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オリンパスE-420【第7回】
階調オートの実力をチェック

Reported by 小山 安博


25mm F2.8用に新発売の別売レンズフード「LH-43」(4,725円)を装着。アルミ製で質感は悪くない
 E-420にベストマッチするパンケーキレンズ「ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8」が品薄らしい。とにかくE-420とのマッチングがすばらしく、個人的にもほとんど常時このレンズを使っている。

 最近、25mm F2.8用のレンズフードが登場したので試しに付けてみたのだが、ほんのわずかとはいえ全長が長くなってしまうので個人的には微妙な気分。フード自体はアルミ製で質感は悪くないが、今回はシンプルさを優先して購入は見送った。

 さて、今回は「階調」。最近のデジタルカメラにはダイナミックレンジを拡大するような仕組みが搭載されている。デジカメは白トビ・黒ツブレしやすいとされており、これをフォローするような機能が、E-420では「階調オート」という形で搭載されている。

 各社でその仕組みは微妙に異なるが、オリンパスの階調オートでは「画像を細かい領域に分けて部分的に明るさを補正」する機能とされている。これによって、白トビと黒ツブレを抑え、写る範囲が広がるというわけだ。

 実際に撮影してみると、階調オートにすると同じシーンでもシャッタースピードが速くなる。つまり、写真の露出自体は暗くなることになり、ハイライトが白トビしにくくなる。それだけだと黒ツブレが広くなるので、今度はその暗い部分の階調を持ち上げる、という作業が行なわれる。この暗部の持ち上げを調整することで黒ツブレも抑えられるという仕組みなのだろう。

 各社とも、だいたい似たようなやり方でダイナミックレンジの拡大を図っているようだが、正確にいうとデジタル処理を駆使したやり方で擬似的な拡大ではある。とはいえ、ないよりはあった方がはるかにいい。白トビ・黒ツブレというのは情報量がゼロの状態だから、補正も不可能。そこが写ってくれるので、より撮影の幅が広がるのだ。


階調設定は4種類

「フェイス&バックコントロール」は、顔検出と階調オートを利用した機能


 これを有効活用しているのが「フェイス&バックコントロール」機能だ。これは顔検出と階調オートを組み合わせ、逆光時などで人の顔が暗く写りそうなシーンで顔を明るく、そして背景の白トビを防ぐ、という機能。これ自体はコンパクトデジカメですでに搭載されおり、これをデジタル一眼レフにも応用したのがこの機能だ。

 E-420に搭載された顔検出を使うことで、人の顔が暗くなる失敗を防ぎつつ、背景も極力残そうとしてくれるので、使い方によっては非常に便利。

 オリンパスのコンパクトデジカメを使ってみるとこの辺りの効果は一目で分かるほど明確なのだが、E-420だと効果は抑えめ。コンパクトデジカメは一見しての見栄えを優先し、E-420は過度な補正を行わないということなのかもしれないが、これは正しいと思う。

 E-420の顔検出はまだまだ発展途上という感じで、顔の追尾はしてくれないし、一度検出してもすぐに外れてしまったり、もう少し強力だと良かったが、フェイス&バックコントロールが便利なのは確かだ。

 十字ボタンへの割り当てがないE-420だが、十字キー左にだけは割り当てができ、デフォルトではここにフェイス&バックコントロールが割り当てられている。1ボタンでフェイス&バックコントロールが設定できるので便利。

 ところで、E-420の説明書には明暗差の大きい画像には階調オートを使い、普段は標準階調を使うように推奨している。カメラの処理によっては階調オートだと眠くなる可能性があるからだろうが、E-420ではそれほど効果が明確ではないせいか、階調標準とオートで明確な差は感じなかったので、あまり気にせずに積極的に階調オートを使っていいと思う。




  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出モード/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


階調設定による違い


 階調標準と階調オートで撮影した画像。階調オートとはいえ白トビすることは白トビするが、カメラや画像管理ソフトの白トビ警告は半分ほどになっている。それよりも暗部の階調の変化が分かりやすい。


階調:標準
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/400秒 / F8 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 20mm
階調:オート
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/500秒 / F8 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 20mm




 こちらは手持ちなのでおおざっぱな比較だが、やはり暗部は分かりやすい。


階調:標準
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/640秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 25mm
階調:オート
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/800秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 25mm




 黄色いバラの白トビが抑えられた例。


階調:標準
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/400秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 25mm
階調:オート
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/320秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 25mm




 階調の違いによる写りの変化。左上から階調:標準、オート、ローキー、ハイキー。この被写体ではオートの印象がもっともいい。


階調:標準
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/200秒 / F8 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 25mm
階調:オート
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/250秒 / F8 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 25mm

階調:ローキー
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/250秒 / F8 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 25mm
階調:ハイキー
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/125秒 / F8 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 25mm




 普通の階調オートとフェイス&バックコントロールでの比較。顔検出されたおかげで顔が明るく写っている。付属ソフト「OLYMPUS Master 2」で確認すると、フェイス&バックコントロールをONにした写真の階調設定はやはりオートだった。


フェイス&バックコントロールOFF
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/320秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 25mm
フェイス&バックコントロールON
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 25mm




一般作例

 今回は珍しく25mm F2.8とZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6の2本に加えて、機動性を考えればできれば使いたくないと思いつつ、三脚も持ち出して撮影。25mm F2.8は単焦点レンズであり、マクロみたいにギリギリまで寄ることもできないので、花をバリエーション豊かに撮ろうとすると切り取り方が難しい。研究心を高めてくれる単焦点レンズはいい。


階調:オート
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/160秒 / F8 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 25mm
階調:オート
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/400秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 25mm

階調:オート
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/125秒 / F8 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 25mm
階調:オート
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 25mm

階調:オート
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/100秒 / F10 / +1EV / ISO100 / WB:オート / 25mm
階調:オート
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 3,648×2,736 / 絞り優先AE / 1/320秒 / F5.6 / +1EV / ISO100 / WB:オート / 25mm

階調:オート
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/125秒 / F8 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 25mm
階調:オート
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/160秒 / F8 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 25mm

階調:オート
ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/100秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 25mm
階調:オート
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/250秒 / F5.6 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 26mm

階調:オート
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/250秒 / F8 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 20mm
階調:標準
ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 2,736×3,648 / 絞り優先AE / 1/500秒 / F6.3 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 35mm
階調:オート





URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報
  http://olympus-imaging.jp/product/dslr/e420/
  オリンパスE-420関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/03/14/8123.html
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポート(E-420)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2008.htm#e420

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小山 安博
某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、音楽プレーヤー、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、音楽プレーヤー、PC……たいてい何か新しいものを欲しがっている。

2008/05/30 14:45
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