デジカメ Watch

【新製品レビュー】ニコン COOLPIX P1

~無線LAN通信機能を搭載する800万画素機
Reported by 大浦タケシ

 デジカメにおいてライバルとの優位性を計るものさしとなっていた画素数は、コンパクトタイプの用途から考えるとオーバースペックとなるところまできているといえるだろう。そのため、いくつかのカメラメーカーでは、手ブレ補正や高感度化など新たな機能を付加することで熾烈な競争を勝ち抜こうとしている。

 ニコンの新しいコンパクトタイプのデジカメ、COOLPIX P1は800万画素CCDと2.5型液晶モニターを搭載する。そして、撮った画像をワイヤレスで飛ばせる無線LANを新たな機能とするカメラである。


「シッカリ握れる」ボディデザインを踏襲

 外観はCOOLPIX7900および7600同様、ニコンのコンパクトデジカメが引き継ぐしっかりと握れるデザインが採用される。のっぺりとしたボディを持つ薄型のカメラとは違い、安定したホールドが可能である。ボディはヨコ91mm、タテ60mmと名刺よりも僅かに大きいだけだが、厚さはその膨らんだグリップのためレンズ収納時でも39mmとなる。ちなみ本体重量はバッテリーおよびSDメモリーカードなしで約170gである。





 液晶モニターは2.5型を採用する。フォントや各種設定のアイコンも大きく視認性は非常に高い。画素数は11万画素と一般的なものだが、20万画素クラスのものと比較してしまうとさすがに画像の描写は粗く、精細感に欠けてしまうのは残念。コンパクトタイプのカメラでは、液晶モニターをビューワー代わりに撮った画像を見せ合う機会も多いので、なるべくなら高画素のものの搭載を望みたいところである。また、一部のシーンモードを除き、液晶モニターには露出となるシャッタースピードと絞りが常にリアルタイムで表示される。特にシャッタースピードの表示は手ブレの発生が予見できるため、効果の少ない手ブレ補正機能やノイズの多い高感度撮影機能よりも考え方によっては効果的ともいえる。

 背面は液晶モニターのほか丸い十字キーを中心とするボタン類がレイアウトされ、コンパクトタイプのデジカメでは定番のスタイルとなる。液晶モニターがその大半の面積を占めるが、カメラ背面部全体は味気ないほどシンプルである。 これは液晶モニターやボタン類の周辺に縁取りのための段差や光学ファインダーが省略されていること、また操作部材そのものが小振りなためだと思われる。

 ボディカラーはシルバー(プライムシルバー)とブラック(クラシックブラック)が用意される。手許に届いたのはシルバーで、表面の仕上げによりややギラついた感じのものである。一方ブラックは落ち着いた感じのもので、グリップの一部とレンズ周辺部がシルバーとなる。オススメとしては精錬なブラックボディだ。


 P1には1/1.8型、有効画素数800万のCCDが搭載される。今やこのクラスでは定番になりつつあるもので、ニコンでは初めて採用される。ちなみにEVF機のCOOLPIX8400も800万画素の撮像素子を持つが、こちらは2/3型である。ISO感度域はベース感度である50から400まで。ノイズの状況から実用といえるのは200までだろう。

 レンズは35mm判換算で36~126mmの画角に相当する光学3.5倍ズーム。ご多分に漏れず広角側は物足りなく感じるものであるが、望遠側であれば光学ズーム以外に800万画素機ゆえデジタルズームを積極的に活用してみるのも面白そうだ。レンズ構成は6群7枚で非球面レンズを2枚使用する。開放F値は2.7~5.2となる。

 バッテリーはリチウムイオン充電池を採用する。容量が730mAhと小さいため、フル充電からストロボを使用せずに撮影を行なっても100カットに及ばないうちにバッテリーの警告ランプが点灯してしまう。さらにワイヤレスでの転送を行なうとより顕著となる。オプションとして、P1とPictBridge対応のプリンタへ画像を転送する「ワイヤレスプリンターアダプターPD-10(2005年10月発売予定)」が用意される予定だが、転送枚数によっては途中でバッテリーが切れてしまうこともありそうだ。

