デジカメ Watch
最新ニュース

オリンパスE-520【第1回】
購入直後の気に入った点、気になった点

Reported by 北村智史


 なんだかんだ言って、モノを買うのは楽しい。本当のところはおカネを払わずに手に入れられればもっとうれしいが、そういう機会はめったにない。なので、身銭をはたくことになるわけで、そのあたりは読者の皆さんと同じである。

 ただ、仕事柄、家の中に借り物のカメラが転がっている(ほんとに転がしてるわけじゃありませんけど)状況にカミサンが慣れていることもあって、新しいカメラが1台増えたところであまり目立たなかったりはする。

 去年はE-410とE-510のどちらにしようか迷ったが、今年もやはりE-420かE-520かで迷うことになった。小型軽量さとスタイリッシュさなら間違いなくE-420だが、グリップの持ちやすさと手ブレ補正は捨てがたい。E-420にはない機能もある。

 もうひとつ。E-520の充電器は、所有しているE-3のものと同じである。E-3には縦位置グリップを付けていて、これにはリチウムイオン充電池が2本装填できる。撮影可能コマ数は2倍に増えるが、充電時間も当然2倍である。問題は、付属の充電器である。E-3に付属しているのはBCM-2というタイプで、これの充電時間がやたらと長い。放電しきったバッテリーをフル充電するには5時間もかかる。

 今まではたくさん撮影した日の夜に1本を充電して、翌日にもう1本を充電というパターンでお茶を濁していたのだが、撮影に出る前の夜になって充電を忘れていたことに気づいて焦ったりとかもあって、やっぱり充電器を買い足したほうがよさそうだなぁと思っていた。

 なにせ、片方のバッテリーの充電完了を待ってからもう一方を、なんてやってたら、夏至も近づく今時分、マジで夜が明けてしまう。それが充電器が2台ありさえすれば、充電時間が5時間だろうが6時間だろうが、寝て起きたころには充電は終わっている。ばっちりだ。


左がE-520付属の充電器(BCM-2)。右は充電池のBLM-1。ともにE-3と共用できる
 とは言え、充電器もただではない。大手量販店のWebサイトによると、BCM-2だけ買うと5,040円する。ちなみにE-1に付属していたBCM-1はサイズが大きくなる代わりに充電時間は2時間に短縮される。その分お値段も高くて8,400円だ。

 で、筆者は考えた。現時点でE-420とE-520の実勢価格の差は2万1,000円ほど。バッテリーがE-3と共用でないE-420を買った場合は充電器を買わなくてはならないが、E-520にはBCM-2が付属している。つまり、充電器を買う必要がない。

 両者の価格差は1万6,000円ほどに縮まったわけで、結果、E-520に気持ちがぐぐっと傾いた。という次第である。E-410をダブルズームキットで買っているのでレンズはすでに持っている。だから、今回はボディのみの購入である。

 カメラの発売自体は5月29日だから、遅ればせながらの連載開始になるわけだが、まずはE-520の気に入っているところと気になっているところをいくつかピックアップしておこう。

 昨年までのE-410とE-510は高輝度側のダイナミックレンジが狭く、白トビが起きやすい印象で、後発のE-3とは仕上がりに開きがある感じだった。それがE-420、E-520ではE-3と同レベルに改善されている。E-420かE-520のどちらかを買おうと決めた要因のひとつがこれである。また、RAW画像をOLYMPUS Studio 2で現像するときのハイライト部の色付き(昨年モデルではマゼンタカブリが気になった)が解消されてもいる。

 液晶モニターが微妙にだが大きくなっているのもポイントだ。対角線長でわずか0.2インチ(5mmちょいである)の違いでしかないが、視覚的な差は数字以上である。45年ものの目玉のAF機構がくたびれてきているのを自覚しつつある筆者にとって、液晶モニターが少しでも大きくなるのはありがたい。液晶モニター自体もハイパークリスタルからハイパークリスタル?Uに変わって、明るい場所での視認性が若干向上していることもあげられる。

 それから、コントラストAFの搭載も見逃せない。個人的には顔検出機能はあまり使わないだろうが、ライブビュー時のAFが、ミラーのパタパタ動作なしでやれるようになったのはうれしい。思っていたほどAFスピードは遅くないし、動かないものを撮るときになら十分実用になるはずだ。

