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ニコン COOLPIX P1【第1回】
ファーストインプレッション

Reported by 本誌:伊達 浩二


無線LANとデジカメ

 まるで、のっぺらぼうのように、みな横並びの仕様になっていたコンパクトデジカメだが、昨年あたりから、手ブレ防止や高感度CCDなどの投入で、各メーカーが独自技術を誇示して、差別化を図りはじめたのは大変うれしい傾向だ。

 なかでも、変わっているという点では、最右翼なのが、今回からレポートする「ニコン P1」だろう。

 P1の最大の特徴は、内蔵型無線LAN通信機能搭載だ。コンパクトデジカメでは世界初。

 これまでデジカメの無線LAN利用といえば、一眼レフに限られていた。キヤノンとニコンの両方から製品が出ており、野球場などで実用に供されている。野球場では、超望遠レンズを設置してあるカメラマン席から、記者席へと撮影画像を転送しており、撮影画像を記者が確認し選別することができるようになっている。両者の間は距離があり、毎回CFなどのメディアを介してデータをやりとりするのに比べ、ずっと便利であろうことは容易に推測できる。

 では、コンパクトデジカメで無線LANが使えることによって、そういうわかりやすく、便利な用途はあるのだろうか? それを探っていくことが、この連載のメインテーマになると思う。


無線LANが強調されたパッケージ

 購入するP1は、クラシックブラックにした。P1はプライムシルバーとクラシックブラックの2色が用意されているが、姉妹機で500万画素のP2がシルバーだけなので、どうせならP1のみの色にしたかったのだ。

 ついでにP1の仕様を確認しておくと、1/1.8インチ800万画素CCD、35mm判換算で36~126mm相当の3.5倍ズーム、レンズの明るさはF2.7-5.2となっている。35mm~105mmのF3.5~5.6の3倍ズーム、600万画素前後が主流のコンパクトデジカメとしては、やや上級に属するスペックだ。

 購入はヨドバシカメラで、価格は49,800円、ポイント還元率は15%だった。無線LAN対応という特徴があるとはいえ、いまどきのコンパクトデジカメとしては高めの価格設定だ。

 パッケージには、無線LANの業界標準化団体である「WiFi b g CERTIFIED」のロゴが入っており、無線LAN対応であることがわかる。また、パッケージを開けると、一番上に「電波に関するご注意」という黄色い紙が入っており、「本製品を使用する前に、近くで他の無線局が運用されていないことを確認してください」などの注意が書かれている。

 ちょっと情けないのは、パッケージの写真はプライムシルバーのみにで、クラシックブラックは小さくシールが貼られているだけだった。いかにも急遽追加されたという感じで、クラシックブラックのユーザーとしては情けない気もする。黒いカメラは、そんなに少数派なのだろうか。





思っていたよりも軽い本体

 パッケージを開け、カメラを手にした第一印象は“軽い”ということだ。ボディの大きさはそんなに小さい方ではないが、ともかく軽い。スペック表をみるとバッテリとメディア抜きで170gあり、たぶん使用時は200g前後あるのだが、ボディが大きめのためか、軽い印象だ。

 本体にはWi-Fiのシールがデカデカと貼られている。本体左脇には無線LANアンテナ部があり、黒の半透明のカバーに覆われている。このカバーにもWiFiのロゴが入っており、異彩を放っている。

 バッテリはよくある、薄型のリチウムイオン充電池。充電器は独立している。充電器自身にはプラグはなく、コンセントとの間は別のケーブルでつなぐタイプだ。ケーブルの取り回しが面倒なので、できればケーブルレスのタイプにしてほしいところだ。


パッケージを開けた状態。黄色い紙が「電波に関するご注意」 クラシックブラックの写真は、パッケージにシールで貼られている。WiFiのロゴに注意

本体にも大きくWiFiのシールが貼られている
バッテリは薄型。充電器はほどほどの大きさだが、これにACケーブルが必要

 パッケージ内の充電池は、ほとんど空に近い状態だったので、その日は試せず、購入の翌日ようやく散歩に連れ出したのが、作例の写真だ。

 まだ、無線LANのセットアップはしておらず、単体のデジカメとして使っている。撮影データは普通にSDメモリーカードに記録されている。100枚ちょっとほど撮影した状態でバッテリ切れとなった。もうちょっと使ってみないとわからないが、意外とバッテリは持たない方かもしれない。

 この時点での感想を述べると、良い方は、ホワイトバランスの当たりが多いことだ、室内のミックス光などでも色が偏ることがなかった。露出も適正で、ブラケティングしてみても、ほぼ標準を当たりとして良い感じだ。

 気になるのは、SDへの書き込みがあまり速くないことだ。SDカードは高速型のSandisk Extreme IIIを使っているので、カメラ側があんまり速くないのだと思う。ブラケティングをするのに支障があるほどではないが、撮影ごとに砂時計のアイコンは表示されるぐらいの速度だ。

 また、モードダイヤルは簡単に動いてしまうので、撮影しようとすると「モードダイヤルがずれています」というエラーメッセージに出くわすことが多かった。もうちょっと堅めの方がいいと思う。

 なお、メニュー表記は初期状態ではアイコン表示になっているが、説明の文字を読まないと何のアイコンだかわからないことが多く、すぐに文字メニューに切り替えてしまった。

 誤解を招くことを承知でいえば、5万円弱のカメラにしては、ちょっと高級感が足りない印象だ。やっぱり無線LAN機能にコストを取られているのかもしれない。それだけに無線LAN機能は期待したいところだ。

 次回は、PC側にソフトウェアをセットし、簡単なベンチマークを行なってみるつもりだ。また、10月21日発売のオプションのワイヤレスプリンターアダプター「PD-10」も予約してあるので、届き次第レポートしたい。


作例

※作例のリンク先は、特に記載がない限り、撮影した画像そのものです(ファイル名のみ変更しています)。縦位置のものは、サムネールのみ回転していますが、拡大画像はあえて回転せずに掲載しています。クリックすると撮影した画像が別ウィンドウで表示されます。



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( 本誌:伊達 浩二 )
2005/10/11 00:17
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