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キヤノン IXY DIGITAL 900 IS【第1回】
コンパ用最強デジカメ? まずは鈴鹿F1へ

Reported by 奥川 浩彦


 今春にこのコーナーで書いたIXY DIGITAL 800 IS(以下800 IS)に続き、IXY DIGITAL 900 ISのレポートを担当することになった。レポートの最終回に「秋モデルに期待」と書いたが、期待したボディサイズの小型化は見送られた反面、予想外に広角28mmを搭載し、ISO1600にも対応、さらに好みのデザインに近付いている。そのため、勢いで予約を入れてしまった。

 大手カメラ量販店のネット通販で購入した価格は49,800円。ポイント還元は16%だった。手元には発売日に到着し、デビューは翌日から始まる最後の鈴鹿F1グランプリとなった。思えばこのコーナーで初めて執筆したのが2年前のEOS 20Dで、その時もデビューは鈴鹿のF1だった。今でも現役であり、お気に入りであるEOS 20Dとダブらせて、IXY DIGITAL 900 ISもまた、お気に入りの1台になって欲しいと願っている。

 届いたパッケージを開けるといつも通りの付属品が入っていた。バッテリー、充電器、USBケーブル、AVケーブル、CD-ROM、ストラップ、16MBのSDメモリーカード、取説類だ。バッテリーは800 ISと同じタイプ。充電器も従来通りのコンセントに直接させるコンパクトなデザインだ。そしていつも通り不満な16MBのSDメモリーカードは、パッケージから外へ出ることもなく我が家のタンスの上で地球資源の無駄遣いとなって眠るのである。DIGIC IIIへの切替に合わせ、内蔵メモリに変更できなかったのであろうか。

 すでに各所で細かなスペックが報じられているため、ここでは筆者が感じる800 ISからの主な変更点について記したい。まず購入動機のひとつは、高感度画質を改善したというDIGIC IIIの採用だ。それにより、最高感度がISO800からISO1600になっている。IXY DIGITAL 800 ISでもそれまでのシリーズより画質が向上していたこともあり、今回もさらに高感度ノイズの改善があるかもしれないとの勝手な思いこみからである。800 ISでも感心した光学式手ブレ補正も重要な動機だ。

 また、オートフォーカスの速度と精度、レンズ描写やホワイトバランスなど、キヤノンらしい全体的にそつない仕上がりにも裏切られることはないだろうと、これも筆者の勝手な思いこみである。反面CCDの画素数が600万画素から710万画素になったことは「どっちでもいいかなぁ」といったところ。シーンモードに追加された「水族館」モードに至っては「本当に撮れるの?」とかなり懐疑的な印象だ。


背面のボタン配置は800 ISより少しゆとりがあって押しやすい。露出補正用のボタンが加わるとさらによいのだが 16MBのSDメモリーカードは封も切らず地球資源の無駄遣いとなる

左からIXY DIGITAL 55/800 IS/900 IS。55の小ささは今でも魅力的。800 ISと900 ISは大差なし IXY DIGITAL 900 ISはモードダイヤルのおかげでホールド感が高い

 今回は手元にあるIXY DIGITAL 55(以下55)、800 IS、900 ISを比較してみた。並べるとサイズは圧倒的に55が小さい。800 ISと900 ISはほぼ同じ大きさだ。重さは800 ISより15gほど軽くなっているが、持った感じは大差ない。まあキヤノンのコンパクトらしく、それなりに重みは感じる。デザインは好みの範疇だが、筆者としては四角い55が一番好きで、メタリックな色調で統一された900 ISの方が800 ISより気に入っている。

 ボタン類の配置は伝統のデザインだがファンクションボタンの回りの4方向ボタンが若干大きくなり筆者の太い親指には押しやすい印象だ。モードダイヤルがIXY DIGITAL 700と同様のデザインとなり、親指にフィットすることでホールド感は一番高い。

 900 ISにバッテリーと1GBのSDメモリーカードを入れ電源をONにする。ON/OFFスイッチの位置は、800 ISの背面から従来のIXY DIGITALシリーズと同様、シャッターボタンの横に変更されている。やはりこの位置の方が慣れを感じる。ボタン自体が独特のデザインとなっていて、フルフラットでやや押しにくい印象だが気になるほどではない。

