デジカメ Watch

【新製品レビュー】富士フイルム「FinePix Z200fd」

〜「恋するタイマー」を搭載、カジュアル路線の薄型機
Reported by 本誌:折本 幸治

 スタイリッシュでスリムなボディが女性層に好評を博し、近年のFinePixシリーズで特にヒットしているのがFinePix Z系列。その最新モデルが「FinePix Z200fd」だ。

 外観は前モデルの「FinePix Z100fd」とほとんど同じ。斜め下にスライドするレンズバリアをはじめ、その特徴的な意匠をそのまま引き継ぐ。また、光学5倍ズームレンズ、2.7型約23万画素の液晶モニター、赤外線通信IrSimpleの装備など、主要なスペックも前モデルから変わらない。

 ただし、撮像素子が有効800万画素の1/2.5型CCDから、有効1,000万画素の1/2.3型CCDになっている。また、顔検出機能を活かした「恋するタイマー」や「みんなでタイマー」を搭載。いまのところ、本機にのみ搭載されている機能だ。

 実勢価格は4万円前後。同じFinePix Z系列には低価格な「FinePix Z20fd」が存在し、本機より1万5,000円ほど安く入手できる。また、ハイスペックを売りとしたFinePix F系の現行モデル「FinePix F100fd」は本機と同程度、もしくは若干低価格になる。2007年からZ2桁系ラインが新設されたことで、Z3桁系ではスタイリッシュかつ高機能を売りとする、独自の高級路線を展開しているようだ。


使いやすくなった操作系

 ボディの奥行きは20mmと薄く、前面・背面ともほとんどフラット。衣服やバッグのポケットに収めやすいのが特徴だ。重量はバッテリー込みで約150g。日常持ち歩くのに携帯性は十分だろう。

 斜め方向に開閉するレンズバリアも前モデルから継承。見た目のギミックと滑らかな動作感が楽しい上、電源のON/OFFを兼ねていることから実用性も高い。





 ボディの表面仕上げをはじめ、メッキパーツの質感、金属製の三脚穴、側面のネジ頭の処理に至るまで、高いこだわりを感じる外観だ。特にボディ前面はヘアライン加工にグロス処理を施したもので、最近のアクセサリー類に通じる上質さを受ける。唯一外観で残念なのは、前面と背面でカラーが違うところだろうか。

 レンズは前モデルと同じく屈曲光学系の光学5倍ズーム。ただし、焦点距離が33〜165mm相当(35mm判換算、以下同)となり、従来の36〜180mm相当からワイド側にシフトしている。24mmや28mmほどの強い遠近感は得られないもの、それなりにワイド感ある作品が狙えそう。屈曲光学系で広角端が35mmを切る機種はまだ少数派だけに、広角と薄さをなるべく両立したい人は一考の価値ありだろう。それでいて5倍ズームなので、望遠側にもある程度強い。手ブレ補正も良く効く印象なので、気軽に何でも撮ろうかという気になる。

 液晶モニターは上下の視野角が広く、撮影時には滑らかな60fpsモードにも切り替えられる。順光ではいまひとつ見づらいシーンもあったが、明るさを上げれば問題なし。できれば、一時的に輝度を上げる機能が欲しかった。


レンズバリアは斜めにスライドする 電池室に記録メディアスロットも併設。別々にあるよりわかりやすい

 操作スイッチ類は前機種と同じ配置。ホイールダイヤルに合わせて動くメニューは面白いが、ホイール動作に対する追随が遅いため、思ったところで止めづらい。とはいえ、一般的な十字ボタンと同じように上下左右に押し込めるので、ホールの操作感が気に入らなくても問題ないだろう。