 電源はボディ上部のON/OFFボタンで行なう。レンズの繰り出しがあるため、完全に起動が完了するまで1.5秒程度かかるが、決して遅く感じることはないだろう。ズームのスピードも素早く、場合によっては思ったところよりも行き過ぎることもあった。オートでのAFエリアは9点で、合焦は速く狙ったものに合う確率も高い。再生画面の展開スピードも含めて全体にレスポンスの良いカメラに仕上がっている。


ボディの割に張り出したグリップ。ニコンでは「ナイスグリップ」と呼ぶ IEEE 802.11g/bでの転送はダイヤルでワイヤレス転送モードでメニューを呼び出し、転送方法を選ぶだけだ

IEEE 802.11b/g規格に準拠する無線LANのアンテナ。より転送速度が向上すればデジタル一眼レフにも内蔵してほしい機能だ リチウムイオン充電池は730mAhのためか、持ちはよくない。SDメモリーカードのほか、約32MBの内蔵メモリーも搭載

 撮影モードにはプログラムと絞り優先の露出モードのほか、ストロボ発光などすべてが自動となるオート撮影モード、COOLPIX 5900で話題となった「顔認識ポートレート」をはじめとする16種類のシーンモードが備わる。そのほか「アドバンスト赤目軽減」「D-ライティング」などのフェイスクリア機能を搭載する。

 カメラ上部に備わるモードダイヤルには、各撮影モードや設定モードのほかホワイトバランスとISO感度、画質と画像サイズの設定ポジションが備わる。メニューに入ることなく素早い設定を可能にしており、慣れるとなかなか使い勝手がよい。

 ところで、より高画素化するデジカメだが、無駄に高画質の設定で撮ることも多いと聞く。記念写真レベルであれば、半分の400万画素でも十分過ぎるほどだしハンドリングもいい。画質と画像サイズについては今までの表示方法ではなく、用途やプリントサイズなどで表示されるようになるとビギナーやファミリーユース向けとしても使い勝手はさらに良くなりそうである。


撮影時画面。絞りとシャッタースピードが常に表示される。ある意味、手ブレ補正機能よりも便利 格段に大きいフォントやアイコン。年配向けと思われがちだが、だれでも大きい表示のほうが視認性は高いはずだ

便利だが設定が難しい無線LAN機能

 P1の目玉がIEEE 802.11g/b規格に準拠する無線LAN機能を搭載していることだ。ニコンでは、D2系のデジタル一眼レフ用に、同じIEEE 802.11b/g規格のワイヤレストランスミッター「WT-2」をオプションとして用意している。プロユースのスタジオや遠隔操作による撮影を前提に開発されたもので、カメラの操作なども可能なものである。P1ではユーザーやカメラの性格上、画像の転送、とシンプルな機能に徹している。


付属ソフト「Wireless Camera Setup Utility」での接続先設定。PCの無線LANの設定を読み取って、P1を設定してくれる SSID、ネットワークキーなどの設定。SSIDを自動取得できないアクセスポイントでは、ユーザーがSSIDを調べて入力する必要があり、スキルを要求される TCP/IPの設定

 P1の転送にはメニューの順番に、SDメモリーカードもしくは内蔵メモリーに保存された画像のうち、PC側に保存されていない画像のみを転送する「簡単転送」、撮影日を指定して転送する「撮影日転送」、転送マークを付けたものだけ転送を行なう「転送マーク画像転送」、画像を選択して転送する「選択画像転送」、撮影した画像をすぐに転送する「撮影&転送」、PCからの操作で画像を転送する「PCモード」がある。それぞれをカメラ側で設定すれば、ネットワークにアクセスし転送を開始。PCにインストールされたPicture Projectに画像のサムネールが表示される。

 気になる転送時間は、IEEE 802.11gの場合、画質FINE、画像サイズ800万画素の画像1カットで約21秒。撮った画像をPCに保存するだけなら、USB 2.0のカートリーダーが断然有利である。ワイヤレスで画像を転送できることになんらかの意義を持ち合わせているような使い方となるだろう。

 ちなみに思いつくものとしては、ちょっとしたパーティやイベントなどでその場で撮ってすぐにプリントしたい場合や、メモリーカードが不足しPCのHDDに撮ったその場から保存するようなときなど。転送速度がUSB並みに速ければより幅の広い使い方ができそうだが、これ以上の用途は思いつかなかった。現在は不可能だが、PC側からシャッターを切ったりする遠隔操作ができるようになると、転送速度と同様、用途がぐんと広がりそうである。


