田中雄一郎写真展「大サンパウロ」(ニコンサロンbis新宿)



作者は都市を歩くこと、見ること、聴くこと、そして撮ること。その繰り返しをずっと続けてきた。
2010年の5月の終わりから3ヶ月間、南米最大の都市サンパウロの街をせっせと歩き回った。混沌とした街は通りごとに顔を持ち、起伏に沿って造られた道は曲がりくねり、北へと昇る太陽はあっという間に方向感覚を失わせた。
大通りから路地に入ると、そこには延々と住宅街が広がり、閑静な住宅街の先には突然スラム街が現れる。繁華街の活気とは明らかに異なり、緊張感を伴う活気がそこにはある。その先には何事もなかったかのように落ち着いた家々が連なる。
雑多なものが街中に溢れ、それらは隠すことも隠されることもなく存在し、街には生命力が漲っている。幸福や暴力すらも、路地を曲がればそこに存在するかのようであり、何が現れようと不思議ではなかった。そこには絶えず、予測することもできない緊張感が私を包んでいた。
地形だけではない、起伏に富んだサンパウロの街を一括りにすることなど出来るはずもなく、ただ、ひたすらに歩くことで、サンパウロの街はその面積以上に作者の中で広がり続けた。展示する作品は、それらの断片である。モノクロ67点。(写真展情報より)

 1月28日13時からギャラリートークを行なう。

  • 名称:田中雄一郎写真展「大サンパウロ」
  • 会場:ニコンサロンbis新宿
  • 住所:東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階
  • 会期:2012年1月24日〜2012年1月30日
  • 時間:10時30分〜18時30分(最終日は15時まで)
  • 休館:会期中無休

(本誌:折本幸治)

2012/1/10 00:00