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カシオ EXILIM CARD EX-S500【第7回】
アンチシェイクDSP第2弾「EX-Z500」と撮り比べ

Reported by 本誌:折本 幸治


左からEX-Z500、EX-S500
 今回のお題は、同じカシオの新製品「EXILIM ZOOM EX-Z500」との比較。2月に出た「EX-Z57」の後継機種で、Z57と同様、現在最大クラスの2.7型液晶モニターが売り。その出自を聞くとEX-S500とは遠い親戚筋に思えるが、内部的にはEX-S500の兄弟分といえるほど良く似ている。S500とZ500を同時に使う機会があったので比較してみた。

 では両機種を比べてみよう。1/2.5型有効500万画素CCD、焦点距離38~114mm(35mm判換算)/F2.7~5.2の光学3倍ズームレンズ、SDメモリーカードの採用は共通。沈胴レンズ部のデザインもそっくりで、メニュー構成もほぼ同じだ。Z750のような、ホワイトバランスを撮影後に変更できるような独自の機能はない。

 上記以外で異なる基本仕様を挙げると、主に液晶モニター、電池寿命、アンチシェクDSPの3つになる。

 まず液晶モニター。S500は2.2型でZ500は2.7型。Z500は前モデルのZ57のときから一般的に大画面といわれる2.5型を上回る2.7型を搭載している。もちろん、S500の2.2型液晶モニターと見比べると受ける印象がまるで違う。ビューアとしての魅力は段違いで、旅行に持参したときも、もっぱらZ500の液晶モニターでS500のSDメモリーカードを再生していた。日付ごとに先頭画像を表示するカレンダー機能もこれなら実用になる。

 ただし、液晶モニターの画素数は約15万画素。最近増えている2.5型で20万画素台の製品には精細感の点でかなわない。またS500も同じだが、陽光下だと若干見づらいのが困りもの。その場合、液晶モニターの明るさを上げることである程度対応できる。なお、S500には液晶モニターの明るさ設定がないので、ほとんど勘でフレーミングしなければならない場合もある。我慢して使っていたが、液晶輝度を明るくできるZ500を一緒に使うと、なぜ省略したのか不満を覚える。

 次は電池寿命。Z500の「CIPA規格基準で約500枚」は、コンパクト機の現行機種としてトップクラスの数値だ。対するS500は約200枚。私の場合、旅行だと朝から撮り始めて日が翳りだす頃、やっと残量警告のメモリがひとつ消える程度。使い方にもよるが、2、3日の旅行なら予備バッテリーや充電器は不要だろう。電池に関してはS500よりも明らかに心強い。



 最後にアンチシェイク。Z500が搭載するアンチシェイクDSPは、基本的にはS500のものと同じと考えられる。「撮影設定」内の「ブレ軽減」を「オート」にすると発動し、ISO800まで増感する。ただし、特定のベストショットに切り替えるとISO1600まで増感するS500に対し、Z500はどのベストショットでもISO800までしか上がらないという違いがある。また、ISO800での撮影結果を比べると、わずかにZ500のほうがノイズが少ない。ただし、彩度と立体感がさらに乏しくなっている。

 ISO1600がZ500から省略されたのは、やはりS500での実績からノイズを考慮してのことだろう。もっとも、ISO800ですでにノイズが目立つので、私の場合は「どうせなら」と、S500でISO1600を使うことにためらいはない。より確実なブレ防止にと、割り切っているからだ。そのため、個人的にはZ500のISO800止まりには物足りなさを感じる。

 増感時以外の画質傾向はどうか。一見、これがとてもよく似ている。レンズ中心部以外の解像感がいまひとつ物足りないのと、比較的ローコントラストなのも同様。ただし分割測光で同じ光景を撮ると、Z500は少しアンダーになり、明るめに写るS500より適正に近くなることが多い。また同じISO50でも、S500のほうがわずかにノイジーながらシャープだ。

 もちろん本体デザインも見ての通り違う。厚さ16.5mmと薄いS500に対し、Z500は20.5mm。市場全体から見れば十分に薄型コンパクト機の範疇にあるが、S500を普段から持ち歩く私からすると、心から「薄い」と驚くものでもない。Z500も金属製ボディだが、S500とは高級感で比較にならない。各部の仕上げを見比べると、いまさらながらS500のこだわりに感心する。

