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パナソニックLUMIX DMC-L10【第4回】
手ブレ補正とISOオートで夜景を撮る

Reported by 安孫子 卓郎


 夜景を撮るベストなセッティングは、しっかりした三脚に据えて、感度はできるだけ低く固定して撮ることです。

 断言してしまいましたが、動いているものを撮るとかストロボとシンクロさせて動くものを撮るなどの場合を除いて、いわゆる風景的にきれいな夜景の画像を得たいならば、フイルムでもデジタルでも、上記のセットがベストだといえます。

 とはいえ、旅行、あるいはデートのときなど、大きな三脚を持っていくのは支障があります。昼間の記念写真などでしたら軽量の三脚でもよいのですが、夜景などを撮る場合は大きく重たい、がっしりした三脚が必要です。撮影のためだけに出かけるなら良いのですが、同伴者がいたり、混雑する場所では問題があります。

 今回の撮影は、DMC-L10にキットレンズの「Leica D Vario-Elmar 14-50mm F3.8-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.」をつけて、ISO感度は自動増感(ISOオート)に任せ、手ブレ補正を頼りに撮影しようという、夜景の撮影としてはもっとも安直な方法です。レンズはF3.8-5.6と、開放F値が暗い標準ズームです。大きなボケも作れませんし、夜景でF5.6は暗すぎます。到底うまく行くはずがありません。

 と、内心では思いつつも試してみたわけですが、実際のところ「予想を大きく超えて実用になる」というのが結論です。山中で星空を撮るなどという目的には、いくらなんでも無理だと思います。しかし比較的明るい都会の夜景ならば、手持ちでも実用になる時代になったといってよいでしょう。

 さすがにテレ側で撮影した場合はブレているカットの方が多く、5~6枚撮って1枚くらい当たりが出るかな、という印象ですが、ワイド側なら2~3枚でまずまずいけるように思います。ISO400に増感された画像をPCで見ると、暗部にはノイズが目立ちますが、Web用に縮小したり、A4までの印刷であれば気にならないレベルでしょう。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。
  • 使用レンズはすべて「Leica D Vario-Elmar 14-50mm F3.8-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.」です。


3,648×2,736 / 1/30秒 / F4.7 / 0EV / ISO320 / WB:晴れ / 27mm
3,648×2,736 / 1/30秒 / F4 / -0.66EV / ISO400 / WB:晴れ / 14mm

3,648×2,736 / 1/30秒 / F4.6 / 0EV / ISO320 / WB:晴れ / 24mm

3,648×2,736 / 1/15秒 / F4 / 0EV / ISO400 / WB:晴れ / 14mm


3,648×2,736 / 1/13秒 / F4 / -0.33EV / ISO400 / WB:晴れ / 14mm

3,648×2,736 / 1/25秒 / F4 / -0.33EV / ISO400 / WB:晴れ / 14mm


 「手ブレ補正に頼ってはいけない。夜景は三脚を使え」という意見も耳にします。その通りだと思う場合もありますが、手持ち撮影によって三脚では得られない自由なアングルや、シャッターチャンスを物にできる面もあります。また、立ち入り禁止の場所に入り込んだり、柵の中に三脚を入れて撮影するカメラマンも目に付きます。観光地では、滝の前の一等地に三脚を立てて粘ってしまい、一般の観光客が記念写真が撮れずに迷惑しているという話も耳にします。現在の手ブレ補正は万能の道具ではなく、まだ三脚に完全に置き換わるものではありませんが、公衆道徳を守って周りに迷惑をかけずに撮影する目的では、積極的に使用してよいハイテクではないでしょうか。

 AEしかり。AFしかり。ズームしかり。新しい技術が登場したときには、批判的な意見もありますが、今日ではそれらの技術をほとんどの人が受け入れて、便利に使用しています。手ブレ補正は、便利であるとともにカメラマンのマナー向上にも役立つものと思います。観光地のイルミネーションの下は大混雑することもあるでしょう。そんなときに三脚を立てていては周りに迷惑をかけることも心配されます。画像としての傑作は三脚の方が撮れるかもしれませんが、良心の傑作も評価に入れて、写真を撮影したいものだと思います。

 手ブレ補正を前向きに捉えて、使いこなしていただきたいと感じた次第です。

 私事で恐縮ですが、12月25日から2008年1月8日(火)午前中まで、都営新宿線岩本町駅のプロムナードギャラリーで、DMC-L10で撮影した写真を8枚、A1に引き伸ばしたものを展示します。去る11月25日に閉園した、東京ムツゴロウ動物王国での撮影です。駅の構内にありますので、期間中は始発から終電の時刻まで、いつでもご覧いただけます。年末年始、秋葉原にお出かけの際などに、お立ち寄りいただけると幸いです。


3,648×2,736 / 1/30秒 / F4.6 / 0EV / ISO320 / WB:晴れ / 24mm

3,648×2,736 / 1/30秒 / F5.1 / 0EV / ISO250 / WB:晴れ / 33mm


3,648×2,736 / 1/30秒 / F3.8 / 0EV / ISO125 / WB:晴れ / 14mm

3,648×2,736 / 1/30秒 / F5.6 / +0.33EV / ISO320 / WB:晴れ / 50mm


3,648×2,736 / 1/30秒 / F3.8 / 0EV / ISO160 / WB:晴れ / 14mm

3,648×2,736 / 1/30秒 / F5.2 / -0.33EV / ISO200 / WB:晴れ / 35mm



URL
  パナソニック
  http://panasonic.co.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/l10/
  パナソニックLUMIX DMC-L10関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2007/09/26/7096.html
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポート(2007年)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2007.htm



安孫子 卓郎
(あびこたくお) きわめて頻繁に「我孫子」と誤変換されるので、「我孫子ではなく安孫子です」がキャッチフレーズ(^^;。大学を卒業後、医薬品会社に就職。医薬品営業からパソコンシステムの営業を経て脱サラ。デジタルカメラオンリーのカメラマンを目指す。写真展「デジタルカメラの世界」など開催。現在パソコン誌、写真誌等で執筆中。

2007/12/26 00:05
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