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【新製品レビュー】ペンタックス Optio WP

~水深1.5mで連続30分間使用できるコンパクトデジカメ
Reported by 中村 文夫

Optio WP(マウブラック)
 ペンタックス「Optio WP」は、高い防水性能を備えたコンパクトデジタルカメラだ。防水カメラというと、無骨でへビューデューティなイメージが思い浮かぶが、Optio WPはまるで携帯電話のようにスタイリッシュ。外観からは想像できないタフなカメラだ。


高い防水・防塵性能

 デジタルカメラの防水機能については、オリンパスが以前から力を入れているが、Optio WPの防水性能はワンランク上だ。たとえば「μ-mini DIGITAL S」はJIS保護等級4。いわゆる生活防水と呼ばれるタイプで、詳しく説明すると「いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けない」というもの。したがって“水中”での使用はできない。

 防水性能は保護等級の数字が増えるにしたがって高くなるが、5級で「防噴流型」(=いかなる方向からの水の直接噴流を受けても有害な影響を受けない)、6級で「耐水型」(=いかなる方向からの水の直接噴流を受けても内部に水が入らない)、7級が「防侵型」(=定められた条件で水中に没しても内部に水が入らない)で、ここでやっと水没させることができる。


水中で使用可能(フォトイメージングエキスポ2005、ペンタックスブースで)
 Optio WPの保護等級はさらに1級上の8級。一般に「水中型」と呼ばれるタイプで、その保護程度は「指定圧力の水中に常時没して使用できる」となっている。ペンタックスがカタログ上で保証している水深は1.5mで連続30分。それほど深く潜らなければ、シュノーケリングだって楽しめる。

 また防水だけでなく防塵についてもJIS保護等級5級を達成。動作に影響を及ぼす粉塵が内部に入らない構造なので、海水浴などで砂が付いても大丈夫。メンテナンスも簡単で、水道水で洗い流せばよい。





開口部は底部に1カ所あるだけ。Oリングを用いて高い防水性を維持している 開口部にはロック機構が設けられ不用意に開かないようになっている

マクロ撮影に強い光学系

 CCDは1/2.5型の有効画素数500万。焦点距離6.3~18.9mm、F3.3~F4の光学3倍ズームレンズを搭載。 35mmフィルムカメラに換算すると38~114mmに相当する。ズーム比は低めだが、最大4倍のデジタルズームも備えている。

 特筆すべきはマクロ機能で、望遠側で0.5m、広角側で0.01mまでピントが合う。最も拡大率が高いときの撮影範囲は16.5×12.3mmで高倍率での接写ができる。

 レンズはプロテクターガラスで防水性と防塵製が保たれている。屈曲光学系を採用しているので、ズーミングしても全長は伸縮しない。なおレンズバリアがないので、気を付けないと指紋を付けやすい。


レンズ前面にプロテクターガラスを装備。レンズバリアはない 装着レンズは9群11枚構成で、片面非球面レンズ1枚、両面非球面レンズ2枚を使用している

見やすい大型液晶モニターと使いやすい操作部

 背面の液晶モニターは2型の微反射タイプ。光学ファインダーは省略されているので、撮影のときは、液晶モニターを必ず点灯させなければならない。電源はOptio Sなどと共通の薄型リチウムイオンバッテリーを使用するが、ストロボ50%使用で約180カットの撮影が可能。実際に使ってみても大きな不満は感じなかった。

 本体は薄型で携帯電話のようなデザインをしているが、ホールディング性は高く手に良くなじむ。背面の操作部も十字キーとボタンを組み合わせたオーソドックスなタイプで、とても使いやすい。

 緑のドットが付いたグリーンボタンはペンタックス独自のもので、このボタンを押すとすべてカメラまかせで撮れる設定に切替わる。このほか、電源がオフのときにOKを長く押すとモニターに時計画面が表示される「スタイルウォッチ機能」を備えている。

※初出時、CCDサイズを「1/2型」と表記していましたが、正しくは「1.2.5型」です。スタイルウォッチ機能の起動を「グリーンボタン」としていましたが、正しくは「OKボタン」です。お詫びして訂正いたします。


