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パナソニックLUMIX DMC-L10【第2回】
普通に「AFロック」できるライブビュー

Reported by 安孫子 卓郎


 変な話ですが、DMC-L10のライブビューが優れている部分として、「シャッターボタン半押しで普通にAFロックができる」点があります。コントラスト検出式でも位相差検出式でも行なえます。

 というと「そんな当たり前のことを」と不思議に思われるかもしれませんが、実はほかのライブビュー対応機種では、ライブビュー撮影中にシャッターボタン半押ししたまま構図を整える、いわゆる「AFロック」ができないのです(E-330のAモードを除く)。

 ライブビューモードにおいてE-3などのオリンパス機は、ミラーアップを伴わないE-330のAモードを例外として、AFロックボタン(AE-L/AF-Lボタン)を押すことでAFが動作し、シャッターボタン半押しではAFが動きません。キヤノンのEOS 40Dも同じくAF動作はAF-ONボタンです。

 ややこしいのがニコンD3とD300。ライブビュー設定として「三脚撮影」(コントラスト検出式AF)を選ぶと、AF-ONボタンでしかAFが作動しません。これはオリンパスと同じです。しかしもうひとつのライブビュー設定「手持ち撮影」(位相差AF)では、シャッターボタンとAF-ONボタンのどちらでもAFが可能になります。

 ニコン機で「手持ち撮影」設定のときにシャッターボタンを半押しすると、ミラーが下がり(液晶モニターは消灯)、ライブビューが中断されてAFが作動します。半押ししたままカメラを振って構図を整えたいところですが、その間は液晶モニターが消灯しており、画像が見えません。半押しを解除すると液晶モニターが点灯してライブビューに戻りますが、一般的なAFロックの操作とは違うので違和感を覚えます。しかもシャッターボタンを全押しすると測距をやり直すので、いわゆるAFロックにはなりません。

 どうしても「手持ち撮影」設定でAFロックをしたい場合は、カスタムメニューで「半押しAFレンズ駆動」=OFF、「AF-Sモードの時の優先」(あるいはAF-Cモード時の優先)=レリーズにします。つまりシャッターボタン半押しでのAFをあきらめ、AF-ONボタンだけでAFを動作させる設定です。特にニコンのD300とD3は測距点が多いので、あらかじめ測距点を移動させてからAFを効かせれば済む話ですが、手慣れたAFロックの動作は、とっさの場合には捨て難いものです。

 そんなわけで、ライブビュー中にコントラストAFで液晶モニターを点灯させたままシャッターボタン半押しでAFロックができるのは、DMC-L10だけということになるのです。パナソニックの技術者も、まさかこんなことで誉められるとは、思ってもいなかったでしょう。なおライブビュー時のAFは、オリンパス機と同様、背面のAFL/AELボタンでも可能です。

【2007年12月12日】オリンパス機の説明にE-330のAモードについて追記しました。


ライブビューとフリーアングル液晶モニターの快適さは抜群。さらに手慣れたAFロック動作ができるのもDMC-L10の魅力です
DMC-L10のAFエリア切替。中央にあわせる「1点」のほか、顔検出、9点、マルチ、3点、スポットが選べる

 シャッターボタン半押しによるAFロックの便利さは、ハイアングルでの撮影で特に感じます。ローアングルの場合はAEL/AFLボタンでも良いのですが、ハイアングルの場合、角度によってはAEL/AFLボタンを使うとカメラのホールドが左手1本になってしまい、頭の上に掲げることもあって不安を感じます。その点シャッターボタンなら、右手もホールドに使えるので安定します。こんなに当たり前の機能をこんなに語っていて良いのかという気もしてしますが、昨年発売のLUMIX DMC-L1の時からシャッター半押しでのAFロックができたのですから、他社も見習ってほしかった部分です。

 DMC-L10のAFには、AF-SモードとAF-Cモードがありますが、ライブビューに切り替えると自動的にAF-Sモードに移行します。AFを行なうとミラーが上下して、連写をすると結構大きなミラーの動作音をさせながら撮影することになります。どうせAF-Sになるなら、EOS 40Dのようにミラーを固定して連写してくれればと思いますし、毎回ミラーが上下するならAF-Cモードができてもよさそうに思えるのですが、これらは今後の課題なのでしょう。

 ばたばた音をさせながら撮影するのはうるさいことは確かですが、ライブビュー+フリーアングル液晶モニターによる撮影の広がり、自由さの代償と考えれば、いたし方のないところです。軽快なシャッター音は心地よいものですが、それだけでは撮れないものが撮れるようにはなりません。DMC-L10は今まで撮れなかった(あるいは撮ることが困難だった)アングルでの、楽な撮影を満たしてくれます。現段階で私がどちらかを選ぶのであれば、ライブビュー+フリーアングル液晶モニターになるだろうと思います。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。
  • 使用レンズはすべてD Vario-Elmar 14-50mm F3.8-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.です。


3,648×2,736 / 1/4,000秒 / F4.7 / +0.33EV / ISO100 / WB:晴れ / 26mm
3,648×2,736 / 1/200秒 / F7.1 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 14mm

3,648×2,736 / 1/60秒 / F5 / +0.33EV / ISO100 / WB:晴れ / 27mm
3,648×2,736 / 1/30秒 / F3.8 / -0.33EV / ISO100 / WB:曇り / 14mm

3,648×2,736 / 1/1,000秒 / F3.8 / -0.33EV / ISO100 / WB:晴れ / 14mm
3,648×2,736 / 1/40秒 / F6.3 / 0EV / ISO100 / WB:曇り / 50mm

3,648×2,736 / 1/200秒 / F7.1 / -0.33EV / ISO100 / WB:晴れ / 14mm
3,648×2,736 / 1/400秒 / F5.6 / +0.33EV / ISO100 / WB:晴れ / 50mm

3,648×2,736 / 1/125秒 / F6.3 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 16mm


URL
  パナソニック
  http://panasonic.co.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/l10/
  パナソニックLUMIX DMC-L10関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2007/09/26/7096.html
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポート(2007年)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2007.htm



安孫子 卓郎
(あびこたくお) きわめて頻繁に「我孫子」と誤変換されるので、「我孫子ではなく安孫子です」がキャッチフレーズ(^^;。大学を卒業後、医薬品会社に就職。医薬品営業からパソコンシステムの営業を経て脱サラ。デジタルカメラオンリーのカメラマンを目指す。写真展「デジタルカメラの世界」など開催。現在パソコン誌、写真誌等で執筆中。

2007/12/12 00:03
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