パナソニック、電動ズーム搭載の「Xシリーズ」レンズ2本


 パナソニックは、マイクロフォーサーズシステム用交換レンズの「LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm F3.5-5.6 ASPH. POWER O.I.S.」(H-PS14042)および「LUMIX G X VARIO PZ 45-175mm F4-5.6 ASPH. POWER O.I.S.」(H-PS45175)を10月13日に発売する。

LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm F3.5-5.6 ASPH. POWER O.I.S.(ブラック)H-PS14042-KLUMIX G X VARIO PZ 45-175mm F3.5-5.6 ASPH. POWER O.I.S.(ブラック)H-PS45175-S

 いずれもレンズ交換式デジタルカメラ用で世界初という電動ズームを搭載するモデル。同社マイクロフォーサーズレンズに新しく加わる「Xレンズシリーズ」の第1弾となる。現行のLUMIX Gレンズの上位レンズ群として展開し、「被写体の持つ質感を最大限に引き出す描写性能を追求、開発した高性能レンズ」としている。

 電動ズームはレンズ鏡筒側面のズームレバーで操作。動画の手持ち撮影でも像ユレを低減できるという。

 より快適に使用するために、発売済みのカメラボディに向けファームウェアアップデートサービスを10月上旬より順次開始する。焦点距離表示、ステップズーム、ズーム位置メモリー、ズーム速度選択機能などを追加する。対象機種はDMC-GH2、DMC-G3、DMC-GF3、DMC-GF2。電動ズームを行なうだけなら、DMC-GH1、DMC-G1でも可能。

パワーズーム(電動ズーム)を搭載。動画でのズームが一定速になるほか、レンズの小型化にも寄与。ステップズームや焦点距離表示などの付加機能も

 いずれも手ブレ補正機構にはすでにコンパクトデジタルカメラで採用している「POWER O.I.S.」を採用。毎秒4,000回のブレ検知を行ない、小刻みなブレに加え、大きくゆったりとしたブレの検知制度を向上したという。

低周波側の手ブレ補正が強化された「POWER O.I.S.」をレンズ交換式のLUMIXで初めて採用

LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm F3.5-5.6 ASPH. POWER O.I.S.

 沈胴機構を採用したズームレンズ。非球面レンズ、EDレンズを使用したことで従来よりも大幅な小型軽量化を実現したとしている。価格は4万9,875円。

LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm F3.5-5.6 ASPH. POWER O.I.S.(ブラック)H-PS14042-KLUMIX G X VARIO PZ 14-42mm F3.5-5.6 ASPH. POWER O.I.S.(シルバー)H-PS14042-S

 レンズ構成は非球面レンズ4枚、EDレンズ2枚を含む8群9枚。7枚羽根の円形絞りを採用。最短撮影距離は広角域で0.2m、望遠域で0.3m。フィルター径は37mm。最大撮影倍率は0.17倍。サイズは61×26.8mm(沈胴時)。重量は約95g。

LUMIX DMC-GF3への装着例。これは沈胴時電源をオンにすると鏡筒が繰り出す。手動での繰り出しや沈胴は不可
DMC-G3に装着した状態マウント面
フロントレンズキャプには「X」のロゴが入る。フィルター径はLUMIX G最小の37mm

LUMIX G X VARIO PZ 45-175mm F4-5.6 ASPH. POWER O.I.S.

 レンズ交換式デジタルカメラ用のズームレンズで世界初という「マルチアクチュエータフローティングインナーフォーカス」を採用したレンズ。像の平坦性を高めたという。

LUMIX G X VARIO PZ 45-175mm F4-5.6 ASPH. POWER O.I.S.(ブラック)H-PS45175-KLUMIX G X VARIO PZ 45-175mm F4-5.6 ASPH. POWER O.I.S.(シルバー)H-PS45175-S

 レンズ構成は非球面レンズ2枚、EDレンズ2枚を含む10群14枚。7枚羽根の円形絞りを採用。最短撮影距離は0.9m。フィルター径は46mm。最大撮影倍率は0.2倍。サイズは61.6×90mm。重量は約210g。

DMC-G3に装着発表会場には動作するスケルトンモデルの展示もあった
フォーカス駆動レンズそれぞれにアクチュエーターを配するマルチアクチュエーターフローティングインナーフォーカス方式を採用

新たなプレミアムレンズ商標「Xレンズ」

 発表会ではXレンズシリーズの位置付けと新技術についての説明があった。登壇したのはAVCネットワークス社コンシューマープロダクツ事業グループDSCビジネスユニット長の北尾一朗氏。

 レンズ交換式デジタルカメラの国内出荷は順調に推移し、大きく寄与しているのがミラーレスカメラ。あわせて交換レンズの出荷も伸びており、2011年の出荷見通しでは、1,800万台中700万台がミラーレスカメラようレンズと見られ、さらに2012年には2,000万台中900台へと伸長するという。そうした中、ハイアマチュア向けの新シリーズ「Xレンズ」を投入する。

AVCネットワークス社コンシューマープロダクツ事業グループDSCビジネスユニット ビジネスユニット長の北尾一朗交換用レンズの出荷推移。ミラーレスカメラ用が伸長を牽引している
LUMIX Gシリーズの概念レンズの生産は山形工場で行なわれている
新商標「Xレンズ」をリリース

 Xレンズシリーズに含まれるのは、LEICA DG SUMMILUX 25mm F1.4 ASPH.から採用を始めた「ナノサーフェスコーティング」の採用と、光学的な同社の独自基準を満たしたレンズに与えられる製品。従来のLUMIX Gレンズに加えてのラインナップとなり、ライカDGレンズとは別の価値観に基づく高性能ラインとなる。

 北尾氏は「デジタルカメラ事業への本格参入から10年。手ブレ補正機構をはじめ、挑戦の10年だった。その最新の成果として発表するのがXレンズ。最高峰のレンズがXレンズ」との自信を見せる。

 特に今回の2本は、電動ズーム(パワーズーム)備えた点がトピック。カムのスリム化など全体の小型につながるほか、動画におけるスムーズなズーム動作の実現が狙いという。型番には動画時に適したAF動作や静音性に配慮した「HD」の文字列が入る。

 ナノサーフェスコーティングは、ナノレベル微細構造を持つ超低屈折率の薄膜をレンズ表面に形成したもの。可視光域の全域で光線の反射が飛躍的に低減するとし、その結果、ゴーストやフレアを大幅に低減させ、抜けの良い描写を実現するという。

 また、AF速度も広角時0.1秒(LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm F3.5-5.6 ASPH. POWER O.I.S.)と高速である旨を強調。コンパクトデジタルカメラが先行して市場導入した「POWER O.I.S」など、今回のXシリーズに含まれる同社独自の技術をアピールした。

動画に適したAF動作として、HDレンズはムービーウォブリングと呼ばれるフォーカス動作を行なう今回も0.1秒の高速AFをアピールした

【2011年8月26日】発表会での解説と写真を追加しました。

(本誌:鈴木誠)

2011/8/26 16:38