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カシオ EXILIM CARD EX-S500【最終回】
持つ喜びと使いやすさを両立したカメラ

Reported by 本誌:折本 幸治


 2カ月間もの間、ほぼ毎日私の胸ポケットに入っていたEX-S500。通勤や夜食といった日常のお出かけはもとより、デジタル一眼レフカメラをメインとした撮影旅行でも、さりげなく役立った。EX-S500の絶妙な薄さとアンチシェイクDSPによる気安さは、コンパクトカメラらしい気軽な撮影の楽しみ方を思い出させてくれた気がする。最終回は、これまで書き漏らしていた点などあわせて報告したい。


SDメモリーカードは5MB/sec以上がおすすめ

 撮影後のプレビューを瞬時に表示するEX-S500。しかし、画像を拡大するため再生モードに切り替えようとすると、「処理中です しばらくお待ちください」と表示され、2~3秒程度待たされることがある。撮ってすぐ拡大したいときは少々イライラするので、よほどのことがない限り拡大するのはやめている。というより、個人的にもともとあまり拡大はしないほうだ。

 このときSDメモリーカードによって、再生画面の表示までの時間が多少異なることが分かった。手持ちのカードで調べた限りだが、書き込み速度が1MB/sec程度の古いカードだと4秒強かかるところ、約5MB/sec以上なら2秒強で表示する。動画でも再生までに結構な時間差が付く。

 また、書き込み速度約5.6MB/secのレキサー「Platinum」と、同約15MB/secのサンディスク「Exteme III」では、表示までの時間に体感上ほとんど違いがない。どうやら、書き込み5MB/sec以上だと大きな変化はないようだ。これらのSDメモリーカードをいつも持ち歩いて使っているが、5MB/sec以上の速度を生かせる私の常用カメラはEX-S500だけ。そこで、EX-S500には最速のExtreme III(1GB)を奢っている。

 なお、上記のSDメモリーカードそれぞれの書き込み速度は、編集部がHDBENCH 3.30で計測したもの。計測にはCardBus対応の松下電器製PCカードアダプタ「BN-SDDAP3」を使用している。


通っぽい? 電池の取り出し方

いまさら気づいたバッテリーの取り出し方
 最近感動したのはバッテリーの取り出し方だ。EX-S500のバッテリーは、本体底面の電池・カード室の蓋を開けてバッテリーを押えているツメを緩めると、バネで軽く飛び出る仕組み。

 このとき、バッテリーが飛び出さないようにと底面を上にすると、バッテリーの先しか飛び出さない。さらにツメから指を離すと、ツメが元に戻ってバッテリーを押さえてしまう。そうなると、爪を立ててつまんでもうまく取り出せなくなる。使い始めて最初のほうは、再度ツメを緩め、本体を下にしてすべり出るバッテリーを手で受け止めていた。バッテリー交換のたびにストレスを感じていたのだが……

 あるとき本体を横にしたままでツメを緩めると、程よくバッテリーが飛び出して止まることに気づいた。しかも薄いバッテリーがすっと飛び出す様子は、それとなくキマってる。最近ではIXY DIGITAL L3などこういう機種はほかにもあるので、当時なぜ思いつかなかったのかと自分をふがいなく思う。

 とにかくそのときは心を打たれ、EX-S500にさらなる愛着を感じたものだ。全国的に少ないとは思うが、私のように飛び出し式のバッテリーの取り出しで悩んでいるユーザーは試してほしい。ただし、IXY DIGITAL 50など、ツメが戻らず勢い良く飛び出すケースもあるので注意していただきたい。


もう少しがんばってほしいレンズ

 画質については満足している。連載当初の通り、いまでも基本的にリサイズしてWebなどモニターで見ることを基本としているためだ。それでもたまにはA4にプリントしてみたくなるもの。するとノイズ云々よりも、画面の四隅の流れが気になることがある。中心部の解像感は高いが、端に向かうにつれてボヤっとしているのだ。こうした機種は最近多い。2Lサイズでは気にならないのでまあ良しとしている。

 次に焦点距離について。やはりいまでも広角端の画角(35mm判換算で焦点距離38mm相当)が物足りなく思う。屋内など「35mm相当なら」という場面が結構あった。オートでポンポン増感するカメラなので、屋内で使いにくいのは少々もったいないと思う。しかも、広角端での歪曲収差が比較的目立つため、私自身はそれほど広角端を使っていない。

 あと、「もう少しマクロモードで寄れたら」と感じることも多い。マクロモードでの最短撮影距離は17cm。ズーム位置限定の他社でいう「拡大鏡モード」や「スーパーマクロモード」で構わないので、極端な寄りが楽しめる機能があれば面白いと思う。


胸ポケットにぴったりの日常カメラ

 私が使っているのはオレンジカラー。このボディの質感には本当に満足している。ズボラな私が、キズが付くのをここまで恐れたカメラは久しぶりだ。

 できれば海岸や土砂の多い場所用に、前モデル「EX-S100」用として発売中のシリコンカバー「ESC-B1」3,150円をEX-S500用にリファインしてもらいたいところ。ポータブルオーディオの分野でよく見かけるシリコンジャケットのデジタルカメラ版で、最近になってOptio WP/WPi用や、DMC-FX8用などがポツポツと登場している。EX-S100用はセレクトショップのBEAMSがプロデュースした製品で、カラーはブラック、オレンジ、イエローの3色。そのフィット感はシリコンジャケットならではのもの。いつもはハダカで金属ボディを堪能し、旅先などハードな環境で撮るときはジャケットで保護、というのも面白そう。EX-S500用もぜひ検討してほしい。


これが前モデルEX-S100用のシリコンジャケット 少し手を加えればEX-S500にも使えそうな気がする

 というわけで、2カ月間EX-S500を使ってみた感想は、日常をスナップするにはうってつけのカメラだということ。当初予想した通り、薄さと軽快な動作、そしてアンチシェイクDSPが私のツボにはまった格好だ。サイズの割にはホールディング性もよく、速いシャッター速度とあいまって、手ブレの心配が少ないのが撮影時の気安さに繋がっている。

 定位置は胸ポケット。たまに違う機種を胸ポケットに入れると、その大きさに違和感を感じるほど薄さが心地よい。少々高価だが、人とは少し違う日常カメラを探している人におすすめしたい。

※作例のリンク先は、撮影画像をリネームしたものです。
※作例データのキャプションは、記録解像度(ピクセル)/撮影モード/露出時間/レンズF値/露出補正値/ISO感度/35mm判での焦点距離を表します。


2,560×1,920 / 1/200秒 / F2.7 / 0EV / ISO100 / 38mm 2,560×1,920 / 1/200秒 / F5.2 / -1.3EV / ISO200 / 114mm

2,560×1,920 / 1/60秒 / F5.2 / 0EV / ISO100 / 114mm 2,560×1,920 / 1/125秒 / F8.3 / 0.3EV / ISO50 / 114mm

2,560×1,920 / 1/40秒 / F2.7 / -0.3EV / ISO800 / 38mm 2,560×1,920 / 1/200秒 / F5.2 / 0EV / ISO200 / 114mm

2,560×1,920 / 1/1,000秒 / F4.3 / 0EV / ISO50 / 38mm 2,560×1,920 / 1/60秒 / F2.7 / 0EV / ISO100 / 38mm


URL
  カシオ
  http://www.casio.co.jp/
  製品情報
  http://dc.casio.jp/product/exilim/ex_s500/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm

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( 本誌:折本 幸治 )
2005/10/03 00:11
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