 メニューデザインにも大きな変化はない。トップメニューに撮影モードと撮影メニューのアイコンを並べたもので、使いづらかった点も引き継がれている。例えば撮影モード「マニュアル」で露出補正を試みると、ホイールダイヤルを回して(あるいは上下ボタンを押して)撮影メニューアイコンを探し、MENU/OKボタン押して現れた撮影メニューから露出補正を選択、上下ボタンで露出補正といった具合だ。トップメニューで撮影モードと撮影メニューが離れていると、何かを設定するだけでも苦労を伴う。しかも、ホワイトバランス、AF方式、FinePixカラーなど、多くの設定項目が撮影メニューに集約されているので、細かく機能を制御したい人は苦痛を伴いそうだ。

 ……というのは前モデルまでの話。FinePix Z200fdも基本的にはこれまでと同じメニュー体系だが、今回は従来の操作に加えて、撮影モードアイコンを選んだまま右ボタンを押すと、撮影メニューにそのまま移動できるようになった。メニューを呼び出して数度ボタンを押さなければならないのは同じだが、露出補正などの設定に要する手数が減ったのは事実。前機種よりは使いやすくなった。


ホイールダイヤルは上下左右に押し込んで操作することも可能 トップメニューの表示例。ホイールの動きにあわせて上下にアイコンが移動する

撮影中の表示例 撮影直後に自動的に拡大させる機能もある

 シャッターボタンの形状は横長で、押しやすい位置にある。ストロークは適度だが、2段目が少し固いタイプ。記録メディアスロットは、SDHC/SDメモリーカードとxDピクチャーカードの両方に対応する。

 気になったのは、フル充電からの撮影可能枚数だ。CIPA規格に準拠した数値は約170枚と少ない上、液晶モニターの明るさを上げたり、撮影時のフレームレートを60fpsモードにするとさらに減る印象を受けた。設定や撮影内容にもよるが、電池1つだと日帰り旅行でも厳しいと感じる。


ユニークな「恋するタイマー」と「みんなでタイマー」

 注目の「恋するタイマー」は、2つの顔の距離が設定した内容に合致すると、自動的にシャッターが切れるという機能。設定は「お友達」、「仲良し」、「ラブ」の3段階で、後ろになるほど「ラブ度」が高くなり、2人の顔を近づけなければならないルールだ。ラブ度の設定は、本体上面の「顔キレイナビボタン」で行なう。

 要件を満たすと、本体前面のイルミネーション/セルフタイマーランプ(Z字のマーク)が点灯。おもむろに2秒セルフタイマーが始まり、シャッターが2秒後に切れる。ラブ度最高の「ラブ」になると、ほとんど互いの顔を密着させなければならない。その様子を動画で掲載したが、男2人で大変むさくるしいのはご勘弁いただきたい。なお自分撮りでも「恋するタイマー」を利用できるが、その場合はマクロモードに設定した方が歩留りが良く、説明書にもその旨が記述されている。


「恋するタイマー」の設定画面。ボディ上面の「顔キレイナビボタン」でラブ度を変更する こちらは「みんなでタイマー」。同じく顔キレイナビボタンで人数を設定

 もうひとつの「みんなでタイマー」は、1〜4人まで設定した人数の顔を検出すると、自動的に2秒セルフタイマーが始まるもの。誰かが下を向いたり後ろを向いた状態では作動しにくくなっている。例えば三脚を使った記念撮影では、カメラの前の被写体3人+カメラ操作者1人の計4人を設定しておくと、カメラセッティングを行なった1名がレンズの前にきて、顔をカメラに向けてはじめて撮影が始まるわけだ。

 もともと富士フイルムの顔検出機能は10秒セルフタイマーと併用が可能で、記念撮影において「みんなでタイマー」と似たようなテクニックが使えた。つまりカメラセッティングを行なう人物がシャッターボタンを押した10秒間にフレームに入れば、自動的にピントと露出が顔に合う。本機能はそうしたセルフタイマーと顔検出の併用をさらに強化した機能といえ、記念撮影を良く行なう人なら実用度も高い。

 顔検出を活用したものとしては、笑顔をトリガーにして撮影する機種が見られるが、本機での活用法は類をみないもの。今後の進化が楽しみだ。


恋するタイマー(ラブ度1=お友達)

恋するタイマー(ラブ度2=仲良し)

