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ニコン COOLPIX S10【最終回】
サブカメラとしての利便性

Reported by 本誌:折本 幸治


 発売日から使い続けて早3カ月。さまざまな場所に持って行き、超望遠+スイバル+手ブレ補正の便利さに慣れてしまった。といってもその大きさから、日常的に身につけるような使い方をしているわけではない。

 それでも焦点距離380mm相当(35mm判換算)の超望遠域の魅力は強力で、「いまCOOLPIX S10を持っていれば撮れたのに」と思うこともしばしば。一芸に秀でたカメラはやっぱり面白い。手ブレ補正も効きがいい印象だが、これは左手で鏡胴部をがっしり持つスタイルなのと、腰だめでの撮影が可能だからだと思う。個人的なクセもあるが、目の前に手を伸ばして撮る一般的なコンパクトデジタルカメラより、ブレにくい気がする。

 最終回は、サブカメラとしての使い勝手と、これまで使ってきた印象をまとめてみたい。


サブカメラとして使う

 発売当初、COOLPIX S10に期待したのは、R-D1のサブカメラとしてだった。何せレンジファインダー機のR-D1はマクロと望遠が苦手。広角レンズは12mmからあるものの(ただし28mm以下は外付けファインダーを使用)、望遠は特殊なレンズを除くと135mm止まり。しかもパララックスが激しい。マクロに至っては、基本的に0.7~1mが最短距離なので無理。ビゾフレックスを使うという手もあるが……。


エプソンR-D1
 というわけで、被写体が決まっていないような旅行では、撮影のメインをR-D1、マクロと望遠をCOOLPIX S10に分担させている。レンジファインダーのR-D1は、デジタル一眼レフカメラよりレンズ込みでのサイズが小さい。これまでは、デジタル一眼レフカメラ、マクロレンズ、50-200mm F4-5.6クラスの望遠レンズをR-D1と一緒に持ち歩いたが、COOLPIX S10とのコンビならかなり荷物を軽くできることがわかった。サブ的な使い方なら、電池の持ちも良く、2~3日の旅行なら、充電のタイミングを全く意識していない。

 また、超広角ズームレンズを付けたデジタル一眼レフカメラとコンビを組ませるのも面白い。先日、トキナーのAT-X 124 PRO DX(12-24mm F4)を付けたD200とともに持ち歩いたが、これだと18~36mm相当がF4、38~380mm相当がF3.5というシステムになる。この場合はCOOLPIX S10が主体で、広く撮りたいときにD200を取り出すというパターンだ。ただしあまりにも面白く、極端な画角の写真ばかりになって少し反省した。

 EVF搭載の高倍率機と違い、バッグの隙間やポケットに収まるのも好都合。全域F3.5という明るさは、下手な望遠ズームレンズより使える場合がある。もちろんAFをはじめ、デジタル一眼レフカメラに比べるとレスポンスに難があるし、超望遠撮影にしてはボケない。そのあたりは覚悟して使っている。

 そういえば、R-D1とはSDメモリーカードを共用できる。これも個人的にはポイントが高い。もちろんデジタル一眼レフカメラでも、ニコンやペンタックスのSDメモリーカード対応製品と親和性が高いはずだ。


実は使える? SDHCメモリーカード

COOLPIX S10のSDメモリーカードスロット。私の使っている個体では、SDHCメモリーカードが使用できた
 SDメモリーカードといえば、COOLPIX S10は、非対応のはずのSDHCメモリーカードが使えるようだ。ニコンに問い合わせたところ「検証していないのでサポート対象外」とのことだが、手元にあるATPとパナソニックの4GB SDHCは、スロットに差し込むだけで普通に使えた。さらに、8GBのアイ・オー・データ「SDHC-8G」(2月発売予定)も認識。画像モードを600万画素フル解像度/低圧縮の「高画質」にした場合、撮影可能枚数の表示は「2669」になる。また動画では、640×480ピクセル/30fpsの「TV再生640★」の場合、記録可能時間が1時間2分16秒と表示される。休日のおでかけ記録などは、SDHC1枚でまかなえる可能性もあるだろう。

 もちろんSDHCメモリーカードの使用は、あくまでもメーカーサポート外の使い方になる。自己責任で試してほしい。

 ちなみに、COOLPIX S10の動画機能はいまひとつ。ズームは電子式で2倍まで。手ブレ補正も電子式で、静止画のCCDシフト式に比べると効きが悪い。ただ、撮影前にズームレバーで画角を合わせておけば、超望遠域での動画記録が可能になる。また、静止画では不可能なコンティニュアスAFにも設定できる。


最後に贅沢な要望

 COOLPIX S10を使って改めて思うのは、スイバルの面白さだ。とりわけローアングルが容易なので、地面近くの色々なものを撮りたくて仕方がない時期があった。バリアングル液晶モニターでも可能だが、液晶モニターを引き出す手間がない分、気軽に使えるのがいい。ただ、安孫子氏が新製品レビューで指摘している通り、望遠マクロだとなぜかピントが合いづらいので、花や昆虫には向かないのが残念。

 スイバルに絡んでもうひとつ。COOLPIX S10の中身は、はっきりいってオートとシーンモードが中心のお手軽カメラだ。個人的な見解だが、マニアックなスイバル機構をベースにしたからには、それに見合う撮影機能を期待している人も多いと思う。罪なもので、COOLPIX S10を使うと、忘れていたかつてのCOOLPIX 900番台や、COOLPIX 4500を使っていた頃のときめきを思い出してしまうのだ。

 具体的な希望は、A/S/Mの露出モード、多段階の絞り、シャッター速度1/2,000以上、RAWでの記録、ストロボ接点、コンバージョンレンズの装着といったところだろう。ダイヤル操作とグリップも外せない。ここまでくるともう別の製品コンセプトだが、要するにかつての高級路線をもう一度期待している。ワイドコンバージョンレンズや魚眼レンズを付けたいところだ。

 操作系と機能の最低ラインをデジタル一眼レフカメラに合わせ、サブカメラとして特化するのも手だと思う。デジタル一眼レフカメラが低価格化している中、実現は難しいとは理解しているつもりだが……。画素数の増加はもういいし、1/2.5型CCDでもここまでの画質が引き出せることもわかった。COOLPIX S4から手ブレ補正が付いて、一気に使いやすいカメラになったことだし、お手軽薄型コンパクトモデルと同じようなメニューで同じ機能はもったいない。

 といいつつも、COOLPIX S10の写りの良さと便利さには感服している。これからも撮影旅行のたびに、カメラバッグのポケットに入っていることだろう。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。

  • 作例下の撮影データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


2,816×2,112 / 1/200秒 / F4 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 8mm ビビッドカラー
2,816×2,112 / 0.6秒 / F3.5 / -1.7EV / ISO50 / WB:晴れ / 21.3mm

シーンモード:夕焼け
2,816×2,112 / 1/900秒 / F13.6 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 63.3mm
シーンモード:風景
2,816×2,112 / 1/236秒 / F4 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 18.9mm

シーンモード:接写
2,816×2,112 / 1/164秒 / F3.5 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 18.9mm
ビビッドカラー
2,816×2,112 / 1/678秒 / F4 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 9.7mm

ビビッドカラー
2,816×2,112 / 1/550秒 / F4 / -0.3EV / ISO50 / WB:オート / 6.3mm
2,816×2,112 / 1/308秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO50 / WB:晴れ / 63.3mm


URL
  ニコン
  http://www.nikon.co.jp/
  製品情報
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/compact/coolpix/s10/
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( 本誌:折本 幸治 )
2007/01/15 00:00
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