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キヤノン IXY DIGITAL 900 IS【第4回】
実用的な「フェイスキャッチテクノロジー」

Reported by 奥川 浩彦


 今回はIXY DIGITAL 900 ISの新機能から、フェイスキャッチテクノロジーと水族館モードについて書いてみたい。購入時、筆者としてはどちらもそれほど心動かされる機能ではなかった。人物がフレーム内に入っている場合、最近のマルチAFを搭載したデジカメならそれなりにAF枠が人物に合うことが多い。どうしても背景にピントが行く場合は、AFロックで人物にピントを合わせてからフレーミングし直せばいい。水族館は高感度での低ノイズ性能と、明るいレンズがなければ撮れないと思っているので「本当に?」と懐疑的だったためだ。

 フェイスキャッチテクノロジーは、MENUのAiAFから「顔優先」を選択すると機能する。「入」を選択すると9点AF、「切」を選択するとAFはフレームセンターに固定される。実際に使用してみるとかなりの優れもので、現在筆者は「顔優先」をデフォルトにして使用している。液晶モニターに人物が映ると、顔の大きさに合わせた真四角のフレームが表示される。認識率も高く、追従速度も充分実用的だと思う。

 この機能がなかったとしても、カメラを理解している人なら少し工夫すれば問題ないだろう。しかし、筆者の子どものように、何も考えずシャッターを切るだけの人には有効だ。記念撮影でバックの景色にピントが合って、人物がピンボケになる失敗を避けることができる。購入前には興味がなかった機能だが、900 ISの新機能の中では最も魅力的といえるかもしれない。人とは関係ない被写体を「顔」と誤認識することは意外と多いが、動物の顔は認識しない。逆に現在まで顔認識できなかった人物は1人もいない。

 静止画や言葉で説明するより実際の様子を見てもらった方がわかりやすいので、今回は動画を用意してみた。映像は900 ISの液晶モニターを後ろからほかのデジカメで動画撮影したもの。まず被写体が1人の場合だ。左右に動いてもらい元の位置に戻ったところでシャッターを切った。AF枠が顔に追従する速度、精度がわかると思う。シャッターボタンを押すと緑枠が表示されたところにピントが合う。

  • 作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 写真下の作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。

フェイスキャッチテクノロジー作動時の液晶モニター表示。MOV形式(11.6MB)
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そのとき撮影した画像
3,072×2,304 / 1/8秒 / F5.8 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 17.3mm


 次は被写体が2人の場合だ。2人の場合はフレームが2つ表示され追従する。男性が前に出たところで若干フレーム枠のサイズも大きくなる。この状態で3人分までフレームが表示され、シャッターボタンを半押しすると白色のフレームの人物にピントが合う。フレーム内にピントが合う人物が複数いた場合、最大9人まで緑枠が表示される。記念撮影を考えた場合、縦に(前後に)9人並ぶことはないだろうし、被写界深度を超えてピントを合わせることはできないのだから、実用上3人でも5人でも問題ないだろう。

 最後の動画は、横顔から正面を向くときにどの辺りで認識するかを試したときのものだ。まだ両目が見えない時点でフレームは表示される。カメラ正面に対しておよそ45度くらいなら、かなりの確率で認識する。これを見ても充分実用的なことがわかる。

被写体が2人になっても追従する。MOV形式(10.3MB)
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真横では認識しないが、少しこちらに向くと認識可能。MOV形式(10.3MB)
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 雑誌やポスターの写真、パソコンのディスプレイに映った画像、テレビに映った人物でも認識される。写真だけでなくイラスト、絵画、人形などもリアルなものはかなりの確率で認識できる。ということで、人形や絵画で実際のピントを確認してみたい。

 最初は日本人形の画像だ。手前一番右側の人形に白枠が表示された時に撮った画像と、右から2番目、奥の人形に白枠が表示された時に撮った画像を比較してみたい。ハッキリとピントの違いが分かるであろう。西麻布の高級家具、Artifortのショールームにかけられたイラストにもフェイスキャッチテクノロジーは有効だった。「顔優先」では壁に掛けられた絵にピントが合った。9点AFに切り替えると、手前の白い椅子の左の肘掛けにAF枠は表示された。人物が遠く、顔の液晶モニターに占める割合がかなり小さめでも充分認識する。


この人形は顔認識できた。一番右の人形に合わせて撮影
3,072×2,304 / 1/20秒 / F4 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 9.11mm
右から2番目、奥の人形に合わせて撮影
3,072×2,304 / 1/15秒 / F4 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 9.11mm

AiAFを「顔優先」にすると壁の絵にピントが合う。西麻布、ホウトクArtifortショールームにて
3,072×2,304 / 1/60秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 4.6mm
9点AFに切り替えて撮影。白い椅子の左の肘掛けにAF枠は表示された
3,072×2,304 / 1/50秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 4.6mm

フレームの端ギリギリでもフェイスキャッチは可能
3,072×2,304 / 1/60秒 / F5.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 17.3mm
AFをセンターにするとバックの葉っぱにピントが合う
3,072×2,304 / 1/60秒 / F5.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 17.3mm