恋するタイマー(ラブ度3=ラブ)

みんなでタイマー(3 人)

カメラ内で歪曲収差を補正

 ISO感度設定はオートとISO64〜1600。高感度での画質は目立って良い方ではなく、条件によってはISO200でも大きめのカラーノイズが目立つ。といっても同クラスの他機種に比べて特段劣るというほどでもなく、大サイズにプリントしない限り、十分使える画質だと思う。ISO800まで彩度が抜けないのも立派。ISO400から解像感がはっきりと失われ、ISO800以上になると、リサイズしてのWeb用やメモ用途に割り切りたいところだ。大きく拡大してみた場合、画像の周辺がボケたように乱れているのも欠点。逆光には強い。

 画質に細かい不満はあるものの、広角端・望遠端とも歪曲収差がほとんど見られないのはすごい。撮影前の液晶モニター表示では歪曲が確認できるので、おそらく内部で画像処理をしているのだろう。

 それよりもISOオートに設定すると、かなり明るい状態でもISO100からスタートするのはやり過ぎだと感じた。レンズがF3.8〜4.8と暗く、手ブレや被写体ブレの可能性を勘案しての仕様だろう。ISO100よりもISO64の方が画質が良いので、条件が許すなら、ISO64に固定して手ブレ補正に頼るのが良いと思う。

 オートホワイトバランスは、補正をあまりせずに雰囲気を残すタイプ。日中では青味が乗りがちだし、電球の下では赤味が残ったままだ。気になる場合は、ホワイトバランスを「晴天」、「日陰」、「昼光色蛍光灯」、「昼白色蛍光灯」、「白色蛍光灯」、「電球」のいずれかに固定したい。カスタム設定はない。

 そのほか、IrSimple/IrSSを採用した赤外線通信機能、撮影済み画像を低解像度にリサイズするブログモード、撮影画像を「家族」や「イベント」などプリセットのフォルダに保存するフォルダ選択などをFinePix Z100fdから受け継いでいる。


CCDシフト式の手ブレ補正機能を装備 「フォルダ選択」で保存先を選択可能。再生モードで表示するフォルダを選べる

IrSimple/IrSS対応の赤外線ポートを装備 富士フイルムのPiviや携帯電話などに画像を送信できる

まとめ

 露出補正のやりにくさをはじめ、カメラマニアには多少の不満を与えるカメラかも知れないが、若い女性をはじめとした、一般層のカジュアルな利用には十分対応できる。常時携帯できるサイズと、ボディの質感の高さもポイントだ。みんなでタイマーも、旅行や行事での記念撮影が多いなら活用度が高い。

 実際のところ、レンズバリアを開けながら胸ポケットから取り出し、気になるものをどんどん撮影するのは楽しい経験だった。オート主体で気軽に撮れるというコンセプトを考えると、こういうカメラが手元に1台あっても良いかなと思う。機能よりは機動性、小型軽量でかつ高級感も重視したい人に試してほしい。
 

●作例

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、記録解像度(ピクセル)/露出モード/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離/FinePixカラーを表します。
  • 強調のため一部の項目を1行目に抜粋した場合もあります。


画角

 レンズの焦点距離は33〜165mm相当。薄いボディに光学5倍ズームはうれしい。屈曲光学系としてはワイドに強い部類でもある。


広角端
3,648×2,736 / マニュアル / 1/280秒 / F6.4 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 5.9mm / F-スタンダード
望遠端
3,648×2,736 / マニュアル / 1/500秒 / F4.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 29.5mm / F-スタンダード

歪曲収差

 ソフト的に補正しているらしく、広角端・望遠端とも歪曲収差はほとんど見られない。周辺がぼやけているのが残念。


3,648×2,736 / マニュアル / 1/140秒 / F3.8 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 5.9mm / F-スタンダード 3,648×2,736 / マニュアル / 1/100秒 / F4.8 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 29.5mm / F-スタンダード

