デジカメ Watch

【新製品レビュー】オリンパス μ710

~洗練されたボディに高感度など流行の装備
Reported by 安孫子 卓郎

 μ DIGITALシリーズ直系の後継機種となるμ710。コンパクトかつ斬新なデザインや生活防水機能を継承しつつ、710万画素CCD、2.5型液晶モニター、高感度対応いった最近のトレンドを取り込んだコンパクトモデルだ。


特徴的なボディデザインと上質な表面処理

 くさび形でややレンズ部が突起したデザイン。言葉では言い表すことの難しい、中央部にふくらみを持たせた微妙な形状である。洗練されたおしゃれなデザインだ。カメラマンベストの胸ポケットに入れて持ち歩いたが、一般的な直方体状のカメラよりも違和感がなく、意外に収まりがよい。

 それでいて、生活防水機能を備えているのも特徴。雨や水しぶきに対応するもので、海辺、プールサイド、スキー場などでも安心ですよ、と言うもの。濡れた状態でも、レンズを繰り出して撮影、収納することに問題はないが、電池/カードカバーが開いていると防水にはならない。言わずもがなであろうが、実際に電池/カードカバーが開いている状態でぬらしてしまうトラブルもあるそうなので、注意していただきたい。充電池も防水ではないので、濡らさないこと。

 ボディカラーは4種類。プラチナ系コートのプラチナシルバーとプラチナブラックは、ベースプレーティングの上に24金のメッキを施し、その上にプラチナ系コートを施すという3層仕上げ。上質な質感となっている。またカリビアンブルーとサンシャインオレンジのハードコートは、より悪天候や傷に強いため、アウトドアでの使用に適しているという。




プラチナブラック(上)、カリビアンブルー(左下)、サンシャインオレンジ(右下)

意外に使えるキャンドルモード

ISO感度設定はオート、ISO64~1600相当。キャンドルモードなどで最大ISO2500も
 カメラ部有効画素数は710万画素。撮像素子は1/2.33型CCDである。1/2.5型より素子はちょっぴり大きいが、画素数も増えているので、実質的には1/2.5型600万画素と同じ感じだろうか。最大出力画素数は3,072×2,304ピクセル。約19MBの内蔵メモリと、xDピクチャーカードに記録する。

 静止画の撮影モードは、プログラムオートとフルオート、それに手ブレ軽減モード、そしてシーンプログラムとなる。手ブレ軽減モードでは最高ISO1600まで増感することでブレを軽減しようというモード。またシーンプログラムのキャンドルモードと寝顔モードでは、最大ISO2500まで増感するようになっている。ただし、記録解像度が2,048×1,536ピクセルの約300万画素に自動的に変更される。他のモードに戻すと自動的に元の画素数に戻る。

 選択できるISO感度は64/100/200/400/800/1600相当。ISOオートモードもあるが、1/3秒でも増感されず、1/2秒でやっと増感する。ISOオートといっても、Pモードの場合は1/3秒でもISO64のままなのだ。Pモードで撮影するときは、感度は任意に固定する、と考えた方がよい。ところがブレ軽減モードにすると、同じ条件でISO800まで増感し、シャッタースピードは1/125秒。さらにストロボモードもオートになる。

 この2つのモードの差はあまりに極端で、疑問を抱かざるを得ない。増感を開始するシャッタースピードの下限値を設定できる、あるいは換算焦点距離にあわせて増感するなど、ユーザーに設定を任せることはできないものだろうか。

 さてISO感度だが、64と100は十分高画質だ。200くらいからノイズが見え始め、400、800、1600とそれなりに増える。それでも1600にしても数年前の400くらいの画質なので、素子サイズの低減から受光面積が狭くなっている割には、感度面でかなりの進歩を感じる。

 キャンドルモードなどで作動するISO2500では、ディティールはだいぶ失われ気味。それでも画素を減らした効果だろうか、ノイズ量そのものは1600よりも少ない。もちろん画素数も少ないので、大きな印刷は難しい。

 実際印刷してみると、A4サイズでは一般的に使用できそうなのはISO200程度まで。ISO400以上はそれなりにノイズも多くなり、ディティールも失われてくるが、その差は比較的緩やかなので、無理してISO200まででとどめるよりは、さらに増感して手ブレを防いだほうが結果的によいプリントが得られるだろう。

 またキャンドルモードのISO2500を印刷してみると、細かいディティールが失われているものの、ノイズそのものは抑えられているため、被写体やプリントサイズによっては、ISO1600よりよいプリントが得られることもある。どこまで使えるのかはユーザーそれぞれの判断になるが、暗い場面を選んで使用することと、増感するほどにシャドーが浮き気味になるので、適切にマイナス補正をかけることを忘れなければ、結構使える印象だ。


非球面レンズ4枚を採用、テレ端は少し暗め

 レンズは4群6枚構成の3段沈胴レンズで、なんと6枚中4枚に非球面レンズが使われている。焦点距離は6.5~19.5mmで、35mm判換算の画角では37~111mmに相当する。明るさはF3.4~5.7。