 細かいところではカスタム機能のダイヤル機能やダイヤル方向の設定などは、個人的にはとても気に入っている。また、E-420にはないワンプッシュ消去や実行優先設定も、E-3と操作が統一できるという意味で大事だったりする。

 反面、位相差AFとファインダーの貧弱さは相変わらずだ。位相差AFの性能は多少向上しているらしいが、E-3との差は歴然だ。新製品レビューのときには個体差の問題かもしれないと書いたAFの精度だが、自腹版のボディのほうもやはりちょっとあやしい感じがする。このあたりは、もう少し使い込んでからレポートするつもりである。この先2か月を頑張ってみたいと考えているので、よろしくお付き合いいただければと思っている。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


奥の建物にピントを合わせたはずが、もうちょっと合いきっていないという感じ
ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6 / 3,648×2,736 / 1/80秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 40mm
明治神宮御苑の菖蒲田。平日なのにすごい人出で菖蒲田のまわりは数珠つながり状態だった
ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6 / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F10 / -0.7EV / ISO100 / WB:晴天 / 150mm

このクラスの望遠ズームレンズは、ボケがあまりきれいでないものが多いように思う。もう少し絞ったほうがよかったかもしれない
ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6 / 3,648×2,736 / 1/640秒 / F5.6 / +0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 142mm
オリンパスの49分割デジタルESP測光は、わりと中央重点測光に近い。こういう条件だと、けっこう大きめのマイナス補正が必要になる
ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6 / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F8 / -1.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 150mm

ライブビューで木道から手を伸ばして撮ったカット。コントラストAFがそこそこ速いので使い勝手がいい
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / 1/50秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 14mm
こういうシーンだと、白い花が飛ぶのをあきらめるか、それとも露出を切り詰めておいて後処理で強引に補正するのがいいのか、いつも迷ってしまう
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / 1/80秒 / F11 / -1EV / ISO100 / WB:晴天 / 14mm

明治神宮御苑の清正井(きよまさのいど)。とっても暗い段差に腰を下ろしてヒザにヒジを載せて気合いの1/3秒
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / 1/3秒 / F5.1 / -2.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 31mm
柵に手を載せてライブビューでピントを合わせて(位相差AFで撮ったカットはピントが合ってなかった)撮った。手ブレ補正付きでもブレて当然のシャッター速度だったが、なんとか1枚無事だった
ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6 / 3,648×2,736 / 1/6秒 / F8 / -2EV / ISO100 / WB:晴天 / 150mm

目に鮮やかな新緑。ピントがちょっとあやしい気がするが、レンズのアマさかもしれなくて微妙なところ
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 3,648×2,736 / 1/100秒 / F8 / -1EV / ISO100 / WB:晴天 / 32mm
これくらいコントラストがあればファインダーでもピントの良し悪しはつかめる。合いさえすればシャープなのだ
ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6 / 3,648×2,736 / 1/250秒 / F5.6 / -2EV / ISO100 / WB:晴天 / 150mm

位相差AFで合わせようとしたら、ジコジコ動いてるだけだった。で、MFで合わせて撮ったカット
ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6 / 3,648×2,736 / 1/60秒 / F5.6 / -1EV / ISO100 / WB:晴天 / 132mm
階調オートにすると暗部がもっと出てくれるが、個人的には階調標準のほうが好みには合いそうに思う。このあたりももっと研究が必要なところだ
ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6 / 3,648×2,736 / 1/80秒 / F8 / -0.7EV / ISO100 / WB:晴天 / 110mm

E-410とかだと屋根の白トビを抑えようとすると、もっとアンダーになってたはず。E-3との仕上がりの差を気にしなくてよくなったのがうれしいところだ
ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6 / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F8 / -0.7EV / ISO100 / WB:晴天 / 90mm
甲羅干し中のカメ。身体を温めるのに欠かせないのはわかるが、熱くなりすぎたりしないのか気になってしまう
ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6 / 3,648×2,736 / 1/320秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO100 / WB:晴天 / 150mm


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報
  http://olympus-imaging.jp/product/dslr/e520/
  オリンパスE-520関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/05/20/8468.html



北村智史
(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。最初に買ったデジタルカメラはキヤノンPowerShot S10。 ブログ:http://ketamura08.blog18.fc2.com/

2008/06/18 00:00
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.