ち運べる。ケーブル別体型なので、据え置き用途としても活用しやすい。

公称転送速度は最大1011MB/秒。実際に測定した結果は以下のとおり。

  • シングルストリーム想定性能(編集目安):639MB/秒(319.5MB/秒)
  • マルチストリーム想定性能(編集目安):1,050MB/秒(525MB/秒)
  • 動画編集の目安:フルHD~4K60P、6K30P(快適) / 4K RAW(条件付き)

シングルストリーム想定性能から算出した編集目安は約320MB/秒。単一の動画を扱う編集であれば、6KRAWクラスの素材にも対応できる性能を備えている。

マルチストリーム想定性能の編集目安は525MB/秒で、Envoy Pro miniと同様にK 60Pや6K30Pを中心とした編集用途に最適。

特筆すべきは、携帯性と編集性能を両立しながら、耐久性・防塵防水性能まで備えている点。

4K60Pや6K30Pを快適に編集できる性能を有し、必要に応じて4K RAW素材にも対応できるため、撮影現場でのバックアップ用途からモバイル編集まで幅広く活躍する1台といえる。

Express 1M2

(1TB〜8TB、ユーザーがSSDを交換できる0TBモデルも有)

デザインと冷却性能を高い次元で両立。SSDの換装にも対応し、長く使い続けられるUSB4対応モデルだ。

USB4(40Gbps / 5,000MB/秒)対応の外付けSSD。バイクの空冷エンジンを思わせる大型フィンを備えたアルミ製筐体が特徴で、高い放熱性能による長時間の高負荷運用を意識したモデルだ。

据え置き利用に適したサイズと重量を備え、DIYで市販のNVMe M.2 2230/2242/2280 SSDへ交換できるため、将来的な高速SSDへのアップグレードや容量不足にも応。筐体をそのまま活用でき、長期間運用しやすい点も魅力といえる。

特徴的な大型フィンで上面を覆い、放熱性を追求したデザインを採用。ファンレス構造ながら高い冷却性能を実現している。

公称転送速度は最大3151MB/秒。実際に測定した結果は以下のとおり。

・ シングルストリーム想定性能 (編集目安):1,912MB/秒(953MB/秒)
・ マルチストリーム想定性能 (編集目安):3,041MB/秒(1520.5MB/秒)
・ 動画編集の目安 :8K 30P、4K RAW~6K RAW(快適) / 8K RAW(条件付き)

シングルストリーム想定性能から算出した編集目安は953MB/秒。単一の動画を扱う編集であれば、8K RAWクラスの高ビットレート素材にも対応できる余裕を備えている。

マルチストリーム想定性能の編集目安は1520.5MB/秒となった。理論上は8K RAW素材を4ストリーム程度同時に扱える計算で、マルチカム編集や複数レイヤーを重ねた編集作業にも十分な余裕がある。

Express 1M2は、高解像度化・多カメラ化が進む現在の映像制作に適した性能を備えたモデルだ。高い編集性能に加え、SSDを交換できる拡張性も備えているため、長期間にわたって運用しやすい。

USB4環境で高い編集性能と拡張性を両立したいユーザーにとって、長く使い続けられる高性能SSD+ケースといえるだろう。

Express 1M2 80G

(1TB〜8TB、ユーザーがSSDを交換できる0TBモデルも有)

空冷エンジンのような大型フィンが特徴のボディ。Express 1M2と同様で、速度が2倍に向上している。

USB4 V2(80Gbps / 10GB/秒)に対応した「Express 1M2」の高速版。

大型フィンを備えたアルミ製筐体やSSD換装対応など、基本的な設計はExpress 1M2と共通。USB4 V2への対応によって転送速度を大幅に向上させており、OWCの据え置き向けSSDの中でも最高クラスの性能を備えている。

公称転送速度は最大6,000MB/秒。実際に測定した結果は以下のとおり。

  • シングルストリーム想定性能(編集目安):3,579MB/秒(1789.5MB/秒)
  • マルチストリーム想定性能(編集目安):6,118MB/秒(3,059MB/秒)
  • 動画編集の目安:8K 30P、4K RAW~8K RAW(快適)、大規模マルチストリーム編集

シングルストリーム想定性能から算出した編集目安は約1790MB/秒。8K RAWの参考ビットレートを大きく上回っており、単一の動画を扱う編集でストレージ性能が制約になる場面はほとんどないだろう。

マルチストリーム想定性能の編集目安は約3059MB/秒に達した。理論上は4K RAW素材なら24ストリーム前後、8K RAW素材でも8ストリーム前後を同時に扱える計算となる。

もちろん実際の編集では、CPUやGPUの性能、編集ソフトウェアの処理能力が先に制約となる場合が多く、ストレージ性能だけでこれだけの同時編集が実現できるわけではない。

