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【新製品レビュー】富士フイルム「FinePix Z250fd」

~定番スタイリッシュモデルがより美しく進化
Reported by 本誌:折本幸治

 FinePix Z250fdは、現在もヒットを続けるFinePix Z200fdの後継モデルだ。

 主な新機能はシーン認識の追加と、ブログモードの強化のみ。と聞くと、新鮮味の薄いマイナーチェンジに感じられるが、一番の変化は本体にあしらわれたデコレーションにある。女性を意識したデザインはZシリーズのお家芸ともいえるが、ここまで突き抜けたデザインは初めての試みといえる。

 そのほかの仕様はZ200fdと共通。後継モデルといってもFinePix Z200fdは6月の発売なので、大幅なデバイスのアップデートはない。とはいえ独自性が薄いわけではなく、例えば、顔認識を使ったセルフタイマー「恋するタイマー」や「みんなでタイマー」など、FinePix Z系らしい機能は健在だ。

 撮像素子は1/2.3型の有効1,000万画素CCD。レンズは焦点距離33~165mm相当(35mm判換算)F3.8~4.8の5倍ズーム。カメラ系量販店での販売価格は3万6,800円前後。


ついに登場した純正「デコカメ」

 本体色は、デコレーションピンク、デコレーションホワイト、グラデーションレッド、グラデーションパープルの4色。そのうちレース柄をあしらったピンクとホワイトのインパクトは強烈で、あたかも「純正デコカメラ」といった趣だ。昨今の携帯電話の一部カラーバリエーションを思わせる男子禁制の領域といってよい。

 一方、グラデーションの2色は大人っぽさを強調したデザイン。グロス仕上げの高級感はレースより格上に感じられ、主観だが男性が使ってもそこそこ許されそうに感じる。

 残念なのは従来同じように、各色とも前面と背面で仕上げが異なる点。今回は前面が凝っているだけに、贅沢をいえば背面まで統一感を持たせて欲しかった。


デコレーションピンク デコレーションホワイト

グラデーションレッド グラデーションパープル

 レンズバリアは従来機同様、斜め下に向かってスライドさせて開く方式。Zシリーズにしか見られないギミックであり、実用性も高い。バネ圧の強さや、抵抗感も心地よいものだ。全体的な高級感はさらにブラッシュアップされており、レンズ周りのメッキパーツ、金属製の三脚穴、側面の化粧ビス、前面の「Z」ロゴLED周りの処理など、コストをかけた造りの良さを各所に感じる。

 操作性もZ200fdから変化はない。背面の操作部は、上下左右への押し込みが可能なホイールダイヤルを中心に、各ボタンをシンメトリーにすっきりと並べたもの。ボタンが少ないので迷うことはない。メニューの階層は少なく、操作ルールも統一されてわかりやすい。撮影モードを変える程度なら、直感的な操作が可能だ。

 また、FinePix Z200fdと同様、各撮影モードのアイコンを選択して十字ボタン右を押すと、そのモードでできる撮影設定が一覧で表示される。露出補正、ホワイトバランス、ISO感度といった基本設定もここから行なうことが可能だ。ただし、メニューに対するホイールダイヤルの追随は今一つだし、操作に対するタイムラグが何かと少々生じる。初心者がメニュー内容をしっかり確認しながら、ゆっくり操作する分には問題ないと思う。


レンズバリアを閉じたところ 開いたところ。斜めに開くのはZシリーズだけ

レース柄のアップ。微妙に盛り上がっているのがゴージャス

グラデーションのアップ。細かいドットがあしらわれている


使える「シーンぴったりナビ」

 新機能の「SR AUTO」(シーンぴったりナビ)は、8月発売のFinePix F60fdに続く搭載となる。カメラが被写体やシーンを判別し、「人物モード」、「風景モード」、「夜景モード」、「マクロモード」のいずれかを自動的に設定してくれるものだ。いわゆるシーン認識技術を生かした撮影モードになる。使ってみると精度は高く、この手の装備はシンプルな使い勝手のFinePix Z系にはうってつけの機能に感じた。

 特に「顔キレイナビ」での実積がある富士フイルムらしく、人物を配した構図での使い勝手の良さが光る。例えば、夜景をバックに人物を撮る場合、人物にピントとストロボ光量を合わせつつ、感度を上げて背景落ちも防ぐといった、複数の設定を自動的に行なう。

 また、被写体が近いと自動的にマクロモードに切り替るのも便利だ。これを利用すれば「クイックショット」も今まで以上に活きる。クイックショットは、最短撮影距離を通常の約60cm(広角端)ではなく、1mに制限することで、ピント合わせを高速化する設定。スナップ撮影などでシャッターチャンスに強くなるものの、最短撮影距離が40cm長くなることに抵抗を感じて使わない人もいたはずだ。その点SR AUTOなら、自動的にマクロモードに切り替るので、普段はSR AUTOでクイックショット(1m~無限遠)に設定にしておけば、被写体が近いときは自動的にマクロモード(広角端約9~80cm、望遠端約30~80cm)へとシームレスな自動切替が期待できる。

