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【新製品レビュー】ソニー「サイバーショットDSC-T700」

~機能充実のシリーズ最上位モデル
Reported by 吉住志穂

 スタイリッシュな薄型モデルとして代を重ねるサイバーショットTシリーズの最上位モデルが、DSC-T700です。撮像素子は有効1,010万画素の1/2.3型CCD、レンズは光学4倍ズーム。タッチパネル式3.5型液晶モニター、4GBの内蔵メモリー、多彩なカメラ内レタッチ機能など、最上位モデルらしい機能を満載しています。

 実勢価格は4万円台前半。ボディーカラーはシルバー、グレー、ゴールド、レッド、ピンクの5色です。


高画質なタッチ式3.5型液晶モニター

 いつもおしゃれなTシリーズですが、今回は特に見た目がスタイリッシュ。これぞTシリーズ! という感じの薄さと高級感を兼ね備えており、前面はまるで「分厚いアルミの板」といった趣。バッテリーの蓋ひとつとっても質感が高く、所有欲をくすぐるカメラになっています。






 タッチパネル式なので、操作ボタンのレイアウトは非常にシンプルです。十字ボタンがなく、目に付くのはシャッターボタンと再生ボタン、そしてボディの角に設けられた小さなズームレバーぐらい。再生ボタンが目立たないよう黒に塗りつぶされているのも、デザインコンセプトの現れなのでしょう。カメラらしさという点では物足りない部分もありますが、とてもすっきりとしていて、好感を持ちました。

 ただし、電源オンを兼ねる前面のレンズバリアは、私には少し堅く感じます。重厚な操作感には感心しますが、慣れるまでは力の入れ方や動かし方に戸惑いました。


レンズは焦点距離35~140mm(35mm判換算)、F3.5~4.6の4倍ズーム。手ブレ補正も搭載 シンプルな操作部。再生ボタンが黒で塗りつぶされている

記録メディアはメモリースティックデュオシリーズ

バッテリーと充電器


 背面のほぼすべてを覆っているのが、約92万ドットの3.5型ワイド液晶モニターです。ドット数が多いだけあって、再生モードでの精細感は抜群。タッチパネル式の液晶モニターは画質面でいまひとつという印象があったのですが、この機種では気になりません。少しコントラストがきつく感じられるときもありますが、鑑賞画質のレベルに達していると思います。表面が反射しないタイプなので、映り込みが少ないのもポイントです。

 ただしそれは、再生モードでの話。ほかのサイバーショットと同じように、撮影中はドットが見えるほど粗い画質になります。むしろ画面が大きい分、ほかの機種よりプアな見た目に感じることも。実用上は問題ないとはいえ、この機種ならではの、リッチな撮影モニター表示をみてみたかったものです。


タッチパネルは両手で操作

 タッチパネルでの操作ですが、両手での操作が基本になります。個人的にデジタルカメラのタッチパネルには、「左手でカメラを支えて、右手でタッチする」というイメージがありました。ところがDSC-T700では携帯ゲーム機のように、両手でカメラを持ち、双方の親指で操作する感じです。ワイド液晶らしい操作方法といえるでしょう。


撮影時の画面。これは「ノーマル」のとき

「シンプル」や「画像のみ」、ヒストグラム付きも選べる

顔検出は最新版。タッチしてターゲットを選ぶ こども/おとな優先も搭載

ホワイトバランスの設定。説明が表示される
露出補正。ヒストグラムと合わせて確認できる


フォーカス設定。「1.0m」、「3,0m」など距離を固定することも

ブラケットは露出差を0.3EV、0.7EV、1EVから選べる


HOMEメニューからもすべての設定にアクセスできる

設定関連のメニュー


 もちろん、ピントを合わせたいところをタッチするとフォーカスが合う機能をはじめ、タッチパネルならではの便利な操作もあります。スマイルアイコンをタッチするだけで、スマイルシャッターモードになるところは、顔検出機能を多用する人には便利でしょう。もういちどタッチするとスマイルシャッターが解除されるので、無用な撮影を防げます。また、認識した顔の中からフォーカスをあわせたい人をタッチしたりと、慣れれば大変面白い操作が楽しめます。

 今回は被写体までの距離が近く、コサイン誤差が気になる拡大鏡モードで積極的に使いました。拡大した後、表示を前後左右に動かすこともできるので、マクロ撮影をじっくり撮るようなケースにも対応できそうです。

 慣れるほどに面白くなるタッチパネルですが、残念な点もあります。例えばタッチに対する反応が若干遅いこと。急いで操作したいときにはストレスを感じます。メニューデザインにも個人的には違和感を覚えました。

 例えば、よく使うホワイトバランスがメニューの奥にあったりと、私の使い方に上手くハマらないケースがいくつかありました。せっかく画面が広いので、撮影モードでは、他社でいうファンクションメニューを贅沢にしたような画面がほしいところです。露出補正をはじめ、何か設定を変えようとするたびに、被写体が大きくふさがれるのも困り者でした。


画質は良好、カメラ内編集も充実

 小さなCCDサイズにしては、画質は良い方だと思います。輪郭は自然だし、極端にダイナミックレンジが狭いと感じることもありませんでした。このクラスとしては、精細感や立体感はに満足できます。カラーモードをビビッドにすると青空や影にカラーノイズが少し多めに乗りますが、全体的に見て優秀な方だと思います。

 タッチパネルを使った機能としては、画像に手書きで文字などを書き込む機能や、特定の色以外をモノクロにする機能があります。背景を選んでスクラップブックを作ったり、フレームやスタンプをつけたりと、撮った写真で遊べます。

