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【伊達淳一のデジタルでいこう!】松下電器 LUMIX DMC-LX1(鑑賞編)

~16:9のハイビジョンサイズをTV、PC、プリントで楽しもう
Reported by 伊達 淳一

 長らくお待たせしました。前回、松下電器「LUMIX DMC-LX1」の実写レポートをお届けしてから、すでに2カ月も経ってしまったが、遅ればせながら、HDモード(16:9)で撮影したLX1の写真の楽しみ方を紹介しよう。


ビエラで鑑賞する

LX500/PX500系ビエラなら、高解像度記録したHDモードの写真も16:9で全画面表示できる
 まず、松下電器的にもっとも正攻法の楽しみ方が、同社の薄型テレビ「ビエラ」で鑑賞する方法だ。

 液晶やプラズマといった薄型テレビのなかには、メモリカードスロットを装備しているモデルもあり、デジカメ画像をスライドショー再生して楽しめる。しかし、残念ながら、大抵のワイドテレビ画面のアスペクト比は16:9なのに、メモリカードスロット経由で再生されるデジカメ画像は4:3のアスペクト比を前提としているので、HDモードで撮影したLX1の写真は、なんと4:3の画像の上下をカットしたサイズで再生されてしまう。つまり、上下左右に余白が生じてしまうという、なんとももったいない中途半端なサイズで再生されてしまうのだ。これでは、わざわざ16:9のHDモードで撮影した意味がない。

 ただし、ビエラだけは例外で、HDモードで撮影したLX1の写真を、16:9のハイビジョンサイズの画面を最大限に使って再生してくれるのだ。11月発売の65V型プラズマビエラ(TH-65PX500)以外はフルHD(水平1,920×垂直1,080画素)ではないので、解像度的にはそれほど高精細ではないのだが、やはり透過光で表示される大画面のプログレッシブ静止画は、反射原稿のプリントとは透明感が違う。

 しかも、テレビは彩度やコントラストが高めに味付けされているので、非常にヴィヴィッドに見えるのだ。おまけにプリントとは比べものにならないほど大画面で再生されるので、その迫力は一度味わってしまうと病みつきになってしまう。


ビエラのSDメモリーカードスロットに、LX1で撮影した写真が記録されているSDメモリーカードを挿し込む ビエラのリモコンで「メモリーカード」を選ぶ。これは「マルチ表示(DPOF)」の画面だ 縦位置で撮影した写真を表示すると、表示サイズはかなり小さくなってしまうが、これは仕方がない

 ボクは、以前、「FZ10」のレビューを担当したときに、HVモードで撮影したFZ10の写真をプラズマビエラで再生させてもらったのだが、そのときから「プラズマは無理でも、薄型テレビを買うならビエラ」と心に決めていた。そして、今年5月、液晶ビエラのモデルチェンジを待って、32V型のTH-32LX500を購入したのだ(そのときには、まだLX1は発表されていなかったし、その存在も一切知らなかったのだが……)。

 ちなみに、FX8以前のLUMIXは、HDモードにすると1,920×1,080ピクセルで記録されていたので、大きくプリントするには画素数がやや不足気味だった。しかし、FX8からは、高解像度のHDモードも搭載され、ビエラで見るだけでなく、大きくプリントしても鑑賞に堪えるだけの画素数で記録できるようになった。

 ただ、この高解像度のHDモードに対応しているのは、PX500もしくはLX500シリーズのみで、廉価版のLX50/PX50では、フル画面再生できるのは2MのHDモードのみで、FX8以降の高解像度HDモードの画像は、上下左右に余白ができてしまう。ボクがTH-32LX500をチョイスしたのは、SD動画記録ができる点を重視してのことだったのだが、これがなければ廉価版のLX50を買っていたところだ。危ない、危ない。

 もっとも、個人的には、特定のデジカメとハイビジョンテレビの組み合わせでないとフル画面再生できないというのは、おかしいというか、情けないと思う。もっとハイビジョンテレビのアスペクト比を活かせるように、テレビでのデジカメ静止画/動画の再生方法について、DCF等で標準化してほしいものだ。それと、次の写真を再生する直前に無味乾燥なブルーバックやグレーバックが表示されてしまうのも興ざめだ。スライドショー再生というからには黒バックで、画面切り換えもディゾルブなどのエフェクトが選択できるようになってほしいものだ。