 便利なSR AUTOだが、露出補正は不可能で、ISO感度とホワイトバランスはオート(ISOオートはISO100から)になる。そのへんを割り切って使えば、このカメラにふさわしいメインモードになると思う。

 なお、露出補正、ホワイトバランス、ISO感度を自分で設定したい場合は、MANUALモードにする。FinePix Z系におけるMANUALとは、絞りとシャッター速度は自動で、そのほかの設定を変更できる、いわゆるプログラムオートを指す。


SR AUTO(シーンぴったりナビ)を選択

すると自動的にシーンモードが決まる。この場合はAUTOになった


 もうひとつの新機能がブログモードの強化。撮影画像を640×480ピクセルなどにリサイズして、赤外線ポートから携帯電話に送信するモードで、今までもFinePix Z系のアピールポイントだった。

 今回は単にリサイズするだけでなく、撮影時に認識した顔にモザイクをかける「顔モザイク」や、遠近感を強調して模型のような表現を与える「ミニチュア調」など、新たな編集機能が利用可能になっている。中でもミニチュア調は、今風にいえば本城直季氏の「small planet」のような写真になるモード。結構ハマった。また、モザイク効果は、ブログで公開する際、肖像権が気になるときに使用するためのものだ。

 従来通りあくまでもブログモードの加工機能であり、フルサイズのまま加工できないのが残念。加工後は赤外線(IrSimple)経由で、すぐに携帯電話へ送信できるところも最近のZシリーズと同じだ。


ブログモード。十字ボタン上で加工内容を選ぶ画面に

アスペクト変更も可能。多彩なアスペクト比が選べる


認識した顔にモザイクをかける効果も

モザイク効果は4段階から選べる。複数の顔にも対応


今回の目玉が「ミニチュア調」

本城直季風の写真に。ピント位置は常に中央で指定できない


毎日持ち歩きたい日常カメラ

 液晶モニターは2.7型約23万ドット。記録メディアスロットは、xDピクチャーカードとSDHC/SDメモリーカードの共用タイプを採用する。いずれもFinePix Z200fdから変更はない。また、バッテリーも従来と同じで、CIPA規格準拠の撮影枚数は、約170枚となっている。いまどきのコンパクトデジタルカメラの標準からすると少なめだが、日々持ち歩いて行動を記録する使い方なら十分だろう。

 顔認識の精度は高く、速度も高速。顔認識を生かした機能も豊富で、撮影時には撮影直後の拡大表示、再生時にはスライドショーやトリミングで活躍している。中でも撮影後に自動的に顔が拡大され、表情がよくわかるのは便利。おかげで被写体からのダメだしも多くなりそうだが。


薄型ボディに屈曲光学系の5倍ズームレンズを搭載

顔認識専用ボタンを備える


IrSimple対応の赤外線ポートを搭載

背面の操作部。シンプルなボタン配置だ


 また、FinePix Z200fdで話題を呼んだ「恋するタイマー」や「みんなでタイマー」も健在。どちらもセルフタイマーの一種で、前者は顔の距離、後者は顔の数をキーにしてセルフタイマーが作動する。【新製品レビュー】富士フイルム「FinePix Z200fd」で詳しくとり上げているので、ご参照いただきたい。

 マニュアル露出やRAW機能のような尖った機能はないが、フォルダー分類、プライベートフォルダのパスワード設定、日付別の再生表示など、日常での使用で便利な機能が充実しているのも特徴だろう。


最高感度はISO1600。最低感度はISO64だ

FinePix伝統の「ナチュラルフォト」や「高感度2枚撮り」も搭載


互いの顔を近づけないと撮影が始まらない「恋するタイマー」 最後に撮影者が画面に入るとセルフタイマーが始まる「みんなでタイマー」

互いの顔を近づけないと撮影が始まらない「恋するタイマー」 最後に撮影者が画面に入るとセルフタイマーが始まる「みんなでタイマー」

まとめ

 あいかわらずボタンが少なく、露出補正などの操作を行なうのが面倒なカメラだが、オート主体での撮影が多いと思われる本機のユーザー層を考えると、納得できる範囲だ。むしろ実用性の高いSR AUTOがついた今、多くのシーンで細かい設定は必要ないのかもしれない。

 もちろんカメラ任せのSR AUTOに場面によって向き不向きがあり、認識精度そのものというよりは、露出補正、ISO感度、ホワイトバランスが設定できない点に不満が募るかもしれない。ただし、日常持ち歩いて使っていると、「レンズバリアを開ける、シャッターを押す、レンズバリアを閉じる」に限定した、シンプルな操作に心地さを感じた。外観や専用アクセサリーがおしゃれで、しかも初心者でも扱いやすいことを考えると、彼女へのプレゼント用カメラとしても最適だろう。


 

●作例

  • サムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。


画角

広角端
FinePix Z250fd / 約3.7MB / 3,648×2,736 / 1/160秒 / F6.4 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 5.9mm
望遠端
FinePix Z250fd / 約4.3MB / 3,648×2,736 / 1/300秒 / F4.8 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 29.5mm