 オリンパスに限らないものの、コンパクト機のレンズは暗くなる一方である。テレ側はとうとうF5.6を超えて5.7になった。せっかく増感性能が良くなっても、レンズが暗くては帳消しとなる。テレ側F2.8のレンズなら400増感で撮影できるのに、F5.7では1600まで増感してやっと同じシャッタースピードにしかならない。画素は小さく、レンズは暗く、その分余計に増感してという悪循環は、まだ続くのだろうか。

 マクロ機能は、撮影範囲が0.6m~∞。マクロモードにするとワイド側が0.2m~∞、テレ側が0.5m~∞。スーパーマクロモードで、ズーム位置固定だが0.08m~0.6mとなる。かつてオリンパスのデジタルカメラは2cmや3cmなどまで寄れたが、だんだん最短距離が長くなっている。スーパーマクロで8cmは、スーパーの名にふさわしくないだろう。ネットオークション用の小物撮影なら十分だろうが、花の撮影用としてはもう一つといわざるを得ない。


2.5型の液晶モニターを搭載

背面の2.5型液晶モニター。モードダイヤルの位置は最近のμ DIGITALシリーズを踏襲
 液晶モニターは2.5型TFTカラー液晶で約115,000画素。2.5型では20万画素クラスが一般化しつつある中では今ひとつ。再生のクローズアップ倍率は1~10倍。4/9/16/25コマのインデックス表示に加え、カレンダー表示も行なえる。アルバム再生も可能だが、カレンダー再生やアルバム再生はメディアごとに記録されるため、交換してしまうと意味がない。なぜ内蔵メモリに入れないのかまったく不思議で、有効に活用できるかどうかは疑問に感じる。

 連写はHQモードで約1.1コマ/秒で約6枚までと遅い。ただし、2,560×1,920ピクセル以下のSQ1モードでは、約3.7コマ/秒で約11枚までの連写が可能だ。500万画素あれば困らない、という意味ではSQ1モードの3.7コマでもかまわない。とはいえ、連写はカメラマンの工夫や努力で補うことのできない部分である。また連写が遅いと、オートブラケットも使いにくい。そのためか本機にはオートブラケット機能がない(640×480ピクセル限定のオークションモードをのぞく)。

 セルフタイマーは十字型キーの下に割り付けられており、簡単に設定が行なえる。ただ1枚撮影するとリセットされてしまうため、念のためにもう1枚、というときにはまた設定し直さないとならない。カメラマンがカメラから離れてしまうのがセルフタイマーなので、1回の設定で3枚連写するくらいの機能はほしいところである。


撮影中に主要機能を変更可能

新デザインになったメニュー画面
 春モデルから新デザインとなったメニューの使い心地だが、気になったのはMENUボタンを押さないとメニューが消えないこと。シャッター半押しで撮影状態に復帰しない。さらにメニュー階層を下にたどると階層分だけMENUボタンを押さなければならない。

 ただし、十字ボタン中央のOKボタンにはFUNC機能が割り振られており、撮影状態で撮影モード(Pまたはオート)、ホワイトバランス、ISO感度、ドライブモード、測光モードの5種類をワンタッチで呼び出せる。この方式ならそのままシャッター半押しで撮影状態に復帰し、呼び出し中の設定項目はレリーズ後にもそのまま表示される。

 十字キーに割り付けられている露出補正、フラッシュモード、マクロ、セルフタイマーも同じで、呼び出してそのまま撮影すれば、表示が残るので簡単に変更できる。先に述べたセルフタイマーの使い勝手も、これで改善される。

 ただしメニューを呼び出して設定した後(たとえば露出補正など)、OKボタンを押さずにそのままシャッターを切る必要がある。設定後OKを押してしまうと項目が消えてしまうので、設定し直すときには再び呼び出す必要が出てくる。かなり意識していないと、FUNCボタンによるスムーズな使い勝手を享受できるのか疑問である。

 ホワイトバランスは、オート、昼光、曇天、電球、蛍光灯(3種類)。オリンパスの最近のコンパクトでは毎度のことだが、3種類の蛍光灯には疑問を感じる。蛍光灯の種類を判別できるとすれば、相当のスペシャリストであるはずだが、本機はそのようなユーザーをターゲットとしているとは思われない。その一方ではマニュアルのホワイトバランスはない。

 またE-330などでは曇天のほかに日陰モードというものがあり、曇天よりもさらに色温度を高く設定する。蛍光灯を3種類入れるよりは有効性が高いと思われるが、本機では採用されておらず、残念だ。


撮影中にFUNCボタンで主要機能を呼び出せる μ DIGIALシリーズの特徴「ガイド撮影」機能も搭載

動画は逆回転やコマ送り再生も可能

 最近、オリンパスが得意とするカメラ内編集機能は、再生時にリサイズ(640×480/320×240ピクセル)、赤目補正、モノクロ作成、セピア作成、フレーム合成、タイトル合成、カレンダー作成、明るさ調整、鮮やかさ調整を行なうもの。動画からインデックスの静止画を作成する機能もある。モノクロやセピア、明るさ調整、鮮やかさ調整はそのままのサイズだが、フレーム合成、タイトル合成をすると1,600×1,200ピクセルに、カレンダー作成をすると1,824×1,216ピクセルにリサイズされる。また明るさ調整、鮮やかさ調整はJPEGに保存した画像からレタッチするもので、撮影時における露出補正とは別のものとなる。