EIZO FlexScan S2110W/S2410W

左がアスペクト比16:10の21.1型ワイドモニター「EIZO FlexScan S2110W」、右が5:4の19型モニター「FlexScan S190」。ワイドモニターのほうがムダが少なく、より写真を大きく表示できる
 デジカメ画像のもっとも一般的な楽しみ方は、PCのディスプレイでの鑑賞法だろう。ただ、PCの液晶ディスプレイのアスペクト比は4:3が基本なので、一般的なコンパクトデジカメで撮影した写真を表示するにはジャストフィットだが、大半のデジイチ(デジタル一眼レフ)や、LX1のHDモードで撮影した写真を全画面表示させようとすると、アスペクト比の違いからディスプレイモニターの上下が余ってしまうため、仮に画素数が多かったとしてもコンパクトデジカメの4:3の画像よりも小さく表示されてしまう。

 しかし、最近では、DVD鑑賞などを考慮し、ワイドモニターを採用するPCも徐々にではあるが増えてきている。Internet Explorerの「お気に入り」を画面左に表示しても、ワイドモニターならブラウズ画面が狭くならないし、Photoshopなどのレタッチソフトを使うときも、開いた画像がツールパレットで隠されてしまいにくいのも快適だ。

 ボクも、この夏、ディスプレイをワイドモニターに置き換えた。EIZO FlexScan S2110WというEIZOダイレクト直販モデルで、1,680×1,050ドットの21.1型パネル採用ながら、99,750円と、EIZOとしては手頃な価格なのが魅力だ。アスペクト比は16:10で、ハイビジョンの比率にはわずかに横が短いものの、それまで使っていた19型の1,280×1,024ドット表示に比べれば、LX1のHDモードや3:2のデジイチの画像を全画面表示したときに収まりがイイ。また、前述したように、Internet Explorerでお気に入りを表示したままにしてもブラウズ画面が狭くならないし、Photoshopのツールパレットを広げても、レタッチ画像にかぶりにくいので作業性も向上した。

 ちなみに、それまで使っていた19型モニターはセカンダリーモニターにして、待望のデュアルモニター環境も構築できた。セカンダリーモニターにThumbsPlus(サムズプラス:アメリカの画像管理ソフト。ビレッジセンターから日本語版が発売されている)のサムネイル表示を、プライマリーにビューアー表示を振り分けられるので、Exif情報等を確認しながら写真のセレクトが行なえるので、至極快適だ。

 ただ、ちょっとトホホなのは、フルHD表示に対応したFlexScan S2410Wが発表されたこと。1,920×1,200ドット対応の24.1型液晶パネル採用で、1,000:1の高コントラストパネルや、動画をクリアに表示するオーバードライブ回路搭載などの特徴は、S2110Wと同じだ。10月26日発売で、EIZOダイレクト価格は158,000円だが、こちらはPCショップ店頭でも扱われるため、ポイント還元を行なっているショップでは、実質的に10%ほど安く買うことも可能だ。まあ、ボクの場合、S2110Wでも、机のレイアウトを変えずにギリギリ置ける限界のサイズだったので、さらに横幅の広いS2410Wはそのままじゃ置けなかったものと自分を慰めている次第だ(グスン)。


お店プリントを利用する

自宅近くのコイデカメラでは、約3時間後にプリントを店頭で受け取ることができる。このお店では、HVサイズは1枚37円だったが、お店によって多少値段は違う
 HV(ハイビジョン)サイズでプリントするなら、“お店プリント”を利用するのが手っ取り早い。HVサイズのプリントを扱っていない店舗もあるものの、“HVサイズ”、“デジカメプリント”をキーワードにインターネットを検索してみれば、ネット注文できるプリントサービスも数多く存在する。

 自宅から徒歩で7~8分のところにあるスーパーには「コイデカメラ」が入っている。コイデカメラのホームページを調べてみると、“うちからプリント”というネットプリント注文用ソフトを配布していて、この“うちからプリント”を使って画像データを送信すれば、最寄りのコイデカメラでプリントを受け取ることができるようだ。基本料金は無料、プリント料金はLサイズでもKGサイズでもDSCサイズでもHVサイズでもすべて37円/枚。格安ではないが基本料金や送料がかからないことを考えれば、妥当な料金だと思う。また、うちの近所のコイデカメラは、最短3時間仕上げに対応している店舗で、夜11時まで営業しているので利便性はイイ。