 またフェイスキャッチテクノロジーでは、フレームギリギリまでAF枠が移動する。和傘を差した人形の顔をフレームのギリギリにして撮影してみた。この位置でも顔認識は可能だ。フレームセンターにピントの合った画像を見ると、暗いながら後方の葉っぱにピントが合っているのが分かるだろう。

 900 ISを購入してからかなりの人にフェイスキャッチテクノロジーを見せてきたが、この機能は間違いなくウケル。友人、知人、家族はもちろん、初対面の人にもほぼ100%ウケル機能だ。筆者は撮影に出かけた際、三脚に一眼レフで撮影している人に話しかけることがある。その場所の撮影のノウハウを聞いたりファインダーの覗かせてもらったりすると、それなりに参考になることは多い。その時に900 ISを取り出してフェイスキャッチを見せると、それだけで雰囲気は和やかになる。仕事で会った編集者でもPCパーツ系や携帯系の人はデジカメに詳しくなかったりするので、チョット見せると確実にウケルのである。

 このカメラをコンパに持ち込んだら確実にウケルであろう。連載初回のタイトルに「コンパ最強」と書いたのは、筆者が感じたフェイスキャッチテクノロジーの威力が活かせるシーンと感じたからだ。20年前にこのデジカメがあれば、もちろんコンパに持ち込んでいただろう。フェイスキャッチ→ウケル→撮影する→メールで送る、と展開する可能性は大だ。ちなみに900 ISの手ブレ補正は被写体ブレには有効ではない。暗い場所での撮影を考えると、本当にコンパ最強のデジカメは高感度に定評があり、顔認識機能も加わったFinePix F31fdかもしれない。


WPC EXPOキヤノンブースにて撮影
3,072×2,304 / 1/60秒 / F4.5 / 0EV / ISOオート / WB:オート / 10.83mm
地下鉄ホームの広告看板。イラストでも顔認識は可能
3,072×2,304 / 1/50秒 / F5.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 17.3mm

ホウトクArtifortショールームにて。絵の雰囲気がよかったのでフェイスキャッチしたまま撮影
3,072×2,304 / 1/80秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 4.6mm
この位置からでもフェイスキャッチできた
3,072×2,304 / 1/20秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 4.6mm

これは顔認識できず
3,072×2,304 / 1/40秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 4.6mm
この顔も認識不能
3,072×2,304 / 1/20秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 4.6mm

日本人形は認識したがこちらは認識せず
3,072×2,304 / 1/40秒 / F3.5 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 7.56mm

 水族館モードはスペシャルシーンのモードに新たに追加された機能だ。説明書きによると「屋内の水槽内の魚などを撮影するのに適した感度、ホワイトバランス、色味に設定されます」と書かれている。詳しい設定は非公開かもしれないが、ストロボはオフに設定され、感度はISO800、ホワイトバランスは太陽光に設定したときの色味に近い感じがする。実際には色の問題より被写体ブレが最大のポイントなので、ISO1600にならない点は疑問を感じる。現実には明るい水槽、動かない被写体の条件が揃わない限り、初心者がまともに撮ることは難しいであろう。

 というわけで、玉砕覚悟で水族館に出かけてみた。水族館モードで撮影した結果は予想通り。条件のいい水槽でも納得いく写真が撮れる確率は低い。普段オートでしかとらない人には感度の設定などを自動でしてくれるので手間が省けるメリットはあると思うが、根本的には明るいレンズの採用と同時に、高感度ノイズを劇的に減らさない限り、水族館での撮影はまだ難しいと感じた。800 ISの時と同じく、無理に静止画を撮るより動画の方が満足できる可能性は高いであろう。


水族館モード。明るい水槽だったので水族館モードで撮影できた
3,072×2,304 / 1/100秒 / F2.8 / 0EV / ISOオート / WB:オート / 4.6mm
水族館モード。上から光の入る明るめの水槽でもシャッター速度は1/40秒。うまく撮れた確率は1割以下だった
3,072×2,304 / 1/40秒 / F2.8 / 0EV / ISOオート / WB:オート / 4.6mm

水族館モード。シャッター速度1/30秒。動きが速い魚なら全滅だろう
3,072×2,304 / 1/30秒 / F4 / 0EV / ISOオート / WB:オート / 9.11mm
水族館をデジカメで撮るなら動画がお薦め。AVI形式(26.6MB)
※画像をクリックするとダウンロードが始まります
無理に写真を撮るより、動画なら動きもあって子どもも喜ぶのでは。AVI形式(9.9MB)
※画像をクリックするとダウンロードが始まります


※動画ファイルの再生は、お使いのPC環境によって異なります。再生に関する問い合わせにはお答えできませんので、ご了承ください。



URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/camera/ixyd/900is/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm
  Artifort
  http://www.houtoku.co.jp/

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( 奥川 浩彦 )
2006/11/08 00:42
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