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サイバーショットRX100 3モデルの違いを見てみよう
Reported by 北村智史(2014/6/9 08:00)
高級コンパクトカメラの定番的存在であるソニー「サイバーショットDSC-RX100」シリーズ。この5月30日に最新の「RX100 III」が登場したが、2013年7月に発売されたひとつ前モデルの「RX100 II」だけでなく、2012年6月発売の初代「RX100」もまだ販売されている。価格がこなれた旧型と、機能や性能面での優位性が期待できる新型を3世代の中から選べるのだからおもしろい。
もちろん、どんなスペックに惹かれるか、どんな機能を必要とするかは人によって違うので、まずはこの3モデルのどこがどう違うのかをチェックしてみよう。
※記事中の価格表記はすべて税込表記です。
5万円を切ったお買い得モデル――RX100
- サイバーショットDSC-RX100:実勢価格4万9,670円前後(2012年6月発売)
初代のRX100は、2012年6月に発売。コンパクトカメラで主流の1/2.3型センサーの約4倍の撮像面積を持つ1型センサーを搭載。
レンズは、新開発の薄型非球面「AA(Advanced Aspherical)レンズ」を採用したカール ツァイス「バリオ・ゾナーT*」で、35mm判換算での焦点距離28-100mm相当F1.8-4.9。レンズ部にはコントロールリングを備え、絞りやシャッター速度、露出補正などを素早く切り替えられる。
十字キーを兼ねたコントロールホイール、7種類の機能を登録しておけるFn(ファンクション)ボタン、好みの設定を記憶させられるMR(メモリーリコール)モードなど、操作性を高める工夫も盛り込まれている。
連写は10コマ/秒で最大10コマまで。AFスピードは最速0.13秒(暗いシーンでは0.23秒)。合焦後に手動で微調整が可能なDMFモードも備える。
動画はAVCHDの1,920×1,080ピクセル、60p。動画撮影時の手ブレ補正は、光学式と電子式を併用するアクティブモードを備えている。
高精細な外付けEVFに対応――RX100 II
- サイバーショットDSC-RX100M2:実勢価格6万870円前後(2013年6月発売)
RX100の進化形と呼べるモデルで、撮像素子が裏面照射型のExmor Rに変更されている。有効画素数は2,020万画素のままで変化はない。画像処理エンジンもBIONZだ。
ベース感度はISO125からISO160になり、最高感度は1段アップのISO12800となった。連写合成によるマルチショットNR時はISO25600で変わりはない。
レンズはRX100のカール ツァイス「バリオ・ゾナーT*」を継承。レンズ基部のコントロールリングに割り当てられる機能に、ステップズームが追加。28/35/50/70/100mm相当の画角が使用できる。
上面に、外付けEVFやストロボを装着できるマルチインターフェースシューを装備したほか、液晶モニターが上下チルト式(可動範囲は上向き84度、下向き45度)となった。その分、上面に出っ張りができ、奥行きも2.4mm増えている。
また、NFC対応のWi-Fi機能も内蔵された。動画のスペックもほぼ同じ。動画撮影中にも静止画が撮れる「デュアル記録」機能も備えている。
広角24mm対応のEVF内蔵新モデル――RX100 III
- サイバーショットDSC-RX100M3:実勢価格9万4,920円前後(2014年5月発売)
従来モデルとの大きな違いは、より広角側にシフトした「バリオ・ゾナーT*」レンズ。28-100mm相当から24-70mm相当になり、開放F値はF1.8-2.8と、望遠側の明るさが2段近くアップした。
加えて、望遠端の最短撮影距離が30cmに短縮(従来は55cmだった)。ただし、焦点距離が短くなっているので、スペックアップかどうかは微妙だ。また、光量を3段分落とせるNDフィルターが内蔵されたのも新しい。
画像処理エンジンは最新のBIONZ Xを搭載。ディテールリプロダクション技術や回折低減処理、エリア分割ノイズリダクションといった高画質化技術も盛り込まれた。
もうひとつのトピックはEVFの内蔵だ。解像度は144万ドット、倍率0.59倍相当と小粒なスペックだが、RX100 II用の外付けEVF(235万ドットで0.71倍相当とスペックは高い)が実売で3万6,200円程することを思うと一長一短だ。
液晶モニターの可動範囲が広がり、自分撮り対応となったこと、フレキシブルスポットAFでの測距枠のサイズを変更できるようになったところも見逃せない。1,280×720ピクセルで120pのHD動画が可能になった一方、動画撮影中の静止画記録は対応していないようだ。
まとめ
画質重視で選ぶなら、裏面照射型のExmor R CMOSセンサーに最新エンジンのBIONZ Xを搭載したRX100 IIIがベスト。望遠側が短くなってしまったのはマイナスだが、F4.9からF2.8に明るくなったメリットは大きいし、広角側が24mm相当となったことで、風景や室内での撮影では有利といえる。EVFを内蔵しているのも強みだ。
一方、24mm相当の広角よりも望遠側が100mm相当まであることを重視するならRX100 IIがいい。裏面照射型のExmor Rなので、RX100よりも高感度域は有利。やや割高感はあるものの、高性能なEVFが用意されているのも見逃せない。
初代のRX100は、価格の手ごろさが大きな魅力。AFスピードはRX100 IIと同等だし、低感度なら画質面で見劣りすることもないはずだ。
比較表
製品名 | RX100 III | RX100 II | RX100 |
---|---|---|---|
撮像素子 | Exmor R CMOSセンサー | Exmor CMOSセンサー | |
有効画素数 | 2,010万 | 2,020万 | |
最高感度 | ISO12800 | ISO6400 | |
レンズ | 24-70mm相当F1.8-2.8 | 28-100mm相当F1.8-4.9 | |
最短撮影距離 | 5cm(広角端)、30cm(望遠端) | 5cm(広角端)、55cm(望遠端) | |
記録媒体 | SDXC/SDHC/SDメモリーカード、メモリースティックデュオ | ||
連写性能(AF追従) | 約2.9コマ/秒 | 約2.5コマ/秒 | ― |
連写性能(ピント固定) | 約10コマ/秒 | ||
液晶モニター | 3型約123万ドット チルト式 | 3型約123万ドット 固定式 | |
EVF | 内蔵 | 外付け | ― |
内蔵ストロボ | ○ | ||
動画 | 最高1,920×1,080/60p | ||
Wi-Fi | ○ | ― | |
バッテリー | NP-BX1 | ||
幅 | 101.6mm | ||
高さ | 58.1mm | ||
奥行き | 41.0mm | 38.3mm | 35.9mm |
質量 | 約290g | 約281g | 約240g |
※レンズの焦点距離は35mm判換算値
※最高感度はマルチショットNRを除く
※高さは突起部を除く
※質量はバッテリー、メモリーカード含む