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オリンパスE-3【第1回】
幸せな気分にひたれるファインダー

Reported by 北村 智史


 発売日にE-3を買ったのにまったく使うヒマがない状態がつづいて、今週がやっとこさの初撮りである。んで、そういうときに限って天気もよろしくなかったりするのがさびしいのだけれど、手ブレ補正の強力さが実感できて、それはそれでうれしかったりもする。

 それ以外にもAFがよくなったとか液晶モニターが動くとか、E-3で気に入っている点はいくつもあるが、一番はファインダー。カメラとして最も大切な部分であり、フォーサーズの弱みだったファインダーが格段によくなっているところが素晴らしい。

 筆者は小ささと軽さに惚れてE-410を買ったくちだが、メインで使っているニコンD200と比べたときのファインダー像のあまりの小ささには、正直めげた。旅行用とかのサブシステムとしてお遊び的に持つにはよくても、気合いを入れて使うにはしんどいなぁと思わざるをえなかった。

 多分、似たようなことを考えている人はほかにもいるだろう。フォーサーズの写りのよさに魅力を感じてはいても、ファインダー像の小ささが嫌で、敬遠していた人は案外少なくないのではないだろうか。そういう人にとって、E-3のファインダーは十分にアピールできるスペックになっている。

 実際、従来からのフォーサーズユーザーにとっては天国気分が味わえるはずだ。しかも、「フォーサーズにしては頑張ってるよねぇ」というのではなしに、いわゆるAPS-Cサイズの機種に引けを取らない大きなファインダー像なのである。

 本誌の「新製品レビュー」のときにD200よりも「左右幅が少し小さめに見える程度」と書いたら、編集担当からものの見事に「証拠を見せなさい」と突っ込まれた。なので、今回は3機種分のファインダー画像を掲載する。もちろん、ファインダー視野率がE-3だけ100%、D200とE-410は95%(同じファインダー倍率のカメラのファインダー像より5%小さい)である分は差し引かなくてはならないにしても、もとの画面サイズの小ささを考えれば開発陣の努力が並外れたものだったことはよくわかる。


E-3
D200 E-410
補足:E-3は視野率100%、D200とE-410は視野率95%なので、単純な比較はできないが、それでもE-3のファインダー像の大きさが感動ものなのはおわかりいただけると思う。ちなみに、装着レンズはD200がAi AF Micro Nikkor 60mm F2.8 D、E-3とE-410はZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macroなので、画角とボケ具合は比較できない。


 まあ、ファインダー倍率を35mmフィルムカメラに換算して比べた場合、E-3の0.575倍相当という数字は、現行22機種中12位でしかないし、筆者個人としてはフィルム一眼レフ並みのスペックが希望なのでまだまだ合格点はあげられない。しかし、画面サイズのより大きな他社のモデルと比べて見劣りしなくなったのは素晴らしい。すごいと思う。

 ファインダー倍率の高さに加えて、視野率が100%というのもうれしい。ファインダー視野率というのは、実際に画面に写る範囲に対するファインダーで見える範囲を比率であらわしたもので、要はファインダーの持つ誤差の多い少ないを示す数字である。一般的には95%以上ならよしということになっているし、デジタル一眼レフカメラでは一部のプロ向けモデル以外はほとんどが95%だったりする。

 が、95%というのは、ファインダーでは見えていないけれど画面には写る範囲が5%あるという意味で、たまにファインダーでは見えていなかったはずのものが画面の端にこっそり写り込んでいてむむっと思うことがあるのは、この5%の誤差のせいである(まあ、こちらの不注意のことも少なくないけれど)。

 もっとも、視野率が100%ならいい写真が撮れると決まったわけではないし、ペンタプリズムをはじめとするファインダー光学系のサイズを大きくしないといけないとか、各パーツの位置関係の調整といった作業量の増加とかの問題もある。要は、カメラのサイズと価格に響くのである。なので、お気楽に100%がいい、100%じゃないとだめとも言えないが、気分的には間違いなくいい。

 ただ、その気分のよさを味わうには、今まではキヤノンEOS-1DシリーズやニコンD一桁シリーズを買うしかなかったのが、ほどほどの価格で手に入れられるのはありがたい(ちょっと前まではE-1も残ってたし、今はニコンD300という選択肢もある)。

 それと、方眼マットが用意されているのも個人的にはすごくうれしいポイント。左目が利き眼な上に構え方がよくないせいで、気をつけていないとすぐに画面が傾いてしまう。だから、フィルム時代から方眼マットを愛用していたので(それこそOM-2N時代からである)、E-3にもさっそく方眼マットを入れた。サービス窓口まで行かないといけないのが面倒だったけど、これで少しは水平の合ってない写真が減るかと思うとうれしい。