歪曲収差

広角端
FinePix Z250fd / 約4.0MB / 3,648×2,736 / 1/56秒 / F3.8 / +0.3EV / ISO64 / WB:晴天 / 5.9mm
望遠端
FinePix Z250fd / 約4.4MB / 3,648×2,736 / 1/42秒 / F4.8 / 0EV / ISO64 / WB:晴天 / 29.5mm

ISO感度

ISO64
FinePix Z250fd / 約3.9MB / 3,648×2,736 / 1/8秒 / F3.8 / 0EV / WB:日陰 / 5.9mm
ISO100
FinePix Z250fd / 約4.2MB / 3,648×2,736 / 1/13秒 / F3.8 / 0EV / WB:日陰 / 5.9mm
ISO200
FinePix Z250fd / 約4.1MB / 3,648×2,736 / 1/26秒 / F3.8 / 0EV / WB:日陰 / 5.9mm

ISO400
FinePix Z250fd / 約4.3MB / 3,648×2,736 / 1/56秒 / F3.8 / 0EV / WB:日陰 / 5.9mm
ISO800
FinePix Z250fd / 約4.0MB / 3,648×2,736 / 1/110秒 / F3.8 / 0EV / WB:日陰 / 5.9mm
ISO1600
FinePix Z250fd / 約4.1MB / 3,648×2,736 / 1/210秒 / F3.8 / 0EV / WB:日陰 / 5.9mm

SR AUTO(シーンぴったりナビ)

 左は通常のオートで、右はSR AUTOで撮影。SR AUTOは顔認識が作動し、顔にしっかりピントがあった。また、三脚を使っていたのを認識してか、ISO感度が下がりスローシャッターに。おかげで背景落ちも少なくなっている。


オート
FinePix Z250fd / 約4.4MB / 3,648×2,736 / 1/60秒 / F4.6 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 13.9mm
SR AUTO
FinePix Z250fd / 約4.1MB / 3,648×2,736 / 1/15秒 / F4.6 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 13.9mm

ブログモード

 ブログモードのうち、「ミニチュア調」を試してみた。極端なボケが前後に生まれているのと同時に、彩度が高くなることで、おもちゃの街のジオラマを接写した雰囲気になった。メモリーカード内に新しいファイルとして記録され、適用前の写真はそのまま残る。


元画像(ガラス越し)
FinePix Z250fd / 約4.2MB / 3,648×2,736 / 1/320秒 / F4.2 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 9.2mm
「ミニチュア調」補正後

FinePixカラー

F-スタンダード F-スタンダード F-B&W

自由作例

FinePix Z250fd / 約4.1MB / 3,648×2,736 / 1/75秒 / F4.8 / 0EV / ISO200 / WB:晴天 / 29.5mm FinePix Z250fd / 約4.5MB / 3,648×2,736 / 1/27秒 / F4.8 / -0.7EV / ISO64 / WB:日陰 / 29.5mm

FinePix Z250fd / 約4.2MB / 2,736×3,648 / 1/250秒 / F4.8 / -1EV / ISO64 / WB:日陰 / 29.5mm FinePix Z250fd / 約3.9MB / 2,736×3,648 / 1/220秒 / F6.4 / 0EV / ISO64 / WB:晴天 / 5.9mm

FinePix Z250fd / 約3.7MB / 3,648×2,736 / 1/450秒 / F4.3 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 10.2mm FinePix Z250fd / 約3.7MB / 2,736×3,648 / 1/250秒 / F4.2 / 0EV / ISO64 / WB:晴天 / 9.2mm

FinePix Z250fd / 約3.6MB / 2,736×3,648 / 1/400秒 / F8 / -0.3EV / ISO64 / WB:晴天 / 29.5mm FinePix Z250fd / 約4.2MB / 3,648×2,736 / 1/220秒 / F6.4 / 0EV / ISO64 / WB:晴天 / 5.9mm


FinePix Z250fd / 約4.3MB / 3,648×2,736 / 1/280秒 / F6.4 / -0.3EV / ISO64 / WB:晴天 / 5.9mm FinePix Z250fd / 約4.4MB / 2,736×3,648 / 1/680秒 / F4.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 17.1mm(35mm判換算)

FinePix Z250fd / 約4.2MB / 2,736×3,648 / 1/400秒 / F6.4 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 5.9mm

FinePix Z250fd / 約2.3MB / 3,648×2,736 / 1/240秒 / F3.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 5.9mm

FinePix Z250fd / 約4.4MB / 3,648×2,736 / 1/40秒 / F3.8 / 0EV / ISO200 / WB:晴天 / 5.9mm FinePix Z250fd / 約3.9MB / 2,736×3,648 / 1/14秒 / F3.8 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 5.9mm


URL
  富士フイルム
  http://www.fujifilm.co.jp/
  製品情報
  http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/finepixz250fd/

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本誌:折本幸治

2008/12/10 00:07
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