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パナソニック LUMIX DMC-TZ3【第2回】
高感度ノイズとホワイトバランスをチェック

Reported by 奥川 浩彦


 筆者が思うパナソニックのデジカメの印象は、光学手ブレ補正や28mm広角ズームの採用など、新機能の搭載に積極的だというもの。反面、オートフォーカスの速度が遅いことや、ミックス光源下のホワイトバランスがイマイチだと思っている。

 光学系は標準的で極めて高解像度でもなく、高感度ノイズも少ないとはいえない。また、絞りを2段階に簡素化するなどカメラ的にはややオモチャっぽい部分もあり、従来の光学メーカーほど凝った作りではない。しかし、筆者には取り立てて悪い印象はなく、普通に使うには問題ないレベルにまとめている感じだ。デザインは好みの問題もあるが無難な選択で、全般的に見て初心者にはお奨めできるデジカメだと思っている。

 今回はDMC-TZ3(以下TZ3)の基本性能を確認したい。TZ3は新たに1/2.35型のCCDと28mmから始まる10倍ズームレンズを採用している。はたして新しい光学系の性能は向上しているだろうか。オートフォーカスの速度やホワイトバランスは改善されただろうか。このあたりを評価していきたい。


改善された高感度ノイズ

 筆者がいつもノイズチェックを行なっている名古屋のオアシス21を撮影してみた。焦点距離は広角端より数ステップズームした5.5mm(35mm判換算33mm相当)で絞りはF3.3。DMC-TZ3で設定できる感度はISO100、200、400、800、1250に加え、シーンモードの選択を高感度にするとISO3200となる。

 撮影を始めて最初に気になったのは、かなり明るめに露出設定されることだ。他社のデジカメでも見た印象より明るめになるケースは多いが、TZ3はシャッター速度が2段近く遅めに設定されることもあり、飛び抜けて明るくなる。今回は露出補正を-2/3EVに設定して撮影した。さらにISO800に固定し、露出補正を±0~-2EVまで7ステップ変更した画像も用意してみた。

 ISO100の画像は低ノイズとは言えないが充分満足できるレベルだと思う。解像度もトップクラスとは言えないが周辺部で極端に悪くなることもなく標準的なレベルであろう。ISO200はややノイズが増加するが、同じ傾向でISO400あたりからノイズも目立ち始め、解像度も低下し始める。ISO800になるとかなりノイジーな画像となり解像度も大幅に下がる。中途半端なISO1250は、おそらくISO1600が非実用的だったためと想像され、かなり使用をためらう画像となっている。

 ISO3200になると、筆者には用途が思い浮かばないレベルまで画質が低下している。通常撮影モードでISO感度の設定をオートにすると、ISO200までの範囲で増感される。ISO200までなら実用上問題ないと思われるので普段はオートに設定してもいいだろう。インテリジェントISO感度モードでは任意にISO400、800、1250が選択できるので、撮影目的に応じて選択することもできる。高感度ノイズに関しては、2年ほど前の製品と比較すれば改善されているものの、もう一息ではなかろうか。

 ISO800固定で露出補正を変化させた場合もノイズは順当に変化していく。これはどのデジカメでも同じで、暗部が多くなればなるほどノイズが目立つ。逆にいうと、日中なら感度を高くしても比較的ノイズは目立たない。だが、絞りが開放を合わせて2段しかないので、比較的シャッター速度は高めに設定されるケースが多い。そのため、日中の撮影で感度を上げて撮るシーンが思い浮かばない。やはり感度を上げたいのは暗いシーンなので、ノイズに関してはそれほど期待しない方がよさそうだ。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。
  • 強調のため一部の項目を1行目に抜粋した場合もあります。


●ISO感度


ISO100
3,072×2,304 / 0.8秒 / F3.6 / -0.7EV / WB:オート / 34mm
ISO200
3,072×2,304 / 1/3秒 / F3.6 / -0.7EV / WB:オート / 34mm

ISO400
3,072×2,304 / 1/5秒 / F3.6 / -0.7EV / WB:オート / 34mm
ISO0800
3,072×2,304 / 1/10秒 / F3.6 / -0.7EV / WB:オート / 34mm

ISO1250
3,072×2,304 / 1/15秒 / F3.6 / -0.7EV / WB:オート / 34mm
ISO3200(高感度モード)
3,072×2,304 / 1/40秒 / F3.6 / -0.7EV / WB:オート / 34mm

●露出補正(ISO800時)


±0EV
3,072×2,304 / 1/6秒 / F3.6 / ISO800 / WB:オート / 34mm
-0.3EV
3,072×2,304 / 1/8秒 / F3.6 / ISO800 / WB:オート / 34mm

-0.7EV
3,072×2,304 / 1/10秒 / F3.6 / ISO800 / WB:オート / 34mm
-1EV
3,072×2,304 / 1/13秒 / F3.6 / ISO800 / WB:オート / 34mm