 ちなみに、メガネをかけている人はアイカップを標準のEP-7からE-410/E-510など用のEP-5に交換するといいかもしれない。厚みが小さくなる分画面の四隅とか視野外表示とかが多少見やすくなる。サイズが小さいのでいまいち格好がよろしくないのは難点ですけど。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。 ※仕上がりはNATURAL、ノイズフィルタは標準で撮影しています。


24mm相当といっても、画面の縦横比の関係で長編側の画角は3:2比率の28mm相当のレンズよりちょっと広いだけ。でも、短辺側の画角はだいぶ広いし、今まで(14mmスタートの標準ズーム)に比べれば格段に広くて楽しめる
ED 12-60mm F2.8-4 SWD / 3,648×2,736 / 1/60秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 12mm
ファインダー倍率が上がったおかげで、こういうシーンのピント合わせはかなり楽になった
ED 12-60mm F2.8-4 SWD / 3,648×2,736 / 1/80秒 / F4 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 60mm

こちらはライブビューでの撮影。手持ちでMFの拡大画面を見ながらピントを合わせてシャッターを切った。ライブビューがなかったら地面に這いつくばらなきゃいけなかったところである
ED 12-60mm F2.8-4 SWD / 3,648×2,736 / 1/50秒 / F4 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 60mm
ドアの赤はもっと渋めの色だったように思う。それにしてもドアにミラーが付いているのが不思議。んで、それをフラワーリースが邪魔してたりするのも
ED 12-60mm F2.8-4 SWD / 12mm / 3,648×2,736 / 1/5秒 / F2.8 / -1EV / ISO100 / WB:オート

画面の端をファインダーできちんと見ながらフレーミングできる安心感が視野率100%の気持ちいいところ
ED 12-60mm F2.8-4 SWD / 12mm / 3,648×2,736 / 1/60秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:晴天
てっぺんのあたりを見ると少し色収差が出ているのがわかる。そんなに気にするほどの量ではないけど
ED 12-60mm F2.8-4 SWD / 3,648×2,736 / 1/60秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 12mm

カモメに餌をやらないようにとの注意書きのある勝鬨橋の向こうは勝どき1丁目(画面左方向が月島)。奥手はトリトンスクエア。なんか不思議な風景
ED 12-60mm F2.8-4 SWD / 3,648×2,736 / 1/160秒 / F8 / +0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 60mm
隅田川を下っていく船。真下付近を通るのを見ているとけっこうなごめる。
ED 12-60mm F2.8-4 SWD / 3,648×2,736 / 1/100秒 / F8 / +0.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 12mm

レトロなデザインの街灯の上で海鳥がくつろいでいたりする
ED 12-60mm F2.8-4 SWD / 3,648×2,736 / 1/80秒 / F8 / +0.7EV / ISO100 / WB:晴天 / 60mm
交通量が多いせいで振動がかなりある。大型トラックが通るとゴットンと揺られるので、手ブレ補正付きでもブレてしまう。乗物酔する人はちょっと危険かも
ED 12-60mm F2.8-4 SWD / 3,648×2,736 / 1/60秒 / F8 / +1EV / ISO100 / WB:晴天 / 12mm

大型化学消防艇「みやこどり」。もう少し寄って撮りたかったけど、60mmでもこれでせいいっぱい
ED 12-60mm F2.8-4 SWD / 3,648×2,736 / 1/50秒 / F8 / ISO100 / WB:晴天 / 60mm
関係者の方々には申し訳ないが、見た途端に吹きました。やっぱり広角端の歪曲(タルじゃなくてジンガサってヤツだ)が気になる
ED 12-60mm F2.8-4 SWD / 3,648×2,736 / 1/30秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO100 / WB:晴天 / 12mm

ホームに滑り込んでくる地下鉄をスローシャッターで撮ってみた。手ブレ補正のおかげで気軽にこういうのにチャレンジできる(成功するかどうかは別ですが)。縞模様状に見えるのは、車体に写り込んだ蛍光灯の明滅のせい
ED 12-60mm F2.8-4 SWD / 3,648×2,736 / 1/4秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 12mm


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報
  http://olympus-imaging.jp/product/dslr/e3/
  オリンパスE-3関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2007/10/18/7222.html



北村 智史
(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。最初に買ったデジタルカメラはキヤノンPowerShot S10。 ブログ:http://ketamura08.blog18.fc2.com/

2007/12/14 00:00
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