アクセスポイント検索中 ワイヤレスメニュー1 ワイヤレスメニュー2

作例

※作例のリンク先は、撮影した画像データそのものです(ファイル名のみ変更してあります)。クリックすると撮影した画像が別ウィンドウで表示されます。

※キャプション内の撮影データは、画像解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値(F)/露出補正値/ISO感度/焦点距離(35mm判換算、mm)です。



●画角


【広角端】
3,264×2,448 / 1/251.3秒 / F6 / -0.3EV / ISO50 / 36mm
【望遠端】
3,264×2,448 / 1/214.9秒 / F6.5 / -0.3EV / ISO50 / 126mm


●ISO感度


【ISO50】
3,264×2,448 / 1/67.8秒 / F3.8 / -0.3EV / ISO50 / 36mm
【ISO100】
3,264×2,448 / 1/104.9秒 / F4.3 / -0.3EV / ISO100 / 36mm

【ISO200】
3,264×2,448 / 1/165.5秒 / F4.8 / -0.3EV / ISO200 / 36mm
【ISO400】
3,264×2,448 / 1/206.7秒 / F6 / -0.3EV / ISO400 / 36mm


●オートブラケット


【-0.5EV】
3,264×2,448 / 1/270秒 / F6 / -0.5EV / ISO50 / 36mm
【0EV】
3,264×2,448 / 1/240秒 / F5.4 / 0EV / ISO50 / 36mm
【+0.5EV】
3,264×2,448 / 1/170秒 / F5.4 / 0.5EV / ISO50 / 36mm


●ホワイトバランスブラケット


【青傾向】
3,264×2,448 / 1/80秒 / F3.8 / 0EV / ISO50 / 36mm
【標準】
3,264×2,448 / 1/80秒 / F2.7 / 0EV / ISO50 / 36mm
【赤傾向】
3,264×2,448 / 1/80秒 / F2.7 / 0EV / ISO50 / 36mm


●一般作例


3,264×2,448 / 1/270秒 / F6 / 0EV / ISO50 / 36mm 3,264×2,448 / 1/115秒 / F5.2 / 0EV / ISO50 / 126mm

3,264×2,448 / 1/150秒 / F4.8 / 0EV / ISO50 / 36mm 3,264×2,448 / 1/252秒 / F6.5 / -0.3EV / ISO50 / 126mm

3,264×2,448 / 1/302秒 / F6.8 / 0EV / ISO50 / 36mm 3,264×2,448 / 1/213秒 / F6 / -0.3EV / ISO50 / 36mm

3,264×2,448 / 1/527秒 / F4.4 / 0EV / ISO50 / 50mm 3,264×2,448 / 1/309秒 / F6.8 / 0EV / ISO50 / 36mm

3,264×2,448 / 1/64秒 / F3.8 / 0EV / ISO50 / 36mm 3,264×2,448 / 1/207秒 / F6 / 0EV / ISO50 / 36mm

3,264×2,448 / 1/546秒 / F4.8 / 0EV / ISO50 / 36mm 3,264×2,448 / 1/237秒 / F6.8 / 0EV / ISO50 / 36mm

3,264×2,448 / 1/60秒 / F2.7 / 0EV / ISO50 / 36mm 3,264×2,448 / 1/128秒 / F4.8 / 0EV / ISO50 / 36mm

3,264×2,448 / 1/254秒 / F6.8 / -1EV / ISO50 / 36mm 3,264×2,448 / 1/203秒 / F5.4 / 0EV / ISO50 / 36mm

3,264×2,448 / 1/113秒 / F3.8 / 0EV / ISO50 / 36mm 3,264×2,448 / 1/87秒 / F3.8 / 0EV / ISO50 / 36mm

3,264×2,448 / 1/177秒 / F6.8 / 0EV / ISO50 / 36mm


URL
  ニコン
  http://www.nikon.co.jp/
  製品情報
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/digital/coolpix/p1/

関連記事
ニコン、無線LAN通信機能内蔵の「COOLPIX P1」(2005/09/01)



大浦タケシ
(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。

2005/10/06 01:09
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2005 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.