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魚眼と超広角で写し取る圧倒的スケールの星景美

10mm F2.5 Fisheye、6mm F2.8 CIRCULAR FISHEYE、9mm F2.8

能登半島・見附島を望む海岸で撮影。ペルセウス座流星群の極大日、雲の切れ間を狙った。流星がどこに現れても捉えやすい魚眼の広い画角が生きた
ソニー α7S III/10mm/マニュアル露出(F2.5、15秒)/ISO 6400/WB:冷白色蛍光灯

夜が涼しくなり、星空が美しく輝く季節になってきました。そこで、星景を鮮明に写し取るためのレンズ3本を厳選します。2本の魚眼と1本の超広角がもたらす圧倒的なスケール感。緻密で豊かな表現の可能性に天体写真家の北山輝泰さんが迫ります。

※本企画は『デジタルカメラマガジン2026年10月号』より転載・加筆したものです。

185°の広い画角で世界を写し込む

七工匠 7Artisans MAX AF 10mm F2.5 Fisheye
発売日:2026年9月9日
実勢価格:8万8,000円前後(税込)

●SPECIFICATION
レンズ構成:8群11枚
絞り羽根枚数:9枚
最小絞り:F16
最短撮影距離:0.15m
外形寸法(最大径×全長):約77×90mm
質量:約505g
※数値はソニーEマウント用
レンズ構成図

10mmという焦点距離で185°の広い画角を持つ、フルサイズ対応のAF対角魚眼レンズ。MF主体の魚眼市場において、AFの手軽さはそれだけで大きな強みと言える。黒を基調とした端正な鏡筒に、後玉付近の薄いシルバーラインが映え、上質な所有欲を満たしてくれる。開放F2.5の明るさは星景撮影で使いやすく、暗い夜空でも無理のないシャッター速度を選択できる。

最大の醍醐味は、広大な画角と特有のダイナミックな湾曲描写にある。広い範囲の星空を1枚に収めて、天の川や流星群をダイナミックに表現したり、前景の被写体に大胆に近寄って存在感を強調しながら、背景の星空まで広く写し込むなど表現の自由度は高い。縦構図で地上の被写体と天の川を大胆につなげる表現も楽しめる。

千葉県で灯台と夏の天の川を縦構図で撮影。銀河系中心部から夏の大三角まで収めつつ、縦に伸びる灯台の存在感を魚眼の広い画角で強調した
ソニー α7 IV/10mm/マニュアル露出(F2.5、15秒)/ISO 4000/WB:マニュアル

流星群のように出現位置を予測できない被写体でも、広範囲を一度に記録できる魚眼との相性が良い。F2.5の明るさも暗めの流星を捉える上で心強い。周辺部ではコマ収差が多少見受けられるものの、魚眼ならではの大胆な描写を楽しむ上では、大きく気にならなかった。日中もAFを生かして軽快にスナップを楽しめ、バッグに忍ばせておけば作品の引き出しが格段に増える。強烈なデフォルメを作品に採り入れたい人におすすめの1本だ。

Fn1はカメラ側から機能を割り当てられる。Fn2はフォーカス位置を最短と無限遠に切り替えられる
ファームウェアアップデート用のUSB端子を用意。電子接点もあり、カメラ側に情報も伝わる

天に広がる星空を丸く包み込む

AstrHori 6mm F2.8 CIRCULAR FISHEYE
発売日:2025年8月28日
実勢価格:6万2,000円前後(税込)

●SPECIFICATION
レンズ構成:8群10枚
絞り羽根枚数:8枚
最小絞り:F16
最短撮影距離:0.08m
外形寸法(最大径×全長):約69×52mm
質量:約340g
※数値はソニーEマウント用
レンズ構成図

6mm、画角220°という圧倒的な視野を持つフルサイズ対応のMF円周魚眼レンズ。撮影すると円形の像として記録され、正面だけでなく真横や足元に近い範囲まで写り込む。金属製の鏡筒はコンパクトで、約340gと持ち歩きやすい。

MF専用だが、ピントリングを無限遠に合わせればほぼ星にピントが合うため、微調整が必要なAFレンズよりも星空のピント合わせは容易だ。開放F2.8の明るさも相まって、天頂へ向ければ夜空全体を包み込む圧巻の全天写真が完成する。

和歌山県で天の川が南中するころ、レンズを天頂へ向けて撮影。銀河系中心部からカシオペヤ座付近まで一挙に収め、夜空に架かる天の川を橋のように表現した
ソニー α7S III/6mm/マニュアル露出(F2.8、15秒)/ISO 6400/WB:冷白色蛍光灯

アーチ状の天の川や全天を包むオーロラなど、このレンズでしか描けない世界が存在する。三脚や足元の写り込みにさえ注意すれば、日常の星景を唯一無二の芸術へと様変わりさせてくれる。

レンズ表面がドーム状に盛り上がっている。フードはないので、傷をつけないように注意したい

ゆがみなく広がる超広角の世界

AstrHori 9mm F2.8
発売日:2025年11月6日
実勢価格:2万9,800円前後(税込)

●SPECIFICATION
レンズ構成:8群11枚
絞り羽根枚数:7枚
最小絞り:F16
最短撮影距離:0.2m
外形寸法(最大径×全長):約62×61mm
質量:約307g
※数値はソニーEマウント用
レンズ構成図

35mm判換算で13.5mm相当となるAPS-C専用の超広角単焦点レンズ。111.4°の画角を持ちながら直線が曲がらない優れた歪曲補正により、地上風景と星空をナチュラルに切り取れるのが大きな魅力だ。

ペルセウス座流星群の極大日、メイン機は放射点方向を狙い、反対側の夏の大三角方向に現れる流星も押さえるため、α6700に9mmを装着して撮影した
ソニー α6700/9mm(13.5mm相当)/マニュアル露出(F2.8、20秒)/ISO 6400/WB:冷白色蛍光灯

開放F2.8の明るさがあるため、空が暗い場所での星空撮影でも扱いやすい。フルサイズ機に比べ装備を大幅に軽量化できるため、遠征時や登山でも真価を発揮するだろう。流星群を狙うサブ機としてもバッグの隙間に収まり重宝するはずだ。デフォルメに頼らず、広大な星空をありのまま切り出したい人に自信をもっておすすめしたいレンズだ。

絞りやフォーカスの操作は手動で行う。金属の質感、動きも滑らかで高級感のある仕上がりだ
北山輝泰

日本大学芸術学部写真学科在学中、授業で天体望遠鏡を使った撮影を行なったことがきっかけで、天体写真への興味関心が強まる。卒業後、福島県鮫川村に移住し、天文台で星空のインストラクターをしながら、本格的に天体写真と星景写真を撮り始める。その後、星空の魅力を多くの人に伝えたいという想いから、天体望遠鏡メーカー「株式会社ビクセン」に入社する。2017年に星景写真家として独立。天文雑誌「星ナビ」のライターをつとめながら、世界各地で星空の撮影を行なっている。