デジカメ Watch
最新ニュース

リコー Caplio GX8【第4回】
挑戦しがいのあるコンパクト機

Reported by ケニー・オブライエン


 Caplio GX8にとって初めての旅は香港と深センになったわけだが、本レポートのために旅程を組んだのではない。貯まったマイレージで航空券を予約したのは、なんと年初なのだ。しかし天気に恵まれなかったにもかかわらず、Caplio GX8のテスト地となったのが香港で良かったと思っている。

 香港はまず言葉に困らない。たいてい口頭で英語が通じるし、あらゆる表記が中英併記だからだ。買いものにも食事にも困らない、とにかく便利な場所だ。これが深センだけだったらたいへんだっただろう。英語はまず通じない上、簡体字はわからないし、日本語とは違う字義の漢字も多い。だが最近は英語が通じない場所に行くのが個人的に面白い。言葉が通じないと、自分が必死に旅していると感じるからだ。というわけで、旧ソ連や中国などの非英語圏は、私にとってまだ新鮮さの宝庫といえる。自分にとって新鮮なものにはついカメラを向けてしまう。

 ただし、そうした地域は撮影禁止の場所も多い。私は乗りものが好きでよく撮るのだが、旧ソ連では地下鉄は撮影禁止だ。なかでも駅構内が宮殿のようなモスクワ地下鉄が撮影できないのはくやしい。撮影禁止の場所でなくとも、今年の5月はカメラを取り出すことさえできない状態だった。戦勝60周年記念イベントの直前で、どこからこんなに警官や兵士を集めたのかと思えるほどの警戒態勢の中、1日に何度も職務質問されたのを思い出す。もちろんロシア語でだ。英語に単語だけのロシア語を混ぜて答えたが、このような調子では写欲は減退する一方だ。

 なお、韓国でも鉄道構内で撮影するときは許可が必要だと聞く。だが最近はコンパクトデジカメで記念に少し撮るくらいなら駅員もとがめなくなった。スペイン国鉄は撮影禁止だそうだ。撮影可能かどうかを事前にわからない場所が多いが、そういうときは駅員にカメラを見せてジェスチャーで「撮ってもいいか」と確認するといいだろう。女性駅員に「私を? ダメよ」と勘違いされたこともあったが。


香港名物2階建てトラム。乗り心地は悪いが、2階からの眺めは最高。これで雨さえ降らなければ良かったのだが
3,264×2,448 / 1/48秒 / F2.5 / 0 / 100 / オート / 5.8mm
トラム車内のように狭い空間では、広角レンズが重宝する。
3,264×2,448 / 1/32秒 / F2.5 / 0 / 100 / オート / 5.8mm

旅先の雨は決してきらいではない。雨なら雨の風景を楽しめばいい。しかし、「あと少しだけシャッター速度が速ければ」というカットも多かった
3,264×2,448 / 1/21秒 / F2.7 / 0 / 100 / オート / 7.2mm
深センの街頭にて、死体ではなく、昼寝中の図。中国では良く見る光景だ。歩道に人が倒れているのに、みんな無視して通り過ぎるのだから
3,264×2,448 / 1/760秒 / F5 / 0 / 100 / オート / 7.2mm

 欧米では、美術館などストロボを使わなければ撮影できる施設が多いが、そうした場所でうっかりストロボを光らせたら大変だ。なので、自分の使うデジタルカメラのストロボはすべて非発光に設定している。もともとストロボはあまり使わない方だが、Caplio GX8はアクセサリーシューを備えておりストロボを外付けできるので、そのうち外付けストロボでのバウンス発光に挑戦したいと思う。そういえばGX8からは、外付けストロボを使う時に内蔵ストロボの非発光設定が可能になった。

 ISO感度設定は、ISO64~1600相当となっている。かつてコダクローム64を愛用していたこともあり、ISO64相当にも撮影条件が良いときに挑戦したい。1600は試してみたが、やはりノイズがすごい。しかし旅先ではどうしても撮りたいがストロボを使えない状況に遭遇するので、そんなときに役立つだろう。

 そういえば、今回の旅で予備バッテリーを使うことがなかった。1GBのSDメモリーカードだと低圧縮3,264×2,448ピクセルで300枚は撮れる。手ブレによる失敗も含めるとこのくらいは撮っただろうか。帰国便の搭乗直前でバッテリー残量表示は3分の2程度を示していた。利用スタイルにもよるが、寒くない時期なら、2泊3日の場合バッテリーはひとつ用意すれば十分だろう。おまけにCaplio GX8は単三電池2本でも動作するので、電源についての心配はほとんどない。また、SDメモリーカードがいっぱいになっても本体に26MBの内蔵メモリーがあるので、高圧縮2,592×1,944ピクセルなら23枚余分に撮れる計算だ。

 広角端28mm相当のズームレンズの便利さを実感しつつ、800万画素の描写力に良くも悪くもまいった旅だった。誰もがが手軽に写せるデジカメではなく「使いこなせばきちんと撮れるデジカメ」だとわかった気がする。試していない機能もまだまだたくさんあるので、今回の反省とともに、新たな旅に出ることにしよう。


ユナイテッド航空853便機内で、ISO800で撮ってみた。ノイズがすごいが、いざとなればこのくらいの光源でも撮れる
3,264×2,448 / 1/3秒 / F2.5 / 0 / 800 / オート / 5.8mm
深セン地下鉄のICカードとトークンをマクロで撮った。光源はホテルのデスク上の白熱球。ホワイトバランスはタングステンに設定した。印刷のアミ点まで見えるが、その分、微妙な手ブレもバレている。
3,264×2,448 / 1/15秒 / F2.5 / 0 / 100 / オート / 5.8mm


URL
  リコー
  http://www.ricoh.co.jp/
  製品情報
  http://www.ricoh.co.jp/dc/caplio/gx8/

関連記事
リコー、800万画素CCD採用の広角ズーム機「Caplio GX8」(2005/04/26)


( ケニー・オブライエン )
2005/06/27 00:02
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.