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顔検索、PCシンク、Webアップロードなど「Picture Motion Browser」のユニークな機能を試す

Reported by 本誌:武石 修

Picture Motion Browser
 デジタルカメラを購入するとたいて付属しているのが、各社オリジナルの画像管理ソフトだ。写真の取り込み、閲覧、それにレタッチ機能を備えるものまで様々だ。“使いこなしている”という人から“インストールもしていない”なんて人もいるだろう。しかし、付属ソフトだからといって「おまけ程度」との認識は早計だ。各社工夫を凝らした中身になっている。

 今回は、デジタルカメラ付属ソフトの中でもユニークな機能を数多く搭載しているソニーの「Picture Motion Browser」(PMB)を取り上げることにした。PMBは2006年のサイバーショットから同梱を始めた写真管理ソフトだ。その後、αシリーズ、ハンディカム、携帯電話、VAIOなどにも付属するようになった。

 PMBの画面表示は大きく分けて2種類ある。イベントごとに表示する「イベントビュー」と時系列で表示する「日付ビュー」だ。取り込んである写真を日付ビューにすると、撮影順に一覧できて視認性がよい。独自のGUIを採用しており、年表示、月表示など写真をクリックすることでスケールを瞬時に切り替えることができる。さらに、大量のサムネイルを表示した場合でも表示がもたつくことはなく、快適に眺めることができる。マウスのホイールを回しながら、「あの頃はこんなことがあったんだ」などとしばし見入ること請け合いだ。


フォルダビュー 日付ビュー(年表示)

日付ビュー(月表示) 日にちごとの表示も可能

特定の人物をピックアップ可能になった顔検索機能

画面右下の「人物」ボタンを押したところ。顔を含む画像のみに絞り込まれる
 8月のアップデートでPMBには顔検索機能が加わっている。“顔”というと、人物の顔を検出してピントや露出を合わせる「顔検出」技術は、昨今のコンパクトデジタルカメラではすっかり定着した機能。では、PMBの顔検出で何ができるのかというと、取り込んだ大量の写真から顔の写っている画像のみを探し出すことが可能になった。さらに、顔を識別することで、ある写真に写っている人と同じ人物を探すこともできるようになった。

 画像全体から人物の顔が写っているを探したい場合には、すべての写真を表示させた上で「人物」ボタンを押すだけでよく、顔を含む画像が素早く表示される。さらにPMBでは、顔検出を応用した「似た顔の検出」が利用できる。先ほどの写真から特定の顔をクリックすると、画面下の顔エリアに顔部分のみが表示される。その顔をクリックすると、写真全体からその人を含む写真のみが並ぶ。なお、人物ボタンの隣には「笑顔ボタン」も装備。笑顔で写っている写真のみ探せるというおもしろい機能だ。

 顔検出や似た顔の検索は、わずかだが人以外の被写体が含まれてしまったりして、100%の精度とはいえないが、人の顔をキーにして写真を探せるというのは新鮮だ。PMBでは、画像の取り込み時にあらかじめ画像解析を行なっている。そのため、顔検索が瞬時に行なえるのがうれしい。


顔を含む画像から1枚を選択したところ。その写真に含まれる顔が顔エリア(画面下)に現れる 顔エリアの人物を選択すると、その人が含まれる画像がピックアップされる

カメラがアルバムになる「PCシンク」

4GBのメモリを内蔵するDSC-T700
 9月に発売したコンパクトデジタルカメラ「サイバーショットDSC-T700」などと連携してカメラと写真の共有ができるのがPCシンク機能だ。なお、DSC-T700の詳細は、吉住志穂氏のレビューを参照されたい。

 カメラをPCに接続すると自動で撮影画像をPCに移動させ、さらに、VGAサイズにリサイズした画像をカメラの内蔵メモリーに転送する。これで、カメラ本体でいつでも撮影した写真を再生可能になる。DSC-T700は、VGA(約92.1万ドット)の液晶モニターを搭載しており、これを活かした機能になっている。DSC-T700の内蔵メモリは4GB。VGAサイズの画像を最大で約4万枚保存でき、持ち運べるアルバムとして利用可能だ。カメラ側ではPMBと同じように日付ビュー、イベントビューといったモードで表示できる。

 カメラからPCへの移動は、撮影した差分のみ行なわれ、その時のリサイズ画像をカメラに転送してくれる。PCとカメラで写真を同期させた状態にでき、iPodとiTunesのような関係といえそうだ。なおPCシンクは内蔵メモリーを搭載しないモデルでもメモリースティックに書き出すことで利用可能だ。


カメラをPCに接続すると表示されるウィンドウ。差分となる写真のみを取り込むことができる 取り込みが終了すると、顔検出などを行なうための画像解析が始まる

PMBの「かんたん書き出し」機能で、カメラにVGAサイズの画像を転送できる DSC-T700の液晶モニターは、3型約92万ドット。きれいな再生を楽しめる

カメラでのフォルダビュー こちらは日付ビュー。PMBと同じ表示を実現している

どのPCからでも画像をWebにアップロード

アップロード画面の一例(So-net Photo)。複数の画像をアップロードできる
 PMBは写真共有サイトに簡単に画像をアップロードできる機能を搭載しているが、PMBをインストールしていないPCでもアップロード機能を利用できるのが「PMBポータブル」だ。DSC-T700などの内蔵メモリ搭載機で使用可能な機能で、内蔵メモリーにアップロード用のソフトが入っており、外出先などのPCにカメラを接続するとソフトが立ち上がる仕組み。

 国内ではeyeVio、So-net Photo、YouTube、Dailymotion、Picasaなど多くのサービスに対応している。ネットカフェのPCなどからすぐにアップロードできるのは便利だろう。

 そのほか、GPSユニットなどを使用して位置情報を記録した画像を地図上に表示する「マップビュー」といった機能も備えており、PMBは様々な楽しみ方ができるソフトになっている。このように多彩な機能を備えたソフトだけに、PMB単体での発売を希望したいところ。

 PMB以外にもカメラ付属のソフトは、各社工夫を凝らしている。“おまけ"という認識を改めて、使いこなしてみれば新しい発見があるはずだ。


選択した写真を地図上に表示できるマップビュー。ルート表示などもできる ソニーではデジタルカメラと一緒に持ち歩いて位置情報を記録できるGPSユニット「GPS-CS1KSP」を用意している


URL
  ソニー
  http://www.sony.co.jp/
  Picture Motion Browser
  http://support.d-imaging.sony.co.jp/www/disoft/jp/pmb/

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本誌:武石 修

2008/10/27 12:10
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