 その代わりZ500では、ズームレバーがシャッターボタンの周りにあったりと、全体的にインターフェイスが優れている。たとえば、S500でズームボタンが存在する位置に、PLAY(再生)モードへの切替ボタンを備えているのは便利だ。右手親指を伸ばすことなく再生ボタンを押せるので、使っていて気持ちよい。一方、S500で再生ボタンを押すには親指を伸ばさなければならない。その際、液晶モニターの上部に触れてしまうことが多く、ストレスに繋がることもある。

 なお、どちらの機種もREC(撮影)モードボタンやPLAY(再生)モードを電源ON、または電源ON/OFFに割り振れる。両機種とも電源ボタンが細くて少々押しづらいので、この機能は結構便利だ。それだけに、ボタンの近いZ500のほうが使いやすの点で数段上に感じる。最近、S500のPLAY(再生)ボタンを左の人差し指で押す、というテクニックを覚えたが、少々不自然で辛い。慣れの問題だが、再生ボタンより動画ボタンが押しやすい位置にあるのが個人的に面白くない。

 さて、実売価格はZ500が45,000円前後、S500が5万円前後といったところ。Z500の大型液晶モニターと操作性の良さは魅力だし、さらに上位機種の「EX-Z750」もS500と同等の売価だと考えると、スペック重視の人にはS500に物足さを感じるかもしれない。しかし、S500の強烈な薄さや質感には愛着を覚えるし、Z500で省略されたISO1600を実用している身としては、やっぱりS500がしっくりくる。一見、差の少ない両機種ながら、使ってみるとそれなりにキャラクターが違うことを実感した。


※作例のリンク先は、撮影画像をリネームしたものです。
※作例データのキャプションは、機種名/記録解像度(ピクセル)/撮影モード/露出時間/レンズF値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/35mm判での焦点距離を表します。


EX-Z500 / 2,560×1,920 / プログラムAE(ブレ軽減オート) / 1/100秒 / F5.2 / 0EV / ISO800 / オート / 114mm EX-S500 / 2,560×1,920 / プログラムAE(ブレ軽減オート) / 1/100秒 / F5.2 / 0EV / ISO800 / オート / 114mm EX-S500 / 2,560×1,920 / ベストショット(ブレ軽減) / 1/200秒 / F5.2 / 0EV / ISO1600 / オート / 114mm

EX-Z500 / 2,560×1,920 / プログラムAE(ブレ軽減オート) / 1/1,000秒 / F4.3 / 0EV / ISO50 / オート / 38mm EX-S500 / 2,560×1,920 / プログラムAE(ブレ軽減オート) / 1/640秒 / F4.3 / 0EV / ISO50 / オート / 38mm

EX-Z500 / 2,560×1,920 / プログラムAE(ブレ軽減オート) / 1/160秒 / F8.3 / 0EV / ISO50 / オート / 114mm EX-S500 / 2,560×1,920 / プログラムAE(ブレ軽減オート) / 1/160秒 / F8.3 / 0EV / ISO50 / オート / 114mm

EX-Z500 / 2,560×1,920 / プログラムAE(ブレ軽減オート) / 1/1,250秒 / F4.3 / 0EV / ISO50 / オート / 38mm EX-S500 / 2,560×1,920 / プログラムAE(ブレ軽減オート) / 1/800秒 / F4.3 / 0EV / ISO50 / オート / 38mm

EX-Z500 / 2,560×1,920 / プログラムAE(ブレ軽減オート) / 1/160秒 / F5.2 / 0EV / ISO100 / オート / 114mm EX-S500 / 2,560×1,920 / プログラムAE(ブレ軽減オート) / 1/100秒 / F5.2 / 0EV / ISO100 / オート / 114mm


URL
  カシオ
  http://www.casio.co.jp/
  製品情報(EX-Z500)
  http://dc.casio.jp/product/exilim/ex_z500/
  製品情報(EX-S500)
  http://dc.casio.jp/product/exilim/ex_s500/
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( 本誌:折本 幸治 )
2005/09/26 00:01
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