FUJICOLORデジカメプリントのサイトからダウンロードしたネット注文ソフト、ネットカンタンプリントの初期画面 「デジカメプリント」を選択すると、プリントする写真を選択する画面に切り替わる

プリント選択後に、プリントするサイズ、プリント枚数、画質補正の有無などを指定できる。全部同じなら一括で設定可能だ プリント受け取り方法の指定画面。写真専門店のほか、コンビニ、駅、宅配を選択できる

店頭で受け取る場合、受け取るお店を地域から検索し、指定できる お店プリントの裏面。印画紙にレーザーで露光しているので、質感は完全に写真だ。水濡れやテープ剥離に強いのが魅力だ

 さっそくLX1で撮影した写真を50枚ほど送信してみたところ、しばらくすると、注文確認のメールが届き、プリントする画像ファイル名とサイズ、枚数と仕上がり予定時刻が記されていた。さらに、プリントが完了すると、仕上がりを知らせるメールが届く。なかなか至れり尽くせりだ。

 ちなみに、コイデカメラから送られてきたメールアドレスを見ると、ドメイン名が“fdinet.fujifilm.co.jp”となっている。どうやらコイデカメラ独自のネットワークではなく、フジフイルムのネットワークを利用しているようだ。いろいろ調べてみると、FUJICOLORデジカメプリントのサイト( http://fujicolorprint.jp/ )がフジカラーネットプリントの総本山で、ここからネット注文すれば、全国フジカラーのお店、コンビニ、首都圏駅構内、宅配のいずれかの受け取り方法を選択できる。

 受け取り方法やお店によって料金は微妙に異なるので、まずはFUJICOLORデジカメプリントのサイトから、ネット注文ソフトの“フジカラーネットカンタンプリント”をダウンロードして、最寄りのお店を検索してみてはいかがだろう?


ロール紙対応プリンタを使う

ロール紙対応のカラリオなら、写真のアスペクト比に応じて最適サイズのプリントを楽しめる。A4幅、A3ノビ幅など大サイズにプリントするなら、手間を掛けるだけの価値がある
 パノラマなどアスペクト比が用紙サイズと極端に異なる写真は、ロール紙にプリントするとフレキシブルにプリントできて便利だ。ロール紙が使えるプリンタを持っているのなら、HVサイズを本来のアスペクト比でおうちプリントすることが可能だ。

 ただ、残念ながらロール紙対応のプリンタは、どんどん少なくなってきている。2~3年前までは、エプソンのインクジェットプリンタの大半はロール紙に対応していて、オプションでオートカッターも用意されていたのだが、マルチファンクションプリンタに主軸が移り始めてからはロール紙非対応の機種が多くなり、今では一部のシングルファンクションプリンタしかロール紙には対応していないのが現状だ。

 ロール紙へのフチなしプリントは、エプソンプリンタに同梱されている“EPSON Easy Photo Print”を使えば、わずか3ステップで行なえる。まず、写真が保存されているフォルダを選択し、プリントする写真を選ぶ。次に、用紙選択で、給紙方法を「ロール紙」を選び、セットしたロール紙に応じた「用紙サイズ」「用紙種類」を選択する。そして、レイアウト調整のレイアウト選択から「タテ」もしくは「ヨコ」を選べば、後は印刷ボタンを押すだけだ。これで、写真のアスペクト比にベストフィットしたフチなしプリントが行なえる。


エプソンプリンタに同梱されているホームDPEソフト、「EPSON Easy Photo Print」。まず、写真が保存されているフォルダを選択し、プリントするカットを選ぶ 次に、用紙選択で「ロール紙」を選び、セットしたロール紙に合わせ、用紙サイズや用紙種類を選択

レイアウト調整で「タテ」もしくは「ヨコ」を選び、印刷ボタンを押せば、フチなしプリントが出力できる フチなしロール紙プリントが出力されるところ。オートカッターに対応していないプリンタは、1枚1枚手作業でカッターで切り離す必要がある

 ただ、やはりロール紙プリントは面倒くさいというのが実感だ。ボクが使っているのは、エプソンPX-5500というA3ノビ対応の顔料プリンタなのだが、あいにくオートカッターには対応していないので、プリントしたロール紙を1枚1枚カッターを使って手作業で切り離す必要がある。しかも、ロール紙には強い巻きぐせが残ってカーリングしているので、このカーリングを直すのが大変。A4もしくはA3ノビ幅でハイビジョン比率でプリントするなら、手間を掛けるだけの意義がある選択肢だが、同時プリント代わりなら、HVサイズのお店プリントを頼んだ方が遙かに楽ちんだ。