 まず驚かせてくれたのが、今回の売りの一つである「フェイスキャッチテクノロジー」だ。深夜だったのでレンズをテレビに向けるといきなり画面の中の人物に追従するのである。1年ほど前、同様なテクノロジーを搭載したデジカメを試したときは「実用にはまだまだ」と感じたが、先に発売されたFinePix S6000fdと同様、充分実用的な速度で追従する。この辺りはおいおい報告したい。

 本体の購入に併せて事前に用意したのは液晶保護フィルム。何も考えず2.5型用と書かれたハクバの製品(DGF-25G)を購入し貼ろうとしたが……サイズが1~2mm大きすぎて貼れなかった。ガッカリ。時間は深夜、仕方なくハサミで少し切って貼ったがイマイチな印象。後日買い直して貼り替えることにした。

 デビュー当日、5時起きしていざ鈴鹿へ。20年間、金土日と皆勤賞だ。またしてもデビュー戦? は雨。まあ主役はデジイチで、900 ISはスナップ撮影用の脇役だ。PC WatchでCPUなどを書く著名ライターさんやデジカメWatchの編集者に、駐車場やらヘアピンの撮影場所などを尋ねられつつ雨宿り。

 暇つぶしに一緒に来た友人に「フェイスキャッチテクノロジー」を見せるとかなりウケル。観客席でたまたま隣りに座ったご夫婦に見せてもやはりウケル。さらに帰宅後、子供や奥さんに見せても思いっきりウケル。筆者には縁遠くなったが、コンパに持ち込んでも相当ウケルだろう。

 そんな妄想はさておき、初日はチョコチョコ設定を変えたりしながらお試し撮影だ。雨も上がった帰り際に、スタンド裏に飾られたフェラーリが最初の1枚だ。ブースの天井上に飾られたマシンをワイド端で撮影してみる。左右に青空、電球色照明と難しい条件だが、キヤノンらしくホワイトバランスはオートで問題なく撮れている。オートフォーカスの安定感も従来通り。速度も俊敏で気持ちよくピントが合う。反面四隅の解像度は怪しげな感じだ。

※作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
※写真下の作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


難しい照明の条件だがホワイトバランスの安定度は高い。隅の画質は怪しい感じだ
3,072×2,304 / 1/1,000秒 / F2.8 / 0EV / 高感度オート / WB:オート / 4.6mm
色の再現性は良好。これくらい撮れればコンパクトカメラとしては充分だろう
3,072×2,304 / 1/160秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 12.67mm

レンズを向けるとパネルのライコネンをフェイスキャッチ(笑)
3,072×2,304 / 1/500秒 / F3.5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 7.56mm
ボディのメタリック感やタイヤの質感が再現されている
3,072×2,304 / 1/400秒 / F4 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 9.11mm

撮影用の台がマシンに近すぎて広角28mmでギリギリとなる。上部左右隅の画質は怪しい
3,072×2,304 / 1/1,000秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 4.6mm
手ブレ補正の流し撮りモードに設定してたまたま撮れた1枚。誤ってあざやかブルーのまま撮影
3,072×2,304 / 1/250秒 / F5.8 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 17.3mm

 マクラーレンの展示車にレンズを向けると、バックのライコネンの顔をフェイスキャッチして笑わせてくれる。ホンダのマシンは一段高いところに展示してあり、すぐ前に撮影用の台が用意されている。あまりにマシンが近く、携帯やデジカメで撮影する人が「近すぎて入らない」と連発するなか、28mmが効果を発揮した。しかし、やはり左側に写った警備員は画像が流れている。この辺りはいずれ検証が必要な雰囲気だ。

 決勝日、隣りに座る友人を撮ろうとすると「フェイスキャッチ」しない。アレ?ってことでサングラスを外してもらうと認識した。どうやらサングラスで目が隠れると「フェイスキャッチテクノロジー」は機能しないようである。

 満席となった鈴鹿東コース、見事に晴れ上がった青空を「あざやかブルー」で撮影してみると、青空は見事に青くなった反面、水平線近くの水色と上部の青色の間が微妙にまだらになっている。この辺りもムム? と疑問を感じつつ次回から細かな検証を始めてみたい。


サングラスを使用するとフェイスキャッチできないようだ
3,072×2,304 / 1/500秒 / F7.1 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 4.6mm
決勝直前、満席の鈴鹿東コース。あざやかブルーに設定すると、空が真っ青に。ただし境界線が不自然
3,072×2,304 / 1/400秒 / F7.1 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 4.6mm


URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/camera/ixyd/900is/

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( 奥川 浩彦 )
2006/10/19 01:16
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