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富士フイルム FinePix F30【第5回】
iフラッシュの仕上がりに驚いた

Reported by 本誌:折本 幸治


 画質よし、操作性よし、バッテリーの持ちもよしと、個人的に不満らしい不満を覚えないFinePix F30。日々持ち歩き、休日になるといろんなところを撮り歩いている。感覚的には高感度ネガフィルムを入れた銀塩コンパクトカメラといったところで、ISOオートにしておけば、屋内や夕方でも気楽に何にでもカメラを向けられるのが楽しい。これでマニュアル露出があれば最高に面白いと思うのだが、コンセプトからするとやり過ぎだろうか。

 さて、FinePix F30の特徴のひとつに、光量と感度を自動設定するという「iフラッシュ」がある。「背景は明るく、人物などの被写体は白飛びを防いで自然に」というのが製品情報ページの謳い文句だ。コンパクトデジタルカメラのストロボは光量が少ない上、細かい設定ができないことが多く、しかも撮像素子の感度が低い。そのまま撮ると背景が暗くなったり、被写体が真っ白になったりと評判が悪いのもうなずける話だ。そんな中、ストロボの調光を売りにするFinePix F30は、珍しい部類に入るだろう。

 実際には「iフラッシュ」という名前の機能がメニューにあるわけではなく、ストロボ発光=iフラッシュという位置付けのようだ。選択可能なストロボモードは「オートフラッシュ」(AUTO)、「赤目軽減フラッシュ」、「強制発光フラッシュ」、「フラッシュ発光禁止」、「スローシンクロ」、「赤目軽減+スローシンクロ」と多彩で、モードの切替は十字ボタン右で行なう。

 M(マニュアル)、ISOオート(1600)、オートフラッシュで試したところ、確かに背景が真っ黒に落ちない。これには結構感動した。もちろん、もともと背景が真っ黒だと暗いままだが、ある程度の明るさがあれば、なるべく再現する方向性で背景が残る。スローシンクロという方法もあるが、シャッター速度が下がらないのがiフラッシュのミソだ。

 その秘密は、感度をISO1600までガンガン上げるため。感度を上げた上で主要被写体の距離情報など参照し、発光量を弱目にしているのだろう。なので、背景が落ちないのは当たり前といえば当たり前だが、高感度ノイズに自信を見せるFinePix Fシリーズならではの力技ともいえる。

 ただし、低感度に固定すると、さすがに背景が落ちる。主要被写体をくっきりと写したいのなら、背景をあきらめてISO感度を固定するのも有効だろう。逆に、背景落ちをなるべく防ぎたいなら、ISO感度を固定できない撮影モード(AUTOなど)や、ISOオートにしておく。

※作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
※写真下の作例データは、ストロボ(発光・非発光)/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


ストロボ発光 / 2,848×2,136 / 1/60秒 / F2.8 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 8mm ストロボ発光 / 2,848×2,136 / 1/60秒 / F3.7 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 14.1mm

ストロボ発光 / 2,848×2,136 / 1/90秒 / F4 / 0EV / ISO1600 / WB:オート / 16.1mm ストロボ発光 / 2,848×2,136 / 1/60秒 / F2.8 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 8mm

ストロボ発光 / 2,848×2,136 / 1/60秒 / F3.7 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 14.1mm ストロボ発光 / 2,848×2,136 / 1/90秒 / F4.7 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 20.1mm

 ストロボ関連ではもう1つ面白い機能がある。「高感度2枚撮り」だ。これも高感度を活かした機能で、ストロボ発光で1枚、ストロボ非発光で1枚の計2枚を連写する。連写機能でもなくストロボ機能でもなく、シーンモードの1つとして選ぶので、最初は探すのに苦労した。

 ワンシャッターでストロボあり・なしを撮影できるので、ストロボを発光させるか迷ったときに使える。ただし、通常のISOオートよりも感度が上がり気味で、状況によっては、あっさりとISO3200までに達する。高感度2枚撮りを選ぶと、ISO感度は固定できない。また、絞りは発光・非発光とも開放が多いので、発光時に絞り込みたいときなどは、2枚撮りでなく、1枚ずつ撮るのがいいかもしれない。

 とりあえず、FinePix F30のストロボはかなり使える印象。状況にもよるが、近距離やマクロモードでは背景が落ちる可能性が高い。これはある程度仕方がないだろう。私に周りには極端なほどストロボを嫌って手ブレや露出アンダーに苦しむアベイラブルライト派も多いが、そういう人にこそ使ってほしいと感じた。

●高感度2枚撮り


ストロボ非発光 / 2,848×2,136 / 1/38秒 / F2.9 / 0EV / ISO3200 / WB:オート / 8.9mm ストロボ発光 / 2,848×2,136 / 1/60秒 / F2.9 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 8.9mm

ストロボ非発光 / 2,848×2,136 / 1/52秒 / F2.8 / 0EV / ISO3200 / WB:オート / 8mm ストロボ発光 / 2,848×2,136 / 1/60秒 / F2.8 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 8mm

ストロボ非発光 / 2,848×2,136 / 1/12秒 / F4.3 / 0EV / ISO3200 / WB:オート / 18.1mm ストロボ発光 / 2,848×2,136 / 1/90秒 / F6.4 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 18.1mm


URL
  富士フイルム
  http://www.fujifilm.co.jp/
  製品情報
  http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/finepixf30/
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  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm

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( 本誌:折本 幸治 )
2006/07/03 00:03
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