デジカメ Watch
最新ニュース

カシオ EXILIM CARD EX-S500【第5回】
夏の風景に「なんちゃってPLフィルター」

Reported by 本誌:折本 幸治


左が今回使ったPLファインダーR
 今回は夏の間に試したPLフィルターについて。といっても、EX-S500用のレンズ先端にフィルターネジはないし、アダプターもない。そこで少々イレギュラーな方法を試してみた。

 使ったのはケンコーの「PLファインダーR」という製品。本来はレンジファインダーカメラ用のアイテムで、その場合はレンズにPLフィルターの「サーキュラーPL(W)バーニア」を、ボディのアクセサリーシューにPLファインダーRをそれぞれ装着して使う。PLファインダーRで効果のあった数値を読み、サーキュラーPL(W)バーニアの目盛りを同値に合わせる仕組み。PL効果をファインダー内で確認できないレンジファインダーならではのアイテムだ。サーキュラー(円偏光)ではないが、EX-S500はハーフミラーを使う一眼レフカメラではないので問題はないだろう。

 単純に一眼レフ用のPLフィルターを前にかざす手もあったが、どのみちレンジファインダー機も持っていく上、EX-S500のレンズ先端部にすっぽりと入ったことから決定。量販店での販売価格は3,528円だった。

 本当は鏡胴との間に少しだけ隙間ができ、そのままでは固定できない。そこで、無理やりティッシュなどを隙間に詰めて固定したものの、当然そのままではレンズが沈まないため、電源OFFにできないという問題が浮上した。一度、固定したまま電源が切れたことがあるが、変な音とともにレンズが途中で止まり、フリーズしてしまった。


PLファインダーR。金属製でずしりとくる こんな感じでレンズにあてがって使った。指が疲れた

 考えた結果、2通りの使用スタイルを編み出すことに成功した。ひとつは、左手の親指と人差し指でPLファインダーRの取り付け部をつまんでレンズ先端部にあてがいつつ、中指でPLフィルターを回転させる方法。カメラの操作はほとんど右手で行なえるし、PLの効果も液晶モニターで確認できるのが利点だ。

 操作リングは比較的滑らかで使いやすい。しかしそれは人差し指と親指の2本でリングを回す通常の使い方の場合。中指一本だとさすがに難しく、季節柄、汗で滑りやすいのも難易度を上げる一因だ。また、ホールドが片手だけになるため、手ブレも気になる。

 そこでPLファインダーを眼に当てて肉眼で効果を調整後、レンズ前にかぶせる方法に落ち着いた。液晶モニターでも効果はそれなりに判別できて面白いが、実際に眼で見たほうが分かりやすい。ただし、回転角を維持したままレンズにかぶせるのはそれなりに気を使う。もうひとつ、三脚穴に折り曲げ可能なストロボ用のステーを装着、その先にPLファインダーを取り付けるという方法も考えたが、必要以上に大げさになりそうなので実行していない。

 PLフィルターによる変化は予想以上にあった。空や海の濃度が上がり、見かけのコントラストも高くなる。海や川なら水面の反射が少なくなり、スキッとした印象になった。カメラ側もフィルター側(というかPLファインダー)もメーカーの想定した用法ではないので、一般的なPLフィルターの効果とは何か違うのかもしれないが、これはこれで面白い。

 コントラストだけなら、メニュー設定やベストショットセレクタの「風景」で代用できそうだが、水の反射は画像処理で簡単に低減できない。そういう意味でも、PLフィルターらしい独自の効果が得られたと思う。

 ただし露出がアンダーになりがちで、被写体によってはExifに「ローゲインアップ」という項目が記録されることもあった。また、ホワイトバランス設定によっては色が少し緑っぽくなり、にごり感を生じることも多い。要は使い方次第だが、まだ効果的なシーンを見極められないでいる。

 とはいえ、コンパクトデジカメでのPLフィルターは思ったより使いでがある、というのが今回の感想。効果が分かりやすいので、これからも水や青空が入る場合は積極的に試してみたい。EX-S500のレンズ前面にピタっと装着できるフィルターを出して欲しいところだ。

※作例のリンク先は、撮影画像をリネームしたものです。
※作例データのキャプションは、記録解像度(ピクセル)/露出制御モード/露出時間/レンズF値/露出補正値(EV)/ISO感度/コントラスト/ホワイトバランス/35mm判での焦点距離(mm)です。


【PLなし】2,560×1,920 / プログラムオート / 1/640秒 / F4.3 / 0EV / ISO50 / +2 / オート / 38mm 【PLあり】2,560×1,920 / プログラムオート / 1/320秒 / F2.7 / 0EV / ISO50 / +2 / オート / 38mm

【PLなし】2,560×1,920 / プログラムオート / 1/1,000秒 / F4.3 / 0EV / ISO50 / +2 / オート / 38mm 【PLあり】2,560×1,920 / プログラムオート / 1/250秒 / F4.3 / 0EV / ISO50 / +2 / オート / 38mm

【PLなし】2,560×1,920 / プログラムオート / 1/250秒 / F4.3 / 0EV / ISO50 / +2 / オート / 38mm 【PLあり】2,560×1,920 / プログラムオート / 1/200秒 / F2.7 / 0EV / ISO50 / +2 / オート / 38mm

【PLなし】2,560×1,920 / プログラムオート / 1/200秒 / F5.2 / +0.67EV / ISO200 / +1 / オート / 114mm 【PLあり】2,560×1,920 / プログラムオート / 1/100秒 / F5.2 / +0.67EV / ISO400 / +1 / オート / 114mm


URL
  カシオ
  http://www.casio.co.jp/
  製品情報(EX-S500)
  http://dc.casio.jp/product/exilim/ex_s500/
  製品情報(PLファインダーR)
  http://www.kenko-tokina.co.jp/news/0110161.html
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm

関連記事
【河田一規のデジカメナビ】カシオ EXILIM EX-S500(2005/07/06)
カシオ、高感度撮影に対応した「EXILIM CARD EX-S500」(2005/06/09)


( 本誌:折本 幸治 )
2005/09/05 00:04
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.