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リコー Caplio GX8【第6回】
マクロ撮影こそ高画素で

Reported by ケニー・オブライエン


手前はコンパクトデジカメの旅で良く持参するハクバのモノポッド10
 「マクロ撮影」という言葉は、デジカメの普及でかなり一般的になったのではないだろうか。銀塩カメラではマクロレンズが必要になるし、技術的にも難しい。ところがコンパクトデジカメで接写できない機種はないだろう。手軽に近接撮影ができるようになったのは、旅先でも実にありがたい。

 銀塩一眼レフで撮るときは、45cmまで寄れた50mm F1.4か、35-70mmズームのマクロ領域で我慢していた。結局、50mmレンズでは近接端の描写があまりしっくりこなかったのを覚えている。もっとも、デジカメに慣れた今から思えば、画角約45度で45cmまでしか寄れないなら、そもそも近接撮影とはいいがたい。私の銀塩マクロ歴はその程度だ。

 しかも私の場合はコンパクトデジタルカメラにおいても、マクロ撮影の目的といえば、料理や記念碑の内容の記録がほとんどだった。草花は好きだが写真を撮ることはまれだったし、静物画的な写真もほとんど撮らない。しかし今回、マクロに強いCaplio GX8を北海道に持っていったところ、ミツバチのように花に寄り続けることになった。

 北海道は本州以南とは植物相(フローラ)がけっこう違う。植物ならどこにでも生えているので、本州以南と比べるのは簡単だ。林にはミズナラ、シラカバ、カラマツ、ナナカマドなども多い。道路際や線路際には傘になるくらい大きなフキが繁茂している。

 この季節の北海道で私がいちばん好きなのはルピナスだ。人里に半野生で群生しているので、わざわざ探さなくても遭遇できる。そしてやはり北海道らしいのはライラックだ。どちらも紫色系の花が咲く。紫は写真で再現するのが難しいと思っていた。どうも記憶の中にある色と写りが違うことが多い。以前アメリカで、チコリの花を撮ったときも、何度も撮ったわりには気に入った写真がない。どうも白っぽくなったり、青紫色が青になってしまったり。それで今回も心配だったのだ。

※作例のリンク先は撮影画像をコピー後、リネームしたものです。
※作例データのキャプションは、記録解像度(ピクセル)/露出制御モード/露出時間/レンズF値/露出補正値(EV)/ISO感度/ホワイトバランス/焦点距離(mm)です。


網走駅前でルピナスの群落を見つけた。テキサスの州花「Bluebonnet」によく似ている。背景もいい具合にボケてくれた。
3,264×2,448 / プログラムAE / 1/189秒 / 4.3 / 0 / 100 / オート / 17.4
ライラックの花を見上げて撮影。花に引っかかったクモの巣やタンポポの綿毛のようなものまで写っていてびっくり。
3,264×2,448 / プログラムAE / 1/1,320秒 / 3.2 / 0 / 64 / オート / 10.6

おしべとめしべがうまく撮れたが、ここまで近いととにかく被写界深度が浅い。
3,264×2,448 / プログラムAE / 1/440秒 / 6 / 0 / 100 / オート / 10.6
林の中にアヤメが咲いていた。花を浮きだたせるためにEVを-0.7に補正。その間、蚊の大群に襲われて大変だった。
3,264×2,448 / プログラムAE / 1/34秒 / 2.5 / -0.7 / 100 / オート / 5.8

 結果はかなり満足している。これらはCaplio GX8ではなく以前使っていたコンパクト機では絶対に撮れなかった。色の再現も解像度もである。さらにマニュアル撮影が可能なので、絞りを調整していろいろ試してみた。気に入ったのは50mmで絞りを開放にした描写。コンパクトデジカメを使うようになって長らく忘れていた、背景をボカす撮りかただ。ただし失敗も多い。正直にいうが、撮った枚数の4分の3は失敗だ。

 一番の原因は、風。花が風で揺れてブレてしまう。背景をボカすために絞りを開放にして速めのシャッター速度にしたが、レンズ近くで揺れる花にはまだ速度が足りない。そして風が止むのを待つ。自然相手だから忍耐が必要だ。マクロ撮影が得意な人に「そんなの当たり前だよ」と笑われそうだが、近接撮影に熱中したのはGX8を手にした今回が初めてといっていいレベルなのだから、仕方がない。

 なお、Caplio GX8の場合、マクロモードにすると撮影対象に広角端で1cmまで寄れる。前に使っていたコンパクト機では7cmだったから、これはすごい。ただし、レンズ部分が映り込んだり、ライティングが難しかったりと、1cmマクロを使った作品はまだ撮れていないのだが……。

 花びらや茎に生えている微妙な毛や、ひっかかったクモの巣まできっちり撮れているので、さすが800万画素機だと思った。もちろん手ブレにも細心の注意を。



URL
  リコー
  http://www.ricoh.co.jp/
  製品情報
  http://www.ricoh.co.jp/dc/caplio/gx8/

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( ケニー・オブライエン )
2005/07/11 00:01
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