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ニコンD300【第3回】
3D-トラッキングを試す

Reported by 大浦タケシ


 D300のフォーカスポイントはデジタル一眼レフ最多の51点。ファインダー画面を広くカバーしており、中央部分にある15点はより精度の高いクロスセンサーを採用している。AFモジュールは最上位機であるFXフォーマットのD3のものとほぼ同じで、DXフォーマット判といえるものだ。

 その51点のフォーカスポイントを最大に活かすエリアモードといえば、コンティニュアスAFモード(AF-C)との組み合わせで機能するダイナミックAFモードだろう。使用するフォーカスポイントに応じて9点、21点、51点から選択ができるほか、新たに「3D-トラッキング」という機能が搭載されている。


ダイナミックAFエリアでのフォーカスポイントは9点、21点、51点のほか、51点(3D-トラッキング)が選択できる。ダイナミックAFエリアはコンティニュアスAFモードでのみ有効な機能だ
 3D-トラッキングは非3D-トラッキングの51点と同様に51点全てのフォーカスポイントを使って被写体を追尾し続けるエリアモードだが、大きく異なるのは1,005分割RGBセンサーによって被写体の色調を認識し捕捉し続けられるところだ。捕捉精度が非3D-トラッキングと比べて高く、左右上下に動く被写体を捉えるのに向いている。ちなみに1,005分割RGBセンサーは3D-トラッキングをはじめとするAF機能へのほか、露出、ホワイトバランスなどにも応用されており、映像エンジン「EXPEED」と同様にD300の中枢部のひとつといえる。

 被写体として鉄道を狙ってみた。まず3D-トラッキング以外で撮影してみたが、なかでも51点の非3D-トラッキングでは思ったところにピントが合焦しないことが多々ある。9点や21点では被写体への合焦はほぼできるものの、捕捉できるエリアの広さが限られているため、狙った被写体をフォーカスポイントのあるファインダー画面上のどこでも補足し続けられるとは限らない。

 作例の電車は、51点の非3D-トラッキングで撮影したが、最初に先頭車両を補足した位置からフォーカスポイントが動かず、最後のほうのコマでは先頭車両にピントがきていない。

●3D-トラッキング:OFF
※4,288×2,848ピクセル / シャッター速度優先AE / 1/800秒 / F10 / -0.3EV / ISO800 / WB:オート / タムロン AF 18-250mm F3.5-6.3 Di II / 250mmで撮影しています。
※サムネールをクリックすると、等倍の画像を開きます。








 一方、3D-トラッキングでは最初に合焦させたいところにフォーカスポイントを置きシャッターボタンの半押しで補足が開始するため、ほぼ確実に被写体にピントを合わせることができる。しかも、ファインダーいっぱいに動き回るような被写体でも確実に補足し続けることが可能。作例では、先頭車両を追ってフォーカスポイントが移動しており、最後までピントが合っている。

 どちらかといえば背景がシンプルで、狙う被写体が際立つほうが効果は高いが、非3D-トラッキングよりは確実に捕捉し続ける。被写体を見失うこともほとんどなく、フォーカスポイントが画面の中の動き回る被写体を追いかける様子など、見ていて楽しくも感じる。

●3D-トラッキング:ON
※4,288×2,848ピクセル / シャッター速度優先AE / 1/800秒 / F10 / -0.3EV / ISO800 / WB:オート / タムロン AF 18-250mm F3.5-6.3 Di II / 250mmで撮影しています。
※サムネールをクリックすると、等倍の画像を開きます。








ViewNXでフォーカスポイントを表示したところ。非3D-トラッキングのダイナミックAFでは、先頭車両を追尾できず、フォーカスポイントが動かなかった 3D-トラッキングでは、フォーカスポイントが先頭車両を追尾し、合焦し続けた

 51点3D-トラッキングは、車体に派手な色使いの多いモータースポーツやテニスなどのように同じユニフォームを着た人物がほかにいないようなスポーツ撮影などに特に有効な機能だ。子どもやポートレート撮影などでも動きのあるようなシーンでは活用できる。応用できるシーンに出会えたら、積極的に使ってみたいと考えている。





3D-トラッキングではトリッキーな動きをするアクロバティックプレーンでも確実に捕捉し続ける。撮影者はシャッターをひたすら押し続けることに集中できる(β機による撮影)
4,288×2,848ピクセル / 絞り優先AE / 1/1,000秒 / F5.6 / 0EV / ISO800 / WB:晴天 / AF-S DX VR Zoom-Nikkor ED 18-200mm F3.5-5.6 G / 200mm


URL
  ニコンD300関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2007/08/24/6897.html



大浦タケシ
(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。

2008/04/23 12:52
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