 さらにスライドショーが秀逸。内蔵のBGMにあわせて、画像の切り替えやズームなどのエフェクトがかかります。検出した顔にズームするなど、今時のデジカメらしい効果も。エフェクトも多彩なので、時間を忘れて楽しんでしまいました。再生画質の良さも、スライドショーの楽しさを増してくれることでしょう。


再生画像ではサムネイル表示数を選べる ビューモードは4種類。「イベント」は、撮影頻度などからカメラが自動でグループ分けして表示


まとめ

 今回は試しませんでしたが、同梱ソフトのPicture Motion Browserと組み合わせれば、カメラ内蔵の4GBメモリーを使ったデジタルアルバム機能が楽しめます。詳しくは別ページでレビューが掲載される予定なので、そちらをあわせてご覧ください。

 タッチパネルの操作感、ボディの高級感、画質の良さなど、魅力たっぷりの機種です。広角端が35mm相当と物足りない部分はありますが、いつも持ち歩くカメラとしては良い候補だと思います。また、ブラケットが+0.3EV、+0.7EV、+1EVから選べたりと、何げに撮影機能が高いのもポイント。アルバム機能が必要ないなら、さらに薄い「サイバーショットDSC-T77」という選択肢もあるので、検討してみてください。


 

●作例

  • サムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。


歪曲収差

広角端
DSC-T700 / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F4.5 / +0.3EV / ISO80 / WB:太陽光 / 6.2mm
望遠端
DSC-T700 / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F4.6 / +0.3EV / ISO80 / WB:太陽光 / 24.7mm

ISO感度

ISO80
DSC-T700 / 2,736×3,648 / 1/25秒 / F3.5 / +0.3EV / WB:太陽光 / 6.2mm
ISO100
DSC-T700 / 2,736×3,648 / 1/30秒 / F3.5 / +0.3EV / WB:太陽光 / 6.2mm
ISO200
DSC-T700 / 2,736×3,648 / 1/60秒 / F3.5 / +0.3EV / WB:太陽光 / 6.2mm

ISO400
DSC-T700 / 2,736×3,648 / 1/125秒 / F3.5 / +0.3EV / WB:太陽光 / 6.2mm
ISO800
DSC-T700 / 2,736×3,648 / 1/200秒 / F4.5 / +0.3EV / WB:太陽光 / 6.2mm
ISO1600
DSC-T700 / 2,736×3,648 / 1/400秒 / F4.5 / +0.3EV / WB:太陽光 / 6.2mm

ISO3200
DSC-T700 / 2,736×3,648 / 1/500秒 / F5.6 / +0.3EV / WB:太陽光 / 6.2mm

カメラ内レタッチ

ソフトフォーカス
DSC-T700 / 3,648×2,736 / 1/8秒 / F4 / +1.3EV / ISO80 / WB:太陽光 / 11mm
パートカラー
DSC-T700 / 3,648×2,736 / 1/40秒 / F3.5 / +1.3EV / ISO80 / WB:― / 6.2mm

放射
DSC-T700 / 3,648×2,736 / 1/125秒 / F4.6 / 0EV / ISO250 / WB:曇天 / 24.7mm

自由作例

DSC-T700 / 3,648×2,736 / 1/640秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:太陽光 / 6.2mm DSC-T700 / 2,736×3,648 / 1/400秒 / F4.5 / 0EV / ISO80 / WB:太陽光 / 7.9mm

DSC-T700 / 3,648×2,736 / 1/640秒 / F4.5 / -0.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 6.2mm DSC-T700 / 3,648×2,736 / 1/400秒 / F5.6 / +0.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 6.2mm

DSC-T700 / 2,736×3,648 / 1/1,000秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:太陽光 / 6.2mm DSC-T700 / 3,648×2,736 / 1/40秒 / F3.5 / +0.7EV / ISO250 / WB:曇天 / 6.2mm

DSC-T700 / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 21.3mm DSC-T700 / 3,648×2,736 / 1/500秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO80 / WB:太陽光 / 24.7mm

DSC-T700 / 2,736×3,648 / 1/60秒 / F4.6 / +0.7EV / ISO80 / WB:フラッシュ / 24.7mm DSC-T700 / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F4.5 / +1EV / ISO80 / WB:オート / 6.2mm

DSC-T700 / 3,648×2,736 / 1/80秒 / F3.5 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 6.2mm DSC-T700 / 2,736×3,648 / 1/400秒 / F4.5 / -1EV / ISO80 / WB:太陽光 / 13.8mm

DSC-T700 / 2,056×3,648(16:9) / 1/20秒 / F3.5 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 6.2mm DSC-T700 / 2,056×3,648(16:9) / 1/500秒 / F7.1 / 0EV / ISO80 / WB:太陽光 / 24.7mm

DSC-T700 / 3,648×2,736 / 1/80秒 / F3.5 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 6.2mm DSC-T700 / 3,648×2,736 / 1/40秒 / F3.5 / -0.7EV / ISO250 / WB:昼光色蛍光灯 / 6.2mm


URL
  ソニー
  http://www.sony.co.jp/
  製品情報
  http://www.sony.jp/products/Consumer/DSC/DSC-T700/

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吉住志穂
(よしずみ しほ)1979年東京生まれ。日本写真芸術専門学校卒業後、竹内敏信事務所に入社。 2005年4月に独立。自然の「こころ」をテーマに、花や風景の作品を撮り続けている。「デジタルフォト」や「日本フォトコンテスト」で連載中。日本自然科学写真協会(SSP)会員。http://www.geocities.jp/shihoyoshizumi/

2008/10/08 14:54
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