-1.3EV
3,072×2,304 / 1/15秒 / F3.6 / ISO800 / WB:オート / 34mm
-1.7EV
3,072×2,304 / 1/20秒 / F3.6 / ISO800 / WB:オート / 34mm

-2EV
3,072×2,304 / 1/25秒 / F3.6 / ISO800 / WB:オート / 34mm

高い手ブレ補正の効果

 筆者はファミリーレストランで原稿を書くことが多い。その際にシーフードサラダを注文し、食べる前に撮影している。この撮影では手ブレ補正の効果とホワイトバランスの差が出やすい。DMC-TZ3の光学式手ブレ補正はかなり効果が期待できる。この点では食の撮影には適したデジカメだと思う。

 反面ホワイトバランスはやや甘い感じがする。蛍光灯下では問題ないが電球色系の照明下ではイマイチ色が出ない。これはホワイトバランスをオートに設定しても電球色に設定しても同じ傾向となっているので、室内の撮影の場合色には注意が必要だと思われる。撮影した画像もそうだが、液晶モニターに表示される画像はかなり赤みがかかって見える。撮影中には少々気になる感がある。作例で紹介するテレビ塔も実際よりかなり赤みが強く写ってしまった。ホワイトバランスをあれこれ変えてみたが改善はされなかった。色回りに関して安定感がないのは従来機と変わらない印象だ。

 オートフォーカスの選択は5種類と豊富になっていて、9点、3点高速、1点高速、1点、スポットから選択できる。最近流行の顔認識は搭載されていない。特徴的なのはスポットでかなり小さな面積を対象にフォーカスを行なうことができて面白い。じっくり撮影する場合なら、例えば右目にピントを合わせるとか細かなことができそうだ。10倍ズームを搭載して望遠に強いカメラなので便利な使い方ができるだろう。全体的には以前より若干速くなった気がするが、シャッターを半押しすると一旦ボケてから合焦する傾向は相変わらずで、キビキビしているとは言い難い。

 手ブレ補正は最高とはいえないが、かなり効果は高い印象だ。手ブレ補正搭載と謳っていてもシーフードサラダの撮影で「手ブレ補正してるのか?」と感じるメーカーも存在している。その点はコンパクトデジカメの手ブレ補正に関してはリーディングカンパニーであり性能も高い方だと感じる。焦点距離にもよるし、撮影者の技量にもよるので数値化は難しいが、印象としては2段くらいは補正してくれている。広角で1/8秒は微妙だが2桁のシャッター速度が表示されればそこそこの撮影はできそうだ。

●ホワイトバランス


シーフードサラダをホワイトバランスオートで撮影
3,072×2,304 / 1/8秒 / F3.3 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 28mm
ホワイトバランスを白熱灯にして撮影
3,072×2,304 / 1/15秒 / F3.3 / 0EV / ISO200 / WB:電球 / 28mm

そのほかの作例

東京タワーはブームだが、名古屋のテレビ塔は全く話題にならない。すべて手持ちで撮影
3,072×2,304 / 1/15秒 / F3.8 / -2EV / ISO400 / WB:オート / 38mm
画面のフチにある建造物はハの字に傾く。広角ならではの効果
3,072×2,304 / 1/10秒 / F3.4 / -1.7EV / ISO200 / WB:オート / 30mm

実際よりかなり赤みが強い。ホワイトバランスを変更しても改善されなかった
3,072×2,304 / 1/8秒 / F3.6 / EV-1.7 / ISO200 / WB:オート / 34mm
咲き始めた桜をストロボを使用してスローシンクロ撮影
3,072×2,304 / 1/8秒 / F4 / -2EV / ISO400 / フラッシュ / 43mm

シャッター速度が1/10秒より遅くなると、手持ちでは大半が手ブレした
3,072×2,304 / 1/10秒 / F3.7 / EV-1.7 / ISO200 / WB:オート / 36mm
蛍光灯下の照明ではホワイトバランスオートで特に問題なし
3,072×2,304 / 1/6秒 / F3.3 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 28mm

明るい室内の撮影なら手持ちで充分撮影可能。手ブレ補正は効果絶大
3,072×2,304 / 1/15秒 / F4.7 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 84mm
歩道から店内のディスプレイを望遠で撮影。色も特に違和感はない
3,072×2,304 / 1/100秒 / F4.9 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 228mm

焦点距離256mm、シャッター速度1/4秒をブレを覚悟で何枚も撮影して選択。カップルの銅像と一人の対比が目にとまって撮影
3,072×2,304 / 1/4秒 / F4.9 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 256mm


URL
  パナソニック
  http://panasonic.co.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/tz3/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm

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( 奥川 浩彦 )
2007/04/04 00:02
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