感度

 撮影モード「マニュアル」のときのみ、ISOオート以外の個別設定が行なえる。ISOオートにすると、最低感度がISO100になるようだ。

 拡大して細かく見るとノイズの存在が気になるが、他社のライバル機に対して大きく劣るものではない。手ブレ補正が良く効くので、静止した被写体なら低感度で撮るのも手だ。


ISO64
3,648×2,736 / マニュアル / 1/70秒 / F4.8 / 0EV / WB:オート / 19mm / F-スタンダード
ISO100
3,648×2,736 / マニュアル / 1/110秒 / F4.8 / 0EV / WB:オート / 19mm / F-スタンダード
ISO200
3,648×2,736 / マニュアル / 1/220秒 / F4.8 / 0EV / WB:オート / 19mm / F-スタンダード

ISO400
3,648×2,736 / マニュアル / 1/450秒 / F4.8 / 0EV / WB:オート / 19mm / F-スタンダード
ISO800
3,648×2,736 / マニュアル / 1/300秒 / F8 / 0EV / WB:オート / 19mm / F-スタンダード
ISO1600
3,648×2,736 / マニュアル / 1/500秒 / F8 / 0EV / WB:オート / 19mm / F-スタンダード

FinePixカラー

 もはやシリーズの伝統ともいえる色調変更機能「FinePixカラー」も装備。本機の場合、「F-スタンダード」でも十分なコントラストと彩度が得られていると思うが、「F-クローム」にするとさらに濃い色に。ただし条件にもよるが、屋外だと若干青味が増すようだ。


F-スタンダード
2,736×3,648 / マニュアル / 1/340秒 / F6.4 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 5.9mm
F-クローム
2,736×3,648 / マニュアル / 1/420秒 / F6.4 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 5.9mm
F-B&W
2,736×3,648 / マニュアル / 1/340秒 / F6.4 / 0EV / ISO100 / WB:― / 5.9mm

一般作例

3,648×2,736 / マニュアル / 1/240秒 / F6.4 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 5.9mm / F-スタンダード 2,736×3,648 / マニュアル / 1/340秒 / F4.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 19mm / F-スタンダード

3,648×2,736 / マニュアル / 1/200秒 / F4.8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 19mm / F-スタンダード 3,648×2,736 / マニュアル / 1/70秒 / F3.8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 5.9mm / F-スタンダード


3,648×2,736 / マニュアル / 1/240秒 / F4.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 29.5mm / F-スタンダード

3,648×2,736 / マニュアル / 1/75秒 / F4.6 / +0.7EV / ISO64 / WB:晴天 / 13.9mm / F-スタンダード


2,736×3,648 / マニュアル / 1/550秒 / F6.4 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 5.9mm / F-クローム

2,736×3,648 / マニュアル / 1/120秒 / F4.2 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 9.2mm / F-スタンダード


3,648×2,736 / マニュアル / 1/4秒 / F4.8 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 21mm / F-クローム

3,648×2,736 / マニュアル / 1/950秒 / F6.4 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 5.9mm / F-スタンダード


3,648×2,736 / マニュアル / 1/26秒 / F4.2 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 9.2mm / F-クローム

3,648×2,736 / マニュアル / 1/60秒 / F4.5 / +0.3EV / ISO64 / WB:オート / 12.5mm / F-スタンダード


3,648×2,736 / マニュアル / 1/4秒 / F3.9 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 6.6mm / F-スタンダード

2,736×3,648 / 夜景 / 1/3秒 / F4.4 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 11.3mm / ―



URL
  富士フイルム
  http://www.fujifilm.co.jp/
  製品情報
  http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/finepixz200fd/

関連記事
富士フイルム、「FinePix Z200fd」を21日に発売決定(2008/06/10)
富士フイルム、「FinePix Z200fd」を6月下旬に発売延期(2008/06/04)
富士フイルム、“恋するタイマー"を備えた「FinePix Z200fd」(2008/05/22)
【新製品レビュー】富士フイルム「FinePix Z100fd」(2007/11/21)



本誌:折本 幸治

2008/07/02 00:51
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.