しかし少なくとも、本製品の性能が動画編集の足かせになる可能性は極めて低い。

Express 1M2 80Gは、4K・6K・8KのRAW素材を扱う本格的な映像制作はもちろん、大規模なマルチカメラ編集や長編作品の制作にも対応できる余裕を備えている。ストレージ性能を最優先に考えるクリエイターに適したモデルといえるだろう。

Envoy Ultra

(2TB / 4TB / 8TB)

OWC製品の中でもモバイル用途における最上位モデル。Thunderbolt 5対応環境で本格的な動画編集を行うなら有力な選択肢となる。

Thunderbolt 5(80Gbps / 10GB/秒)に対応した外付けSSDで、OWCのラインナップの中でも最上位に位置付けられるモデル。

高速で安定した転送性能を備え、8K RAWや高ビットレートのProRes素材など、従来の外付けSSDでは負荷の大きかった映像編集にも余裕をもって対応できる。

筐体はアルミ削り出し。本体の側面と底面には深い溝を備えた放熱面を設けており、長時間の連続書き込みでも速度低下が起こりにくい設計だ。
ケーブルは直付けタイプ。防塵・防水性能の向上に加え、着脱式ケーブルで発生しがちな接触不良や端子破損のリスクを低減している。撮影現場への持ち出しやモバイル運用を想定した、高信頼性モデルといえるだろう。

また、Thunderbolt機器は互換性や認証要件が厳格に管理されているため、対応ドッキングステーションや周辺機器と組み合わせたさいに安定した動作が期待できる点も魅力のひとつだ。

モバイルサイズながら、本体の周囲には放熱用のフィンを配置。高い冷却性能を確保し、長時間の運用でも安定したパフォーマンスを維持する。

公称転送速度は最大6,000MB/秒。実際に測定した結果は以下のとおり。

  • シングルストリーム想定性能(編集目安):3,732MB/秒(1,866MB/秒)
  • マルチストリーム想定性能(編集目安):6035MB/秒(3,017.5MB/秒)
  • 動画編集の目安:8K30P、4K RAW~8K RAW(快適)、大規模マルチストリーム編集

シングルストリーム、マルチストリームともにExpress 1M2 80Gとほぼ同等の結果となった。4K・6K・8K素材を扱うハイエンドな動画編集環境でも十分な余裕を備えていることが分かる。

Express 1M2 80Gと速度性能はほぼ互角のため、選択のポイントは用途の違いにある。

据え置き環境で最高クラスの速度と拡張性を求めるならExpress 1M2 80G、撮影現場への持ち出しやモバイル編集まで含めた運用を重視するならEnvoy Ultraが向いている。

Envoy Ultraは最高クラスの編集性能に加え、堅牢性やモバイル運用まで重視するクリエイターに適した1台だ。

まとめ:適材適所でSSDを選ぼう

ここまで見てきたように、外付けSSD選びで重要なのは、「もっとも速い製品を選ぶこと」ではない。自分が扱う動画の解像度やビットレート、パソコンの対応規格、そして編集スタイルに合わせて適切な製品を選ぶことが、コストと作業効率の両面で重要になる。

たとえば、フルHDから4K60Pを中心とした一般的な動画制作であれば、USB 3.2 Gen 2対応のEnvoy Pro miniやEnvoy Pro Elektronでも十分な性能を発揮する。

とくに携帯性を重視するならEnvoy Pro mini、耐久性や防塵・防水性能を重視するならEnvoy Pro Elektronが選択肢となるだろう。

4K60Pや6K素材を扱う機会が増え、将来的なステップアップも視野に入れるのであれば、USB4対応のExpress 1M2がおすすめ。動画編集用ストレージとして十分な性能を備えるだけでなく、SSDの換装にも対応しているため、容量拡張やアップグレードを行いながら長く使い続けられる。

8K RAWや大規模なマルチカメラ編集、高ビットレート素材を中心とした制作環境では、USB4 V2対応のExpress 1M2 80GやThunderbolt 5対応のEnvoy Ultraが真価を発揮する。

どちらも外付けSSDとして最高クラスの性能を備えており、4K・6K・8K素材を扱うハイエンドな編集環境でも十分な余裕を確保しやすい。

今回の検証から見えてきたのは、OWCの製品群が単純な性能競争ではなく、それぞれ明確な用途を想定して設計されていることだ。なかでも冷却設計へのこだわりは共通しており、小型モデルからハイエンドモデルまで、安定した性能を長時間維持するための工夫が随所に見られた。

最後に、OWC外付けSSD選び早見表を掲載するので、自分の撮影スタイルや編集環境に合ったモデルを探してもらいたい。

桐生彩希