太田章彦写真展「blowin' in the wind」(新宿ニコンサロン)



作者は、「限界集落」という言葉の視覚化する作業に取り組む。

2011年の春に作者が引っ越しした島根県浜田市弥栄町は、平成の大合併により05年に近隣の市に吸収されて弥栄村から弥栄町になったところだ。作者の母方の祖父母が暮らすこの地には、作者も幼い頃からよく遊びに来ており、メダカやゲンゴロウ、ホタルなどの絶滅危惧種とされる生物をたくさん見つけた記憶がある。

現在、自然に囲まれたこの地は「限界集落」と呼ばれ、作者もこの地の住人として暮らす時間の経過とともに、ここが暗い未来を予感させるその言葉で呼ばれる理由がじわじわと見えてきたという。年寄りが目立ち、子どもが少ない。空き家が増え、学校の数も減り、農業や伝統芸能など、この土地のこれからを担う後継者も不足している。この状況から、数年後、数十年後のことを考えると胸を締め付けられる思いがする。と同時に、「限界集落」の撮影を続けるうちに作者が辿りついた問いは「豊かさとは何か」ということだった。カラー約30点。

(写真展情報より)

 11月3日13時からギャラリートークを行なう。


  • 名称:太田章彦写真展「blowin' in the wind」
  • 会場:新宿ニコンサロン
  • 住所:東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階
  • 会期:2012年10月30日〜2012年11月5日
  • 時間:10時30分〜18時30分(最終日は15時まで)
  • 休館:会期中無休

(本誌:折本幸治)

2012/10/15 14:22