 動画はQuickTime Motion JPEGで、解像度は640×480/320×240/160×120ピクセル。フレームレートは15fps。音声記録はWAVEフォーマット準拠である。今日の標準でいえば15fpsは見劣りする。少なくも320×240では30fpsを達成してほしいところである。

 ただし、再生機能に関してはなかなかおもしろく、逆転再生や早送り、コマ送りなどが簡単にできる。面白い場面を録画して、繰り返し見る場合に役に立つ。遊べる動画機能としてはかなり良くできているので、はまる人も出てくるだろう。


編集機能メニュー 明るさ調整

まとめ

 生活防水でありながら防水を意識させないスタイリッシュなデザインと、撮影時でも120gにしかならない軽量さ。オールウェザーに使えてカレンダーなど作って遊べることを考えると、20~30代の主婦層などを中心にして、安心と楽しく遊べるを兼ね備えた機種だ。

 もっとも、こういった形で細かくレビューをすると、スペック的な不満はいくつか出てくる。ただ現在のコンパクトデジカメはどのメーカーも似たような方向性なので、やむを得ないところだろう。


作例

※作例のリンク先ファイルは、撮影画像(JPEG)をコピーおよびリネームしただけです。
※写真下の作例データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


◆ISO感度


3,072×2,304 / 1/125秒 / F3.4 / -0.7EV / IS64 / WB:オート / 6.5mm 3,072×2,304 / 1/200秒 / F3.4 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 6.5mm

3,072×2,304 / 1/400秒 / F3.4 / -0.7EV / ISO200 / WB:オート / 6.5mm 3,072×2,304 / 1/100秒 / F9 / -0.7EV / ISO400 / WB:オート / 6.5mm

3,072×2,304 / 1/160秒 / F9 / -0.7EV / ISO800 / WB:オート / 6.5mm 3,072×2,304 / 1/250秒 / F9 / -0.7EV / ISO1600 / WB:オート / 6.5mm

◆キャンドルモード


2,048×1,536 / 1/80秒 / F3.4 / 0EV / ISO2500 / WB:オート / 6.5mm 2,048×1,536 / 1/30秒 / F3.4 / -1EV / ISO2500 / WB:オート / 6.5mm

◆一般作例


3,072×2,304 / 1/320秒 / F3.4 / -0.3EV / IS64 / WB:晴天 / 6.5mm 3,072×2,304 / 1/400秒 / F9 / 0EV / IS64 / WB:晴天 / 6.5mm

3,072×2,304 / 1/125秒 / F9 / 0EV / IS64 / WB:晴天 / 6.5mm 3,072×2,304 / 1/250秒 / F5.7 / -0.3EV / IS64 / WB:晴天 / 19.5mm

3,072×2,304 / 1/125秒 / F9 / 0EV / IS64 / WB:晴天 / 6.5mm 3,072×2,304 / 1/60秒 / F3.4 / 0EV / IS64 / WB:晴天 / 6.5mm

3,072×2,304 / 1/400秒 / F3.4 / -0.3EV / IS64 / WB:晴天 / 6.5mm 3,072×2,304 / 1/250秒 / F9 / 0EV / IS64 / WB:晴天 / 6.5mm

3,072×2,304 / 1/250秒 / F3.4 / 0EV / IS64 / WB:晴天 / 6.5mm 3,072×2,304 / 1/400秒 / F3.4 / -0.3EV / IS64 / WB:晴天 / 6.5mm

3,072×2,304 / 1/50秒 / F3.4 / -0.3EV / IS64 / WB:晴天 / 6.5mm 3,072×2,304 / 1/60秒 / F3.4 / 0EV / IS64 / WB:オート / 6.5mm

3,072×2,304 / 1/400秒 / F3.4 / -0.3EV / ISO400 / WB:オート / 6.5mm 3,072×2,304 / 1/40秒 / F3.4 / -0.3EV / IS64 / WB:オート / 6.5mm

3,072×2,304 / 1/200秒 / F3.4 / 0EV / IS64 / WB:晴天 / 6.5mm 3,072×2,304 / 1/50秒 / F3.4 / -1EV / IS64 / WB:晴天 / 6.5mm


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報
  http://olympus-imaging.jp/digitalcamera/mju710/

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オリンパス、楔型デザインのコンパクト機「μ710」(2006/01/31)



安孫子 卓郎
(あびこたくお) きわめて頻繁に「我孫子」と誤変換されるので、「我孫子ではなく安孫子です」がキャッチフレーズ(^^;。大学を卒業後、医薬品会社に就職。医薬品営業からパソコンシステムの営業を経て脱サラ。デジタルカメラオンリーのカメラマンを目指す。写真展「デジタルカメラの世界」など開催。現在パソコン誌、写真誌等で執筆中。

2006/03/20 00:00
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