エプソン「カラリオ PM-A890」を使う

ハイビジョンサイズペーパーに対応しているPM-A890。残念ながらフチなしプリントできるのは、カラリオの中ではこの機種だけだ
 現状でもっとも手軽にHVサイズのおうちプリントが楽しめるのは、エプソンPM-A890だ。ハイビジョンサイズのプリントペーパーも発売され、PCからの出力はもちろんのこと、SDメモリカードからのダイレクトプリントでも、HVサイズにフチなしプリントできる。

 ただし、ハイビジョンサイズのプリントペーパーに対応しているのはA890のみで、今シーズンの最上位機種A950を始め、他のエプソンプリンタはこの用紙には非対応だ。プリンタドライバをバージョンアップすれば、技術的にはハイビジョンサイズプリントペーパーに対応させることは可能らしいが、現状では、ユーザー定義サイズにハイビジョンサイズプリントペーパーのサイズを設定しても、フチ“あり”プリントしか楽しめない。内覧会での雑談では、エプソン自身、ハイビジョンサイズのプリント需要を図りかねているようだ。せっかくハイビジョンサイズのペーパーを出したのだから、A890以外の機種でもせめてPCからのプリントくらいはこの用紙に対応させてほしいものだ。


メモリーカードダイレクトでもハイビジョンサイズにフチなしプリントが可能だ。初期設定はL判なので、ハイビジョンサイズペーパーに変更する プリントしたいコマを十字キーで選択し、最後にプリントボタンを押せば、PCなしでハイビジョンサイズプリントができる

面倒な設定なしにハイビジョンサイズプリントが楽しめるのはA890だけ。もちろん、PCからの出力でもハイビジョンサイズをサポートしている 上からエプソンハイビジョンサイズペーパー、お店プリントのHVサイズ、L判。ハイビジョンサイズペーパーは、ポストカードの横幅を伸ばしたサイズで、HVサイズよりもひと回り大きい

 以上、16:9のHDモードで撮影したLX1の写真の楽しみ方を紹介したが、やはりネックは“おうちプリント”だ。16:9のアスペクト比でフチなしプリントするには、非常に制約が多く面倒だし、対応プリンタも限られている。

 また、今年のエプソンカラリオシリーズには、人の顔を認識して明るさを自動補正してくれる“EPSON Color”が搭載されていて、逆光シーンでの露出アンダー写真を救済してくれるのが特徴となっている。今回、LX1の写真をプリントしてみたが、確かにうまくツボにはまれば顔が明るくなるように補正してプリントしてくれるのだが、肌の赤みが少なく、青みが強く感じるのが気になった。また、同じようなカットでも、補正が効いてくれないこともあった。EPSON Colorには少なからず期待していたのだが、従来よりは一歩前進しているものの、2割のカットは手動で明るさを調整したくなる。

 お店プリントは、プリントオペレータの技量や好みによって、仕上がり結果が左右されるので、“おうちプリントよりもお店プリントのほうがキレイ”とまでは言い切れないが、今回の仕上がりに限っては、お店プリントのほうが肌の色、明るさとも適正にプリントされていた。個人的には、お店プリントのほうが、妙にシャープネスが強調されず、ノイズが目立ちにくいように感じるし、プリントに水をこぼしたり、テープを貼ったり剥がしても、写真がダメになりにくい点が魅力だ。

 もちろん、プリントしたいときにいつでもプリントできるおうちプリントは確かに便利だし、ボク自身、L判プリントはやはりおうちプリントが圧倒的に多いが、少なくともHVサイズのプリントに関しては、対応プリンタがごく限られていることもあって、お店プリントに任せるのが一番簡単で現実的だと思う。



URL
  松下電器
  http://panasonic.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/lx1/
  デジタルカメラ 秋冬商戦向け新製品関連記事リンク集(松下電器)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/aw2005/aw.htm#matsushita

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松下、16:9のワイドCCDを搭載したコンパクトデジカメ「DMC-LX1」(2005/07/21)



伊達 淳一
1962年生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒業。写真、ビデオカメラ、パソコン誌でカメラマンとして活動する一方、その専門知識を活かし、ライターとしても活躍。黎明期からデジタルカメラを専門にし、カメラマンよりもライター業が多くなる。自らも身銭を切ってデジカメを数多く購入しているヒトバシラーだ。

2005/11/01 01:16
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