液晶モニターは8.5万画素の2型微反射タイプ 半面の各操作部は大きく、操作がしやすい

スタイルウォッチ グリーンモード 世界70都市対応のワールドタイムも装備

多彩な撮影モードを搭載

 撮影モードは全部で20種類。撮影モードパレットをモニターに表示させ、撮影目的に合わせてアイコンを選ぶだけできれいな写真が撮れる。モードパレットを表示させた状態でグリーンボタンを押すとモードを説明する文章を表示。初心者でも迷わず使うことができるだろう。

 なかでもマーメードモードは、水中で撮影するときに適したモードで、水の青さを美しく再現する。このほかペットモードでは、動き回るペットにピントを合わせ続けたり、毛色を活かしたりすることもできる。

 このカメラは再生機能も多彩で、カメラ側でデジタルフィルター、画像の明るさの調整、フレーム合成などが可能。再生モードパレットに表示されるアイコンを選ぶだけで、高度な機能が使いこなせる。

 また削除画像復活機能を使えば、誤って消去してしまった画像を復活させることも可能。削除後に撮影をしたり電源をオフにしないなどの条件が伴うが、親切な機能といえるだろう。


撮影モードパレット モード説明の表示 ペットモード

作例

※作例のリンク先は、撮影した画像データそのものです(ファイル名のみ変更してあります)。縦位置のものは、サムネールのみ回転していますが、拡大画像はあえて回転せずに掲載しています。クリックすると撮影した画像が別ウィンドウで表示されます。

※キャプション内の撮影データは、画像解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値(F)/ISO感度/焦点距離(35mm判換算、mm)です。



●画角


【広角端】2,560×1,920 / 1/200(秒) / 6.6 / 50 / 38 【中間】2,560×1,920 / 1/160(秒) / 7.4 / 50 / 63 【望遠端】2,560×1,920 / 1/250(秒) / 4 / 50 / 114


●歪曲収差

 望遠側ではそれほどでもないが、広角側ではディストーションがやや目立つ。


【広角端】2,560×1,920 / 1/100(秒) / 3.3 / 50 / 38 【望遠端】2,560×1,920 / 1/30(秒) / 4 / 50 / 114


●マクロ

 マクロモードに設定し広角側の最短撮影距離約1cmで撮影。高倍率な接写ができる。


2,560×1,920 / 1/320(秒) / 3.3 / 50 / 38


●撮影モード

 撮影モードパレットから選べるモードは全部で15種類。「ペット」など、最近のペンタックス製品と同じモードが利用できる。

 また、カメラに3種類のフレームを内蔵し、撮影時、あるいは撮影後にフレーム合成する「フレーム合成」も備えている。カメラ内蔵のフレームに加え、ペンタックスのホームページからほかのフレームをダウンロードして使うことも可能だ。


【花】2,560×1,920 / 1/250(秒) / 7.4 / 50 / 63 【ペット(中間色)】2,560×1,920 / 1/60(秒) / 4 / 50 / 114

【風景】2,560×1,920 / 1/250(秒) / 6.6 / 50 / 38 【フレーム合成】フォトイメージングエキスポ2005、ペンタックスブースにて
2,048×1,536 / 1/30(秒) / 3.3 / 50 / 38

●そのほか


高性能レンズによってCCDの能力がフルに引き出されている
2,560×1,920 / 1/250(秒) / 6.6 / 50 / 38
ISO400、シャッタースピード1/13秒で撮影。シャドー部分にわずかなノイズが認められる
2,560×1,920 / 1/13(秒) / 3.3 / 400 / 38

ハイライト部は飛び気味だが、全体のバランスは良い
2,560×1,920 / 1/160(秒) / 6.8 / 50 / 44


URL
  ペンタックス
  http://www.pentax.co.jp/
  製品情報
  http://www.digital.pentax.co.jp/ja/compact/optio-wp/

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中村 文夫
(なかむら ふみお) 1959年生まれ。学習院大学法学部卒業。カメラメーカー勤務を経て1996年にフォトグラファーとして独立。カメラ専門誌のハウツーやメカニズム記事の執筆を中心に、写真教室など、幅広い分野で活躍中。クラシックカメラに関する造詣も深く、所有するカメラは300台を超える。1998年よりカメラグランプリ選考委員。

2005/04/22 00:18
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